窪田博ドクターの健康特急便・不眠がもたらす心身の影響

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2011年09月09日 15:03

健康特急便・睡眠
                               (富士ニュース9月9日付け)


不眠がもたらす心身の影響



■睡眠の役割



睡眠の果たす基本的役割は、脳の休息です。脳は起きている限り、休息できません。睡眠不足になり、脳が疲労を回復できなくなると、感情のコントロールができない、頭痛、全身のだるさ、集中力の欠如といった症状が、現れる人もいます。2番目の作用として、睡眠は成長ホルモンの分泌を促します。成長ホルモンは子供の成長に必要ですが、大人でも成長ホルモンが不足すると、体内に老廃物が溜まる、血管が詰まる、肌や頭皮が新しく生まれ変わらないなどの支障があります。





3番目の作用として、「風邪を引いたら寝るのが一番」と言いますが、人は睡眠中に 免疫力を高め、いろいろな病気を治そうという力が働きます。4番目の役割りとして睡眠には、日中、脳に入った様々な情報を整理して、、記憶を定着させる役割があります。5番目の役割として、眠っている間に脳内で作られる睡眠物質は、ストレスホルモンにより、増加した余分な活性酸素(癌や生活習慣病、老化などの原因)を分解してくれる作用もあります。統計的にみると、日本人の平均的睡眠時間は、7~8時間の人が約35%で最も多かったのですが、日中に眠気を感じないで、快適に過ごせたら、それがあなたにとっての、最適な睡眠時間と考えてください。





■不眠症の治療



不眠症の治療は、生活指導、薬物療法、精神療法があげられます。まず、生活面において、問題がないかを確認します。眠るときに、リラックスができているかが大切で、日ごろの注意点と、しては、①休日でも、朝起きる時間は、いつもと同じ時間にする。②眠くないのに、時間だからと、無理に床についたりしない。③床について、30分しても眠れなければ、一度床から離れることが基本です。





うつ病に伴う不眠の場合は、うつ病の治療にも、同時に行わないと不眠が改善しませんが、生活指導で改善しない場合や、明らかな要因、原因がない場合、また、原因を取り除くことが困難な場合に、睡眠薬の処方を始めます。実際に、「寝つきが悪い」「途中でよく目が覚める」「朝早くお起きてしまう」「寝た気がしない」などの、眠れない内容に応じて、薬が決まります。





睡眠薬は、服用後、尿となり体外に出て行く消失時間により、超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型、と四つのタイプに分類できます。当然、作用時間の短い薬ほど、翌日の朝、起きたときに、薬が体の中に残っている感じは少ないのですが、内服後に電話に出るなどの行動をしても、翌日そのときの行動をきちんと記憶していないことがまれにあります。決して、過去や他の記憶を消しているわけではなく、薬のせいで、認知症になるわけでもありませんが、心配な点は、医師によく相談してください。






■良くある質問から



非常に多くの方が質問される、習慣性、依存性について、新しいタイプの睡眠薬は、ほとんど心配はありませんが、神経質になりすぎると、治療のために飲んでいる薬を、こんな薬を飲んでいて大丈夫かと考え、逆にストレスとなっている方もいます。注意していただきたいのは、睡眠薬は手術のときの全身麻酔のように、飲めば毎回100%の眠りを保障するものではありません。あくまで睡眠補助薬と考えてください。





それゆえにその日の自分の体調や、精神状態で効果はばらつきがあります。実際の診療では、睡眠薬を1~2週間内服していただいた上で、眠り具合の平均値をお聞きしながら、睡眠調整を行なっていきます。服薬時の一般的な注意としては、アルコール類との併用は避けてください。アルコールが自然な睡眠パターンを乱していることもありますし、睡眠薬の効果が強く出すぎることもあります。





神経質な性格が、不眠の一因になっている人には、「睡眠は求めると逃げます」というような精神療法を主体に行うこともあります。本来、睡眠は自然な現象です。健康的な生活が送れていれば、睡眠は自然にやってきます。問題があるときは、睡眠だけに、とらわれるのではなく、日常生活全体をチェックしてみてください。







<ホーム長のつぶやき>



私も不眠症で悩んでいます。45歳を過ぎ看護学校を卒業し夜勤業務に就いた頃から、睡眠パターンが乱れてしまい睡眠導入剤を処方してもらっています。人間の脳のメカニズムは本当に繊細で分からないものだと自分の身体を通して感じています。眠くてしょうがないのに、薬を飲み忘れた思った瞬間、頭の中がさえわたります。目をつぶらなければいられないほど瞼は重いのに不思議です。




ある日、病院勤めをしている頃、院長先生から「良い薬をプロパー(薬屋さん)からもらったので試してみるかい?」と言われ、いただきました。飲んでも効果かがでず不眠症が続いていました。ある日先生に「いただいた睡眠薬、ぜんぜん効果がないのですが」と言うと、さらりと「あれは偽薬(プラセボ)だから」と言われました。精神療法でも効く場合があります。今の私の睡眠状態でしたら、薬だと信じ込めたら、プラセボでも効果があるかも知れません。

















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