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2011年05月15日
転ばむ先の入れ歯なり・8020歯を大切に
8020・歯を大切に
転ばむ先の入れ歯なり
大井 孝 東北大大学院歯学研究科助教授
少し前のこと、喜寿を迎えた父がスーパーで買い物中に転倒して救急車で病院に担ぎこまれました。頭を多少打ったようですが、幸い骨折や脳への問題もなく、小さなコブができただけで済みました。普段からこうした有事に備えて厚手のニット帽をかぶって外出する父の用意が良かったようです。今でこそサラッと書いています、最初に電話でそれを知ったときは音を立てて血の気が引いてゆくようでした。
さて、それでというわけではありませんが、今回の話題は高齢者の転倒骨折です。転倒骨折は高齢者が要介護に至る大きな原因です。平成16年度に厚労省が実施した国民生活基礎調査では、脳血管疾患、老衰による衰弱に次ぐ要介護の原因であるという結果が出ています。高齢者の転倒で骨折部位が多いのは、大腿骨、上腕骨、頭骨(前腕の親指側にある長い骨)で、特に大腿骨の骨折は受傷後に起こる心身の活動性低下や、筋の廃用性萎縮によって要介護になる割合が非常に高いことが知られています。
廃用性萎縮とは、安静期間が長くなることによって生じる器官や組織の萎縮です。転倒骨折のリスクを高めるものには、加齢による筋力、バランス、視覚などの身体機能低下や脳卒中、関節炎、骨租しょう症などの疾患、それから段差、障害物、証明などの環境要因が挙げられます。
身体を支えたり、バランスをとるとき、人は下あごの位置を固定し、特にその位置で強いかみ締め力(咬合力)を発揮します。そこで私たちは仙台市に住む70歳以上の高齢者828名を対象に、約3年11ヶ月間にわたり転倒骨折の発生を追跡して、追跡開始時の噛み合わせや咬合力がその後の転倒骨折発生にどのように関係するかを調査しました。その結果、29名、(3.5%)に転倒骨折が見られ、咬合力が大きいグループに比べ、て小さいグループは4倍以上転倒骨折を発生しやすいことがわかりました。
一方で、自分の歯による噛み合わせの多寡と転倒骨折発生には関連が認められませんでした。したがって、たとえ自分の歯による噛み合わせが少なくなってしまったとしても、しっかりした義歯で噛み合わせを回復し、咬合力を増すことで転倒骨折のリスクをいくらかでも軽減させられる可能性が示されました。「転ばぬ先の入れ歯なり」、と言ったところでしょうか。それとニット帽も。
<ホーム長のつぶやき>
上記のことをブログアップしたのは常日ごろから私の思っていることです。訪問歯科医と連携しながら、いま、2人3脚では口腔ケアに力を入れたり、虫歯の治療や義歯の調整をしていただいています。特に男性は大腿骨頚部骨折をすると女性に比べて4倍の確立で死に直面してしまいます。そうならないためにも歯はとても大事なことです。廃用症候群に陥ると全身の筋肉も落ちてしまいます。特に飲み込む力、噛む力が弱くなり誤嚥性肺炎を起こしてしまい、死亡するケースが多いのです。
以前ブログにアップした、「知らないと怖い口の中の汚れ」も参考にしてみてください。カテゴリーの医学講座の目次をクリックすると見ることができます。
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転ばむ先の入れ歯なり
大井 孝 東北大大学院歯学研究科助教授
少し前のこと、喜寿を迎えた父がスーパーで買い物中に転倒して救急車で病院に担ぎこまれました。頭を多少打ったようですが、幸い骨折や脳への問題もなく、小さなコブができただけで済みました。普段からこうした有事に備えて厚手のニット帽をかぶって外出する父の用意が良かったようです。今でこそサラッと書いています、最初に電話でそれを知ったときは音を立てて血の気が引いてゆくようでした。
さて、それでというわけではありませんが、今回の話題は高齢者の転倒骨折です。転倒骨折は高齢者が要介護に至る大きな原因です。平成16年度に厚労省が実施した国民生活基礎調査では、脳血管疾患、老衰による衰弱に次ぐ要介護の原因であるという結果が出ています。高齢者の転倒で骨折部位が多いのは、大腿骨、上腕骨、頭骨(前腕の親指側にある長い骨)で、特に大腿骨の骨折は受傷後に起こる心身の活動性低下や、筋の廃用性萎縮によって要介護になる割合が非常に高いことが知られています。
廃用性萎縮とは、安静期間が長くなることによって生じる器官や組織の萎縮です。転倒骨折のリスクを高めるものには、加齢による筋力、バランス、視覚などの身体機能低下や脳卒中、関節炎、骨租しょう症などの疾患、それから段差、障害物、証明などの環境要因が挙げられます。
身体を支えたり、バランスをとるとき、人は下あごの位置を固定し、特にその位置で強いかみ締め力(咬合力)を発揮します。そこで私たちは仙台市に住む70歳以上の高齢者828名を対象に、約3年11ヶ月間にわたり転倒骨折の発生を追跡して、追跡開始時の噛み合わせや咬合力がその後の転倒骨折発生にどのように関係するかを調査しました。その結果、29名、(3.5%)に転倒骨折が見られ、咬合力が大きいグループに比べ、て小さいグループは4倍以上転倒骨折を発生しやすいことがわかりました。
一方で、自分の歯による噛み合わせの多寡と転倒骨折発生には関連が認められませんでした。したがって、たとえ自分の歯による噛み合わせが少なくなってしまったとしても、しっかりした義歯で噛み合わせを回復し、咬合力を増すことで転倒骨折のリスクをいくらかでも軽減させられる可能性が示されました。「転ばぬ先の入れ歯なり」、と言ったところでしょうか。それとニット帽も。
<ホーム長のつぶやき>
上記のことをブログアップしたのは常日ごろから私の思っていることです。訪問歯科医と連携しながら、いま、2人3脚では口腔ケアに力を入れたり、虫歯の治療や義歯の調整をしていただいています。特に男性は大腿骨頚部骨折をすると女性に比べて4倍の確立で死に直面してしまいます。そうならないためにも歯はとても大事なことです。廃用症候群に陥ると全身の筋肉も落ちてしまいます。特に飲み込む力、噛む力が弱くなり誤嚥性肺炎を起こしてしまい、死亡するケースが多いのです。
以前ブログにアップした、「知らないと怖い口の中の汚れ」も参考にしてみてください。カテゴリーの医学講座の目次をクリックすると見ることができます。

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Posted by 2人3脚 at 10:15│Comments(0)
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