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2010年01月15日

杉山ドクターのやさしい医学講座

第1章 高齢者の疾病と主な症状
                    (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師より)


13.喘息性気管支炎

「風邪をひいて寝る前と明け方に咳がひどく眠れません」「横になると咳が出て苦しくなるので、コタツにもたれながら、夜を過ごしています」「咳が続くとのどがゼーゼー鳴って、呼吸が苦しくなります」このような症状を訴えて内科の外来を受診する患者さんが絶えません。



このような場合は、私は、喘息性気管支炎と診断して治療を開始します。喘息のようなアレルギー体質が背景になって、風邪によるのどの炎症が悪循環を形成して、ひどい咳の発作を誘発するからです。



初めは、のどの違和感・だるさ・微熱などの軽い風邪の症状であっても、その日の夜になると、咳が強く出るようになります。咳をする→のどが傷む→さらに咳が強くなる→のどの痛みがさらに強くなる、のようにたちまち悪循環を形成して、特に胃が飛び出るのではないかというほど強い咳が出るようになって、胸痛や腹痛を伴うようになります。また、喘鳴(のどがゼーゼー鳴ること)や呼吸困難を伴うことがしばしばです。



布団に入って横になると咳がひどくなり、起き上がると軽くなります。明け方になると強い咳のために目が覚めて、強い咳がしばらく続きます。一般的に昼間は咳が軽くなります。その理由は自律神経(交感神経)とホルモンの作用により、活動的な昼間は、気管支が拡張されて空気の通りが良くなり、夜は逆に副交感神経の作用のため気管支が狭くなるからです。



このような状態の人が、普通の風邪薬を飲むとかえって、痰が粘っこくなり苦しみが増すことがあります。多くの風邪薬に含まれている抗ヒスタミン剤が気管支の粘液の分泌を抑えてしまうからです。咳・のどの痛みの悪循環を断ち切るためしっかりした咳止めを使うこと、気管支拡張剤を使って空気の通りをよくすること、感染に対して抗生物質を使うこと、痰を切れやすくする去痰剤使うことが、治療のコツです。呼吸困難などが強い場合には、気管支拡張剤、抗生物質、副腎皮質ホルモンの入った点滴をする必要があります。




このような状態を経験した人は、「次に風邪を引いたら同じ状態になるのだ。普通の風邪ではないの」と思って、咳やのどの痛みが出てきたら、すばやく、咳止めと気管支拡張剤を服用して、悪循環に陥らないようにすることが大切です。ですから喘息気管支炎が治っても薬をいつも手元に持っていて、薬の残りが少なくなったら、処方してもらうため受診すべきです。




処方例
1)リンサンコデイン100倍液6.0g   3×朝昼夕
2)スロービット100mg 2カプセル 2×朝、眠前
3)ムコソルバン   3錠       3×朝昼夕
4)ペンクッド250mg  3錠     3×朝昼夕



私は、患者さんに、「体質を改善することは難しいことですが、発作を予防し軽くすることは、あなたの心がけ次第です」と話しています。



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Posted by 2人3脚 at 15:30│Comments(0)医学講座
 
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