医師の目・人の目 第43条 服薬拒否・要求には工夫

2人3脚

2011年12月03日 11:26

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート42

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。




服薬拒否・要求には工夫



記憶力、判断力が低下している認知症の人の介護で苦労することの一つが服薬だ。「毒を盛られていると思っているのでしょうか。薬を飲もうとしません。説得しても聞き入れないばかりか、食べ物も拒否し始めました」「睡眠薬を飲んだ後でも何度も要求してきます。毎晩一時間も続きます。かといって余分に飲ませることはできませんし・・・。夜の来るのが怖いです」「先生教えられた通り、薬を粉にして食べ物に混ぜましたが、味がおかしいと感じたのか、吐き出して食べてくれません」





認知症の人の中で服薬に関して深刻な問題を示す人はそれほど多いわけではないが、一定の割合でいることは確かである。認知症が進行すると必ず問題になるのは、薬を飲まなかったり余分に飲んだりする服薬管理の問題である。様々な工夫、家族や介護スタッフによる介助が必要になってくる。





記憶障害のため飲んだことを忘れて「飲んでいない」と要求することはしばしばだ。本人にとっては「飲んでいない」ことが事実なのだから、「飲んだから駄目よ」は説得力を持たない。足りなくなった薬を医師に追加処方してもらうことはできないし、多く飲めば副作用も出てくる。「飲んでいない」というこだわりに対しては、市販の整腸剤の錠剤やサプリメント製剤を「先生が出してくれた良く効く薬よ」と言って、要求のたびに与えるのが良い方法である。これなら何度服用しても問題はないし、要求に応じた方が早くこだわりがとれる。





自分である程度管理ができる認知症の人が服薬を確実にするための工夫を挙げてみる。①.複数の薬を一包化にして一度に飲みやすいようにする②.服薬ボックスを使う③.カレンダーに貼って見やすい位置に置く④.テーブルの上に「薬は飲みましたか」と書いた紙を置く⑤.家族がタイミングを見て電話する⑥.服薬時刻を外れてもいいのでヘルパーの訪問時に服薬させる―などがある。





薬を飲まない人に対する工夫として次のようなものがある。①.飲みやすい形にする②.どうしても必要な薬に絞る③.進め方を工夫する④.食べ物に混ぜる⑤.味を考える⑥.注射や貼薬に変える―などがある。散在や単純な錠剤では、苦い薬も糖衣錠やカプセルになっていれば、苦味を感じなくなる。シロップや砂糖を混ぜると飲みやすくなる場合もある。







<ホーム長のつぶやき>




2人3脚でも、薬を何度も要求してくる人がいます。そんな場合には医師に乳糖(プラセボ=偽薬)を処方してもらっています。分包になっているので、医師が出してくれる薬と思い安心されます。これがまた、良く効きます。不眠時や体調不良の訴えをした時良く頓服として使用しています。服薬を確実にしたかどうか確認する必要があります。「あーんと口を開けて」と、飲んだことを確認しますが、上手な方は舌の下に隠して捨ててしまう人もいます。良くゴミバコに入っているときがありますので注意しています。




また、薬という認識ができない人に服薬させる場合には散剤(錠剤をつぶす容器をインターネットで購入できます)にして飲み込みやすいゼリーと一緒に飲んで頂く人もいます。2人3脚では、ある程度薬を認識できる人で、「飲んでいない」と言った場合は、飲み終わった薬包紙を一日は保管しておくので飲んだことを確認していただくのに役立っています。いずれにしても認知症の周辺症状の精神状態が悪いときは、状態が時間や日によっても違いますので服薬を拒否した場合には時間をずらして与薬してみるとか、違う方に服薬をお願いすると、すんなり飲まれることもあります。














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