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2011年12月03日

医師の目・人の目 第43条 服薬拒否・要求には工夫

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート42

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。




服薬拒否・要求には工夫



記憶力、判断力が低下している認知症の人の介護で苦労することの一つが服薬だ。「毒を盛られていると思っているのでしょうか。薬を飲もうとしません。説得しても聞き入れないばかりか、食べ物も拒否し始めました」「睡眠薬を飲んだ後でも何度も要求してきます。毎晩一時間も続きます。かといって余分に飲ませることはできませんし・・・。夜の来るのが怖いです」「先生教えられた通り、薬を粉にして食べ物に混ぜましたが、味がおかしいと感じたのか、吐き出して食べてくれません」





認知症の人の中で服薬に関して深刻な問題を示す人はそれほど多いわけではないが、一定の割合でいることは確かである。認知症が進行すると必ず問題になるのは、薬を飲まなかったり余分に飲んだりする服薬管理の問題である。様々な工夫、家族や介護スタッフによる介助が必要になってくる。





記憶障害のため飲んだことを忘れて「飲んでいない」と要求することはしばしばだ。本人にとっては「飲んでいない」ことが事実なのだから、「飲んだから駄目よ」は説得力を持たない。足りなくなった薬を医師に追加処方してもらうことはできないし、多く飲めば副作用も出てくる。「飲んでいない」というこだわりに対しては、市販の整腸剤の錠剤やサプリメント製剤を「先生が出してくれた良く効く薬よ」と言って、要求のたびに与えるのが良い方法である。これなら何度服用しても問題はないし、要求に応じた方が早くこだわりがとれる。





自分である程度管理ができる認知症の人が服薬を確実にするための工夫を挙げてみる。①.複数の薬を一包化にして一度に飲みやすいようにする②.服薬ボックスを使う③.カレンダーに貼って見やすい位置に置く④.テーブルの上に「薬は飲みましたか」と書いた紙を置く⑤.家族がタイミングを見て電話する⑥.服薬時刻を外れてもいいのでヘルパーの訪問時に服薬させる―などがある。





薬を飲まない人に対する工夫として次のようなものがある。①.飲みやすい形にする②.どうしても必要な薬に絞る③.進め方を工夫する④.食べ物に混ぜる⑤.味を考える⑥.注射や貼薬に変える―などがある。散在や単純な錠剤では、苦い薬も糖衣錠やカプセルになっていれば、苦味を感じなくなる。シロップや砂糖を混ぜると飲みやすくなる場合もある。







<ホーム長のつぶやき>




2人3脚でも、薬を何度も要求してくる人がいます。そんな場合には医師に乳糖(プラセボ=偽薬)を処方してもらっています。分包になっているので、医師が出してくれる薬と思い安心されます。これがまた、良く効きます。不眠時や体調不良の訴えをした時良く頓服として使用しています。服薬を確実にしたかどうか確認する必要があります。「あーんと口を開けて」と、飲んだことを確認しますが、上手な方は舌の下に隠して捨ててしまう人もいます。良くゴミバコに入っているときがありますので注意しています。




また、薬という認識ができない人に服薬させる場合には散剤(錠剤をつぶす容器をインターネットで購入できます)にして飲み込みやすいゼリーと一緒に飲んで頂く人もいます。2人3脚では、ある程度薬を認識できる人で、「飲んでいない」と言った場合は、飲み終わった薬包紙を一日は保管しておくので飲んだことを確認していただくのに役立っています。いずれにしても認知症の周辺症状の精神状態が悪いときは、状態が時間や日によっても違いますので服薬を拒否した場合には時間をずらして与薬してみるとか、違う方に服薬をお願いすると、すんなり飲まれることもあります。














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2011年12月01日

長谷川和夫先生の医学的知識パート3

長谷川和夫先生の医学的知識パート3
          (静岡県認知症の人と家族の会  コールセンター相談員研修会の1部より)

パート3



レビー小体病もこの頃注目されています。パーキンソン症状、幻覚があります。筋肉が硬くなり顔の表情も硬く表情に乏しい。歩行障害、幻視体験(ベッドの下に水が流れてきた)、認知症が起こってきます。レビー小体型認知症は小坂憲司氏(横浜市立大学名誉教授)が発見し、世界的に有名です。国際的に認められ、高い評価が得られています。アリセプトが効果があります。




甲状腺機能低下障害や糖尿病にかかるとアルツハイマー病になりやすい。医者に行くと心理テスト(認知症を見分けるためのテスト)が行われます。長谷川式認知症スケール(HDSR)MMSE(ミニメンタルステート)でどの位認知機能が低下しているかを診ます。認知症と分かったら二段がまえで診ます。画像診断(CT、MRI)でなるべく早い時期に正確に診立てをし早く対応することが必要です。ここは安心して暮らせるいいケアーが大切!






認知症には、中核症状と周辺症状があります。認知症があるために、現実の暮らしの中で間違い行動があり、周りについていけなくなります。アルツハイマー病と宣告されたら、憂うつになりうつ状態となります。うつ状態が重なると注意力が散漫となり、不安、イライラ、暴言・怒鳴るなど出現します。これらの行動を周りの方は問題行動(BPSD)ととらえてしまいます。本人は問題行動と思っていません。周りの仕方が不十分で間違った行動をするとかえって混乱します。





いいケアをすると問題行動が少なくなります。私は精神科医ですのでそういうことはすごく関心があります。本人の視点から見てこの世界がどう見えるか!本人中心のケアーが必要になってきます。パーソンセンタードケアが重要です。本人がどう思っているか理解をして取り組むケアです。口で言うことはやさしいが中々難しい。





これからお話することは何回も家族の会で話しています。僕ももちろん話したことは覚えていますよ(笑い)家内の父が80歳のときアルツハイマーー病になりまして86歳で肺炎で亡くなりました。20数年前、聖マリアンナ病院で精神科の教授をしていた頃、東京都板橋のでショートや医師の往診を利用していました。ある晩のこと、一緒に食事をしていて「困ったなー」どうしたの?「皆さんはどちらさんでしょう」と、私はそのときこれは相貌失認だ、人の顔が分からなくなりそれがうまくいかなくなりネットワークが壊れた、これは相貌失認でアルツハイマーの第3期だ。みなシーンとなり、家内は私をにらむ様に観ている。あせっていたとき、高3の娘が「私たちのことが分からないと言っているけど、おじいちゃんじゃないの」「皆さんは私のことを知っているのですか、安心した」と、こういうことを言えばよかったと思いました。『知っているから大丈夫、あなたは分からなくてもいいよ。こっちが知っているから』、これがパーソンセンタードケアというのかなーと思います。







<ホーム長のつぶやき>




2人3脚ではパーソン・センタード・ケアーを目指しています。その認知症を理解するためにできた道具の1つがセンター方式シートです。立ち上げ当初から使用しています。パーソン・センタード・ケアはその人を中心とした認知症ケアです。マンツーマンで寄り添う事ができないジレンマから57歳で退職し今の事業をたちあげました。





パーソン・センタード・ケアは、認知症をもつ人を一人の“人”として尊重し、その人の視点や立場に立って理解し、ケアを行おうとする認知症ケアの考え方です。この考え方を提唱した方が英国の故トム・キッドウッドです。昔のケアは業務中心ケアになっていましたが、人中心の重要性を主張し、世界に大きな影響を与えた人物です。ややもすると人手不足から業務中心のケアになりがちです。ケアを受ける側は平等に自分を理解して接してくれるケアを望んでいます。認知症ケアは一人ひとり異なる認知機能や健康状態、性格、人生歴、周りの人との人間関係など様々違います。その人の個別性を重要視しながら寄り添いながら支えていきたいものです。











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2011年11月30日

長谷川和夫先生の医学的知識パート2

長谷川和夫先生の医学的知識 
          (静岡県認知症の人と家族の会  コールセンター相談員研修会の1部より)

パート2



アルツハイマー病の進行を止めるアリセプト。進行を止めるのがアルツハイマー病の本質です。自然現象、子供の発育、年をとるのを止める薬。アルツハイマー病は老いと背中合わせです。老化の進行を抑制する、薬の効果を限定する薬。自然現象を止める薬はアリセプト。何の変化もなく非常にせつないため、試しに中止してみると、ガクッと進行する。今のところ唯一適応する薬で副作用が少なく胃腸障害位で重篤な副作用はありません。





若年認知症は64歳以下、40代50代の人たちがアルツハイマー病、脳血管性認知症、ピック病等にかかると大変、経済的に大変です。就労の道が問題となります。①.家族の奥様はパートに行くことができません。②.若年性認知症専門のデイサービス、グループホームがありません。物忘れがひどいだけで高齢者の人たちと一緒にデイサービスで過ごせない。③.もし私が認知症になったらNHKに報道するか、誰が長谷川式認知症を僕にするか(笑い)宜しくお願いします。






若い人が認知機能障害になると周りの人は、奇異な感じがする。厚労省は緊急プロジェクトを立ち上げました。厚労省のホームページをご覧下さい。若年性性認知症コールセンター TEL 0800-1000-2707 
若年認知症は数が少なく10万人に対して4000人位で、専門のデイサービスを創ったとしても、大きな町でも人が集まらないし、送迎が難しい。実際問題として来てもらうしかなく対応は難しい。電話相談が突破口となりました。






ピック病の対応は難しい。アルツハイマー病は側頭葉・海馬が侵され、もの忘れが最初に起こってきます。ピックは前頭葉から起こってきます。前頭葉は指揮者のような総合判断を行うところです。抑制が効かなくなり、人と会話していても衝動的に立ちあがってしまいます。スーパーのレジでは、人が見ているのに小銭を持っていってしまい、直ちに拘束されますが、多動でじっとしていません。また、決まった道を散歩します。10時になると決まったコースを散歩し毎日それをやります。デイサービスへいったん行くとちゃんと待っています。決まった時間帯できっちりできます。日曜日も待っています。多動の他は何もしない。トントンと窓際に座りながら手すりをたたいています。手すりはへこんでしまっています。常同行為といいます。抗精神薬を使わざるを得ません。




<ホーム長のつぶやき>



2009年11月の講演内容の過去記事です。今年の4月認知症の新薬が3種類出始め、使い始めています。各々副作用を観ながら段階的に薬のミリ数を上げていきます。選択肢が広がってきました。メマリー(内服薬)やリバスタッチ(貼り薬)はアリセプトと併用ができます。すこしでも認知症が進行しないようにブロックするための薬で治癒するわけではありませんが、2人3脚では新薬を使用している利用者さんは認知症の症状が改善し、本人の混乱を抑えるのに役立っています。











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2011年11月25日

長谷川和夫先生の講演より 認知症について パート1

長谷川和夫先生の医学的知識について
           
 (2009年11月 過去記事から) 
静岡県認知症の人と家族の会 認知症コールセンター相談員研修会の一部より

パート1




長生きすると社会に起こってくる状態が変化してきます。長寿社会、80歳を超えますと認知症が増えてきます。長生きするということはいいことです。しかし、介護を要する方が増えてきます。認知症になると判断力が低下し、読み書き、ソロバンができなくなります。認識して知る認知機能は人間として高次のもので、動物にはありません。コンピューターが故障すると電車が止まったり、飛行機が飛ばなくなります。それには必ず原因があります。






アルツハイマー型認知症は認知症の中で7割を占めています。今の民主党みたいなもの(笑い)。アルツハイマー病は脳の中のベーター蛋白が増加し、ネットワークが壊れてしまいます。認知症には交通事故による頭部外傷、甲状腺機能低下症、酸素が脳へいかなくなる脳血管性認知症等があります。脳卒中麻痺、舌がもつれて呂律が回らなくなるのは脳血管性認知症の後遺症の1つで、予防が可能となります。




アルツハイマー病は後遺症ではないベーター蛋白の増加によるもので進行性が特徴です。ハンチントン病、ピック病、レビー小体病、進行性というのが厄介です。アルツハイマーというドイツの医学者が老人斑というしみのようなものを発見しました。ベーター蛋白病といったほうがほんとうはいいんですよね。(笑い)いずれにしても進行していきます。診断する特徴はいつとはなしに起こっててくる物忘れと、言葉のやりとりや料理を順序だだててできなくなります。





認知機能という物忘れだけの状態を“MCI”軽度認知症といいます。MCIの人をなるべく発見して、早めに予防体制を取ることが必要です。回りも本人も自覚しており、心理テストも異常なし。その人達を5年くらい観察していると、半分くらいアルツハイマー病です。この1年は著しい。MRI異常なし。いたづらにMCIと診断すると人権問題になります。






1999年アリセプトが使われはじめて10年になります。アセチルコリン分解を抑制する薬でアセチルコリンは記憶を担当する神経伝達物質で、そんなに分解することはやめてくれ!といっている。本当はベーター蛋白を減らす薬が必要です。







<ホーム長のつぶやき>




長谷川先生のお話はいつ聴いても心温まるお話でひきつけられます。温厚で体全体からオーラが流れています。少しでも聴きのがすまいと必死でメモに取りまとめたものです。今日、2人3脚の小規模多機能に通われている利用者様と奥様と共に富士市富士町にある「ふじの町クリニック」に受診してきました。脳梗塞の後遺症からくる暴言だと思っていましたが、MRIの結果多発性の脳梗塞もあり、アルツハイマー型認知症も併発していました。





“ご本人がお辛いので受診てしっかり検査してもらいましょう”と奥様に相談し実現しました。今後進行とともに日常生活動作も落ちてきます。もしかすると車椅子の生活になる可能性も高いことも話しました。奥様は一緒に受診できて良かったと言ってくださいました。受診にあたって我々が実施しているセンター方式のシートや日常の血圧などが記載されているバイタルチェック表も診察時お渡ししました。医療連携にとても役立つシートです。リバスタッチが処方され、4.5ミリ⇒9ミリ⇒13.5ミリ⇒18ミリと徐々にアップされていく貼付薬で前回認知症の新薬で紹介した薬です。副作用の観察と経過を報告しながら薬のミリ数を増量し、医療連携でお世話になっている高木ドクターに移行していく予定です。MRIは25分~30分位で終わります。皆さんにお勧めしたいクリニックです。TEL 0545‐32-7711











