認知症を理解するための8大法則・第5法則感情残像の法則

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2011年08月25日 13:06

認知症を良く理解するための
8大法則 1原則
                             
                          認知症の人と家族の会副代表 杉山孝博医師




第5法則 感情残像の法則




認知症の人は、第1法則の記憶障害に関する法則が示すように、自分が話したり、聞いたり、行動したことはすぐわすれてしまいます。しかし、感情の世界はしっかり残っていて、瞬間的に目に入った光が消えた後でも残像として残るように、その人がそのときいだいた感情は相当時間続きます。このことを「感情残像の法則」といいます。出来事の事実関係は把握できないのですが、それが感情の波として残されるのです。





認知症の人の症状に気づき、医師からも認知症と診断されると、家族は認知症を少しでも軽くしたいと思い、いろいろ教えたり、詳しい説明をしたり、注意したり、叱ったりします。しかし、このような努力はほとんどの場合、効を奏しないばかりか、認知症の症状をかえって悪化させてしまうのです。まわり(とくに一生懸命介護している人)からどんな説明を受けても、その内容はすぐに忘れてしまい、単に相手をうるさい人、いやなことを言う人、怖い人と捕らえてしまいます。つまり、自分のことをいろいろ気遣ってくれる身近な人と思わないのです。これをどう理解したらいいでしょうか。







認知症の人は、記憶などの知的能力の低下によって、一般常識が通用する理性の世界から出てしまって、感情を支配する世界に住んでいる、と考えたらいいでしょう。動物の世界に似た一面があります。弱肉強食の世界に住む動物たちは、相手が敵か味方か、安心して気を許せる対象か、否かを速やかに判断し、感情として表現します。認知症の人も実は同じような存在なのです。安全で友好的な世界から抜け出してしまった認知症の人は、感情を研ぎすまして生きざるをえない世界の中に置かれているのです。






周囲のものはそのような本人が穏かな気持になれるよう、心から同情の気持で接することが必要となります。つまり認知症の人を介護するときは、「説得よりも同情」です。感情が残るといっても、悪い感情ばかりが残るのではないので、よい感情が本人に残るように接することが大切です。






自分を認めてくれ優しくしてくれる相手には、本人も穏かな接触をもてるようになるものです。最初のうちは難しいかもしれませんが、「どうもありがとう。助かるわ」「そう、それは大変だね」「それはよかったね」などの言葉が言えるようになれば、その介護者は上手な介護ができているといえます。






例えば認知症の人が濡れた洗濯物を取りこんでいるのを見つけたとき「まだ乾いてないのにお母さん、どうしてわからないの、余計なことをしてくれて」というのと「ああ、お母さん手伝ってくださってありがとう。後は私がやりますからそちらで休んでいてください」というのとでは介護のしやすさが大きく違ってくるものです。





<ホーム長のつぶやき>



感情残像の法則を理解しているといろいろな出来事が納得できますね。家族の顔を忘れてしまってもしょげないでくださいね。自分のことをよく知ってくれる優しい方になれるように接してあげてください。いま、記憶をつかさどる海馬の先端に扁桃体という箇所があって、そこの部分に感情をつかさどるところがあります。ある程度重度になり海馬が萎縮しても扁桃体まで侵されるのに時間がかかります。また、最後まで侵されずにすむ場合があります。よって嬉しいことや嫌なことは、記憶力が低下しても残っています。




デイサービスでは、気の合う利用者同士で同じテーブルについていただきなじみの関係を築いていきます。できるだけ楽しいしい雰囲気で一日を過ごしていただけるように配慮しています。中には自分の感情をうまくコントロールできず、人の悪口を言ったり、突然怒りだしたりする方がおられます。そんなときはできるだけそばにより添いお話を伺ったり、別メニューのレクや作業療法をしていただきます。特に脳血管性の認知症の方は感情が不安定で、感情失禁が現れやすいです。












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