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2010年02月17日

杉山ドクターのやさしい医学講座

第2章 高度な在宅医療と在宅ケア
                    (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師より)



4.在宅酸素療法


肺の働きが慢性的に低下してきて、動脈血液中の酸素の濃度が一定以下に下がると、常に酸素を吸入しなければならなくなります。この状態を慢性呼吸不全といいます。かっては、酸素吸入をするためだけに何年間も入院する人がいましたが、1986年4月から社会保険診療報酬の改定で在宅酸素療法が認められて以来、自宅で酸素濃縮機や液体酸素ボンベを置いて酸素吸入しながら在宅生活を送ることが可能となりました。日本全国で10万人以上の呼吸不全患者がこの治療を受けています。



在宅酸素療法の適応として、(1)高度慢性呼吸不全 (2)肺高血圧症 (3)チアノーゼ型先天性心疾患が認められています。例数が圧倒的に多いのが高度慢性呼吸不全で、その基礎疾患としては、肺結核後遺症、肺気腫・気管誌喘息などの慢性閉塞性疾患、間質性肺炎などがあります。 



在宅酸素療法の導入にあたって、入院中に、状態に応じた適当な酸素酸素濃度(酸素流量)や吸入時間の決定、機器の扱い方、生活上の注意、緊急時の対応などの指導を受けます。医療機関を介して機器取り扱い業者から自宅に、酸素濃縮機(あるいは液体酸素ボンベ)、携帯用酸素ボンベ、フィルターなどの消耗品などが届けられます。




患者や周囲のものが注意しなければならないことをあげますますと、


(1)指示された酸素流量を厳守すること。苦しいからといって酸素流量を上げると、場合によっては呼吸抑制が起こり意識を失うことがあります。

(2)禁煙を守ること。呼吸機能を悪化させて、また、酸素の助燃作用で思わぬやけどをすることがあります。周囲のものも禁煙を守って患者がきれいな空気を吸えるように協力すべきです。

(3)加湿用水の補充、フィルターの交換、流量のダイアル確認、吸入用チューブの折り曲げ・ねじれなどの有無の確認など、基本的な管理を怠らないこと。

(4)呼吸器感染症や心不全などの症候に注意して、そのような症候が出れば速やかに対応すること。食欲、活気、表情などの全身状態の変化、息切れ・呼吸困難、むくみなどの呼吸器循環器症状、咳や痰、熱などの感染症候などがチェックポイントです。

(5)入浴や適度な運動は好ましいが、酸素を吸入しながら行うこと、慢性呼吸不全では、体を動かすと血中酸素濃度が急激に低下することがしばしばです。チューブを引っ張りながらの移動はわずらわしいといって、酸素チューブを外してしまう人が いますが、意識障害等の事故が最も起こりやすいことを知っておくべきです。特にヘルパーが身体を介助するときには注意しましょう。

(6)栄養は健康生活の基本なのでしっかり摂ること。ヘルパーは食べやすく、心負担の少ない減塩の献立を考えて、楽しく食べられるよう雰囲気作りも演出しましょう。

(7)在宅酸素療養日誌を書くこと。医師や看護師の訪問時に見せて、状態の変化を判断してもらいます。

(8)酸素吸入していても日常生活は積極的に行うこと、。買い物や散歩などはもちろん、旅行に行く患者もいます。業者が旅行先の宿泊所に濃縮機を設置してくれることがあります。





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Posted by 2人3脚 at 13:51│Comments(0)医学講座
 
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