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2011年11月07日

医師の目・人の目 第42条 薬で進行穏かに

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート42

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。





薬で進行穏かに




認知症に対して使われている薬を取り上げてみたい。塩酸ドネベジル(商品名アリセプト)は、アルツハイマー病の原因を治療するものでnはないが、病気の進行を穏かにする効果が期待できる。作用は、シナプスという脳の神経細胞同士のつながりを改善することであって、神経細胞を再生したり「老人斑」と呼ばれる脳の異常な変化を消したりするものではない。したがって脳の萎縮が進行すると効果はなくなる。





塩酸ドネベジルを服用してから、物忘れや判断力低下が改善して、家事などがスムーズにできるようになった例がある。効果が期待できるのは数ヶ月から1~2年といわれている。できるだけ早い時期から治療を始めることが大切だ。5㎎を1錠、朝食後に服用するのが基本だが、現在は10㎎まで増量できるようになった。私の経験では副作用はあまり見られないが、ときに下痢、嘔吐などの胃腸症状が出ることがある。しかし、興奮、不安、うつ状態などの精神症状がまれに出ることがあるので注意が必要だ。





認知症の介護が大変なのは、幻覚、妄想、興奮、暴力、徘徊など、いわゆる「周辺症状」が出ている場合だ。認知症の人の世界を理解して、その世界に合わせて対応するのがよいのだが、現実的には介護者がこれらの症状に振り回されて疲労困憊(こんぱい)する場合が多い。激しい症状に対しては統合失調症などに使われる向精神薬、また、不安、緊張、不眠などに対しては抗不安薬・睡眠薬が使われることがある。しかし、パーキンソン症状や意欲低下、ふらつき、食欲低下といった、副作用が見られることが少なくないので、注意が必要だ。





幻覚、攻撃性、興奮などの激しい症状などに対して、漢方薬の「抑肝散」が使われることがある。特に「レビー小体型認知症」のの幻視に対して、副作用が少なく、効果があるという報告がある。それ以外に脳の血流や脳神経細胞の活動性を高める目的で、脳循環・代謝改善薬が処方されることもある。これから登場を予想される新薬としては、塩酸ドネベジルとほぼ同じ作用を持つ臭化水素酸ガランタミン(内服薬)、リバスチグミン(貼り薬)がある。脳細胞を保護する塩酸メマンチン(内服薬)は治験中だ脳に蓄積し、アルツハイマー病の原因となるタンパク質の老廃物「ベーターアミロイド」を取り除くワクチン療法も開発中で、将来期待されている。









<ホーム長のつぶやき>


今日は認知症の人と家族の会が参加している平成23年度「認知症の家族講座が」第3回が磐田(アイプラザ)で開催されました。静岡県認知症介護指導者の会生座本磯美(おざもといそみ)さんの講演もありました。私は男性介護者(息子)のグループで生座本さんのお話の感想と自分の介護に結びつけて話していただきました。来月は最終回です。とてもいい集まりができており、このメンバーがつながっていけたらと思います。介護の苦労話を吐き出す場が磐田にも欲しいと思いました。




今年の4月から新薬が出ております。先日アルツハイマーデーの講演にお越しいただいた片山先生の講演内容も合わせてご覧下さい。目次欄をクリックすると見ることができます。新薬についても(私信として)資料でふれていますので紹介します。




アリセプト⇒世界のアルツハイマー病スタンダード、記憶学習効果上昇、レビー小体型認知症への効能追加かの可能性

レミニール使用時⇒言葉が出にくい人、昼夜逆転を示す人、脳血管障害をある人、副作用はアリセプトと同じと考えてよい。

イクセロンパッチ使用時⇒投与を的確に介護者が安心して行なえる、比較的引っ込み思案な活動性低下を示す患者さんに効果が分かりやすい。行動改善に効果を認めやすい。過敏な行動は制御されやすい。副作用として消化器症状は最も少ない。皮膚の保湿を保つことが必要。痛み発赤はその都度、対応で重症化しにくい。

アリセプト、レミニール、イクセロンパッチは併用できない。

メマリー使用時⇒なるべく負の外的環境を排除する。負の外的因子が出現しているときは投与を考慮する。できれば正の外的環境を整えるとよりよい。注意力が上昇することでも、症状の進行が遅くなる。長期的な症状の進行が遅くなることも期待される。中止時2週間で症状憎悪、不安、不穏、怒り出現。高度に入り、全身状態増悪、睡眠薬などにより心理テスト増悪。抗精神病薬内服中の場合、傾眠などの症状に応じて、抗精神病薬の減量を指示しておく。

*アリセプト、レミニール、イクセロンパッチのどれか一つと併用可能















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2011年10月23日

医師の目・人の目 第41条 専門的診断を受け改善も

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート41

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。






専門的知識受け改善も



脳の血管が詰まったり破れたりして起こるのが欠陥性認知症である。起こってしまった血管や神経細胞の変化を元に戻すことは難しい。進行を予防するために血管を拡張させたり血液が固まるの抑える薬が使われることがある。高血圧や糖尿病、肥満、運動不足などは動脈硬化を進行させるので、それらの治療や予防は血管性認知症の予防になる。





甲状腺機能低下症によっても、認知症の症状が出る。新陳代謝の中心的な働きをする甲状腺ホルモンが少なくなると、全身倦怠感、気力低下、物忘れ、体のむくみ(粘液水腫)などが出現する。診断がついて甲状腺ホルモン製剤を服用すると、症状が劇的に改善する。





転んで頭などを打った後、数日から数週間たって認知症状や運動麻痺などが現れた場合には、頭蓋骨と脳の間に血液が徐々にたまる慢性硬膜下血腫や硬膜外血腫の疑いがある。高齢者の血管はもろいので、頭を打っていなくても出血する場合がある。頭部CTによって容易に診断できる。治療は頭蓋骨に1~2ヵ所、穴を開け、ここから血の塊を吸い出すだけの簡単な手術で開腹手術より負担は少ないので、高齢者でも安全に行うことができる。





豆腐のようにもろい脳は、頭蓋骨という容器の中で、水に浮かんだ状態で強い衝撃から守られている。その水(脳脊髄液)が移乗にたまっての王の組織を圧迫するようになると、歩行障害などの運動麻痺、認知症状、失禁などの症状が出てくる。頭部CTで脳の中心部の脳質が拡大していれば、正常圧水頭症が疑われる。この場合も負担の少ない手術によって、症状が劇的に改善することがある。






脳腫瘍も認知症の原因の一つだ。74歳の女性が3週間前に急に妄想に襲われ、金銭管理が困難になったり、着替えを拒否したりといった症状が出たため、かかりつけ医の医師から、専門家に受診すように勧められ、私の外来を受診したことがあった。頭部CTを実施したところ、右前頭葉に脳腫瘍による広範囲の変化が認められた。脳外科にも相談して、脳腫瘍と診断。県立がんセンターに相談したが、症状が悪くなると思われた。それから5ヶ月後夫の付き添いでその患者が来院して、あまりにも元気になっていたのでびっくりした。最終的に悪性リンパ腫と診断されて、抗がん剤で治癒したのであった。







<ホーム長のつぶやき>



高齢者はいつもと違う言動が出た場合、専門の病院に受診をしていただきたい。脳卒中などは日頃から、しっかりと血圧の管理や動脈硬化など予防することによって防ぐことができます。生活習慣を見直し、適度の運動が体に良いのです。硬膜下血腫は転んでからはすぐに症状が出ないことが多く、小さい傷であれば、徐々に出血するため、1ヶ月月後に症状が出はじめた例を体験している。転倒した場合すぐには症状が出ないので要注意、1ヶ月間は要注意観察していただきたい。





2人3脚を開設してまもなくTさんがグループホームに入居されました。Tさんは不安感が強く大声を出したりと精神運動興奮(BPSD)が活発でした。1年間の入居生活でしたがとっても印象深い方でした。医療連携をしている鷹岡病院へ右麻痺が出現し受診したところ、CT撮影の結果、即、脳外科に入院し脳腫瘍と診断され、まもなく帰らぬ人となってしまいました。もっと早く専門医に受診していればと悔やまれてなりませんでした。





治療をすれば治る認知症もあります。高齢によるボケだと思って、受診せず自宅で介護していると治る病気も手遅れになることがあります。おかしいなと思ったら、早期受診、早期治療をしていただきたい。辛いのは本人です。本人が面倒がって受診できない場合が多々みられます。そのような方こそ家族は努力して受診につなげげていってほしいものです。アルツハイマー型認知症の方も物忘れが始まると不安、心配ごとが多くなりますと、自分でがんばろうと努力が始まります。その努力を問題行動と捉えられ、叱責され、本人は怒られないようにするため、また努力が始まります。その繰り返しで認知症はどんどん進行してしまいます。社会資源を多いに活用していきましょう。














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2011年09月20日

家族介護者の心理 パート2

家族介護者の心理 パート2         
     (認知症の人と家族の会 東京都支部 笹森貞子氏の一部より)




ステップ 2 拒絶期



介護者はせっかく気づき上げた我が家の生活リズムを守ろうと必死ですが、信じられないような老人の言動に振り回されストレスで一杯のことでしょう。介護者が嫁の場合は、結婚して嫁いでいる実の娘や親戚から好意とはいえ、色々な助言をされ混乱するのがこの時期なのです。なかには介護方法を学べとばかりに分厚い図書を送ってきたり、介護の支援もせず口だけ出す人もいます。それがまた、介護者の負担になりさらにストレスが溜まります。大変な思いの日々を送っている介護者にとってはどんなに理論的的に正しくても断定的に言われると感謝よりむしろ反感を覚えるものです。





介護者は孤立無援のような気持ちで介護を抱え込み被害者意識が強まり、介護に対して 否定的になってしまう場合があります。この時期は介護する家族、介護される老人にとって、とても辛い時期です。介護する家族は被害者意識が強く、逃げ腰となり、老人の辛さまで気づくゆとりがありません。このような時期はとくに介護者にとっては心の支えになる支援者が必要です。身内も介護に対する意見をいうより、介護者を支えるときです。介護支援ができなくても、ちょっとした言葉の気づかいが大きな支えになるときもあるのです。





この時期専門職の方には、介護者の辛い立場を十分受け止めていただき、共感受容していただきたいものです。「あなたの味方です」「どうぞ私に向かって愚痴をいっぱいはきだしてください」という気持ちで受け止めましょう。






ステップ 3 居直り期




「混乱」「拒絶」と通ってきた介護者自身、、多くのことを経験します。介護の現場に反発して逃げ出そうと考えたり、反省したりそれ以外の人間関係に悩んだり、色々な意味で介護の現実を知ってきました。経験から貴重なことを学び、認知症老人に対する理解も進み、それなりの対応の仕方も身につけました。そして1日1日が過ぎていきます。





介護者は「あんなに辛い思いをしながら介護を乗り切ってきた。これからも色々な場面で悩み奮闘するだろうが、あのときの苦しみを思えば今やっている介護は楽なものだこれからも頑張ってやるしかない!」「自然流でやれるだけやろう」というような心境になります。まさに居直りの境地です。





このように前向きな気持ちになり、周囲を見回して経験者の話を聞いたり、多くの人の協力を得ようという気持ちになります。
近所の人に認知症である身内の話を堂々と話すことができるようになり、協力をを依頼できるようになります。





介護者は複雑な悩み、迷いを抱えながらも結局ここまで到達したのです。介護を逃げずにここまで頑張ってきたという事実が、介護者の今後の介護の支えになるでしょう。常にプラス思考でくよくよせず、常に前向きな気持ちを持ち続けていこうという気持ちになります。





専門職の方には「ここまでよく頑張りましたね」「これからは自分の時間を持ちながら、自分にご褒美を上げる気持ちで休息の時間を持ちましょう」と伝えてほしいものです。専門職の評価は介護者の大きな心の支えになりますし、大きな力になります。







<ホーム長のつぶやき>




介護家族は、介護してくれる家族に対して感謝の気持ちや、やねぎらう一言で、介護者は気持ちが救われてきます。介護は一人ではできません。特に親戚兄弟は、協力できるところは一日でも半日でも介護者にフリーの時間を作ってあげる心配りが必要でしょう。





介護の悩みやストレスを発散させる場を作らないと介護は長続きしません。精神的に介護に余裕が生まれると、認知症本人に対して、優しい思いやりのある言動や対応ができるようになります。心の支えになる支援として、私たちが日ごろ活動している認知症の人と家族の会が行っている「コールセンター」や「家族の会のつどい」の場をご利用ください。この機会に介護家族の心理についてご理解いただけたらと思います。















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2011年09月18日

家族介護者の心理パート1

家族介護者の心理 パート1   
          (認知症の人と家族の会 東京都支部代表笹森貞子氏のコメントの一部より)




2人3脚を開業して4年が経過しました、鷹岡病院での看護課長時代には体験できない利用者様の生き生きした笑顔が今の私の原動力かもしれません。今回は介護家族の苦悩の大変さをいつも身近に感じていますので、家族介護者のたどる心理についてお話します




以前SBSの金スマで放映された故南田洋子さんを介護する奮闘記をご覧になった方も多いと思います。色々なことを感じとり考えさせられました。認知症老人を在宅で介護する家族介護者の心理について考えてみたいと思います。ほとんどの家族介護者は「混乱」「拒絶」「居直り」「受容」段階を通過するようです。認知症の看護を20年以上関わってきましたが、私もこの過程はは実感しています。その過程過程の中でどのように支援させいただくか、私のこれからの課題でもあります。一緒に学んで見ましょう!





