杉山ドクターのやさしい医学講座
第3章 介護保険における特定疾患
(
認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師より)
7.脊柱管狭窄症
ある程度歩くと下肢に筋肉痛が出現し、しばらく休むと痛みが消失して歩けるようになるというような間歇性歩行がでてきたら、閉塞性動脈硬化症とともに、脊柱管狭窄症も考えられます。私たちの体を支える脊椎は椎体と椎弓によってできていますが、その椎体後面椎弓によって作られる空間(椎孔)を上下に脊髄が走っていて脊柱管を作っています。
頚椎から胸椎、腰椎、仙骨まで走っている脊椎管に何らかの原因で狭窄が起こると、四肢・躯幹の痛み、しびれ、筋力低下、運動障害などの脊髄圧迫症状を生じることになります。別項で取り上げている後縦靭帯骨化症は、老化などにより後縦靭帯が肥厚、骨化して脊柱管を圧迫して起こすものです。
主に中年以降に発症し、高齢者の腰痛の3~4割を占めるともいわれています。一般的に、脊柱を後ろに反らす脊柱管の圧迫が強くなって症状が悪化します。前かがみの歩行や杖を突いて歩行すると症状が軽くなり、自転車なら何時間でもこげるのに長く歩くことができないのは同じ理由からです。
治療としては、軽いしびれなど症状が軽い場合は、安静・消炎鎮痛剤の使用、首カラーや腰椎ベルトの装着、頚椎や腰椎牽引、あるいは神経ブロックなどを行ないます。腹筋や背筋をきたえて脊椎の関節がしっかり固定するように心がけることも重要です。
しかし、排尿・排便困難を伴うような、非常に強い症状があるような場合や、社会生活に支障をきたすようになったら、神経を圧迫している部分を削る手術が必要になります。介護にあたって、後縦靭帯骨化症と同じく、①首や股関節を強く屈曲すると、神経症状が強くなり、時には四肢麻痺引き起こす場合があるので注意すること。 ②知覚障害と筋力低下のため、手に持ったものを落としたり、ふらついて転倒したりすることがあるので、注意深く観察すること。 ③廃用性筋萎縮を防ぐため自分でできることは自分で行なうよう援助すること などが重要です。
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