レビー小体型認知症の介護が分かるガイドブックパート10
レビー小体型認知症の介護が
わかるガイドブックパート10
アルツハイマー型認知症よりも難しい、レビー小体型認知症の介護
「どうしよう?」「困った・・・」に対する具体策
(小坂憲司・羽田野政治著 レビー小体型認知症家族を支える会編集)
幻視が妄想に発展していくことも
レビー小体型認知症の人には、妄想や作話などがみられることがあります。アルツハイマー認知症の人では、「嫁(あるいはホームヘルパー)に財布を盗まれた」といった被害妄想(この場合、物盗られ妄想とも呼びます)がよく見られます。この現象は、記憶障害に伴って生じるものです。一方、レビー小体型認知症の妄想は、幻視に伴って、あるいは幻視が発展して起こることがほとんどです。その意味でアルツハイマー型認知症のそれとはいくらか異なります。
幻視を起因とする妄想はは、たとえば、蠅がたくさん飛んでいるのが見えるので、あたりかまわず殺虫剤をまく、いないはずの子どもが見えるため、「ゴハンをつくってあげなければ・・・」「世話をするのが私の役目」などと信じるといったものです。また、猫が見えることで「冷蔵庫のおかずを盗っていった」という被害妄想につながるような例です。
アルツハイマー型認知症に比べて多いのが、「嫉妬妄想」といわれるものです。たとえば、「夜中、夫がベッドで他の女と寝ている」「妻の愛人が窓からのぞいて、妻を誘っている」といった、嫉妬を伴う妄想です。こうした嫉妬妄想は、過去の体験や夫婦間の軋轢(あつれき)などが元になっていることがあります。
妄想への対応方法
原因である幻視そのものがみられなくなることで妄想が消える場合もありますが、幻視が消失したにもかかわらず妄想が一向になくならないこともあります。あるいは妄想がエスカレートしていくことも少なくありません。あるいは、こうした妄想が抑うつ症状を進行させたり、興奮や暴力などを生じさせたりすることもみられます。
一般に妄想というのは、本人が頑なに思い込み、確信しているため、周囲のものがどれだけ否定しても、正常な思考へ戻すのはとても困難です。ですから、、「そんなことはない」などと否定したり、相手を刺激するような言葉をぶつけても効果的とはいえません。「遠くだれかが自分をあざ笑っている」といったのように、妄想はイライラや怒り、不快感を伴うものです。したがって、優しく手を握ったり、心拍数と同じテンポ(1分間に60回程度)背中を軽くたたいて上げたりするなどの対応が、精神的な安定をもたらすことも少なくありません。
妄想の対象とされた家族や介護者は、距離を置いて近づかないというのも1つの方法です。「助けた」「妄想を改めさせたい」あるいは、「嫌われたくない」と、積極的に関わってしまうことで、かえって妄想を長引かせたり、攻撃的になってしまったりする場合ががあります。興奮が高じて、失禁がひどくなるようなようなこともあります。施設の場合であれば、別の介護者と交代したり家族の場合では、親類や信頼しているケアマネージャーなどの第三者が関わったりすることで、妄想が軽減されることがあります。
<ホーム長のつぶやき>
せん妄の人への対応方法はアルツハイマー型認知症でもレビー小体型認知症でも同じ対応でいいと思います。真剣に訴えてくる認知症の方の訴えを真摯に受け止め、妄想の世界を理解しようと努めることです。耳を傾ける姿勢をとるとそこに信頼関係が結ばれてきます。名前は分からなくて、不安な自分の気持ちを一番わかってくれる人がそばにいるだけでどんなにか心強いこととでしょう。
また、せん妄がエスカレートし自分の世界に入ってしまっているときは、少し距離を開けるようにスタッフには話しています。そんなに長い時間続くものではありません。そして男性スタッフや女性スタッフ、年配のスタッフ、若いスタッフ、せん妄出現時、関わっている相手を替えることで落ち着いてくる場合があります。その瞬間(せん妄出現時)は駄目でも落ち着いてきます。後は日常と変わらずコミュニケーションが図れることがあります。私は駄目だと落ち込んでしまう職員がおりますが、認知症を理解してくるとそのような心配はなくなってきます。それほど認知症の方を理解するということは難しいことだと思います。
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