ステップ 1 混乱期




多くの人は認知症老人を家庭でお世話するのは始めての経験です。身内の衰えに出会ったとき、それを認めたくない思い、そのような病気になってほしくない願い、さらに老人のこれからのこと、家族のいきさつの生活のことを考え、遂に感情的になったり落ち込んだり祖ます。





老人に対しても「しっかりしてほしい」と激しく関わったり、どちらかというと老人を追い詰めるような言動に出てしまうことが多いようです。今は老人性認知症をマスコミも取り上げて何かと情報も入りますし、認知症について学んでいる人もいます。冷静に受け止められる人もいますが、反面頭で理解していても現実とのギャップに悩み不安を増す人もいます。





混乱期では老人の衰えと、出会った時期の対応が大切です。家族も不安のあまり「ぼけたんじゃないの」「しっかりしてよ」などの声を掛ける人がいますが慎みたいものです。混乱している本人自身が今、一番辛い時期なのです。老人が逆に攻撃的になったりうつ的になったりします。このような早い時期にこそ受診が必要なのです。専門職の方に期待したいことは家族にきちんと認知症のことを教え、対応の仕方の基本を助言してほしいということです。少なくともよかれと思って自己流で逆の対応をしないようにしてほしいものです。







<ホーム長のつぶやき>




若年性認知症(65歳未満)の方も高齢者の方も初期の段階は皆さん同じような不安を示されます。一番不安でいっぱいの時期に叱責されると喋りたくなくなり、外部との接触を絶つようになります。うつ症状を示し、ごろごろと寝込む時期があったりします。認知症の境目、ボーダーラインにいる方も多数いらっしゃいます。そんな時、本人にも意識させてできるだけ外部との接触の心がけましょう。そうすることにより認知症にならない例をたくさんみています認知症という病気を学ぶよい機会かもしれません。






介護者は上記の混乱期を必ず経験します。いま、色々な箇所で認知症サポーター養成講座を開催しています。認知症の人と家族の会では、毎月第三土曜日富士市フィランセにて開催しています。昨日も開催し、多くの方が学びました。学んでいると対応方法も違ってきますし、本人や介護者の混乱期が短くなります。皆さん受けてみませんか。家族の会のサポーター要請講座は富士市介護保険課に申込みください。
















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2011年09月15日

認知症を理解するための8大法則 1原則 第8法則・原則

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則 
                    
                        (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師)



第8法則 衰弱の進行に関する法則




「認知症の老化の速度は非常に速く、認知症のない人の約3倍のスピードで進行する」という特徴をいいます。認知症高齢者グループと正常高齢者グループのそれぞれ1年ごとの死亡率を5年間追跡した調査結果(聖マリアンナ医科大学長谷川和夫前理事長ら調査)、認知症高齢者の4年後の死亡率は83.2%で、正常高齢者グループの28.4%と比べると3倍になっていました。したがって何年何十年にわたって介護し続けなければならないのかと思い悩んでいる家族に対して、私は、次のように説明することにしています。






「同じ年齢の正常な人と比べると、認知症の人の場合、老化が3倍のスピードで進むと考えてください。例えば、2年たてば6歳年をとったと同じ状態になりますから、6割位の人は認知症が出てから6~7年以内に死亡しています。見てあげられる期間は短いのです。」






介護に関する原則




「認知症の人が形成している世界を理解し、大切にする。その世界と現実とのギャップを、感じさせないようにする」。これが「介護に関する原則」です。私は認知症の人を介護する介護者に対して、「本人の感情や言動をまず受け入れて、それに合うシナリオを考え演じられる名優になってください。それが本人にとっても、あなたにとっても一番よい方法です。そして名優は時には悪役を演じなければなりませんよ」と話すことにしています。






認知症の人の世話をすることはときに大変辛く苦労が多いものです。介護者は家族の間で、あるいは経済的にも、また、社会に対しても、いろいろな問題を背負い込むものです。そんな場合も自分自身も俳優であると発想することは、心の負担をほんの少しでも軽くすることにもなるはずです。






とにかく認知症の人が、自分は周囲から認められているのだ、ここは安心して住めるところだ、と感じられるように日ごろから対応することが、一番楽で上手な介護になるのです。「感情残像の法則」のところでも述べましたように一旦抱いた感情に関しては残像のように長い間残るので、認知症の人に良い感情をもってもらうことが介護のポイントになるのです。








「ホーム長のつぶやき>



今回で8大法則・1原則が終了となります。皆さんいかがでしたか。介護が終わった方は納得されたことでしょう。それと同時に反省されているのではないでしょうか。今介護中の方。遅くはありません。これから起こりうる不可思議な言動は意味があるのです。自分から発せられないSOSをいち早くシグナルから感じ取ってあげなければいけません。





今回の第8の衰弱進行の法則。以前は長谷川和夫先生の講演でも伺ったことがありました。一般の方に比べて進行が3倍のスピードで早く死に至ります。特に若年性の方は人によって違いますが意外と進行が速くあっという間に寝たきりの状態になってしまった人を病院勤務時代経験しました。それはどうしてでしょう。先にも述べましたが、認知症が重度になってしまうと自分から苦しさを訴えられません。周りの人が異変にいち早く気づかなければ手遅れになることがあります。だから病気のことや高齢者の疾患について学んでほしいのです。





認知症の方が、大腿骨頚部骨折をしてしまうと男性の方が女性より4倍のスピードで死に至るそうです。経験からもその通りです。女性は危篤の場面から復活する場面が多いのですが、男性はあっという間に合併症の肺炎を併発し亡くなられます。ですので常日頃からリスクを頭に入れながら、転倒を起こさないように介護するように努めましょう。





私は常日頃から、職員にはいつも“快”の状態でいられるように関わりましょう、と言っています。演技者、俳優になってください。だますことは良くないと、叱ったりけなしたりしてはいけません。その反動が介護者自身に振りかかってきます。ごてごてに回らないためにも、常に笑顔で接し、いい気分でいられる方がずっと介護が楽になります。真剣に聞く耳を持ち、認知症という病気を理解しながら関わってくると、自然と相手は介護者を認めてくれるようになります。この人は息子や娘、妻、夫だとは理解していなくても、自分を良く知ってくれており優しく頼りになる人と思ってくれます。





海馬の横にある扁桃体という箇所が感情を司っています。病気が進行しても扁桃体まで侵されるのに時間がかかり、侵されずに残されている確立が高いのだそうです。よって感情はとても豊かで観察力は鋭いです。嫌なイメージを受けるとずっと覚えています。また、楽しいこと、この人は私に対して優しくしてくれ頼りになる人、五感が磨かれるように関わると認知症の方の五感は人一倍働き、心地よい音楽、素晴らしい景色、良い香りが残るようになります。認知症の方を理解する努力をしましょう。もし自分が認知症になったら、どんな介護受けたいでしょうか。いま、これからの高齢者について真剣に考えてみませんか。85歳以上の方は四人に一人が認知症になる時代です。












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2011年09月11日

認知症を理解するための8大法則 第7法則

認知症を理解するための
8大法則 1原則
                         
                          (認知症の人と家族の会 副代表杉山孝博医師)




第7法則 症状の了解可能性に関する法則  





老年期の知的低下の特性や、第1~第6法則でまとめたような認知症の特徴を考えれば、認知症の症状のほとんどは、認知症の人の立場に立ってみれば十分理解できるものである、という内容の法則です。





夜間不眠といって、夜間になると目を覚まして、家族、特に介護者の名前を呼んで起こすことがあります。家族にとっては大変な悩みとなります。どうしてこのようなことが起こるのか考えてみましょう。認知症が始まると、時間や場所の見当がつかなくなる「見当識障害」が知的機能の低下の一面として出てきます。そうすると、今自分が寝ている所も分からなくなる。目を覚ますと、真っ暗でシーンとして誰もいない。認知症の人にとってみれば、自分がどこにいるのかわからなくなって、大変な恐怖感を覚えるわけです。





私たちが旅館に泊まって、夜中に目を覚ましたときのことを考えてみて下さい。自分の寝ているところがいつもの部屋と様子が違うので、誰れでも一瞬不安を感じます。ところが次の瞬間、旅館に泊まっていることを思い出して安心し、再び何事もなかったように眠るのです。もし、そのとき、いくら考えても自分がなぜここにいるのかが分からなかったらどうでしょう。「いったいなぜ、こんな知らない所にいるんだろう」「家族は自分を置き去りにして、どこかへ行ってしまったのではないか」「眠っている間に誘拐されて、ここに閉じ込められているのではないか」





さまざまな考えが次々と頭に浮かんできて、数分後にはひどい恐怖に襲われることになるでしょう。そういう時に私たちはどうするかというと、誰もいなければ一番頼りになる人の名前を呼んで、その人が来てくれるまで呼び続けるでしょう。また、歩く自由があれば、あらゆる部屋を探し回って自分の知っている人がいないか、つまり夫や妻はいないか、子供はいないかと探し回るはずです。





認知症の人も、このような状態に置かれたのと全く同じ行動を示していると考えれば、そんなにおかしくないはずです。したがって夜間の徘徊をおさえるにどうすればよいかということは、認知症の人の気持ちになってみればよく分かります。まず、ここは自分の部屋だと分かるようにしてあげて恐怖感を和らげてあげることがポイントです。





そのコツには以下のようなことがあげられます。部屋も廊下も明るくしておく、目を覚ました時に、いつも使っているタンスや衣類が分かるようにしておく、夜中でもテレビやラジオを適切な音量でつけておく、家族の声や好きな歌など録音したテープを流すなどいろいろな音が聞こえるようにしておくなど。大事なことは、認知症のひとの恐怖感をいかにおさえるかということです。





(公)認知症の人と家族の会のベテラン介護者は、こういうケースで困ったときは、添い寝をしてあげ、目を覚ましたときには「大丈夫よ」と言って手を握ってあげるということをしていました。そうすると、それほどひどく騒がないで眠ってくれるし、自分もよく休めるという事でした。私たちも子どもの頃何年間も母親に添い寝をしてもらいながら眠りについたことを思い出せばよいでしょう。





ところで、認知症の人の言動を正しく了解する上では、過去の経験が現在の認知症の症状と深い関連をもっている場合も少なくないことを覚えておいて下さい。周囲の人は本人の生活歴・職業歴を詳しく知って、認知症の人の気持ちを理解するように務めることが大切です。







<ホーム長のつぶやき>



認知症の人の立場に立って介護を支援すると言うことは、認知症という病気を理解していないとできません。不安症状で人の名前を呼ぶ利用者様、2人3脚でも毎晩のようにおります。そっとそばに寄り添い、手を軽くさすりながらそばにしばらく寄り沿います。30分くらい寄り添っていると、大声がだんだん小声になってきます。不安から助けを求めているわけですから、無視しているとますますエスカレートし声のトーンが大きくなります。小声となり眠気がくるのに30分~1時間くらいかかります。





それが毎日続きますので、在宅で介護されている方は大変ですね。できるだけ休息をとる意味からも、介護保険制度のショートステイなどを利用し、何日か預かって頂き、介護家族の休養をとることが必要です。疲れていたら、本人にとっても良い介護はできません。以前、認知症の人と家族の会のつどいで紹介した「私の手帳」など利用してはいかがでしょうか。自分が元気なうちから生活歴、職業歴、趣味、家族構成、医療関連、近隣の方、友人など手帳に残しておくと、いざ病気を患った時、便利です。ご本人のことをいち早く理解ができ、対応方法の手助けになります。













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2011年09月05日

認知症を理解するための8大法則 第6こだわりの法則 2

8大法則 1原則    
                      (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師)



第6 法則 こだわりの法則 パート2





これからの高齢社会では、警察官、郵便局員、銀行員、医療機関のスタッフの業務の1つ」として、「認知症の人に上手に対応すること」を加える必要があるでしょう。認知症の人が警察等に電話をかけたり出かけたりするのを阻止することは家族に大変な負担がかかりますが、社会全体が理解して、認知症の人のこだわりに上手に対処できるようになりますと、深刻な「認知症問題」の問題性が軽くなることはあきらかです。






場面転換によりこだわりが取れることが少なくありません。話題を昔話や趣味の話にもっていったり、昔の写真等を見せると、こだわりが消えてしまう場合がよくあります。また、お茶や食事にするとうまくいく場合が多いいので試してみましょう。往診していた92歳の男性が、夜中に騒いで眠らないとき、「軽食を出して食べさせたらよく眠ってくれるようになりました」と家族は報告してきました。






いちいち対応して消耗するのが介護者ですが、見方を変えて対応しないでそのままにしておくことが介護を楽にすることになります。例えば、タンスから着物を引き出し部屋一面に広げている場合、畳んでタンスに戻してもすぐ引き出して散らかしてしまいます。「目に見えないと大切な着物がなくなったと心配しているからだ。お母さんの着物なのだし、自分の部屋だから好きなようにさせておこう」と考えてしまえば簡単です。






物に対する執着などは長く続くことがありますが、一般的には、一つのこだわりの症状はせいぜい半年から1年間しか続きません。「1年間の辛抱だ」と考えることもよいでしょう。きれいで整った環境、規則正しい生活が誰にとっても望ましいものと考えがちですが、知的機能の低下によって社会的規範の束縛から自由になった認知症の人にとっては窮屈で不自由なもの以外の何者でありません。そのままにしておいて何が問題なのかと考える習慣をつけると、介護者にとってのこだわりが取れていくでしょう。








<ホーム長のつぶやき>



認知症の方のこだわりの法則を前回に引き続きブログアップしました。認知症という病気の理解にもつながり、対応方法も学ぶことができます。2人3脚のI様、自分の布製のバッグを常に手に提げています。大事なバッグの中にはめがねとタオルが入っています。本人のこだわりで一時もバッグを手放しません。食事中も抱えています。最初は大きな重たいバッグでしたが、腕が筋肉痛になるかと思い軽めの小さなバッグに変更しました。手提げの部分はすり減っています。スタッフも大事なバッグを大切に扱ってくれます。





O様は2人3脚のお客様用のスリッパが大好きでした。そのスリッパを職員が手薄な夜間にこっそり自分のタンスにしまいこみます。「このたくさんのスリッパをどうするのですか」と尋ねたことがあります。「これは娘への土産」と答えていました。利用者さんたちとイオンに買い物に出かけたときのこと、100円均一のスリッパを購入していましたが、やはり2人3脚のスリッパがお気に入りのようでした。スリッパを運ぶ時はお腹の中や靴下の中に上手にすばやく隠します。朝まだ寝ている間にそっと元に戻しておきますが、夜、またスリッパの収集が始まります。続いても1年くらいだと思いそのまま見守ることにしましたが、半年くらいで車椅子の生活になってしまいました。優しい子どもさん思いの方です。今では懐かしい思い出です。





