認知症介護・家族の接し方10か条第4条 理屈より納得を
家族の接し方 10か条
(認知症予防協会)
第4条 理屈より 気持ちを通わせ 納得を
認知症高齢者は、勘違いや間違ったことを言ったり、したりすることが多いものです。この際に介護者は、正しい事実を示しながら理屈による説得をするのが普通です。しかし、中等度以上の認知症の場合には、それではなかなか納得しません。
それは、認知症高齢者は、以前に起こった知的体験や、出来事を広範囲に忘れているので、今の問題とそれに関係する忘れられた過去のものとの比較や関連付けができなく、また批判や反省もできなく、知的な判断が悪いと言えます。
さらに、事柄の内容の小さな個々のものは分かっても、それを組み合わせて全体として認識しないので、意味が分からず不問視されて、そのため矛盾というものがなく非倫理的な考え方なのです。したがって、理屈による説得には通じないことが多いのです。この際には、なじみの関係の中で、共感的な(相手と同じような考え方になり、心の面から通じる)納得を図ることが重要です。
中等度以上の老年認知症の80歳の女性のケースで説明しましょう。彼女は食事をして10分もすると食べたことを忘れて、介護者にご飯を要求していました。介護者は彼女の唇にご飯粒がついていて、食卓におかずのかけらが落ちていル事実を指摘しながら、、ご飯を食べたことを理屈による説得を続けましたが、「それは他人が食べたもので知らない」と否定し続けました。
押し問答を繰り返していると、「私のご飯を食べさせないで殺すきか」と怒りだしてきました。その時、いつも食堂で並んで食べているなじみの女性高齢者が戻ってきて、「さっき私と一緒に食べたでしょう」と言うとそれは簡単に受け入れて、食事の要求はしなくなりました。
なじみの人のいう言葉には気持ちが通じて、心で分かるような納得のしかたをしているのです。これはそう難しいことではありません。なじみの関係をつくっておけば、容易にできることです。そうでなく高齢者の勘違いを、注意・叱責・監視・是正をし続けると、高齢者は困惑や混乱をしやすく、認知症の進み方を助長したりします。
<ホーム長のつぶやき>
2人3脚の理念は家族の協力
「ゆっくり時間をかけ、視線を合わせて語り合い家族と協力しがら、共に笑い、共に泣き、安心できる暮らしをつくっていきましょう。」と掲げています。この中には上記で掲げている―第4条 理屈より 気持ちを通わせ 納得を―について考えてみましょう。
K様は毎日のようにせん妄が出現し、我々介護者を困らせます。2人3脚のスタッフは演技派で色々と納得してもらうために、あの手この手を使って納得させるように演技をしています。ある日、「どうしても用事があるので家に帰らなければなりません。お金がないのでタクシー代1000円貸していただけないでしょうか」と車椅子をこぎながら事務所にやってきました。
「ハイ分かりました。1000円でよろしいですか。今、お帰りなっても家に誰もいないとずーと家に入れず外で待っていなければなりませんので、家に誰かいるか確認してから帰りましょうか」と納得していただきます。よく2人3脚では携帯電話を本人に持っていただき直説家族の声を聞いてもらっています。
家族が電話口にいれば今の状況を説明し演技を依頼します。家族もとても演技上手です。家族がいない時はうそ電話を掛けます。「もしもし、ちょっと風邪気味で声がおかしいのですが、私嫁の〇〇です。今日はどうしても用事があって出かけてしまうので、明日帰って来てもらえないでしょうか。申し訳ありません」と誤りますと「そうか仕方がないなー、明日帰ることにするよ、今日はこの病院に一泊とめてもら得るように頼んでみるよ」と返事が返ってきます。その後は落ち着いて過ごされます。
家族の力はすばらしい!私たちは家族の変わりにはなれないので、2人3脚を利用してもらうときは理念を説明します。そして家族の協力を依頼しています。長い長い間培ってきた家族の絆・愛情に勝るものはないと思っています。また、上記のように利用様同士の会話で納得できることも多々あります。利用者やスタッフ間でなじみの関係ができているからこそ納得することができ、落ち着いた穏かな日常生活が送れているのです。
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