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2011年07月03日

医師の目・人の目 第37条 ペース合わせ負担軽く

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」 パート37

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。





ペース合わせ負担軽く


「先生は『認知症の人の言動にまず合わせなさい。焦ることはあなたの負けですよ。認知症の症状がひどくなり、介護の負担が増すだけです』とおっしゃいますが、実際に介護している身になりますと、そう合わせてばかりはいられません。しなければならないことが山ほどあるのですから」極めてもっともな言葉だと思う。仕事や家事をこなしながら、さらに介護をしている人に対し、「認知症の人のペースに合わせなさい」と要求するのは過酷かもしれない。





それでは認知症の人の気持ちを受けともめて上手に介護している人は、すべてを介護に費やしていて、自分のことや家庭のことをする余裕のない人であろうか。筆者の経験では必ずしもそうではない。むしろうまく自分の時間を作っている人ではないかと思う。「ペースをあわせる」場合、「時間をかけて食事をするのを待つ」「トイレに何度も出入りするのをそのままにしておく」「着替えに時間がかかる」「なだめ、すかしてお風呂に入れる」など日常生活の動作に時間がかかるのをせかさないで待つことが必要になる。





介護者は、「時間が長くかかる」ことに我慢できないことよりも、「ゆっくりしたペース」に我慢できないことの方が多いようだ。したがって「早くしなさいよ」「先ほど注意したばかりでしょう」「いいかげんにしてちょうだい」「もう手を出さないで」というような、催促、注意、禁止の言葉が出る。そうすると「聞いたことはすぐ忘れるが、そのときに受けた感情が残る」という「感情残像の法則」によって、認知症の人は介護者の言うことをますます聞いてくれなくなるのである。





介護のコツである「ペースは合わせるもの」をスムーズに行なうことは介護者に気持ちの余裕がなければできない。そのためには次のようなことが必要だ。まず認知症の特徴とその心理を知る。認知症の人の世界を知り、その世界に合わせた演技ができるようになる。介護保険サービスや、介護用品についての知識を深め、適切に生かす。いろいろな人との交流を通して、他の人の経験を自分の介護に生かす。薬を適切に使うことで激しい症状も治まることもあるので、主治医に相談することもよい。






認知症の人のペースに合わせることは、結局、介護にかかる精神的、身体的、物理的な負担を軽くすることにつながるものだ。










<ホーム長のつぶやき>




認知症の人のペースに合わせることは忍耐が必要かもしれません。千差万別その方のできるペースが違います。つい介護者が楽をしたいために介護者のペースで物事を運ぼうとしますが、認知症の人の対応はかえって逆効果になってしまいます。今現在できている能力を奪ってしまうと次にチャレンジしようとしてもやってくれません。イライラしたら深呼吸でもして自分の気持ちを落ち着けてから笑顔を作り対応しましょう。「感情残像の法則」は過去記事をご覧下さい。その部分をクリックすると過去記事が見れます。ペースを合わせられずに介護してしまうと周辺症状に悩まされることになり、大変なおもいで介護しなければならなくなります。







医師の目・人の目 第37条 ペース合わせ負担軽く






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