洋服の衣装替えを日に何度もしているU様。寒いと言い、ズボンを4枚も重ねてはき、もこもこ状態。汗まみれになり何度も洗たくしなければならないため適度な枚数を家族の了解を得てクローゼットに保管することにしました。その7~8着をとっかえひっかえ着用しています。本人にはこだわりがあり、「お似合いの服ですね」とほめても何時間後には違う服を着ています。洗たくの枚数が減ったのでスタッフは自分の好みの服選びを止めません。今では1~2回に減ってきています。













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2011年09月01日

医師の目・人の目 第41条 専門的診断を受け改善も

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート41

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。




専門的診断受け改善も




脳の血管が詰まったり破れたりするのが脳血管性認知症である。起こってしまった血管や神経細胞の変化を元に戻すことは難しい。進行を予防するために血管を拡張させたり血液が固まるのを抑える薬が使われることがある。高血圧症や糖尿病、肥満、運動不足などは動脈硬化を進行させるので、それらの治療や、予防は血管性認知症の予防になる。





甲状腺機能低下症によっても、認知症の症状が出る。新陳代謝の中心的な働きをする甲状腺ホルモンが少なくなると、全身倦怠感、気力低下、物忘れ、体のむくみ(粘液水腫)などが出現する。診断がついて甲状腺ホルモン製剤を服用すると、症状が劇的に改善する。





転んで頭などを打った後、数日から数週間たって認知症状や運動麻痺が現れた場合には、頭蓋骨と脳の間に血液が徐々に溜まる慢性硬膜下血腫や硬膜外血腫の疑いがある。高齢者の血管はもろいので、、頭を打っていなくても出血する場合がある。頭部CTによって容易に診断できる。治療は頭蓋骨に1~2ヶ所、穴を開け、ここから血の塊を吸い出すだけの簡単な手術、開腹手術より負担が少ないので、高齢者でも安全に行なうことができる。豆腐のようにもろい脳は頭蓋骨という容器の中で、水に浮かんだ状態で、強い衝撃から守られている。その水(脳脊髄液)が異常に溜まって脳組織を圧迫するようになると、歩行障害などの運動麻痺、認知症状、失禁などの症状が出てくる。





頭部CT で脳の中心部の脳室が拡大していれば、正常圧水頭症が疑われる。この場合も、負担の少ない手術によって、症状が劇的に改善することがある。脳腫瘍も認知症の原因の一つだ。74歳の女性が3週間前に急に妄想に襲われ、金銭管理が困難になったり、着替えを拒否したりといった、症状が出たため、かかりつけの医師から、専門医に受診するよう勧められ私の外来を受診したことがあった。





頭部CTを実施したところ、右側頭葉に腫瘍による広範囲の変化が認められた。脳外科にも相談して、脳腫瘍と診断。県立がんセンターに相談したが、病状が悪くなる可能性が高いと思われた。それから5ヵ月後夫の付き添いでその患者が来院して、あまりにも元気になっていたのでビックリした。最終的に悪性リンパ腫と診断されて、抗がん剤で治癒したのであった。







<ホーム長のつぶやき>


脳血管性認知症、甲状腺機能低下症、硬膜下血腫、硬膜外血腫、脳腫瘍、正常圧水頭症などが原因で認知症の症状が出ることがありますので、早期診断、早期治療の大切さがいかに大事であるか理解できたことと思います。また、かかりつけ医が早期に異常を見つけ専門の基幹病院に紹介してくれるシステムがあればいいなと思います。





2人3脚を開設してまもなく、Tさんがグループホームに入所してきました。家の中に引きこもり、精神運動興奮がひどくかかりつけの内科には家族だけが薬をもらっていたようです。心臓のバイパス手術を受け、孫が面倒をみていました。孫もお手上げとなり2人3脚を紹介されて、いらした方です。入所時、車から嫌だといって降りず3時間説得しようやく納得されて入所した方です。





入所後も落ち着かず食事を食べてくれないので困りました。2人3脚と医療連携が図れている高木先生が診察時心臓の「リズム不整をが正常なので、この薬の影響で食欲が無いのではないか」と中止となりました。その後食欲が元に戻り水分や食事は普通に摂れるようになってきました。しかし不安症状からの大声を挙げたり暴言暴力は治まりませんでした。1年くらいが経過した頃、右麻痺が出現、精神科に受診しCT検査の結果、脳腫瘍が見つかり、脳外科に入院し3ヶ月後お亡くなりになられました。このことからも、もっと早くCTなどの検査を受けていたら本人を苦しめずにすんだのにと思いました。















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2011年08月30日

認知症を理解するための8大法則第6法則こだわりの法則 1

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則
                             
                        認知症の人と家族の会 副代表杉山孝博医師



第6法則 こだわりの法則 パート1




「あるひとつのことに集中すると、そこから抜け出せない」。周囲が説明したり説得したり、否定したりすればするほど、逆にこだわり続ける」という特徴がその内容です。ある人とある人の間に何らかのこだわりが生じた場合、普通、相手を説得したり、相手に説明したり、命令したりしてそのこだわりを解消しようとします。ところが認知症の世界ではこの方法はほとんど通用しません。






こだわりに原因がわかれば、その原因を取り去るようにする、そのままにしておいても差しさえなければそのまま認める、第3者に入ってもらいこだわりを和らげる、別の場面への展開を考える、などの方法が認知症の人のこだわりに対応する基本的なやり方です。認知症の人の過去の生活体験がこだわりとして現れることがよくありますから、本人の生活体験を知っていると、こだわりに対して上手に対応できます。






例えば、お金や物に対する執着は醜く、他人には話せないと家族は思い、どのように対応していいか家族は戸惑ってしまいます。私の経験では、金銭に対し強く執着している認知症の人は、多くの場合、かって経済的に厳しい体験を持っています。女手ひとつで子供を育てた人、倒産や詐欺にあった経験をもっている人、長い間一人暮らしをしていた人など、どの人も、生きていくのに最も重要な手段である金銭や物に執着するのは無理もない人たちであるといえます。また、道に落ちているものを収集している場合、家がゴミの山になることはたまらないことですが、もったいないと思って拾ってくる認知症の人のほうが、貴重な資源を平気で捨てる人よりよほどノーマルではないでしょうか。






具体的な例をみていきましょう。私が担当している保健所の認知症相談(老人精神保健相談)に、初老期の女性が次のような相談に来られました。「私が外出から帰ると主人は私のところにやってきて、“今までどこに行っていたのだ。どこで男と逢っていたのだ”と毎回言うようになりました。先日、息子と一緒に帰宅しましたら、息子と関係しているとまで言い出しました。情けなくて・・・。どうしたらよいでしょうか」さらに話を聞きますと、1年ほど前から物忘れがひどくなり物を紛失するようになったため、印鑑や預金通帳を奥さんが保管することにして、夫が請求しても渡さないことにしたということでした。






「自分にとって大切なものをあなたがもっていってしまったと考えて、ご主人はあなたに対し猜疑心を持ったのです。請求されれば通帳や印鑑を渡しなさい。無くなっても再発行や改印届けを出せばよいのですから」とアドバイスをしました。翌月の認知症相談に奥さんがやって来て、「先生の言われたとおりにしましたら、浮気妄想はきれいになくなりました。あれは本当に認知症だったのですか?」






こだわり続ける認知症の人に対して、その場しのぎの対応や虚偽の言葉で納得させることがしばしば必要となることがあります。「第2法則=症状の出現強度に関する法則」にあるように、よその人に対してしっかりした態度を示すことから、第3者がかかわると、こだわりが軽くなることが少なくありません。認知症に人は、警察官や役所の人、郵便局や銀行の職員、医師など社会的な信頼度が高い人には、認知症が相当進んでも信頼するものです。






「私の年金を嫁が勝手に引き出している」と疑い続けている人に対して、預金通帳を見せながら、「1円も引き出されていない」と家族が説得しても聞き入れませんが、郵便局員から「〇〇さん、年金は間違えなく振り込まれていますよ、安心して下さい」といわれると素直に信じ安心した表情を見せてくれます。残念ながら一安心しても、記銘力低下(ひどい物忘れ)のためしばらくすると再び心配し始め郵便局へ行くことになります。そのときも郵便局員は同じように安心する言葉をさらりとかけてほしいと思います。








<ホーム長のつぶやき>


こだわりが強くこちらの誘いかけにも応じない場合、2人3脚では、説得したり説明したりしないように心がけています。少し時間をあけてから、再び誘導しやっていただきます。また、金銭面では、お金の預かり券を発行した様に見せかけて、書いた紙を手渡し持っていただいたりと演技をします。入浴にこだわりがあって入らない場合、入浴券をラミネートで作成し本人に手渡します。この方法で上手くいく場合もあります。






「ご飯を食べていない」といわれても食べたばかり、再び摂取するとカロリーオーバーになる場合、ご飯茶碗の下にお粥を入れその上にご飯を盛り付けます。また、第3者の利用者さんに「さっき一緒に食べたね」と言われ「そうだったけか」と納得する場合もあります。また、「今作っているので、お茶菓子でも食べて待っていてください」と、誘い食事を忘れていただけるようにしばらく寄り添います。





上記のように過去の体験を知ることによって、生活を支援する上で大変役に立つことが多いのです。是非スタッフに過去の職歴や出来事や悲しい思い出などをお話ください。こだわりの理由が過去の体験に隠されていることが多く、原因を見つけることができます。「ホーム長が言うのなら分かりました」という場面は以外と多くあります。上記のように役所の方、警察官、郵便局や銀行の職員のように社会的信頼の高い人の言うことは意外と受け入れてくれたりします。





その場の演技で納得しても、すぐに忘れてしまい、こだわりが始まりますが、そう長くは続きません。いつも気分が良い状態“快”の状態で過ごしていただけるように配慮することが大切です。難しいことですが、「また同じことを言い出した」と声を荒げたり、顔の表情筋をこわばらせると、余計本人の不安感が募り逆効果になります。こだわりの法則を理解していると対応方法が違ってきますね。介護がずっと楽になるはずです。












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2011年08月25日

認知症を理解するための8大法則・第5法則感情残像の法則

認知症を良く理解するための
8大法則 1原則
                             
                          認知症の人と家族の会副代表 杉山孝博医師




第5法則 感情残像の法則




認知症の人は、第1法則の記憶障害に関する法則が示すように、自分が話したり、聞いたり、行動したことはすぐわすれてしまいます。しかし、感情の世界はしっかり残っていて、瞬間的に目に入った光が消えた後でも残像として残るように、その人がそのときいだいた感情は相当時間続きます。このことを「感情残像の法則」といいます。出来事の事実関係は把握できないのですが、それが感情の波として残されるのです。





認知症の人の症状に気づき、医師からも認知症と診断されると、家族は認知症を少しでも軽くしたいと思い、いろいろ教えたり、詳しい説明をしたり、注意したり、叱ったりします。しかし、このような努力はほとんどの場合、効を奏しないばかりか、認知症の症状をかえって悪化させてしまうのです。まわり(とくに一生懸命介護している人)からどんな説明を受けても、その内容はすぐに忘れてしまい、単に相手をうるさい人、いやなことを言う人、怖い人と捕らえてしまいます。つまり、自分のことをいろいろ気遣ってくれる身近な人と思わないのです。これをどう理解したらいいでしょうか。







認知症の人は、記憶などの知的能力の低下によって、一般常識が通用する理性の世界から出てしまって、感情を支配する世界に住んでいる、と考えたらいいでしょう。動物の世界に似た一面があります。弱肉強食の世界に住む動物たちは、相手が敵か味方か、安心して気を許せる対象か、否かを速やかに判断し、感情として表現します。認知症の人も実は同じような存在なのです。安全で友好的な世界から抜け出してしまった認知症の人は、感情を研ぎすまして生きざるをえない世界の中に置かれているのです。






周囲のものはそのような本人が穏かな気持になれるよう、心から同情の気持で接することが必要となります。つまり認知症の人を介護するときは、「説得よりも同情」です。感情が残るといっても、悪い感情ばかりが残るのではないので、よい感情が本人に残るように接することが大切です。






自分を認めてくれ優しくしてくれる相手には、本人も穏かな接触をもてるようになるものです。最初のうちは難しいかもしれませんが、「どうもありがとう。助かるわ」「そう、それは大変だね」「それはよかったね」などの言葉が言えるようになれば、その介護者は上手な介護ができているといえます。






例えば認知症の人が濡れた洗濯物を取りこんでいるのを見つけたとき「まだ乾いてないのにお母さん、どうしてわからないの、余計なことをしてくれて」というのと「ああ、お母さん手伝ってくださってありがとう。後は私がやりますからそちらで休んでいてください」というのとでは介護のしやすさが大きく違ってくるものです。





<ホーム長のつぶやき>



感情残像の法則を理解しているといろいろな出来事が納得できますね。家族の顔を忘れてしまってもしょげないでくださいね。自分のことをよく知ってくれる優しい方になれるように接してあげてください。いま、記憶をつかさどる海馬の先端に扁桃体という箇所があって、そこの部分に感情をつかさどるところがあります。ある程度重度になり海馬が萎縮しても扁桃体まで侵されるのに時間がかかります。また、最後まで侵されずにすむ場合があります。よって嬉しいことや嫌なことは、記憶力が低下しても残っています。




デイサービスでは、気の合う利用者同士で同じテーブルについていただきなじみの関係を築いていきます。できるだけ楽しいしい雰囲気で一日を過ごしていただけるように配慮しています。中には自分の感情をうまくコントロールできず、人の悪口を言ったり、突然怒りだしたりする方がおられます。そんなときはできるだけそばにより添いお話を伺ったり、別メニューのレクや作業療法をしていただきます。特に脳血管性の認知症の方は感情が不安定で、感情失禁が現れやすいです。












