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2010年11月06日

医師の目・人の目認知症 第25 増えている「認認介護」

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症 」パート25

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。




増えている「認認介護」


平気寿命が女性86.05歳、男性79.29歳(2008年)と、長寿社会になったいまの日本では、80歳代の介護者はけっして少なくない。精神や身体に特に障害がなく、元気に活動できる高齢者が増加しているのが長寿社会の特徴であるので、私は80歳代の高齢者が介護に携われないとは思っていない。





訪問介護や外来で診療している患者を介護している80歳代の高齢者は少なくない。家族の援助や訪問介護、訪問看護、入浴サービスを利用しながら、痰の吸引をはじめ、褥創(じょくそう)などの処置、経管栄養の管理まで、見事にこなす介護者もいる。80歳前後の夫婦が、共に認知症である確立は、約8%と考えられる。そうすると、11組の夫婦の1組は、認知症の人が認知症を介護するいわゆる「認認介護」となる。






認知症とは知的機能の低下よって、引き起こされる生活障害で、認知症になると、生活全般への見守り・援助が必要になる。夫婦共に認知症なれば、介護どころか生活が成り立たなくなると考えられる。しかし、症状が二人とも同程度ではなく、一人が重く、もう一人が軽い場合が普通だ。介護もある程度できる。一人が亡くなり、残った人が激しい症状を出すようになって家族が非常に驚いたという話を聞いたことが何度もある。





配偶者の死という環境の変化によって認知症の症状がひどくなったことも確かだろうが、家族に認知症だと気付かれることなく介護あるいは生活が維持できていたこともまた事実だ。ただし、服薬管理、食事、何かあったときの判断などの問題がある。薬を朝昼晩に分けて間違いなく服薬できるようにする。介護の手順を箇条書きに分かりやすく書いて見やすいところに貼っておく。訪問介護士や訪問薬剤師が必要に応じて電話や訪問をする。もちろん介護保険のサービスを十分利用する。そうすることによって、私はこれまで何組もの夫婦の在宅ケアを支えてきた。





寝たきりの妻と、食道がんはあるものの身体的には元気な夫が、共に認知症である夫婦の訪問診察を行い、昨年、妻を自宅で看取ることができた。妻は終末期になって食事が取れなくなり、心不全症状を起こした。自宅で点滴を受けながら、妻の妹の献身的な介護のかいあって、自宅での穏かな最期を迎えたのであった。






 医師の目・人の目認知症 第25 増えている「認認介護」






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