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2011年08月17日

認知症を理解するための8大法則・1原則 第3法則

認知症をよく理解するための8大法則 1原則 第3法則
                             認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師



第3法則 自己有利の法則




「自分にとって不利なことは絶対認めない」というものです。「大事なものがない」と大騒ぎするので、家族も一緒になって探したところ、認知症の人が使っている引き出しの中から見つかった場合、家族から「そらごらんなさい。ここにしまっておいたのに忘れたのでしょう。おじいちゃんしかここにしまう人はいないんだから」と言われても、「いや自分はそんなところへしまった覚えはない。誰がそこへしまったんだ」と必ず言い返します。






言い返しがあまりにも素早く、しかも難しいことわざなどを交えてするので、周囲のものは本人が認知症になっているとはとても思えません。しかし、言い訳の内容には明らかな誤りや、矛盾が含まれているため、「都合の良いことばかりいう自分勝手な人」「嘘つきだ」など、本人を低い人格だと考えて、そのことで介護意欲を低下させてしまう家族も少なくないようです。





こうした認知症の人の言動には、自己保存のメカニズムが本能的に働いているに違いありません。つまり人は誰でも、自分の能力低下や生存に必要な喪失を認めようとしない傾向を持っており、認知症の人も同様なのです。社会生活に適応するということは、本能の直接的な現われを推理力判断力などの知的機能によって抑制することにほかなりませんが、認知症の人は知的機能が低下するため、本能的な行動が表面に現れやすくなっているのです。






「自己有利の法則」を知っていると、無意味なやりとりや、かえって有害な押し問答を繰り返さずに混乱を早めに収拾することができるようになります。日々の介護で混乱されている家族は「自分たちはこの法則で説明できる症状に振り回されているのではないか」と考えてみてください。








<ホーム長のつぶやき>



認知症の方と日々毎日接していて思うことは、認知症の方は、自分の失敗を認めたくないため、いろいろな言い訳が瞬時に浮かび言葉となって表現しています。私はそんなとき、「いろいろな言葉をよく知っているなー素晴らしい!」と思いながら聴いています。そのうち認知症が進行してきますと言葉として表現できなくなってきます。表現できる能力を持っていることに関心しながら、日々介護・看護しています。





介護保険の認定調査の聞き取り調査のときも、しっかり返答するため、認知症ということが聞き取り調査から出ないため介護度が低く出ることがあります。そうなると早期にデイサービスなど使って認知症の進行を食い止めたくても介護保険が使えなかったり、デイサービスの回数が減ってしまい、認知症が進行してしまいます。そうならないためにも1ヶ月位の日ごろの困った出来事や日常生活に不具合なことをメモに残し、介護認定調査員のケアマネージャーに伝えたり、主治医にも同様なことを伝えてください。また、介護保険認定調査更新時の問診表にも詳細に記入しましょう。主治医はその問診表を見ながら特記事項に記入してくれます。





脳の中にある海馬は認知症が進行しますと萎縮し、記憶障害が顕著に出現します。しかし、海馬の先端にある扁桃体は感情をコントロールするところで、そこの部分は緩やかに侵されていくそうです。記憶障害が著しい人でも扁桃体が侵されていなため感情は豊かに残っています。いやな出来事や楽しかったことはいつまでも残っているのは、扁桃体がしっかりと活動しているためなのですね。





叱られプライドを傷つけられると怒りだしたりするのはそのためです。いつまでも良い感情が長く保ち続けられるように、我々は本人の気持ちに寄り添って介護したいものです。認知症の心は認知症が重度になり喋ることができなくなってもしっかり残っていることを頭に入れ介護・看護したいものです。







認知症を理解するための8大法則・1原則 第3法則




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