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2011年08月20日

医師の目・人の目 第40条 幻視伴うレビー小体型

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート40

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。





幻視伴うレビー小体型



今回も認知症の原因を引き続き説明しよう。手の振るえなどパーキンソン病などの症状や、見えないものが見えるように感じる幻視、認知症の症状がある場合、「レビー小体型認知症」と診断されることが多い。「レビー小体」とはパーキンソン病患者の神経細胞にあらわれる異常な物質のこと。それが大脳にかかわる神経細胞にみられるようになるのだ。





「犬がいるから餌をやる」「お客さんが来ているからお茶を出して」というように生々しい幻視が最も目立つ特徴だ。家族が否定するとむきになって反論してくる。脳では記憶中枢がある側頭葉と、目から入る情報を処理する後頭葉が萎縮したり、活動性が低下したりするのが特徴で、そのために幻視が起こる。手の振るえや小刻み歩行、手足の硬さ、仮面のような表情の少ない顔といったパーキンソン症状のほか、便秘や失禁、立ちくらみなど自律神経系の症状を伴うことがある。パーキンソン症状にたいしては抗パーキンソン病薬が有効な場合がある。幻視に対してトランキライザー(抗不安薬)などを使うとパーキンソン症状を悪化させることがあり、注意が必要である





前頭側頭型認知症は「ピック病」とも呼ばれる。高度な判断や注意を集中させる働きを担う前頭葉や、記憶中枢のある側頭葉を中心とした脳の萎縮が特徴だ。私たちは社会のルールに照らしながら、食欲、性欲など本能的にコントロールしている。前頭葉の働きが低下すると、人前で排便をする、陳列棚の食べ物をその場で封を開けて食べ始めるなど反社会的な行為をするようになる。落ち着かなくなり同じパターンの行為を際限なく繰り返す場合も多い。逆に非活動的、無関心になり、興味が失われ、自発性が減退するときもある。記憶力は初期には比較的保たれている。動きが活発で対応に手間がかかるためデイサービスなど受け入れを拒否されることがあるのも問題である。





クロイツフェルトやコブ病では、急速に記憶障害や、人物・場所・時間が分からなくなる。「見当識障害」が進行し、筋肉の震えや、筋力低下等の障害を伴って1年以内に死亡することが多い。原因は感染性たんぱく質である異常なプリオンだと考えられている。プリオンとは細胞膜の構成成分で、異常プリオンは正常なプリオンの構造を変化させ、脳の神経細胞を破壊する。牛海綿状脳症も異常プリオンが原因だ。










<ホーム長のつぶやき>




レビー小体型認知症では、時々シリーズで「レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック」からブログにアップしています。医学講座の目次欄をクリックすると見ることができます。「ピック病」は介護家族をとっても悩ませます。身体はしっかりしているし、昨日ブログにアップした“まだら症状”があります。盗癖は特定のものしか盗みません。食べ物であればその場で開封して食べてしまいます。自分の日課はきちんと守れ過ごしています。泥棒扱いされますので、近隣やお店の方の認知症という病気の理解が大切になってきます。クロイツフェルトヤコブ病は平成の始め頃元勤務していた鷹岡病院に十人以上は入院されてきました。不思議とその方々の出生場所は富士川河口、山梨付近が多かったのが記憶に残っています。その後一時期、狂牛病で騒がれました。とにかく進行が速く、あっという間に歩行ができなくなり、全身の筋肉が硬くなり食べれなくなり、意識がなくなり死に至りました。その後入院する方が徐々に減ってきました。認知症には様々な原因がありますので学んでいきましょう。
















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2011年08月19日

杉山孝博医師の認知症の8大法則 第4法則 まだら症状

認知症をよく理解するための  
8大法則 1原則 
                           
                          認知症の人と家族の会副代表 杉山孝博医師 


第4 法則 まだら症状の法則        






認知症の人は、認知症が始まると常に異常な行動ばかりするわけではありません。正常な部分と認知症として理解すべき部分とが混じり合って存在しているというのが、「まだら症状の法則」です。





非常にしっかりした面もありますから、本人が認知症であるとはなかなかとらえられません。家族はついつい、「何故こんなことができないの」と言って叱ったり、教えこもうとしたりします。本人の言動を認知症の症状であるのか、そうでないのかをどう見分けたらよいでしょうか。





介護者のもっとも大きな混乱の原因の一つは、上手く見分けられなくて振り回されることにあります。初めから認知症の症状だとわかっていれば、そして、対応の仕方を上手くすれば、認知症による混乱はほとんどなくなります。






「常識的な人なら行わないような言動をお年寄りがしていて周囲に混乱が起こっている場合、“認知症問題”が発生しているので、その原因になった言動は、“認知症の症状”である」と割り切ることがコツです。              






「私の大事なお金を盗んだだろう。ドロボー」という「物盗られ妄想」も、寝たきりの人が言うのと、見かけは正常に近い人が言うのとでは介護者の混乱はまったく違います。しかし、家族に向かって「ドロボー!」呼ばわりすることは異常ですから、いずれも同じ「認知症の症状」なのです。 






ところで、認知症のない普通の人でもまだら症状はあるものです。「あの人がどうしてあんなバカなことを・・・」といいたくなる場面は少なくありませんし、会社では有能で素晴らしい判断力や企画力を発揮する人が、家に帰ると「粗大ごみ」扱いされるのですから。





このように認知症の人だけが異常な「まだら症状」を示すのではなく、私たち一人ひとりが日常的にしていることなのだと理解できれば、広い気持で認知症の人と接することができるようになるのではないでしょうか。








<ホーム長のつぶやき>




まだら症状があるため認知症の発見が遅れることが多々あります。「さっきまでおかしな言動していたのに、今はなんともないから、もう少し様子をみよう」ということでずるずると月日が流れてしまい、受診のタイミングをのがしてしまい、重度になってから介護保険の申請をしたり、受診をします。また、介護保険を申請の際、認知症のかたはまだら症状があるため、判定に誤差が生じているのが現状です。介護保険の調査員の前ではしゃきっと答えられてしまうことがあるためです。





認知症の方にはまだら症状があるということを理解していれば、対応方法も違ってきますね。せん妄症状のないときはしっかりしています。記憶の障害もまだらとなることがあります。私たちもそうですが突然思いだせなくなることがあります。いつもすんなり出きていたことができなくなり、思い出せない。しかし、しばらくすると思い出し、何であの時思い出せなかったのだろうと不安になった経験はありませんか。認知症の方はその頻度が多いのです。まだら症状に振り回されずに認知症を理解しましょう。












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2011年08月17日

認知症を理解するための8大法則・1原則 第3法則

認知症をよく理解するための8大法則 1原則 第3法則
                             認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師



第3法則 自己有利の法則




「自分にとって不利なことは絶対認めない」というものです。「大事なものがない」と大騒ぎするので、家族も一緒になって探したところ、認知症の人が使っている引き出しの中から見つかった場合、家族から「そらごらんなさい。ここにしまっておいたのに忘れたのでしょう。おじいちゃんしかここにしまう人はいないんだから」と言われても、「いや自分はそんなところへしまった覚えはない。誰がそこへしまったんだ」と必ず言い返します。






言い返しがあまりにも素早く、しかも難しいことわざなどを交えてするので、周囲のものは本人が認知症になっているとはとても思えません。しかし、言い訳の内容には明らかな誤りや、矛盾が含まれているため、「都合の良いことばかりいう自分勝手な人」「嘘つきだ」など、本人を低い人格だと考えて、そのことで介護意欲を低下させてしまう家族も少なくないようです。





こうした認知症の人の言動には、自己保存のメカニズムが本能的に働いているに違いありません。つまり人は誰でも、自分の能力低下や生存に必要な喪失を認めようとしない傾向を持っており、認知症の人も同様なのです。社会生活に適応するということは、本能の直接的な現われを推理力判断力などの知的機能によって抑制することにほかなりませんが、認知症の人は知的機能が低下するため、本能的な行動が表面に現れやすくなっているのです。






「自己有利の法則」を知っていると、無意味なやりとりや、かえって有害な押し問答を繰り返さずに混乱を早めに収拾することができるようになります。日々の介護で混乱されている家族は「自分たちはこの法則で説明できる症状に振り回されているのではないか」と考えてみてください。








<ホーム長のつぶやき>



認知症の方と日々毎日接していて思うことは、認知症の方は、自分の失敗を認めたくないため、いろいろな言い訳が瞬時に浮かび言葉となって表現しています。私はそんなとき、「いろいろな言葉をよく知っているなー素晴らしい!」と思いながら聴いています。そのうち認知症が進行してきますと言葉として表現できなくなってきます。表現できる能力を持っていることに関心しながら、日々介護・看護しています。





介護保険の認定調査の聞き取り調査のときも、しっかり返答するため、認知症ということが聞き取り調査から出ないため介護度が低く出ることがあります。そうなると早期にデイサービスなど使って認知症の進行を食い止めたくても介護保険が使えなかったり、デイサービスの回数が減ってしまい、認知症が進行してしまいます。そうならないためにも1ヶ月位の日ごろの困った出来事や日常生活に不具合なことをメモに残し、介護認定調査員のケアマネージャーに伝えたり、主治医にも同様なことを伝えてください。また、介護保険認定調査更新時の問診表にも詳細に記入しましょう。主治医はその問診表を見ながら特記事項に記入してくれます。





脳の中にある海馬は認知症が進行しますと萎縮し、記憶障害が顕著に出現します。しかし、海馬の先端にある扁桃体は感情をコントロールするところで、そこの部分は緩やかに侵されていくそうです。記憶障害が著しい人でも扁桃体が侵されていなため感情は豊かに残っています。いやな出来事や楽しかったことはいつまでも残っているのは、扁桃体がしっかりと活動しているためなのですね。





叱られプライドを傷つけられると怒りだしたりするのはそのためです。いつまでも良い感情が長く保ち続けられるように、我々は本人の気持ちに寄り添って介護したいものです。認知症の心は認知症が重度になり喋ることができなくなってもしっかり残っていることを頭に入れ介護・看護したいものです。












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2011年08月14日

認知症チェックシート・思いあたることありませんか?

思いあたることありませんか?


以下は、認知症の始まりではないかと思われる言動を、「認知症の人と家族の会」の会員の経験からまとめためたものです。個人差もありますが、日常の暮らしの中で以下のいくつかに思い当たることがあれば、最寄りのお医者さんや地域包括支援施ターに相談しましょう。




“家族がつくった”認知症・早期発見のめやす



物忘れがひどい



□ 今切ったばかりなのに電話の相手の名前を忘れる

□ 同じことを何度も言う・問う・する

□ しまい忘れ置き忘れが笛いつも探し物をしている

□ 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う



判断・理解力が衰える


□ 料理・片付け・計算・運転などミスガ多くなった

□ 新しいことが覚えられない

□ 話のつじつまが合わない

□ テレビ番組の内容が理解できなくなった





時間・場所がわからない


□ 約束の日時や場所を間違えるようになった

□成れた道でも迷うことがある




人柄が変わる


□些細なことで怒りっぽくなった

□ 周りへの気づかいがなくなり、頑固になった。

□ 自分の失敗を人のせいにする







不安感が強い


□ ひとりになると怖がったり寂しがったりする。

□ 外出時、持ち物を何度も確かめる

□ 「頭が変になった」と本人が訴える





意欲がなくなる



□ 下着を替えず身だしなみを構わなくなった

□ 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった

□ ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる

















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2011年08月11日

杉山孝博医師・認知症をよく理解するための8大法則第2法則

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則
                             
                認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師




第2 法則 症状の出現強度に関する法則



認知症の症状が、より身近なものに対して、強く出るというのがこの法則の内容です。




介護者に対してひどい認知症の症状を示して困らせるのに、よその人には応対がしっかりできるんで、介護者と周囲の人たちの間に認知症の症状の理解に大きな差が出ます。





「一生懸命介護してあげているのに感謝しないばかりか“私のものを盗んだ”とか“お前は何もしてくれない”などとひどい言い方をする」と、介護者一人が嘆き辛い思いをして、他の家族は「大げさすぎる」と言って介護者の苦労を感謝しないばかりか、むしろ非難すると言った「認知症問題」が、これまで数多くの家庭に発生しました。





診察室や認知症相談の場や、訪問調査員の訪問の際、認知症の人は普段の動きからは想像できないほど、しっかりと対応できるため、認知症がひどくないと判断されがちです。家族は、専門家でさえ現実の状態が理解できないのだと思い、絶望と不振に陥るのです。





認知症の人は何故こうした「いじわる」ともとれる行動をとるのでしょうか。私は次のように解釈しています。幼児はいつも世話をしてくれる母親に対して甘えたり、わがままを言って困らせますが、父親やよその人に対しては、もっとしっかりした態度をとるものです。母親を絶対的に信頼しているから、わがままが出るのです。





認知症の人も介護者をもっとも頼りにしているから認知症の症状を強く出すと言うのは類推のしすぎでしょうか。そして又、私たち自身も、自分の家の中と他人の前とでは違った対応の仕方をするものです。よその人に対しては体裁を整えます。ですから、認知症の人が他人の前でしっかりした対応をするのを異常だと思う方が、異常だと思いませんか。自分も相手も同じ立場だと理解できたときに初めて、相手にやさしくなれるのではないでしょうか。








<ホーム長のつぶやき>




信頼しているからこそ意地悪とも取れる行動。被害妄想はもっとも一生懸命お世話してくれる介護者(特にお嫁さん)が対象なることが多いのです。これは“もっとも信頼されている証”と、よく私は相談を受けたときお話しています。当事者としては一生懸命お世話しているのにいろいろな面で被害的な訴えをしてきたり、泥棒よばわりされると落ち込んでしまいます。お手上げとなり長女宅に暮らすこととなっても、最初はいいのですが、そのうち長女に被害妄想の対象が移っていきます。





介護保険の調査のときはしっかりと受け答えができてしまい、認知症の判定が弱く出てしまいます。日ごろの1ヶ月の様子をメモに残し本人のプライドを傷つけないようにメモを調査員にお渡しください。また主治医にも日ごろの様子をメモしたものを渡すと主治医の意見書を記載の際にも役立ちます。













