杉山ドクターの優しい医学講座・6/27アザレアで講演します

2人3脚

2010年06月20日 07:00

6月27日(日)アザレア(静岡市)において杉山孝博先生の医学講座の講演会が行なわれます。まだ席に余裕がございます。是非講演を聴いてみませんか?問い合わせはこちらまで→0545-63-3130  佐野三四子代表  お電話お待ちしています!


第3章 介護保険における特定疾患
                    (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師より)




14.慢性閉塞性肺疾患



介護保険で第2号被保険者の特定疾病のひとつに、慢性閉塞性肺疾患があります。医学的には、慢性気管支炎及び肺気腫を合わせて慢性閉塞性肺疾患と呼びますが、介護保険ではさらに、気管支喘息やびまん性汎細気管支炎も含めています。




慢性の咳・痰・呼吸困難を伴い、中高年以降に発症する疾患群ですが、初めは咳や痰、一時的な呼吸困難などの症状であっても、慢性化すると、呼吸機能が低下して日常生活が大きく障害されることになります。家に閉じこもる原因のひとつになります。痰の切れが悪いときや呼吸困難が強いときには、生理食塩水、去痰剤や気管支拡張剤の吸入が行なわれる場合があります。





痰の量が多くなり自力で喀出することが困難になると、吸引機による痰の吸引が必要になります。症状がさらに進行すると、肺の働きが慢性的に低下してきて、動脈血液中の酸素の濃度が一定以下に下がり、慢性呼吸不全の状態になります。在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法が必要になる場合があります。




(1)慢性気管支炎


痰を伴う咳が1年に3ヶ月以上続き、それが2ヵ年(2冬連続)続いている状態を慢性気管支炎と呼びます。喫煙、埃の多い職場での就労、急性気管支炎の慢性化、慢性鼻副鼻腔炎や低栄養状態、寝たきりなどが背景となって、発症し、悪化していきます。去痰剤、鎮咳剤などが処方され、発熱、膿状の痰など感染症の徴候がでれば抗生物質が処方されます。




(2)肺気腫


細気管支や肺胞壁が破壊され拡張して、換気障害が著しくなった状態が肺気腫です。強い息切れが最も大きな特徴で、わずかな体動でも息切れを感じるようになります。喫煙が最も重要なリスク要因ですが、気管支炎、気管支喘息、塵肺などの呼吸器疾患が持続することによって抹消の気道破壊が進行して、最終的に肺気腫の状態になっていくことが考えられます。




(3)気管支喘息


種々の刺激に対して気道の過敏性が亢進した状態で広範な気道の狭窄を特徴とし、この閉塞性障害が自然にあるいは治療により変化するものを気管支喘息と呼びます。小児喘息の場合はアレルギー型が多いのですが、高齢者の場合は、感染型が多いのが特徴です。




風邪など呼吸器感染症がきっかけになって、咳や痰が強くなって、喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難が出現する場合が高齢者に多く見られます。したがって、気管支喘息の体質を持っている高齢者では、呼吸器感染症の早めの治療が必要です。治療としては、気管支拡張剤、去痰剤、鎮咳剤、症状によりステロイドホルモンなどの薬剤が使われます。気道の炎症を抑え、全身投与の副作用を避けるため吸入ステロイド薬が、現在標準的な治療法になっています。




(4)びまん性汎細気管支炎


慢性に持続する咳と痰、労作時息切れが主症状で、量が多い膿性の痰がみられます。慢性鼻副鼻腔炎を効率に合併しているのも大きな特徴です。したがって、鼻汁、鼻閉、臭覚障害などの慢性鼻副鼻腔炎の症状を伴う場合が少なくありません。エリスロマシンなどの抗生物質の長期投与が行なわれ、良い治療成績が得られるようになりました。












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