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2011年07月12日

若年認知症患者と家族の実態を追って

若年認知症
患者と家族の実態を追って
        (H. 23.7.12付 聖教新聞・作家ジャーナリスト 藤本美郷氏)




初期症状を見落とさない


私の祖父は生前、認知症で、食事をしても「飯を食わせない」と怒り、財布を捜しては「誰が盗んだ」と家族を泥棒呼ばわり。こうした65歳以上の高齢者の認知症は「老年性認知症」と言いますが、64歳以下で発症した場合を「若年性認知症」と呼びます。全国200万人を超す認知症患者の中で、若年性認知症の患者は少なくとも4万人。本人が気付いていないケースもあり、推定10万人とも。





働き盛りの40代、50代男性の発症が多く、夫が患って主な収入源を失うと、家計への影響も計り知れません。認知症は、脳の神経細胞が損傷することにより、物事の認識力や記憶力、思考力、判断力が衰え、日常生活に支障をきたす病。がんと同様に、早期発見・早期治療が重要です。しかし、初期症状を見落としやすく、「夫の異変を、会社からの連絡で初めて知った」という妻もいます。





認知症に気付くきっかけは①同じ事を何度も言ったり聞いたりする②物の名前が出てこないなど。ところが、夫が家で多少おかしな行動をとっても、妻は「「ちゃんと気を付けてよ」と言うぐらいで、まさか認知症だと思わないケースが少なくありません。中年男性Yさんは、職場のパソコンのパスワード、会議の時間や場所などを忘れ、何度も周りの人に尋ねて、部下に「おかしい」と思われていました。本人も「何か変だ」と思い、メモを取るなど工夫を重ねますが、ついに社内で迷子に。症状は初期から中期に入っていました。患者の中には、仕事でミスが続いて退職に追い込まれた方も。普段やっていた簡単な作業を出来なくなった場合、周囲の方は若年性認知症を考えるべきです。





愛する人、大切な命に変わりはない


認める勇気と準備


認知症は生活習慣の見直しで、ある程度予防が可能です。また、“治らない病気”と思われがちですが、中には、早期治療で、症状を抑えたり改善できる場合もありますので、早めの受診を。精神科や神経科、老人科のほか、「もの忘れ外来」」「認知症外来」などで診てもらえます。ただし、周囲が受診を勧めても本人が断るケースも。自尊心を傷つけられたと感じる場合もあり「健康診断の一環だから」「あなたの年齢では誰でも受診するから」など、診察を受けやすくする配慮が大切です。





万一、初期の認知症と診断されても、将来のへの備えが出来ます。また、怒りっぽくなった夫に、「愛情が薄れたのでは」と勘違いをしていた妻が、診断で夫を支えていく決意をした例もあります。ともあれ、認知症の告知は、本人も家族もすぐに受け入れることは困難です。今後どのようなことが起こり得るのか、病気を知ることが“受容への第一歩”となります。




中期になると家族や、医師らを判別しにくく、化粧水を飲んだり、ズボンを頭からかぶるなどの寄行も。診断を受け入れがたい家族も、“認める勇気”が必要になります。そして、本人が分かるうちに備えておきたいことは、①預貯金や医療・介護費用、障害年金の申請などの経済的準備②遺言などの意思の表明③旅行など家族との時間を大切にする、などです。





愛する人が変わっていく姿に、、家族の不安は尽きず、言い出しにくいと思いますが早めに本人と話し合いましょう。また、日常生活での支障が大きくなり近隣の方を困らせる行為も。病の公表も考えざるを得ませんが、正しい理解と協力を得てトラブル回避につなげたいものです。





支援体制を知ろう


若年期認知症になるのは、つらく悲しいことですが、夫婦に新たな絆が生まれたように感じる方もいました。50代後半に認知症を患ったある夫は、やむなく会社を廃業。出来ること・わかることが少なくなる不安と葛藤を胸に、妻に言いました。「これからどんなにつらいことがあっても、乗り切っていってほしい」と。やがて妻の顔も分からず、「社長」「師匠」と呼ぶ夫。妻は途方にくれながらも、夫の言葉を支えに奮闘する中、若年認知症家族の会を知りました。家族会での情報交換は、本人や家族にとって有効です。参加者からは「同じような境遇の人々からアドバイスをもらい、今後の不安が軽減された」などの声を伺います。





受診直後や本人への告知前でも症状が進んだときのことを考え、早期に家族会との連携をお勧めします。また、妻が若年性認知症になった場合、夫が“主夫”となり、仕事に家事に介護にと、その苦労も甚大です。患者の余命は発症後およそ6年~8年ともいわれますが、10年以上生きられる方もおり、人により異なります。家族での介護が限界に達する前に、介護保険や介護サービスなどを利用しましょう。





支援制度については各地の社会福祉協議会や地域包括支援センター等でも、聞けますが、「家族会で同じ経験者に相談する方が、精神的に安心できた」と語る人もいます。廃業した先ほどの男性は、その後、就労を支援する認知症サポートセンターで洗車や草取りの仕事を、中年で発症した認知症患者の多くは、就労意欲が高いのも特徴です。若年期認知症になっても、愛する人、大切な命に変わりはない―妻は毎晩、寝る前に、「『お父さん、今日も一日、無事に過ごせたな。ありがたいな』と言う時に見せる、夫の笑顔が一番の支え」と語ってくれました。








<ホーム長のつぶやき>


私が認知症の人家族に入会したのは10年以上前になります。家族の方のご苦労や辛さを知らなければ 良い看護が出来ないと、当時思ったからでした。そんなおり私が勤めていた老人性認知症疾患療養病棟に若年性認知症の男性が入院してきました。家族は疲弊しきっていましたので、家族の会の入会を勧めました。今では、私と一緒にコールセンターや家族の会の世話人として活躍されています。家族でなければわからない悩みや成年後見制度も使っていますので、成年後見制度をこらから利用する方や今現在、成年後見制度で悩まれている方の良き相談相手になっています。






昨年から認知症の人と家族の会・静岡県支部では若年性認知症の集いを開催し認知症の本人さんからの講演や若年性認知症の家族の方からの講演会も開いています。また、今年は若年性認知症のチラシを作成し、医師との連携や一般の方の理解を深めていただくために広報活動も積極的に行っていきます。また、フィランセにおいて、毎月第3土曜に認知症サポーター養成講座を開催する予定で動きだしました。富士市介護保険課に申し込みをしますと何人からでも認知症講座を90分くらい学ぶ事が出来ます。是非参加し、認知症という病気の理解やコミュニケーションを一緒に学んでみませんか。







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