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2010年09月11日

医師の目・人の目認知症 第16・第三者関与で無事解決

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症 」パート13

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。




第三者関与で無事解決


「洗面、洗髪、入浴を嫌がり、家族がどんなに説得しても聞き入れないのです」「大事な年金を使いこんでいるといって一日中私を非難します」など、認知症の人のこだわりに、家族では対応できない場合がある。このような場合には「第三者に登場してもらう」のがよい。「身近な人に激しい症状を示し、他人にはしっかりした言動をする」という認知症の特徴を応用するのだ。





家に閉じこもっていて、数ヶ月間入浴や洗髪をしない女性がいた。家族が「お風呂に入らないと病気になるよ」と勧めても入ろうとしないし、無理に入れようとすると大暴れする。家族から相談を受けて私が訪問診療することにした。しばらくすると私の訪問を心待ちするようになった。すると訪問診療の前日には、入浴して清潔な下着に着替え、さらに美容院にも行くようになった。





薬を処方したわけではないのに、見違えるような変化に家族は驚いた。高齢者律義な人が多い。身奇麗にして診察を受けなければならないと思っている。認知症になってもこの気持ちが働いて、診察の前に身奇麗にするという行動に結びついたのだろう。





認知症相談に28年間携わってきた。当初は入浴拒否の相談が多かったが、最近はずいぶん少なくなってきた。デイサービスや入浴サービスで、スタッフが関わることで、入浴する人が多くなったためであって、認知症の人が全員風呂好きになったのではないと思っている。





着物がひどく汚れているので、お嫁さんが新しい着物を買ってきて勧めても絶対に着替えようとしない人がいた。そこで実家に尋ねてきた娘に「お母さんに似合う着物を買ってきたので着てみてね、と勧めてもらったら、同じ着物を抵抗なく着て、以後も着続けたのだという。





「年金が無断で使われている」と思い込んでいる、認知症の人に対して、当事者である家族が通帳を見せながら「1円も引かれてないでしょう」と説明しても通じない。しかし、郵便局員や銀行員が「大丈夫ですよ」というと安心する。いわゆる社会的権威者や目上の人などの話は受け入れ安いので、そのような人物が登場する場面をつくることで、こだわりが軽くなるものだ。





認知症の人が今後激増するのは間違いないので、郵便局員も銀行員もおまわりさんや病院の先生も「認知症の人と上手に付き合うことも義務の一つ」と理解してほしい。





医師の目・人の目認知症 第16・第三者関与で無事解決






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