杉山ドクターのやさしい医学講座

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2010年06月17日 07:00

第3章 介護保険における特定疾患
                    (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師より)


11.パーキンソン病関連疾患


「パーキンソン病」「進行性核上性麻痺」「大脳皮質基底核変性症」が含まれます。手足の動きがぎこちなくなり、ふるえが出る、小刻みに歩くようになり、前かがみの歩き方になる、顔の表情が乏しくなる。―などの症状が出現した場合には、パーキンソン病あるいはパーキンソン症候群をまず疑って、医療機関に受診する必要があります。パーキンソン病の治療方法は薬物治療が有効で、放置すると寝たきりや認知症になる怖い病気だからです。





1817年にイギリスのジェームス・パーキンソンさんが初めて報告した病気で、後に中脳の黒質と呼ばれる部位の神経細胞の変性・萎縮により、筋肉の緊張状態を調整する神経の状態が乱れて症状が現れることが分かりました。同様の症状は、脳炎、脳血管障害、一酸化炭素中毒、脳腫瘍、梅毒、ある種の薬物によって引き起こされます。これを総称してパーキンソン症候群と呼びます。






主な症状は手のふるえと筋肉のこわばりです。手のふるえは、1秒間に4~8回位の比較的ゆっくりしたふるえで、、安静にしているときにも見られるのが特徴です。筋肉がこわばって動作に時間がかかるため衣服の着脱、会話、食事など日常生活への障害が少なくありません。顔の表情は乏しくなって、仮面をかぶったように見えます。動き始めが困難で、第一歩を踏み出すのに時間がかかりますが、一旦歩き始めると立ち止まったり方向を変えることが難しく、転倒や骨折の原因になります。立ちくらみ、よだれ、便秘、物を飲み込むことが困難な嚥下障害、言語障害、うつ症状など多彩な症状が頻繁にみられます。






数ある神経疾患の中で、病気の原因の究明と治療がしっかり結びついて成果をあげた代表的な病気が、パーキンソン病です。ドーパミンと言う物質が神経細胞の中で足りなくなって起こるのが病気ですから、Lドーパという薬を内服すると、脳で代謝されてドーパミンに代わり、症状を改善させます。劇的という言葉が決して大げさではないような効果が見られる場合もあります。




しかし、Lドーパの効果が得られるのは、パーキンソン病のみで、パーキンソン症候群には一時的に効くことがあっても大きな効果は期待できないのです。L-ドーパは 副作用も多く、使用するときには注意が必要な薬物です。胃腸障害、起立性低血圧、口をもぐもぐさせる不随運動などがよく起こります。長期間服用で精神の錯乱などの症状や、すくみ足のようにパーキンソン病と同じような症状の副作用も出ます。




薬の有効期間がしだいにに短くなることもあります。L-ドーパの副作用を短くしてできるだけ長期間の使用ができるようにするために別の作用を持つ薬などを併せて使うことがよく行なわれます。




精神科などで出されている強力トランキライザーや、ある種の降圧剤、抗うつ剤などがパーキンソン症候群を起こしやすいので注意が必要です。このような場合、薬の中止や減量が必要ですから、是非主治医にお年寄りの状態を報告してください。











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