杉山ドクターのやさしい医学講座

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2010年02月13日 09:07

第2章 高度な在宅医療と在宅ケア
                    (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師より)


3.中心静脈栄養法 



中心静脈栄養法は経口摂取が困難で静脈栄養以外には栄養維持が困難な患者を対象としています。診療報酬で在宅医療として認められ在宅でも実施されるようになってから、在宅サービスを受けている利用者の中に中心静脈栄養法を受けるものが見かけられるようになりました。直接管理するものは、看護師、医師、指導を受けた利用者や利用者家族であっても、訪問介護などの在宅サービスを提供するスタッフにとっても基本的な理解をすることは重要です。



中心静脈の適応は、経口摂取が不可能になったもので、。胃ろうや経管栄養法では栄養の補給ができないものです。悪性腫瘍疾患で胃ろうなどを留置できないもの、小腸を大幅に切除して消化吸収に障害が出ている短腸症候群などが対象になります。



高カロリーの栄養液を静脈から入れる場合、抹消静脈では欠陥炎を起こしてs舞うため、鎖骨下静脈などから上大静脈に直接カテーテルを留置して入れることになります。勝手は取り扱いの困難さが野ために退院できず入院したまま最後を迎える患者も少なくありませんでした。最近は取り扱いが安全で容易なカテーテルや調整された製剤が利用できるようになって、在宅で穏かな療養が可能となり患者のQOL(生活の質)は高まりました。



中心静脈栄養法は、必要なカロリーや栄養素、ビタミン、ミネラル、が調整された輸液パックの栄養液を、注入ライン(輸液バッグとカテーテルをつなぐ、輸液ライン、延長チューブ、フィルターなどで構成されるラインのこと)を経由して、鎖骨下静脈等に留置した中心静脈カテーテルから持続的に点滴注入する方法です。



皮膚にカテーテル刺入されているため、感染の危険性があります。最近、皮下に静脈カテーテルと一体となったポートが埋め込んでおいて、点滴のように皮膚から、ポートに針を刺して行なう方法が開発されて皮膚感染の危険性が下げられるようになりました。



中心静脈栄養法を維持管理していく場合の最も大きな問題がカテーテル感染です。原因としては、穿刺した皮膚付近の細菌がカテーテルを伝わって皮下組織や血管内に侵入する場合、あるいは細菌で汚染された輸液剤などから注入される場合があります。バッグ交換や注入ラインからの薬物注入などのとき感染予防の手技を守ること、皮膚刺入部位の消毒、感染兆候の観察が重要です。




その他のトラブルとしては、注入ラインに関して、血液の逆流、非違即、接続部のはずれなどがあります。感染症状に対する注意としては、最も良く見られる症状は、原因不明の発熱です。カテーテル刺入部の発赤、、硬結、浸出、出血、疼痛、などが伴っているか見ます。



カテーテルの皮下トンネルにそって発赤や痛みがみられることもあるので、普段から注意深く観察することが必要です。中心静脈栄養により患者・家族が穏かな在宅生活が可能になったことは素晴らしいことです。そのためには医療、看護、介護サービスが一体となって利用者の不安を軽くして、自信を持って生活が送れるように援助しなけれらならないと思います。










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