レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック パート34
レビー小体型認知症の介護が
わかるガイドブック パート34
アルツハイマー型認知症よりも難しい、レビー小体型認知症の介護
「どうしよう?」「困った・・・」に対する具体策
(小坂憲司・羽田野政治著 レビー小体型認知症家族を支える会編集)
8.薬に対する過敏性
薬で具合が悪くなることも
気をつけたい過敏性
レビー小体型認知症は、薬物に対する過敏性が高いことが大きな特徴です。例えば薬によって様々な副作用があらわれたり、通常の服用量で状態が悪化したり、効用が度を超えて(薬が効きすぎて)しまったりといったことが起きます。市販の風邪薬や胃腸薬を飲んで具合が悪くなることもあります。
本来、薬というのは、治療したり、症状を抑えたり、状態を維持したりすることを目的に使われるものですが、レビー小体型」認知症の場合、処方された薬が症状を悪化させたり、新たな問題を発生させたりすることが少なくありません。レビー小体型認知症に対する処方は、専門家でも非常に難しいといえます。したがって医師には、薬に対する十分な知識・技量とともに慎重な姿勢が求められます。なお、現状では、レビー小体型認知症であるにもかかわらず誤診され、不適切な薬が処方されている例も少なくありません。
抗精神薬に対する過敏性
レビー小体型認知症では、しばしば抗精神病薬に過敏に反応し、症状が悪化することが知られています。レビー小体型認知症の場合、幻視や妄想、抑うつなどがあらわれやすいことは既に述べてきたとおりですが、医師にその知識がないと、過剰な抗精神病薬を使うことになります。
抗精神病薬は、高齢者だから少なめに処方したとしても、レビー小体型認知症の場合はそれ以上に過敏性が高いため、副作用などを生じさせてしまいます。特にパーキンソン症状(体がガチガチになったり、歩行が難しくなったり、飲み込めなくなったりなど)や、過鎮静、などの症状が出ます。最悪の場合、寝たきりになってしまうこともあるため注意が必要です。抗精神病薬には定型精神病薬と非定型精神病薬とがあります。
最近では、定型抗精神病薬よりも、錐体外路症状(大脳基底核が関与する神経学的症状・筋緊張亢進、運動減退症候群・筋緊張低下、運動亢進症候群の2つに大別される。具体的には、手足のふるえや異常な動き、身体がこわばる、動作が遅くなる、歩行が難しくなる、そわそわして落ち着かなくなるなど見られる)が出にくい非定型抗精神病薬が好んで使用されています。非定型抗精神病薬は、レビー小体型認知症に対して医療保険の適応が認められていませんが臨床の場で使用せざるを得ない現状において、家族の同意のもとに少量が使用されています。(家族の同意を得ずに用いられていることもあるため注意が必要です)。
代表的な非定型抗精神病薬には、リスペリドン、オランザピン、フマル散クエチアピン等がありますリスぺりドンは効き目が早く、急性期に対応しやすい一方、パーキンソン症状を悪化させたり、強い眠気をもよおしたりすることがあります。なお、興奮を抑える働きのある、ハロペリドールやクロルプロマジン塩酸塩、マレイン酸レボメプロマジン、せん妄によく用いられるチアプリド塩酸塩、うつ病に使われるスルピリドなどはよく用いられる薬ですが、パーキンソン症状を悪化させ、過鎮静を起こしやすいため、十分な注意が必要です。
<ホーム長のつぶやく>
高齢になってくると人によって薬の吸収率(薬効)が様々です。特に上記の抗精神病薬は22年間介護・看護職に携わって強く感じます。勿論、薬の副作用も人それぞれ違います。2人3脚を立ち上げて4年が経過しましたが、身近に利用者様と接することができているため、なおさら薬の効果や副作用のあらわれ方を強く感じるようになりました。医療連携が図れているので、ちょっとした副作用でも医師に気軽に相談ができ、つくづく地域密着型サービスの利点を実感しています。
一人ひとりに寄り添う介護が実現できるということは、観察が密にいくということです。今どのような薬を服用し、副作用はどのようなものなのか。施設内研修や朝のミーティング、連絡ノートに詳細に記入し観察ポイントについて話合っています。運動興奮があらわれないように寄り添いながら介護していますが、それだけでは治まらず、利用者様本人にとって負担が生じてくる時は、抗精神病薬の非定型抗精神病薬が使用されます。使用方法を各々多くの医師が学ぶことによって、さじ加減が把握できたら本人にとって負担が少なくなるでしょう。今後に期待したいところです。
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