10月1日アルツハイマーデー・片山先生に講演内容パート7
アルツハイマーデー記念講演会
片山禎夫ドクター講演内容パート7
10月1日エイザイ・ファイザー協賛のもと認知症の人と家族の会はアルツハマーデーで片山禎夫先生をお招きし「若年期認知症の人と家族とパートナーと共に」~一人で悩まないで、仲間を作ろう~と題してお話されました。あっという間の2時間でした。会場は先生の話に聴き入り涙ぐむ人もみられました。
ピック病(前頭側頭葉型認知症)さびしん病
大企業の重役さんですが、土日スパーへ向かうはずが左へ向かってしまい工場へ行ってしまう。毎日昼食前になると出かけます。必ずネクタイをゴミ箱からあさってきます。靴を全部隠し、夏は真っ黒に日焼けし、埃だらけになってネクタイを持ってきます。兵庫県の公務員さん壊れかけた自転車を持って来てしまいます。本屋に行くと本を持ってきてしまいます。
片山先生の当日資料の一部より抜粋
前頭側頭葉型認知症(ピック病)(さびしん病)
ピックという名前はピックというやはりお医者さんの名前です。1892年プラハのアーノルド・ピック先生が、報告されたのが最初です。65歳までに発症する進行する認知症の中では、アルツハイマー病の次いで多い病気です。65歳以上の発症だと、2番目に多いのは、レビー小体型認知症です。
ピック病の多くの人は、病初期から自覚症状があります。認知症になる前の段階です。色々な場面の配分ができなくなる、と言われます。この時間にはこの人と話をする。また、次の日には、別の場所で、違う時刻に他の人に会う。など、時間的、空間的、人間関係の配分が困難になるようです。また、粗相のないように努力しようと気になると、気になることに注意が集中してしまい、それ以外の行動がしにくくなるようです。
例えば、車の運転をしていると、買い物に行くのに、いつの間にか会社に向かっているといわれます。少し進行する中で、ボールペンを手渡されると、何か書いてしまう。保続と言います。周囲の人が促したこと、促していないけれども、注意がそこに向くとつい、同じ行動を取ってしまう様です。被刺激性の亢進と言います。
やはりこの時期を見逃すと、特に若年期の方は、仕事、家事、お付き合いに支障が出ないように、努力されます。努力すると、色々なことに注意が行きにくくなり、感じたこと、見たことに気持ちが向き、他の事ができなくなり、周囲の人から最近仕事ができなくなっているが、一生懸命、ムキになっている様な感じがすると言われます。(努力行為)
他の認知症と同じように、認知症になる前が大事で、様々なことに注意が向くようにすることが大切ですが、やはり、楽しいこと、嬉しいことを感じることです。がんばらなくて、楽しめる生活環境が重要です。若年発症ですと、多くの方が、生活に仕事に責任感を持っています。努力が始まってしまいます。うまくいかない周囲との齟齬が、一層努力へと始まるので、うまくいく感じを感じていただくことが重要です。
その人へ感謝を伝え、一緒にいることが楽しいと態度でも伝えます。放置すると、できることを何とかしようと努力されますので、ある時間に、必ず出かけ、同じところに行き、同じことをしてしまうことが多くなります。それを静止してしまうと、自分の努力も自信も否定されたようで、より努力が始まります。他のことに気持ちを配分することができないときには、まず、受け入れて、気持ちがほっとすると、転換可能になります。
また、記憶力は比較的保たれやすいので、落ち着く人、場所、時間を作ることが大切です。この疾患の緩和療法の特徴は、その人を認め、かつ、共に心休まる状態を作ります。特に進行すると言語が分かりにくくなり、他人の言葉、会話、音にまでイライラし始めます。静かな状態、体に触れると心休まることも多くなります。手、足のマッサージは会話もなく、笑顔のみで可能になることも多いのです。時には、背中なども呼吸、心拍に合わせて触れるのも推奨されています。
家族の方は、中々受け入れられない。解かっていても、行動を静止してしまうことが普通です。介護の力が最も必要とされる疾患です。知らなければ声を掛けてしまい、突然体に触れてしまい、奇声、暴力行為、拒絶、なども出現してしまいます。このような“配分障害”“保続”“被刺激性の亢進”“努力行為”などが程度の差こそあれ、アルツハイマー病、レビー小体型認知症に合併することもあり、脳の障害が、前頭側頭葉に著しくなる人もおられます。他の疾患で、このような症状を認めたときも、同じようなケアが重要ですので認知症ケアのポイントとして知識、技術を蓄えておいてください。
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