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2011年08月08日

杉山孝博医師の認知症をよく理解するための8大法則1原則

認知症をよく理解するための8大法則 1原則  パート1                           
 認知症の人と家族の会 副代表 医師 杉山孝博



2人3脚を立ち上げる際スタッフは杉山先生の講演会に参加し学ばせていただきました。もう一度学んだことを思い出し振り返ってみようと思います。





物忘れがひどくなって同じことを何度も繰り返したり、家族の顔や自分の家が分からなくなるようなことが身内に起こったとき、どの家族も、そのことをどう理解し、どう対応してよいか分からず大混乱に陥ります。奇妙に見える認知症の症状も、記憶力・理解力・判断力・推理力などの知的機能の低下した人にとっては、十分には理解できる言動ではないかと思えるようになりました。誰にも理解しやすいように、『認知症を理解するための8大法則 1原則』をまとめてみました。





第1法則

記憶障害に関する法則



記憶障害は認知症の最も基本的な症状で、「記名力低下」「全体記憶の障害」「記憶の逆行性喪失」という、3つの特徴があります。この特徴を頭に入れておけば、認知症の症状の大部分はすっきり理解できるようになります。ところで最初に私たちが心得ておかなければならないことは「記憶になければその人にとって事実ではない」ことです。周りのものにとっては真実であっても、当人には記憶障害のために真実でないのが、認知症の世界では日常的であることも知っておくことは大切です。





(a)記銘力低下(ひどい物忘れ)



見たり、聞いたり、行ったりしたこと、つまり体験したことをすぐに思い出す力を記銘力といいますが、認知症が始まると、まず記銘力が低下します。ひどい物忘れが起こるわけです。認知症の人は同じ事を何十回、何百回と繰り返しますが、これはその度に忘れてしまい、初めてのつもりで相手に対して働きかけているのです。丁寧に教えた後、本人が『ああ、わかったよ」と返事をしても安心できません。また、同じ事を繰り返します。返事した瞬間に教えられたことを忘れてしまうからです。繰り返し教えても効果がないばかりか「この人はくどい人だ、うるさい人だ」と受け取られるだけですから、むしろしないほうが良いのです。






ところで、物忘れのために同じことを繰り返すのは、認知症の人ばかりでしょうか?外出しようとして玄関まで来たとき、「ガスの元栓を締めたかしら」とか。「アイロンのコンセントを抜いてきたかしら」と心配になれば必ず確認に行くはずです。このように、気になることを忘れた場合に繰り返すのは人間の本性ですから、認知症の人だけが異常であると考えないことです。





(b)全体記憶の障害



これは、「出来事の全体をごっそり忘れてしまう」ことを言います。私達の記憶力ははかないもので、細かいことはほとんど忘れてしまいますが、大きな出来事、重要と感じたことは記憶にとどめます。ところが、認知症が始まると自身が体験したできごと全体を忘れるようになります。





デイサービスから帰ってきた認知症の人に、家族が、「今日どこへ行って何をしてきたの」と尋ねても、「どこも行かないで一日中家にいた」とまじめな顔をして答えるのが普通です。デイサービスに参加したこと全体をきれいさっぱり忘れているからです。






また、食べた直後に「まだ食べていないから、早くごはんを用意して」「食事をさせないで殺すつもりか」という場合に、この法則が適用できます認知症の人はある時期、異常な食欲を示すときがあります。一人分食べても空腹感が残っていて、しかも食べたことを忘れる(細かい献立の内容を忘れるだけではない)ため、前述の要求が出てくるわけです。「今食べたばかりでしょう。これ以上食べるとおなかをこわすからダメよ」という言い方はダメで、「いま、準備しているから少し待っていてね」「おなかがすいたのね。おにぎりがあるからこれを食べていてね」のように対応した方がうまくいきます。






(C)記憶の逆行性喪失




「記憶の逆行性喪失」とは蓄積されたこれまでの記憶が、現在から過去にさかのぼって失われていく現象をいいます。「その人にとって現在」は、最後に残った記憶の時点になります。この特徴を知っていると、認知症の置かれている世界を把握することができ、どのように対応すればよいかもわかってきます。





家族の顔すらわからなくなると、家族は戸惑ったり、嘆いたりしたあげく記憶を呼び戻そうと努力して、混乱に陥ります。しかし、認知症の人にとって妻は30歳代の若い女性であり、子供は小学生であるので、目の前の老婦人や成人した息子を家族と認めようとしません。





次のように考えるとよいでしょう。タイムマシンで数十年後の世界に送られた私たちの前に成長した子供がやってきて、あなたの子供ですよといわれても信じないように、認知症の人は現在の世界を認めようとしないのです。あくまで説得しようと試みる人間を、自分をペテンにかけようとする敵とみなす場合もあるのだということを・・・。





夕方になるとそわそわ落ち着かなくなり、荷物をまとめて家族に向かって「どうも世話になりました。家に帰らせてもらいます」といって、丁寧に挨拶して出かけようとすることは認知症の人にしばしば見られます。夕暮れ時に決まっておきますから、“夕暮れ症候群”と呼ばれています。





30~40年前の世界に戻った本人にとって、昔の家と雰囲気が違う、現在住んでいる家は他人の家であり、夕方になれば自分の家に帰らなければならないという気持になるのだと考えれば、了解できるのではないでしょうか。そういう人に向かって「ここはあなたの家ですよ」と説得しても通じません。玄関にカギをかけて出さないようにしたりすると、「よその家に閉じ込められた」というとらえ方をして、大暴れをするのも無理もないことです。






大事なのはその状態の本人の気持を一旦受け入れて、「お茶を入れましたから飲んでいってください」「夕食をせっかく用意したので食べていってください」とか、「それでは途中までお送りしましょう」など、いろいろな対応の仕方を工夫できるでしょう。





また、精神科で幻覚、妄想、と呼ばれている症状も、認知症の人の体験や思考の、ある断面の世界であると考えれば、異常な世界でなくなります。性的異常行動もこの法則を理解しておくと、さほど異常とは思えなくなります。80~90歳の老人の行動ではなく、40~50歳の壮年の性的行動ととらえなおしてみたらどうでしょうか。





以上のように、「記憶の逆行性喪失」は、応用範囲が広く、認知症の人の気持や置かれている世界を理解するのに不可欠の特徴であるといえるでしょう。







<ホーム長のつぶやき>




4年前に記事をアップしたものです。もう一度振り返り勉強してみましょう。認知症の記憶障害のメカニズムを学ぶことによって、今混乱に陥っている本人の気持ちが理解できると思います。もし、自分が認知症になってしまったら、どんな手助けをしてほしいですか。認知症は病気です。病気になったらひとりでは生きてはいけません。家族、親族、近隣の地域の皆さん、主治医、みんなみんな認知症になった自分を理解し接してくれたら、私は皆さんのお世話に甘えましょう。お互いさまの精神こそ大きな地域の輪となります。そして認知症の人本人や家族の支えとなってくれることを願っていま、ささやかな小さな小さな活動をしています。












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2011年08月05日

医師の目・人の目 第39条 脳の病変が原因で最多

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート39

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。







脳の病変が原因で最多




今回から認知症の原因について考えてみたい。認知症の原因には、脳そのものの病変による一次的要因と脳以外の身体的、精神的ストレスによる、二次的要因がある。まず一次的要因には、脳萎縮性変化(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など)、血管性変化、(血管性認知症)、内分泌・代謝性・中毒性疾患(甲状腺機能低下症、アルコール性認知症など)、感染性疾患(クロイツフェルト・ヤコブ病、脳梅毒による進行麻痺)、手術による効果が期待できる正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍といった疾患がある。このように認知症を起こす原因はたくさんある。





早期診断早期治療により、症状が改善する場合があるので、できるだけ早く専門医に診てもらうことが必要だ。二次的要因には、環境の変化や人間関係、不安、抑うつ、混乱、身体的苦痛などがある。入院や転居といった環境の変化で認知症が出現することが骨折や貧血などからだの変化により、認知症がひどくなることがよくある。配偶者の死や定年退職がきっかけで認知症が始まった例も少なくない。二次的要因をみつけて適切な対策をとるのが、実は最も重要で有効な方法である。





主な一次的要因について説明しよう。アルツハイマー病あるいはアルツハイマー型認知症では、大脳の神経細胞と「老人斑」と呼ばれる変化が見られるのが特徴だ。原因は不明だがベーターアミロイドというタンパク質の老廃物が多量蓄積し、神経細胞や神経のネットワークが破壊されることが分かっている。頭部CTなどの検査をすると、中年期以降に大脳、特に記憶中枢のある側頭葉の海馬という部分に萎縮が認められる。物忘れから始まって徐々に進行する。運動神経は侵されないので初期には体はよく動く。進行は穏かになることはあっても、次第に大脳機能が喪失して寝たきりになっていく。





40代後半から65歳未満に発症した場合をアルツハイマー病、65歳以降に発病した場合をアルツハイマー型認知症と呼ぶ。認知症の原因として最も多い。初期の段階であれば記憶力を改善する「塩酸ドネベジル」(商品名アリセプト)など使われるようになったが、脳の萎縮そのものを治すものではない。認知症が進行すれば、数年で薬の効果は期待できなくなる。







<ホーム長のつぶやき>


身体的疾患で認知症が出現することを今までの看護経験から体験している。例えば癌の末期や脳に腫瘍ができていて気がつかないでいる。また、甲状腺機能低下症やうつ病が長く続き認知症を併発したり、アルコールの飲みすぎでおかずを食べず、ビタミン不足からアルコール性の認知症になった方もおられた。環境要因として、一番多いのが親族が亡くなられたことによる喪失間から認知症になってしまった例や骨折前は認知症がなかったのに、入院したら認知症になってしまったケースを多く体験した。














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2011年07月14日

医師の目・人の目 認知症 第38条 人間関係はお互いさま

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート38

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。





人間関係はお互いさま


人と人との付き合いは、相手の立場の気持ちをどれくらい思いやれるかによって、うまくいくかいかないかが決まってくるものだ。相手の立場に立って物を考えるには、それなりの知識と経験が必要だ。知識と経験の深まりが人間性を高め、人柄を決めると言ってよい。どのように深い知識と経験を持っていても、相手のことをすべて知ることはできない。自分の考え方の枠を押し付けないで、相対的な考え方、つまり寛容さが大切だ。





絶対的に正しい人はいないし、皆から非難されていようともその人なりの理由はあるものだ。例えば『世の中の人はどうして認知症問題を理解しないのだろう。家族はこれほど苦しんでいるのに・・・」と思う気持ちは分かるが、むしろ、「数年前までは自分も全く関心を持っていなかった。以前と比べれば、社会的関心は高まってきた。『認知症の人と家族の会』の活動を通して、もっと社会に訴えていこう」と考えたほうがよい。





認知症の人の介護に当たって、理解不足からくる二つの大きな混乱がある。一つは認知症の人と介護者の混乱、もう一つは、介護者と周囲の人との間の混乱である。認知症の人は知的機能の低下によって、介護者の誠意や説明・説得を理解できないし、介護者もまた、この連載で取り上げてきた認知症の特徴を理解できないでい。るそのために介護では、大きな混乱が生じている。





多くの場合、介護者の人たちは、「認知症の人はいつも世話をする最も身近な人に対してひどく出て、時々会う人には軽く出る」という「認知症の症状強度に関する法則」を知らない。そのため、周囲の人達は自分達が観察できる症状がその人の普段の状態であると思い込んでしまい、介護者の本当の苦労が理解できないという問題が存在する。





こうした理解不足を解消するにはどうしたらよいだろうか。まずは必要に応じて知識を得ようとする姿勢が大切だ。十数年前と比べたら信じられないくらい認知症の関する書物や、記事、ラジオ・テレビの特集が増えているので、気持ちさえあれば、正しい知識を得るのは容易だ。しかし最も重要なことは、認知症の人を「二度童(わらし)として、赤ちゃんと同じように理解して受け入れてあげられる社会全体の寛容な雰囲づくりであろう。「思いやり」の気持ちで、「お互いさまです」と言い合えるような人間関係をつくり上げたいものである。







<ホーム長のつぶやき>


いいですね。「お互いさま」の精神で思いやる気持ちを持ちたいと思います。私がこのブログを始めたのも、自分も学びながら成長し、多くの方に認知症の知識を得ていただき、少しでも認知症の人の気持ちがわかる介護をしていただきたいためです。それには少しでも知識を得ることだと思います。認知症が進行していきますと、先生のいう「わらし」に戻ってしまいます。赤ちゃんはどんどん脳の細胞が成長していきますが、認知症の人は脳が萎縮することにより脳細胞が減り、後退してしまいます。





認知症の症状は、いつも世話をしてくれる最も身近な人に対して、周辺症状がひどく出てしまいます。症状が特にひどくでてしまう対象の人はお嫁さんや我が娘や息子です。こんなに世話をしているのに「情けない」と思わないで下さい。お辛い気持ちはよく分かりますが、一番頼りにしているからこそ周辺症状(物取られ妄想、嫉妬妄想などの被害妄想)が出現します。頼られているのだと思ってください。私を見捨てないでと思う気持ちが表と裏逆にあらわれてしまうです。それは認知症という病気がさせるものです。過去記事の「症状の出現強度に関する法則」をご覧下さい。もう一度学んでみましょう。














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2011年07月12日

若年認知症患者と家族の実態を追って

若年認知症
患者と家族の実態を追って
        (H. 23.7.12付 聖教新聞・作家ジャーナリスト 藤本美郷氏)




初期症状を見落とさない


私の祖父は生前、認知症で、食事をしても「飯を食わせない」と怒り、財布を捜しては「誰が盗んだ」と家族を泥棒呼ばわり。こうした65歳以上の高齢者の認知症は「老年性認知症」と言いますが、64歳以下で発症した場合を「若年性認知症」と呼びます。全国200万人を超す認知症患者の中で、若年性認知症の患者は少なくとも4万人。本人が気付いていないケースもあり、推定10万人とも。





