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2010年11月12日
知っていますか?レビー小体型認知症・診断、治療、介護は
知っていますか?レビー小体型認知症パート1
今、レビー小体型認知症介護がわかるガイドブックをシリーズで掲載中です。認知症の人と家族の会の月刊誌ぽ~れぽ~れ363号に小坂憲司先生(横浜ほうゆう病院・院長)の記事が掲載されていましたのでご紹介します。
●はじめに
このタイトルは、「レビー小体型認知症家族を支える会」の宮田真由美会長からの依頼で書いた一般の方々用の薄い単行本のタイトルである。この本はメディカ出版の尾崎純郎氏の協力を得て2009年9月に出版されたもので、レビー小体型認知症についてのわが国で初めての単行本である。
この病気についての歴史的な事項については改めて取り上げることにするが、1995年の第1回国際ワークショップでdemenntia With Lewybodies(DLB)(これを私が「レビー小体型認知症」と和訳し、それ以来わが国ではこう呼ばれるようになった)という病名とその診断基準が提唱されてからわずか10年あまりで、レビー小体型認知症(以下DLBと略)が国際的によく知られるようになり、現在ではこれはアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とともに三大認知症の一つとして広く認識されるようになった。
この病気は元々私たちの一連の研究報告により国際的に知られるようになり、私が「びまん性レビー小体病(Diffuse lewy disease.DLBD}と提唱したものを基礎としている。いわば日本で発見された認知症である。
●今、なぜレビー小体型認知症か?
今なぜDLBが大きなトピックになっているかについていかに簡単に説明することにする。
①頻度が高い
DLBの正確な頻度についてはきちんとした報告がないが、一般的に10数%から20数%という報告が多い。私たちの病理解剖に基づいた、正確な診断によると10年前のデータでは、18%であった。(アルツハイマー型認知症が50%、血管性認知症が18%)。現在では、高齢者の認知症の約20%がDLBであるとされ、高齢者の認知症の5人に1人がDLBということになり、わが国では50万人ほどいると推計されている。なお、アメリカでは130万人いると推計されている。このようにDLBはごくありふれたポピュラーな認知症ということになる。
②誤診されていることが多い
ところが、DLBの診断は難しく、誤診されていることが非常に多い。特に早い時期には誤診されることが非常に多い。それはDLBの早い時期には認知症が目立たないことが多く、CTやMRIといった脳画像では、脳萎縮が比較的軽いからである。うつ病とか老年期精神病とか遅発性パラフレニアと誤診されたり晩発性統合失調症と誤診されることもある。最も多い誤診はアルツハイマー型認知症である。
③初期からBPSDが起こりやすい
認知症が目立たないのに、抑うつや幻覚・妄想や不安といった、いわゆるBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia行動・心理学的症状)が目立つことが多い。早い時期にうつ状態を示すことが多いので、うつ病と診断されて、うつ病の治療を受けていることが少なくない。また、幻覚の中でも特有なありありとした具体的な内容の幻視が特徴的である。他の人には見えないのに、ヒトや小動物が見えることが多い。これらの精神症状のため異常な行動が起こることもある。
④初期には認知症が目立たないことが多い
このように初期には記憶障害があっても比較的軽く、いわゆる軽度認知障害mild Cognitive impaiment (MCIと略)のレベルであることが多い。すなわち、記憶障害は同年齢の人より多く、自分も周囲の人も記憶障害が多いことに気づいているが、日常生活にはあまり支障がなく、認知症ではない。
⑤ケアが大変
以上のような症状のために介護が非常に大変である。DLBでは、初期から認知症ではなく、BPSDが目立つことが特徴で、特に介護する人はそれに振り廻されることが多い。しかも、記憶がが比較的保たれるためごまかしはきかないし、、一時的な気休めは通じないため、対応が非常に難しい。
⑥患者・家族のQOLが障害されやすい
そのため患者さんはもちろん、介護する家族の方のQOLがおかされやすい。したがって、できるだけ早期に診断して、的確な治療や、介護の工夫が大切である。
⑦公的に承認された治療法がない
ところが、現在では公的に承認された治療薬がない。アリセプトがアルツハイマー型認知症以上にDLBに効果的であることが国際的にも知られているにも関わらず、これはまだ保険適応にはなっていない。私を中心として最近全国的に臨床治験を行い、その結果を基に早く厚労省にDLBにも使用できるよう折衝中であり、当会でも高見代表の好意で要望書を提出していただいている。要望書はその他、DLB家族を支える会、日本老年精神医学会や日本認知症学会からも提出された。早くドネベジルがDLBに使用可能となり、患者さんやご家族のQOL向上に役立つ日が早く来てほしいと願っている次第である。 (つづく)

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今、レビー小体型認知症介護がわかるガイドブックをシリーズで掲載中です。認知症の人と家族の会の月刊誌ぽ~れぽ~れ363号に小坂憲司先生(横浜ほうゆう病院・院長)の記事が掲載されていましたのでご紹介します。
●はじめに
このタイトルは、「レビー小体型認知症家族を支える会」の宮田真由美会長からの依頼で書いた一般の方々用の薄い単行本のタイトルである。この本はメディカ出版の尾崎純郎氏の協力を得て2009年9月に出版されたもので、レビー小体型認知症についてのわが国で初めての単行本である。
この病気についての歴史的な事項については改めて取り上げることにするが、1995年の第1回国際ワークショップでdemenntia With Lewybodies(DLB)(これを私が「レビー小体型認知症」と和訳し、それ以来わが国ではこう呼ばれるようになった)という病名とその診断基準が提唱されてからわずか10年あまりで、レビー小体型認知症(以下DLBと略)が国際的によく知られるようになり、現在ではこれはアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とともに三大認知症の一つとして広く認識されるようになった。
この病気は元々私たちの一連の研究報告により国際的に知られるようになり、私が「びまん性レビー小体病(Diffuse lewy disease.DLBD}と提唱したものを基礎としている。いわば日本で発見された認知症である。
●今、なぜレビー小体型認知症か?
