富士市立中央病院・医師に聞く。高齢社会の嚥下評価
医師に聞く
”富士市立中央病院診療各科の前線” パート1
(富士市立中央病院耳鼻咽喉科高柳博久医師・富士ニュースより)
高齢社会の嚥下評価
高齢社会の進展に伴って、増加が予想される疾患の1つに嚥下(えんげ)障害がある。口の中に含んだ水分や食べ物などをのどから食道、胃へ送り込む機能が低下した状態だ。脳血管障害による後遺症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)やキンジストロフィーなど、神経系の機能が衰える病、外傷性の頚椎損傷など嚥下障害が発症する原因は多岐にわたる。
中央病院ではこうした患者らの機能を改善などに総合的に取り組むため、H.18年NST(栄養支援チーム)を立ち上げた。NSTには理学療法士や、作業療法士、栄養評価チーム複数の分野の専門家が参加。高柳医師が所属する耳鼻咽喉科は歯科医や言語聴覚士、看護師らと摂食・嚥下・口腔ケアチームとして加わり、主に嚥下機能の評価に携わっている。
嚥下機能の評価で行われるのは舌の運動や、のどの筋肉の反射、内視鏡による所見、食道造影など、さらに30秒間でだ液を飲み込む回数をチェックするテストで意識的な嚥下機能を評価したり、ゼリーを実際に飲み込む様子を内視鏡で観察したりして総合的に判断する。こうして嚥下能力の評価が決まると、ポタージュ状、ヨーグルト状、豆腐状、かゆなど食事の形態が決まる。
高柳医師は適切な嚥下評価が浸透することで「(口から食べる)経口摂取の患者さんが増えた」と話す。現在の患者の持っている嚥下の能力を的確に把握することで、チューブを通して直接胃に栄養分を投与する胃ろうへの安易な移行を防ぐ効果があるとの見方だ。
急性期の患者を扱う同病院では、適切なタイミングで地域の医療機関へ転院を求められる。口から食事ができることで、転院先の選択肢が広げられるほか、口から食べる喜びを感じ続けることができる。「何の楽しみもない」(高柳医師)という胃ろうの状態に比べ、QOL(生活の質)に格段の差が表れる。
胃ろうをめぐっては、さらに大きな課題もある。傾向摂取が不可能となった場合、国内では7割が胃ろうを選択。その際の平均寿命は2年で掛かる費用は700万円。米国では9割の患者が、点滴などの穏やかな治療に切り替え、限られた寿命を生きる。
高柳医師は「食べられなければすぐに胃ろうという今の日本の傾向は問題がある。こうした患者さんは呼びかけに反応もせず、意思疎通もできない。高齢者も増え、医療財源も限定された中でどういう選択肢をするか、生きるとはどういうことかも含め、立ち止まって考える必要がある」と話す。
<ホーム長のつぶやき>
大きな機関病院が上記のことを考え、地域の医療機関に転院されれば、その人らしく生きることができる。施設で関わっている我々スタッフも原因がわかり残っている機能がわかれば努力を惜しまないだろう。できるだけ家族や施設の仲間と接触を多くもつことがQOL(生活の質)の低下の予防策にもなります。セカンドオピニオンを利用しながら日常生活を過すことができること望んでいる。これは認知症にも言えることです。大きな機関病院で早期に診断がなされ、後のフォローを地域の医療機関でできれば住み慣れた地域でその人らしく暮らすことができのだ。
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