ストレスとは上手に付き合おう
ストレスとは上手に付き合おう
(大阪人科学大学・山田冨美雄教授より)
遠回りも豊かな経験
気候と同様に、年度の始まりは何かと暮らし向きが不安定になりがちなもの。思いがけないストレスを感じ、体調を悪くする場合もあります。今回は、こうしたストレスと上手に付き合うコツなどについて、大阪人間科学大学・健康心理学科長の山田冨美雄教授に聞く。
「木の芽時」と言われる春は、身辺変化や、新しい観光のミスマッチ(不適合)などから、ストレスを感じやすい時節でもあります。新入生や新入社員が“こんなはずじゃなかった”と落ち込んだりする姿も、5月頃よく目にします。こうした時期に、ゴールセッティングと旅の話。端的に言えば、“ゴールを設定し、道草を楽しもう”と言うことです。
夏目漱石の作品に『道草』と言う小説があります。振り返って、人生こんなはずじゃなかった。主人公の大学教員・健三ならずとも、誰れもが思いがちですが、しかし、現実の人生とはそういうものであると、人は経験を重ねながら分かってきます。自分が本当にやりたいことはなんだったのかと思い起こせば、それらは少ししか達成できず、遠回りばかりしているように見える。
しかしながら、自分の思い描いた目的の道筋があるなら、道草しても、ゴールヘ向かって歩いていけばよいのです。これが漱石のいうところの、「自己確立への道」ではないかと思います。道草と言うものを徹底してやってみるのが旅でしょう。日常から離れ、見知らぬ所へ足を踏み入れ、未知の事柄やトラブルとも遭遇する。旅は意外とストレス要因に満ちていますが、帰宅してみると、やはり“行ってみてよかった”と感じるものです。
人生もまた同じく、道草をしながらたどり着く“心の旅路”ではないでしょうか。そして道草があるから、人生の旅路も豊かな経験になるのです。身辺の変化に体調を崩してしまいがちな春は、こうした自分本来の目的観や願望に立ち返った上で、道草をしながら進んでいけばよい、と思い直すことが大切です。
先手を打ち、楽観的に
道草を楽しむためにも、先を見据えたゴール設定が大切です。自分の将来をイメージした道筋が明確にあるからこそ、途上を柔軟に歩んでいけるのです。学生であれば4年後に卒業し、望む職業に就き、20年後には家を建て、60歳には子供を社会に送り出して悠々自適の生活を送る。こうした長期のことを思い描きながら、10年、5年、3年、一年、半年、3ヶ月、1ヶ月・・・と、期間ごとの課題を設定します。
こうしたスケジュールや時間の管理ができるというのは、ストレスと上手に付き合っていくということに深く関係しています。先が読めるというのは、まさに“先手を打つ”という予防的な対処ができ、突然の事態によるストレスを軽減できます。また、長短両法の尺度で自分の課題がみえるということは、それだけ自分を客観視でき、コントロールが出来ることにつながります。
その上で、思うにまかせないで遭遇するのは、現実的に避けられないと予測しておく。こうしたポジティブサイコロジー、つまり楽観的な心の持ちようが大切です。ストレスに強くなるのは「あまりきまじめにならない」ことも重要です。どんな事態もユーモアあふれる受け止め方をし、“笑い飛ばして交わす”ことは大変有効です。
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