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2011年10月23日

医師の目・人の目 第41条 専門的診断を受け改善も

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート41

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。






専門的知識受け改善も



脳の血管が詰まったり破れたりして起こるのが欠陥性認知症である。起こってしまった血管や神経細胞の変化を元に戻すことは難しい。進行を予防するために血管を拡張させたり血液が固まるの抑える薬が使われることがある。高血圧や糖尿病、肥満、運動不足などは動脈硬化を進行させるので、それらの治療や予防は血管性認知症の予防になる。





甲状腺機能低下症によっても、認知症の症状が出る。新陳代謝の中心的な働きをする甲状腺ホルモンが少なくなると、全身倦怠感、気力低下、物忘れ、体のむくみ(粘液水腫)などが出現する。診断がついて甲状腺ホルモン製剤を服用すると、症状が劇的に改善する。





転んで頭などを打った後、数日から数週間たって認知症状や運動麻痺などが現れた場合には、頭蓋骨と脳の間に血液が徐々にたまる慢性硬膜下血腫や硬膜外血腫の疑いがある。高齢者の血管はもろいので、頭を打っていなくても出血する場合がある。頭部CTによって容易に診断できる。治療は頭蓋骨に1~2ヵ所、穴を開け、ここから血の塊を吸い出すだけの簡単な手術で開腹手術より負担は少ないので、高齢者でも安全に行うことができる。





豆腐のようにもろい脳は、頭蓋骨という容器の中で、水に浮かんだ状態で強い衝撃から守られている。その水(脳脊髄液)が移乗にたまっての王の組織を圧迫するようになると、歩行障害などの運動麻痺、認知症状、失禁などの症状が出てくる。頭部CTで脳の中心部の脳質が拡大していれば、正常圧水頭症が疑われる。この場合も負担の少ない手術によって、症状が劇的に改善することがある。






脳腫瘍も認知症の原因の一つだ。74歳の女性が3週間前に急に妄想に襲われ、金銭管理が困難になったり、着替えを拒否したりといった症状が出たため、かかりつけ医の医師から、専門家に受診すように勧められ、私の外来を受診したことがあった。頭部CTを実施したところ、右前頭葉に脳腫瘍による広範囲の変化が認められた。脳外科にも相談して、脳腫瘍と診断。県立がんセンターに相談したが、症状が悪くなると思われた。それから5ヶ月後夫の付き添いでその患者が来院して、あまりにも元気になっていたのでびっくりした。最終的に悪性リンパ腫と診断されて、抗がん剤で治癒したのであった。







<ホーム長のつぶやき>



高齢者はいつもと違う言動が出た場合、専門の病院に受診をしていただきたい。脳卒中などは日頃から、しっかりと血圧の管理や動脈硬化など予防することによって防ぐことができます。生活習慣を見直し、適度の運動が体に良いのです。硬膜下血腫は転んでからはすぐに症状が出ないことが多く、小さい傷であれば、徐々に出血するため、1ヶ月月後に症状が出はじめた例を体験している。転倒した場合すぐには症状が出ないので要注意、1ヶ月間は要注意観察していただきたい。





2人3脚を開設してまもなくTさんがグループホームに入居されました。Tさんは不安感が強く大声を出したりと精神運動興奮(BPSD)が活発でした。1年間の入居生活でしたがとっても印象深い方でした。医療連携をしている鷹岡病院へ右麻痺が出現し受診したところ、CT撮影の結果、即、脳外科に入院し脳腫瘍と診断され、まもなく帰らぬ人となってしまいました。もっと早く専門医に受診していればと悔やまれてなりませんでした。





治療をすれば治る認知症もあります。高齢によるボケだと思って、受診せず自宅で介護していると治る病気も手遅れになることがあります。おかしいなと思ったら、早期受診、早期治療をしていただきたい。辛いのは本人です。本人が面倒がって受診できない場合が多々みられます。そのような方こそ家族は努力して受診につなげげていってほしいものです。アルツハイマー型認知症の方も物忘れが始まると不安、心配ごとが多くなりますと、自分でがんばろうと努力が始まります。その努力を問題行動と捉えられ、叱責され、本人は怒られないようにするため、また努力が始まります。その繰り返しで認知症はどんどん進行してしまいます。社会資源を多いに活用していきましょう。







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