体内時計 よき眠り、よき人生

2人3脚

2011年04月29日 15:40

体内時計
よき眠り、よき人生



ブログを立ち上げて二年、2009年8月31日にブログアップした記事の中に認知症介護10か条 第7条 睡眠の記事の中に体内時計を入力したことを思い出しました。浜松医科大学名誉教授の高田明和医師の記事を見つけました。とっても勉強になりましたので、ブログにアップします。





脳が光を感受することで体内時計がはたらく



生き物が夜になると眠り、昼間は起きているというのは、体内に時計のようなものがあるからだという考えは、ギリシャ時代にもありました。ヘリオトローブという植物は、昼間、太陽が出ているときだけ葉を開き、夜は閉じます。1729年、フランスのド・マイランという学者は、このヘリオトローブを真っ黒な部屋において、小さな穴から葉の開閉を調べました。するとヘリオトローブは、真っ暗な中でも昼間の時間になると葉を開き、夜は閉じたのです。





これは動物でも見られます。鳥は、明るくなるとさえずり、暗くなると静かになりますが、皆既日食で真っ暗になってもさえずりだします。また、鳥の目をくり抜いても、明るくなるとさえずるのをやめません。鳥の頭蓋骨、薄くて光を通すことが知られていました。そこで頭蓋骨の上に墨を塗って、光が頭蓋骨を通り抜けないようにすると、明るくなってもさえずりません。





研究者は、脳のいろいろな部分を除去してみました。すると、脳の後ろ下にある「松果体」という部分を除去すると、たとえ目から光が入っても、鳥はさえずるのを止めます。どうも「松果体」に、光を感受して時計をセットする仕組みがありそうです。







私たちの体内には、時計遺伝子が存在する



人間を地下の部屋で生活させ、、雑誌など本人の希望する情報は与えますが、時間は分からないようにしておく実験をしました。すると時間を教えないのに、外界が夜になると本人はそれを知らないのに眠り、外界が朝になると目が覚めます。ところがこの周期は、25時間でした。つまり、夜10時に寝ると、翌日は11時、その翌日は、12時とずれてゆくのです。この“ずれ”を元に戻すのが光なのです。





たとえば、朝6時に光を浴びると、時計はその時間を基準にセットされます。興味深いのは、光の刺激がなくても、外界の情報が耳に入ると、時計がその時間にセットされるということです。これは多くのボランティアを大きなビルの部屋に入れて、外界との接触を断つ実験をして見つかりました。ビルの部屋にいる人は、ほしいものは何でも手に入るのですが、時間だけは知らされません。すると、時間は毎日1時間はずれますが、そこに、ラジオで、「朝の8時のニュースをお知らせします」という放送を流すと、しばらくして、外界が朝8時のときに本人の時計も朝8時になります。





人間では、この時計は、視床下部の「視交差上核」(しこうさじょうかく)というところにあります。ここが、目から入った光により時計を動かすのです。光は、網膜に入り、「視神経」から「視覚野」に向かうのですが、一部は視交差上核に伝わります。時差の異なるところに行くと、しばらくこの時計がセットされないので、昼間でも眠くなるのです。また、この刺激は、夜、メラントニンというホルモンを放出させ、眠気を誘います。





最近、このような時計は、、遺伝子の働きによることがわかってきました。私たちの網膜には時計遺伝子があり、昼間はタンパクの産生を活発化させ、細胞はタンパクで満たされます。夜は一転して、タンパク産生は抑制されタンパクは減少します。減りすぎると再び産生が活発化されて、昼間の活動になるのです。





光を浴びて、時差ボケ解消


最近、体のすべての細胞がこの時計遺伝子を持っているということが分かりました。視床下部の遺伝子は、他の遺伝子を支配する主要遺伝子であるマスター遺伝子で、この光でセットされても、体のすべての細胞の遺伝子は、まだ以前のままということもあります。これが“時差ぼけ”です。





時差ぼけを避けるためには、飛行機の中で睡眠薬を飲むだけではだめです。睡眠薬は脳の代謝を変えるだけで、体の細胞時計は変わっていないのです。機中で眠っていて、時差のある目的地についた時に目が覚めると、自覚的には眠いと思わないのですが、体の細胞が眠っている状態なのでだるいような変な気持ちになります。体の細胞の眠りは、脳では自覚されない眠りなのです。ですから、外国に着いたら、できるだけその土地の光を浴びて、脳の時計も体の時計もセットし直す必要があるのです。
















にほんブログ村ランキング参加中!よかったらクリックして下さい

にほんブログ

関連記事