今なぜDLBが大きなトピックになっているかについていかに簡単に説明することにする。
①頻度が高い
DLBの正確な頻度についてはきちんとした報告がないが、一般的に10数%から20数%という報告が多い。私たちの病理解剖に基づいた、正確な診断によると10年前のデータでは、18%であった。(アルツハイマー型認知症が50%、血管性認知症が18%)。現在では、高齢者の認知症の約20%がDLBであるとされ、高齢者の認知症の5人に1人がDLBということになり、わが国では50万人ほどいると推計されている。なお、アメリカでは130万人いると推計されている。このようにDLBはごくありふれたポピュラーな認知症ということになる。
②誤診されていることが多い
ところが、DLBの診断は難しく、誤診されていることが非常に多い。特に早い時期には誤診されることが非常に多い。それはDLBの早い時期には認知症が目立たないことが多く、CTやMRIといった脳画像では、脳萎縮が比較的軽いからである。うつ病とか老年期精神病とか遅発性パラフレニアと誤診されたり晩発性統合失調症と誤診されることもある。最も多い誤診はアルツハイマー型認知症である。
③初期からBPSDが起こりやすい
認知症が目立たないのに、抑うつや幻覚・妄想や不安といった、いわゆるBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia行動・心理学的症状)が目立つことが多い。早い時期にうつ状態を示すことが多いので、うつ病と診断されて、うつ病の治療を受けていることが少なくない。また、幻覚の中でも特有なありありとした具体的な内容の幻視が特徴的である。他の人には見えないのに、ヒトや小動物が見えることが多い。これらの精神症状のため異常な行動が起こることもある。
④初期には認知症が目立たないことが多い
このように初期には記憶障害があっても比較的軽く、いわゆる軽度認知障害mild Cognitive impaiment (MCIと略)のレベルであることが多い。すなわち、記憶障害は同年齢の人より多く、自分も周囲の人も記憶障害が多いことに気づいているが、日常生活にはあまり支障がなく、認知症ではない。
⑤ケアが大変
以上のような症状のために介護が非常に大変である。DLBでは、初期から認知症ではなく、BPSDが目立つことが特徴で、特に介護する人はそれに振り廻されることが多い。しかも、記憶がが比較的保たれるためごまかしはきかないし、、一時的な気休めは通じないため、対応が非常に難しい。
⑥患者・家族のQOLが障害されやすい
そのため患者さんはもちろん、介護する家族の方のQOLがおかされやすい。したがって、できるだけ早期に診断して、的確な治療や、介護の工夫が大切である。
⑦公的に承認された治療法がない
ところが、現在では公的に承認された治療薬がない。アリセプトがアルツハイマー型認知症以上にDLBに効果的であることが国際的にも知られているにも関わらず、これはまだ保険適応にはなっていない。私を中心として最近全国的に臨床治験を行い、その結果を基に早く厚労省にDLBにも使用できるよう折衝中であり、当会でも高見代表の好意で要望書を提出していただいている。要望書はその他、DLB家族を支える会、日本老年精神医学会や日本認知症学会からも提出された。早くドネベジルがDLBに使用可能となり、患者さんやご家族のQOL向上に役立つ日が早く来てほしいと願っている次第である。 (つづく)
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Posted by 2人3脚 at 07:00│Comments(0)
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