働き盛りの40代、50代男性の発症が多く、夫が患って主な収入源を失うと、家計への影響も計り知れません。認知症は、脳の神経細胞が損傷することにより、物事の認識力や記憶力、思考力、判断力が衰え、日常生活に支障をきたす病。がんと同様に、早期発見・早期治療が重要です。しかし、初期症状を見落としやすく、「夫の異変を、会社からの連絡で初めて知った」という妻もいます。





認知症に気付くきっかけは①同じ事を何度も言ったり聞いたりする②物の名前が出てこないなど。ところが、夫が家で多少おかしな行動をとっても、妻は「「ちゃんと気を付けてよ」と言うぐらいで、まさか認知症だと思わないケースが少なくありません。中年男性Yさんは、職場のパソコンのパスワード、会議の時間や場所などを忘れ、何度も周りの人に尋ねて、部下に「おかしい」と思われていました。本人も「何か変だ」と思い、メモを取るなど工夫を重ねますが、ついに社内で迷子に。症状は初期から中期に入っていました。患者の中には、仕事でミスが続いて退職に追い込まれた方も。普段やっていた簡単な作業を出来なくなった場合、周囲の方は若年性認知症を考えるべきです。





愛する人、大切な命に変わりはない


認める勇気と準備


認知症は生活習慣の見直しで、ある程度予防が可能です。また、“治らない病気”と思われがちですが、中には、早期治療で、症状を抑えたり改善できる場合もありますので、早めの受診を。精神科や神経科、老人科のほか、「もの忘れ外来」」「認知症外来」などで診てもらえます。ただし、周囲が受診を勧めても本人が断るケースも。自尊心を傷つけられたと感じる場合もあり「健康診断の一環だから」「あなたの年齢では誰でも受診するから」など、診察を受けやすくする配慮が大切です。





万一、初期の認知症と診断されても、将来のへの備えが出来ます。また、怒りっぽくなった夫に、「愛情が薄れたのでは」と勘違いをしていた妻が、診断で夫を支えていく決意をした例もあります。ともあれ、認知症の告知は、本人も家族もすぐに受け入れることは困難です。今後どのようなことが起こり得るのか、病気を知ることが“受容への第一歩”となります。




中期になると家族や、医師らを判別しにくく、化粧水を飲んだり、ズボンを頭からかぶるなどの寄行も。診断を受け入れがたい家族も、“認める勇気”が必要になります。そして、本人が分かるうちに備えておきたいことは、①預貯金や医療・介護費用、障害年金の申請などの経済的準備②遺言などの意思の表明③旅行など家族との時間を大切にする、などです。





愛する人が変わっていく姿に、、家族の不安は尽きず、言い出しにくいと思いますが早めに本人と話し合いましょう。また、日常生活での支障が大きくなり近隣の方を困らせる行為も。病の公表も考えざるを得ませんが、正しい理解と協力を得てトラブル回避につなげたいものです。





支援体制を知ろう


若年期認知症になるのは、つらく悲しいことですが、夫婦に新たな絆が生まれたように感じる方もいました。50代後半に認知症を患ったある夫は、やむなく会社を廃業。出来ること・わかることが少なくなる不安と葛藤を胸に、妻に言いました。「これからどんなにつらいことがあっても、乗り切っていってほしい」と。やがて妻の顔も分からず、「社長」「師匠」と呼ぶ夫。妻は途方にくれながらも、夫の言葉を支えに奮闘する中、若年認知症家族の会を知りました。家族会での情報交換は、本人や家族にとって有効です。参加者からは「同じような境遇の人々からアドバイスをもらい、今後の不安が軽減された」などの声を伺います。





受診直後や本人への告知前でも症状が進んだときのことを考え、早期に家族会との連携をお勧めします。また、妻が若年性認知症になった場合、夫が“主夫”となり、仕事に家事に介護にと、その苦労も甚大です。患者の余命は発症後およそ6年~8年ともいわれますが、10年以上生きられる方もおり、人により異なります。家族での介護が限界に達する前に、介護保険や介護サービスなどを利用しましょう。





支援制度については各地の社会福祉協議会や地域包括支援センター等でも、聞けますが、「家族会で同じ経験者に相談する方が、精神的に安心できた」と語る人もいます。廃業した先ほどの男性は、その後、就労を支援する認知症サポートセンターで洗車や草取りの仕事を、中年で発症した認知症患者の多くは、就労意欲が高いのも特徴です。若年期認知症になっても、愛する人、大切な命に変わりはない―妻は毎晩、寝る前に、「『お父さん、今日も一日、無事に過ごせたな。ありがたいな』と言う時に見せる、夫の笑顔が一番の支え」と語ってくれました。








<ホーム長のつぶやき>


私が認知症の人家族に入会したのは10年以上前になります。家族の方のご苦労や辛さを知らなければ 良い看護が出来ないと、当時思ったからでした。そんなおり私が勤めていた老人性認知症疾患療養病棟に若年性認知症の男性が入院してきました。家族は疲弊しきっていましたので、家族の会の入会を勧めました。今では、私と一緒にコールセンターや家族の会の世話人として活躍されています。家族でなければわからない悩みや成年後見制度も使っていますので、成年後見制度をこらから利用する方や今現在、成年後見制度で悩まれている方の良き相談相手になっています。






昨年から認知症の人と家族の会・静岡県支部では若年性認知症の集いを開催し認知症の本人さんからの講演や若年性認知症の家族の方からの講演会も開いています。また、今年は若年性認知症のチラシを作成し、医師との連携や一般の方の理解を深めていただくために広報活動も積極的に行っていきます。また、フィランセにおいて、毎月第3土曜に認知症サポーター養成講座を開催する予定で動きだしました。富士市介護保険課に申し込みをしますと何人からでも認知症講座を90分くらい学ぶ事が出来ます。是非参加し、認知症という病気の理解やコミュニケーションを一緒に学んでみませんか。












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2011年07月03日

医師の目・人の目 第37条 ペース合わせ負担軽く

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート37

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。





ペース合わせ負担軽く


「先生は『認知症の人の言動にまず合わせなさい。焦ることはあなたの負けですよ。認知症の症状がひどくなり、介護の負担が増すだけです』とおっしゃいますが、実際に介護している身になりますと、そう合わせてばかりはいられません。しなければならないことが山ほどあるのですから」極めてもっともな言葉だと思う。仕事や家事をこなしながら、さらに介護をしている人に対し、「認知症の人のペースに合わせなさい」と要求するのは過酷かもしれない。





それでは認知症の人の気持ちを受けともめて上手に介護している人は、すべてを介護に費やしていて、自分のことや家庭のことをする余裕のない人であろうか。筆者の経験では必ずしもそうではない。むしろうまく自分の時間を作っている人ではないかと思う。「ペースをあわせる」場合、「時間をかけて食事をするのを待つ」「トイレに何度も出入りするのをそのままにしておく」「着替えに時間がかかる」「なだめ、すかしてお風呂に入れる」など日常生活の動作に時間がかかるのをせかさないで待つことが必要になる。





介護者は、「時間が長くかかる」ことに我慢できないことよりも、「ゆっくりしたペース」に我慢できないことの方が多いようだ。したがって「早くしなさいよ」「先ほど注意したばかりでしょう」「いいかげんにしてちょうだい」「もう手を出さないで」というような、催促、注意、禁止の言葉が出る。そうすると「聞いたことはすぐ忘れるが、そのときに受けた感情が残る」という「感情残像の法則」によって、認知症の人は介護者の言うことをますます聞いてくれなくなるのである。





介護のコツである「ペースは合わせるもの」をスムーズに行なうことは介護者に気持ちの余裕がなければできない。そのためには次のようなことが必要だ。まず認知症の特徴とその心理を知る。認知症の人の世界を知り、その世界に合わせた演技ができるようになる。介護保険サービスや、介護用品についての知識を深め、適切に生かす。いろいろな人との交流を通して、他の人の経験を自分の介護に生かす。薬を適切に使うことで激しい症状も治まることもあるので、主治医に相談することもよい。






認知症の人のペースに合わせることは、結局、介護にかかる精神的、身体的、物理的な負担を軽くすることにつながるものだ。










<ホーム長のつぶやき>




認知症の人のペースに合わせることは忍耐が必要かもしれません。千差万別その方のできるペースが違います。つい介護者が楽をしたいために介護者のペースで物事を運ぼうとしますが、認知症の人の対応はかえって逆効果になってしまいます。今現在できている能力を奪ってしまうと次にチャレンジしようとしてもやってくれません。イライラしたら深呼吸でもして自分の気持ちを落ち着けてから笑顔を作り対応しましょう。「感情残像の法則」は過去記事をご覧下さい。その部分をクリックすると過去記事が見れます。ペースを合わせられずに介護してしまうと周辺症状に悩まされることになり、大変なおもいで介護しなければならなくなります。














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2011年06月29日

認知症予防財団・新時代に認知症の人・家族等への支援

避難所でがんばっている認知症の人・家族等への支援ガイドパート3




認知症介護研究・研修東京センタがHPに支援ガイド


センター方式研修でお世話になっている認知症介護研究・研修東京センターが支援ガイドをホームページに載せました。




*避難所には、認知症の人や認知症様の症状が出始める人がいます。
*人一倍ストレスに弱い特徴をもつ認知症の人は、避難所で混乱しやすく、心身状態が増悪したり、家族や周囲の負担も増大しがちです。
*ちょっとした配慮で本人が安定し、周囲の負担軽減が、できることがあります。
*避難所で認知症の本人、家族、周囲の人が少しでも楽に過ごせるように。
以下の点を参考に、できる工夫を、どうぞ試してみてください。






6.体を動かそう


■じっとしたままだと、筋力の低下や血液の滞り、風邪などにかかりやすくなります。

          ↓
同じ姿勢を続けずにに、時々姿勢を変えたり、体を動かすように声かけしましょう。

          ↓
足首を回すように声かけしましょう。一人でできない場合、、やって見せたり、手助けを。

          ↓

時々、一緒に伸び伸び、体を動かしましょう。








7.落ち着かない場合、抑えるのではなく、早めに本人にそった対応を



■声をだす、立ち上がる、動き回ろうとする場合、抑えようとすると逆効果です。

         ↓

本人がどうしたいか、そっと尋ねてみましょう。(本人なりの要望や理由があります)本人の要望に応えられない場合も、否定しないで、まずは要望を親身に聴き取りましょう。

          ↓

何もすることがないと落ち着かなくなりがちです。本人のできそうなことを活かして、本人が力を発揮しながら、エネルギーを発散できる場面を作り、感謝を伝えましょう。(例)一緒にたたむ、片づけをお願いする、運ぶ、拭く、配る手伝いをしてもらう。見回りや監督役を一緒にお願いする、子ども達や赤ちゃんのそばで、見守り役をお願いするなど。

          ↓

落ち着かなさ、興奮などが高まった場合は、関わる人を限定する。(いろいろな人が関わると混乱を強める)。関わる方が落ち着いていると、本人も落ち着くことができます。(例)笑顔とアイコンタクトを。静かな場所で過ごせるように身振りで誘導する。本人が安全に歩き回れるようにそばについて歩く。本人が嫌がらないか反応をみながらそっとタッチし、ペースダウンをはかる、など。






8.本人を見守る家族や介護職員が、解放される時間の確保を、現状や要望の確認を


■家族や職員は、本人から目を離せず、周囲に気を使い想像以上に消耗しがちです。

          ↓

本人の言動に対し、周囲の人から苦情がでないよう、周囲の人たちをねぎらい、本人と家族、職員らへの理解と協力をお願いしましょう。

          ↓

家族や職員が、トイレにいったり、飲食、休憩、仮眠などの際、安心して本人のそばを離れられる(解放される)よう、周囲の支えが必要です。(注)やむを得ず目を離したすきに、本人が避難所から行方不明になったケースがあります。
          ↓

短時間でもいいから本人の見守りを交替しましょう。その場合、本人がしっかりしているようでも、、本人から目をそらさずに、そっと見守りましょう。家族と交替するときに、本人の好む呼び名、好きな話題を教えてもらうと、会話しやすくなります。

          ↓

できたら避難所の中にいる認知症の本人となじみの人(家族、職員、近所の人等)が集まって一緒に過ごせる、一角を確保し、一緒に見守ったり、交替で休む体制をつくりましょう。
          ↓

定期的に巡回し、本人の状態を確認するとともに、家族、職員、そして本人の要望を具体的に聴き取りましょう。互いの心身をいたわって、一日も早く普通の生活に戻れますように。








<ホーム長のつぶやき>


今回で最終回となります。認知症の方の対応方法が詳しく載っていますので参考にしてください。いつ静岡県も東南海沖地震が来るかわかりません。この支援ガイドブックは日常でも使用できます。またパート1で過去記事を載せましたが、日本認知症学会マニュアル本がBDFとして下記をクリックすると見ることができます。参考にしてください。とっても役に立ちますよ。
           ↓

被災した認知症の人と家族の支援マニュアル



















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2011年06月25日

認知症予防財団・新時代に認知症の人・家族等への支援

避難所でがんばっている認知症の人・家族等への支援ガイドパート2




認知症介護研究・研修東京センタがHPに支援ガイド


センター方式研修でお世話になっている認知症介護研究・研修東京センターが支援ガイドをホームページに載せました。




*避難所には、認知症の人や認知症様の症状が出始める人がいます。
*人一倍ストレスに弱い特徴をもつ認知症の人は、避難所で混乱しやすく、心身状態が増悪したり、家族や周囲の負担も増大しがちです。
*ちょっとした配慮で本人が安定し、周囲の負担軽減が、できることがあります。
*避難所で認知症の本人、家族、周囲の人が少しでも楽に過ごせるように。
以下の点を参考に、できる工夫を、どうぞ試してみてください。





4.飲食、排泄、睡眠の確保を


■声かけや見守りがないと一人で適切にできなくなり、認知症の症状や体調が増悪しがちです。
          ↓

どの位口にできているか、本人の飲食料の一日の総量を確認し、限られた飲食物を確実に本人が口にできるよう声かけをしましょう。ペットボトルなどを置くだけでは飲めない人もいます。なお、本人が飲食する際は、手指を拭いて、感染予防に配慮しましょう。
          ↓

