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2009年08月02日

認知症ケアの極意・長谷川和夫医師のためになる話

認知症ケアの極意・長谷川和夫医師のためになる話
認知症の人と家族の会 第24回全国研修会in奈良に参加して

長谷川和夫先生のお話が印象に残っているためブログをご覧の皆様にお届けします



認知症ケアの極意

1.介護を自分ひとりで抱え込まないこと

 24時間365日の介護は一人ではできません。複数の介護で行うこと。公的介護支援サービスを利用すること。「家族の会」による相談や支援を利用することに努めましょう。認知症の方の世界と我々の世界とのギャップは大変なストレスがかかります。介護保険のケアマネージャーに相談し、公的なサービスを利用していくことが大切です。「家族の会」は、電話相談に応じています。同じ苦しみをもった人たちが集まっています。専門職の人にも言えることです。
一人で抱え込まないでください。



2.認知症を知ること。知識は力です。

 疾患を知ること。そして認知症のご本人について、どんな体験を持っているのか、どんな事を望んでいるかを知ることは大切です。ネットワークがそろっています。早く診断を受け、認知症の原因・記憶を検索し、取り出し発信していきます。人間のコンピュータが脳の中に埋め込まれています。脳の場所によって働きが違います。認知症の初期、中期はネットワークの侵され方は個別的ですが、まだまだ、あきらめないでやっていけます。原因の病気をたたくアリセプトが効果を発揮し進行を抑制してくれます。5年後にはワクチンも開発され、早期に診断がされ、対応できるようになります。認知症を持っているご本人を知ることが、もっとも大切なことです。結婚する前のこと、若い時のことは家族でも知りません。認知症の方がどんな暮らし方をしてきたのか、どんな職業についていたのか、好きなものは何か、夜中には何回トイレにいくのかなど間接的や直接的に本人と向き合って知ることが大切です。センター方式のアセスメントシートがあります。24時間生活変化シートやC-1-2私の姿と気持シートがあります。その人の全体の姿をスケッチすることによって、ご本人の願いや要望が見えてきます。それらの得られたシートを色々な職種の方々が共有して、この絵を見ればすぐ分かる(シームレスケアといいます。)つぎめのないケアにつなげることができます。



3.がんばらないこと  ゆとりをもつこと  しかし、
  あきらめないことです


 毎日の暮らしを続ける上で、完全主義を目標にしないで、例えば70%できればよしとしましょう。大変な状況にぶつかっても、長くは続きません。あきらめないでください。100%セント完全主義のケアに陥らないでください。完全主義はベストではなくベターです。午前中より午後のほうが良く笑うようになった。70%の達成です。周辺症状、せん妄は暮らしを支える上で大変です。しかし消して長くは続きません。病気の進行が中度から重度になると周辺症状は取れてきます。あきらめないでください!



4.健康を保つことは第1に大切

 バランスのとれた食事、充分な睡眠、そして休息をとりましょう。明るい気持を持つことに工夫して、つとめて笑ってみてください。介護する人にうつ病という病気が、ケアする自分自身に現れることがあります。燃え尽き、力が無くなってしまう。寝こんでしまって、私の人生はどうなってしまうのだろう。つまらない、おもしろくない、と思い込みトンネルの中に入ってしまう。イライラがつのり怒りっぽくなってしまう。孫がわずらわしい、憂鬱でつまらない、死にたい気持となり、決断することができなくなります。頭痛や便秘、胃腸病に注意し休息を充分にとり、笑うことや明るい気持を持つことが大切です。



5.ご本人の不安を和らげること

 認知症があると、不安や孤独感などに苦しむことがあります。その心情を理解して、温かい微笑み、まなざし、そして言葉かけ等が大切です。”何かおかしい、ちょっとおかしいなー”と初期の頃は自覚しています。本人も辛いのです。その大切なことを忘れていませんか?その心情を理解し、不安感をとることが大切です。
 私の家内の父は(81歳)はアルツハイマー病になりました。86歳で無くなりましたが、83歳で”殺される”と大声をあげるようになりました。ある晩家族7人で一緒に食事をしているとき、(毎週末一緒に食事)「困ったなー、皆さんはどちらさんですか?」と聞かれ、精神科医である私は、これはアルツハイマーーの第3期だ。教科書どうりなので何とか言わなくっちゃいけない!と、思ったのですが、言葉がすぐに出てこない。家内は私をじっとみて何か言ってほしいしぐさをしている。(笑い)
そんな時、孫が(私の次女)「おじいちゃんのことよく知っているよ。」「皆さん私のことよく知っているのですか、安心した」と、さらりと言ったのです。家内は私のことをにらんでいました。(笑い)こういう”大丈夫だよ”と言う不安感を取り除く言葉掛けが大切です。物忘れがあっても、「私がついているから安心して」という気持を持っていただくことが大切です。




6.本人のペースに合わせてゆっくり話すこと 
  働きかけもゆっくりです


 認知力が低下すると、思考のスピードが遅くなり、タイミングの取り方が上手くいきません。生活のテンポを合わせることは、大変ですがこのほうが上手くいくことができます。ゆっくり話してあげる。早口にならないようにしましょう。



7.目を見て話しかけましょう
 認知症になると言葉によって自分の考えを伝えることは難しくなります。目線を合わせて話すことが大切です。



8.穏やかな気分で接していくことが基本です

 認知力が低下すると、和やかさとか穏かさ、やさしさ、愛し愛される等、感情の働きが人と人との絆をつくります。温かいムードやフィーリングが大切です。イライラした気持はすぐに相手に伝わります。
 赤ちゃんは認知機能をもっていませんが、感情機能は生まれたときからあります。感情で対応しようとしている赤ちゃんは、3~4ヶ月から微笑みます。情報の交換はお母さんの微笑みでつながっています。



9.聞くことを大切にしましょう

 私たちは、何かを伝えたいとか、言いたい事を優位にします。早く終わらせたい気持があるからでしょう。ご本人は何か言いたいのかもしれません。待つこと、そして聞くことです。今私は、息子の診療所で2回/月、5人ほど診察をしています。20~30分かけて話しています。
いかがですか?黙っているとふと話し出します。ジーとまっていると素晴らしいことを話されます。認知症ケアの大切なことは、全体の雰囲気がゆったりと流れ、なじみの関係になっていることです。家族も同じです。自分のことを子供と認めてくれなくなったけれど、”何か親切な人だなー”と思います。温かい微笑が最高に良いのです。


10.間違った言動はまず受け入れてみること

 認知症の人は、暮らしをする上で、何とかしようとか、こうしたいという思いが起こります。そして認知症の低下のために間違い行動になってしまうです。なぜなの?と聞いてみましょう。ご本人の思い(メッセージ)を理解してみましょう。夕方(15時30分~16時)家に帰りたくなる人、「待って、今は帰れないのよ」とひきとめます。私たちと違う世界にいるのです。小学校の子供が帰ってくる。おやつを用意しなければかわいそう、と思っているのかもしれません。「ちょっと待っててね、○○さんと相談してくるのでお茶でも飲んで待っていましょう。」といいながら気をそらしましょう。少なくとも”待って”と言われるよりは、共にしてくれることは大切です。帰宅要求がが起こる前に介入してみましょう。間違い行動(BPSD)を抑えようと、薬物療法へいってしまうのを防がなくてはなりません。ご本人の行動と体験を結びつけてみましょう。行動を起こしている人の体験を理解することが大切です。


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