杉山ドクターのやさしい医学講座
第3章 介護保険における特定疾患
(
認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師より)
10.脳卒中
脳に送られていて脳の活発な活動を支えています。血液の流れが瞬時でも途絶えると、脳の働きが落ちて、時には取り返しのつかない状態に陥ります。たとえ命を取りとめたとしても、手足や言葉が不自由になり、意識が障害されるなど日常生活に大きな困難をもたらすのは脳卒中です。いわゆる「寝たきり」の原因の35%を占めるといわれています。
●脳卒中の3つのタイプ
脳卒中は、脳の血管がつまったり、破れたりして起こる病気です。脳梗塞、脳出血および、くも膜下出血の3つに分類されます。脳梗塞は、脳の血管が動脈硬化を起こして狭くなり閉塞するか、太い動脈や心臓でできた血液のかたまりが脳の動脈をふさぐことによって起きます
脳出血は、動脈硬化の起こった血管が高い血圧などのために破れて起きます。高血圧の人に多いのが特徴です。
くも膜下出血は、脳の表面の動脈が破れて起こります。突然の頭痛、吐き気、意識障害、などが起こった場合にはまず疑うべきでしょう。
「卒然(そつぜん)と中(あた)る」、つまり「突然起こる」のが、脳卒中ですが、手足がしびれる、力が入らない、舌がもつれるなどの症状が一時的に現れ、、24時間以内に消えることがあります。これは、一過性脳虚血発作といって脳血栓の前触れの場合がありますので、必ず医療機関を受診して大事に至らないように気をつけることが大切です。
●脳卒中のさまざまな症状
脳卒中の症状は、病変の部位、広がり、変化の早さなどによって変わります。半身麻痺、言語障害・嚥下障害(利き手側に麻痺が起こった場合にみられる)、意識障害、めまい、視力障害など様々な症状が出てきます。大きないびきをかいて昏睡となり、呼吸が止まることもあります。たとえ軽い症状であっても、このような症状が見られたら速やかに医療機関を受診すべきです。たちまち危篤状態になることもあります。早く診断して治療を開始することで、後遺症を軽くすることができます。意識状態を確認して昏睡状態であれば、吐物を肺に吸い込まないように顔を横向きにさせたうえで、救急車を呼ぶか、かかりつけ医に往診を依頼するのがよいでしょう。
コンピューターの断層撮影法(CTスキャン)やMRIによって診断は容易になりました。24時間以内であれば脳外科的なすばやい対応が出来る場合があります。とくにくも膜下出血では一刻も早い診断が決定的となります。
●脳卒中のリハビリテーション
脳神経細胞は再生しないので、脳卒中は何らかの後遺症が残るのが普通です。リハビリテーションはそのような後遺症を軽くして、家庭生活・社会生活がスムーズに行われる為に実施しています。意欲がリハビリ効果の7~8割を決定付けるともいわれほど、患者自身の気持が大切です。周囲のものは患者さんの気持を理解し、支えてあげてほしいものです。
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