死なないで!殺さないで!生きよう!メッセージ衆より
認知症の人と家族の会
いま、介護でいちばんつらいあなたへ、思いとどまった介護者からの渾身のメッセージ集の中からお届けします。
委ねる
夫は「わしは死なん。
自殺者も殺人犯も出してはいけない」と
(香川県・女性・69歳)
71歳の主人は平成17年から眼科、内科、神経内科、と診察を受け、「老人性うつ病」と診断されてアリセプトと意欲を高める薬を飲み、生活は少し不自由でしたが、運転もしていました。平成19年外科で入院し、脳梗塞でも入院しました。いずれも10日ずつでしたが、それから急に物忘れをしたり方向感覚がなくなりました。
夜中のトイレが頻繁になり、一人で留守番ができなくなり、水道の蛇口もしめ忘れます。会話のキャッチボールができず、本人も思っていることが言えないし、自分の思いの半分も妻の私が理解してくれないと言います。本人は真剣で、汗びっしょりで伝えようと行動に移そうとしても、他人には伝えきれず、他人の話す内容が分からないと告げます。
私たちは二人で田舎で生活しており、娘達は県外に住んでいます。公的機関しか頼れず、何度死にたいと思ったか分かりません。アリセプトが2年間はよく効いて水平線を保っていたのですが、入院中に帰宅したいと怒りだし、どうにもならなくなりました。人格はこんなに変わるものかと恨みました。
温厚な人柄で会社の社長まで務めた人望の厚かった主人の変貌に、何度主人に「一緒に死にましょう」とお願いしたか分かりません。新聞の暗いニュースの犯人の気持ちも分かりました。
しかし、主人は「わしは死なん。この家から自殺者も殺人犯も出してはいけない」と言いました。主人はやはり大黒柱だと尊敬しなおしました。そして「家族の会」に出席させていただき、新しい現実を乗り切った方々の何と明るいことかと感嘆し、私も先を明るく見て主人と共に生きていこうと思いました。そのうちにアリセプトが効かなくなるとまた、井戸の底に落ちるような絶望感に落ちるかも知れませんが、今が元気で幸せならば私たちはハッピーです。
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