避難所のトイレに行くまで手間取ったたり、行きついても慣れないトイレでスムーズに用を足せない場合、お手製トイレを作り、身近な場所に人目につかずに済ませられるようにする方法もあります。新聞紙、ビニール袋、空いたペットボトル、容器など、あるものを利用して。
          ↓

睡眠リズムが乱れやすいので、眠る・起きるタイミングをつかめるように声かけをしましょう。指示口調ではなく、「一日ぶじでよかった。ぐっすり寝て明日に備えよう」、「そばにいるよ」など、安心して寝起きできるよう声かけをしましょう






5.少しでも「快の刺激」を


■不快がつのると、落ち着きのなさや、苛立ちが高まり、抑えきれなくなりがちです。
          ↓

時折、一緒に窓の外を見る、玄関先など一緒に出て、空を眺めたり、戸外の空気を深呼吸するなどリフレッシュしましょう。
          ↓

手足・首筋・腰などを温める(暖めるものがない場合は、掌をこすって暖め、そっと手を当てる)、さするなどで、本人が落ち着くことがあります。
        ↓

触ったり、抱いて気持ちのいいものを本人に渡すのも一策です。例)やわらかいタオル、なでてて気持ちいいもの、膝や大腿の上に暖かいもの、抱き心地のいい毛布、など
          ↓

本人の好きな歌、なじみの歌、分かりそうな歌を口ずさんだり、一緒に歌ってみましょう。
          ↓

そばにいるときは、本人の目を見て、そっと微笑んで、・・・一瞬でも、とても大切です。








<ホーム長のつぶやき>


上記のことはそんなに難しいことではありません。本人の気持ちになってい居心地の良い場所作りや配慮が必要です。」これらのことはデイサービスでも同じことがいえます。空調が効いていますが、今年の夏は「節電対策」で色々工夫して、快適に過ごすことができるように配慮しなければなりません。我々2人3脚も常にスタッフは「快」の状態でいられるよう気を使っています。




特に、高齢者は体温調節ができなくなります。暑いのに寒いと言って服を重ね着したり、水分を摂りたがりません。少しでも水分を摂って頂く工夫をしましょう。我々が毎日作っている補水液は寒い冬であれば温めて、暑い夏は冷蔵庫で冷やして飲むことが出来ます。砂糖と塩の分量をしっかりと守っていただければ、体に優しい水分を体内に吸収させることができます。水道水1リットルに対して「砂糖大匙4杯半、塩小さじ1/2杯」です。後は飲みやすくするためにレモン汁、または、今が旬の梅ジュースなど少量落としてもいいでしょう。飲み残しのないように毎日容器はきれいに洗いましょう。ちょっと一言アドバイスでした。

次回は№6.7.8をアップしていきます。
















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2011年06月23日

認知症予防財団・新時代に認知症の人・家族等への支援

避難所でがんばっている認知症の人・家族等への支援ガイドパート1




認知症介護研究・研修東京センタがHPに支援ガイド


センター方式研修でお世話になっている認知症介護研究・研修東京センターが支援ガイドをホームページに載せました。




*避難所には、認知症の人や認知症様の症状が出始める人がいます。
*人一倍ストレスに弱い特徴をもつ認知症の人は、避難所で混乱しやすく、心身状態が増悪したり、家族や周囲の負担も増大しがちです。
*ちょっとした配慮で本人が安定し、周囲の負担軽減が、できることがあります。
*避難所で認知症の本人、家族、周囲の人が少しでも楽に過ごせるように。
以下の点を参考に、できる工夫を、どうぞ試してみてください。





1.ざわめき・雑音のストレスがら守る工夫を


■人の動きや出入りが多い所、雑音が多い所いると本人は落ち着きがなくなります。
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ざわつきや雑音が比較的少ない場所(奥まったところや出入り口から離れたところなど)を本人と家族らの居場所として確保しましょう。   注)本人となじみの人などを離さないように。
          ↓

いい場所の確保が難しい場合、本人から見て、視界に入るものが不安を駆り立てないように、本人の座る向きを工夫しましょう(出入り口と反対に向ける、人の少ない方に向ける等)








2.一呼吸でいい、ペースを落として、ゆったりと、少しづつ



■周囲のペースで関わると、せっかくの関わりが本人を脅かしてしまいがちです。
          ↓

あわたただしい雰囲気や口調は、本人を混乱させます。急ぎたいとき、緊張しているときほど一呼吸いれ、力をぬいて、ゆったりとした言葉かけで、接しましょう。
          ↓

一度にたくさんのことを言わずに、短い文章で、ひとつひとつ伝えましょう。
          ↓

食事、排泄、着替えなど簡単なようで細かい動作の組み合わせです。動作が、一歩一歩進むよう、本人の動きにそって、一つづつ声かけをしましょう。








3.本人なりに見当がつくよう、本人に情報を


■今、何が起こり、どうしたらいいか、本人なりに不安に思っており、本人への説明がないと混乱が強まります。
          ↓

記憶や判断力の低下が困難な人であっても、本人に向き合って、今の状況を分かりやすく説明し、限られた情報を本人と分かち合いましょう。
(例)ここは〇〇体育館だよ。今日は〇月〇日、今〇時ごろだよ、食べ物が〇時ごろ、配られるよ。
          ↓

紙や筆記用具がある場合は、本人が知りたいこと、本人にわかってもらいたいことをメモにして渡しておきましょう。本人に見えるところにはっておくのも一策です。
          ↓

本人が誰で、住所、連絡先、身内がだれかがわかるようにメモを本人に渡し、身につけておけるようにポケット等にいれておいてもらいましょう。










<ホーム長のつぶやき>




№8 まで続きます。また、この続きは後日アップいたします。混乱している認知症の方の心理や対処法方法を分かりやすく書いています。避難所にプリントアウトして貼り出しているところもあるようです。人ごとではなくいつ我々もこのような未曾有な大震災を経験するか分かりません。しっかりと学びたいものです。5月25日付けでブログアップした被災地におけるマニュアル日本認知症学会マニュアルもあわせてご覧下さい。
















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2011年06月04日

医師の目人の目認知症・第35条上手な割り切りで楽に

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート35

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。






上手な割り切りで楽に


多くの認知症の人は、家族が一生懸命お世話しても、否、お世話すればするほど認知症の症状をひどくするものだ。家族はまじめで熱心であるあまり、精神的にも身体的にも消耗しきってしまう。こんなとき、誰かが別の見方、考え方を教えてあげて、家族が上手に割り切れるようになると、介護はずっと楽になる。





「冬でも裸に近い状態で、一晩中動き回っていて、何回着せてあげてもすぐ脱いでしまいます。夏は夏で午後3時頃になると、雨戸を閉めてしまい、厚着をしています。汗をかいて暑そうなのに着物を脱ぐようにいっても、聞きいれてくれません。風邪を引いたりするのが心配です」「お風呂に入るのを嫌がって困ります。主人に手伝ってもらってやっと入れてもらっているのですが、毎日がまるで戦争です」





快適で文化的な生活を楽しんでいるわたしたちは、認知症の人に対しても、自分達と同じ基準や感じ方を当てはめようとしがちだ。そのこと自体は、「思いやり」という点では、大変重要なことだ。しかし、さまざまな規制や拘束から抜け出た認知症の人にとっては、介護者の気持ちを理解できず、かえって煩わしいこと、余計なこと、無理やり押し付けられること、と感じられることが多い。





そんなとき、次のような考え方をすると、混乱から早く抜け出すことができる。「せいぜい数十何年前での日本、あるいは世界各地の現実を見れば、清潔な環境、豊富な衣食、安全快適な生活、毎日の入浴などは異例であって、現生人類の長い歴史から見れば“異常”とも言える。普通でないのは、むしろ私たちのほうで、認知症の人は正常な行動をしているのだ」過酷な状態で裸に近い状態で生活している人が、皆風邪を引くわけではない。テーブルや床の上に落とした物を食べただけで、おなかをこわすことはない。介護に行き詰ったらこんなふうに発想の転換をすることが大切だ。





発想の転換は一人では難しい。認知症相談や、「認知症の人と家族の会」での話し合い、介護教室や本などで、他人の経験を聞き、適切なアドバイスを受けることで、容易になることが多い。「割り切り上手は介護上手」である。介護者は上手に割り切って負担を軽くし、長続きする介護を心がけるのがよい。介護者の気持ちに余裕が生まれ、認知症の人にとっても、良い結果をもたらすものだ。







<ホーム長のつぶやき>


今日は小規模多機能型居宅介護の職員が集まって、センター方式基礎研修の勉強会を行いました。認知症の人本人はどうしているのか。その本人の発する言葉や言動から、本人の気持ちになり代わって、本人の気持ちを探り、ケアのヒントやアイディアを話合いの場面で出し合い、他の職員の関わり方やケアのヒントを見つけていきました。常に自分だったらどうなのか。「今日は気分が悪いからお風呂はやめておこう」認知症の方は自分で気分不快を訴えられませんので訴える手段として入浴拒否になります。私たちは、認知症の人に自分達と同じ基準や感じ方をしていないだろうか、と思いました。今日は「認知症の人と家族の会」メンバーと京都本部の総会に出席し、杉山先生にもお会いします。






 






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2011年05月25日

被災地の認知症患者を支援するためマニュアル作成

被災地の認知症患者を支援
日本認知症学界がマニュアル作成



安心与えるケアが重要
         静岡新聞記事より 日本認知症学会のホームページで下記が掲載
         被災した認知症の人と家族の支援マニュアル・介護用と医療用





東日本大震災では多くの認知症のお年寄りが被災した。避難所などで暮らすと、認知症の症状も悪化しかねない。大震災で被災した杯と屋家族を支援するために、日本認知症学会(理事長・森啓大阪市立大教授)は初めて支援マニュアル「介護用」と「医療用」を作成。それぞれ5千部と3千部を被災地に配布した。マニュアル作成ワーキンググループ委員長の山口晴保群馬大教授に聞いた。





大震災で被災した認知症の人と家族が安心して暮らせることを支援するため、被災地の医師らも含めて認知症専門医が知恵を出し合い、現地で役立つ医療やケアの実践的なマニュアルを作った。山口教授は「早く届けようとまず1版を出した。今後は必要に応じて改訂したい。認知症なっても人格はある。被災後もその人らしく生活していく、その人を中心にすえて支えるケアが重要だ。本人の言うことを聞いてあげる、褒める、安心を与える介護が、幻覚・妄想・暴言などの行動・心理症状の予防につながる」と強調する。





こうした考えから、マニュアルは薬物投与よりも、適切なケアやストレス・混乱をなくすような環境調整、健康チェックを重視。不眠や興奮など、症状ごとに具体的な対処法を示している。認知症の初期には本人に残っている能力を見つけ、うまく使っていくのが望ましい。記憶障害は治りにくいが、行動・心理症状は周囲のかかわり次第で改善しうるという。例えば、徘徊についてマニュアルは「本人には動き回る目的がある。まず優しく接して、その理由を聞き出してください。理由が分かれば対応の糸口になる」と提言する。





山口教授は「介護の視点で徘徊というが、本人にすれば探検や仕事ではないか。行動の背景は不安や自分の居場所がないなどの思いが隠れている。役割を持ち、働いたり、一緒に散歩したりするのも有効」とみる。避難所でも配膳や片付けなど簡単にできる作業を見つけ、目標を作ることが認知症や生活の機能維持に役立つという。









<ホーム長のつぶやき>


今、私は認知症のケアのポイントを2年前から時々ブログアップしています。少しでも多くの方に認知症という病気を理解してほしいのです。そして理解することによって対応に変化が見え、認知症の方の不安や混乱を減少させます。大地震による津波は静岡県でも必ずやって来ます。我々の県も被災地になりえます。このような想定外の地震が来たとき、認知症の症状がなくてもパニックとなり、うつやせん妄症状、認知症の発症が起こりえます。そんなとき対応方法や病気を理解しているとみんなで助け合うことができます。是非マニュアル本をご覧下さい。役立つことが一杯です。

















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2011年05月22日

介護の疲れを溜めないために、そして疲れを感じたら・・・

介護の疲れを感じたら、そして疲れを感じたら・・・




優しい言葉が掛けられなくなったら、考え時です




認知症本人もそして介護家族も疲弊してしまいます。以前、ブログを始めて1ヶ月ちょっと経ったころ、2009年の4月22日付けでブログアップした記事 Q 8 教えてホーム長Q&Aをご覧下さい。





介護サービスや施設のケアを早く受けていると認知症の進行が穏かなカーブを描きながら下降していきます。自宅で何とかみれるので頑張って介護している方を多く見かけます。また、進行すると認知機能が進みデイサービスや、ホームヘルパーさんの受け入れを拒み、自宅に閉じこもるようになってしまいます。そうなってきますと介護者もついきつい言葉でできなくなったこと叱ります。なぜ、叱られているのか理解できなくなり、叱った介護者が嫌いになり、悪循環に陥ります。






そうなると、BPSD(精神運動興奮)があらわれもっと介護が大変になります。もし介護者が認知症の人に優しい言葉が掛けられなくなったら、危険信号と思って下さい。心底疲れているサインです。介護サービスや施設のサービスを利用しましょう。介護家族が心身共に健康で介護できることは認知症の在宅ケアの条件です。一番ベストなのが、介護が3割、介護者の自分の時間が7割と言われています。抱えこまないのが、一番認知症の本人にとってもよいのです。





精神運動興奮(BPSD)は過去記事2009年9月6日 認知症介護10か条 第9条をご覧下さい。





認知症という病気を理解することや対応方法を学ぶこと、そして介護者同士の仲間をつくり、介護の苦しみや思いをはきだすことで、ずっと介護が楽になります。知識を得ることで介護の方法が変わってきます。私が常日ごろから訴えている寄り添う介護、パーソンセンタードケアにつながってきます。介護者の会や認知症の人と家族の会に入って仲間を作ったり、知識を高めましょう。がんばらない介護をめざしましょう!












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