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2009年12月08日

杉山Drの優しい医学講座

2.老人性難聴
                      (認知症の人と家族の会 副代表杉山孝博医師より)

年をとると多かれ少なかれ耳の聞こえが悪くなります。聞き違えが多くなったり、話しかけたときにあいまいな表情で返事をしたり、何度も聞き返すようになると、その高齢者に難聴があるのではないかと疑うことが必要です。



高齢者の難聴には、耳垢による外耳道閉塞、慢性中耳炎や外耳道炎などの伝音難聴と内耳や聴神経の障害による感音難聴=老人性難聴があります。感音難聴はほとんどの場合治すことはできませんが、伝音難聴は治療により治すことができますから耳の聞こえが悪くなったら耳鼻科医の診療を受けることが大切です。



寝たきりや認知症高齢者の場合、耳垢が外耳道を完全に閉塞していても訴えない場合があります。急に聴力が低下したと訴える場合、耳垢を除去するとコミュニケーションが非常に改善することもしばしばあるので、耳鼻科に受診して耳を見てもらうと良いでしょう。




老人性難聴では、加齢によって内耳(蝸牛)の機能低下が起こり、さらに中枢神経の機能低下も加わって、音を聞き取ることが難しくなります。特に高い音が聴き取りにくくなります。私たちはお年寄りの表情を見て聞き取れているかを確認しながら、ゆっくりはっきりと話しかけなければなりません。それでも聴力が低下してきますと補聴器を使うことになります。



所で、私たちの耳は周囲の雑音から必要な音のみ聞き分けるすばらしい能力を持っています。そのためひどい雑音の中でも会話することができるのです。しかし、補聴器は同じ割合で雑音が拡大するので、やかましさを我慢しても補聴器を使ったほうがよいと本人が思わなければ、せっかく買った補聴器を使わない高齢者も少なくありません。理解力の低下した認知症高齢者の場合、補聴器を使わないこともしばしばあります。最近では性能が良いものができて雑音が少なくなってきましたが、まだまだ不十分です。補聴器に慣れるまで根気強さが必要です。



大声で話すことは介護者にとって精神的にも身体的にも消耗するものです。また、怒鳴るような調子で話しかけられると本人は相手に叱られているととらえがちです。そのようなとき、紙などを丸めて作ったメガホンや自由に伸ばせる蛇腹状の「もしもしホン」など使うと穏やかに話ができて、介護者のイライラが軽くなります。



補聴器をつけていても後方や斜め方向から話しかけられると聞き取りが難しいものです。相手の表情や口元を見ながら言葉を理解しようとしますから、向き合って話すことを心がけましょう。高度の難聴者には助成制度もあります。耳鼻科に相談すると良いでしょう。











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Posted by 2人3脚 at 09:08Comments(0)医学講座

2009年12月06日

杉山ドクターのやさしい医学講座

第1章 高齢者の疾病と主な症状
                      (社団法人認知症の人と家族の会 副代表杉山孝博Dr)


1.高齢者の疾病

高齢者と接しお世話をする場合、高齢者の病気の特徴をよく知っておくことが大切です。一般的に人間の成長は、25歳頃に完了し、40歳代までに体の働きが最も保たれています。やがて40代後半からすばやい動きができなくなるなど、老化減少が見られるようになります。



女性は生理が不規則となり、ついには停止してしまいます。(閉経)心臓や肺など生命を維持するために欠くことのできない生理機能にも、老化による機能低下が目立つようになります。こうした現象は予備能力や調節力が減少して、バランスが乱れたり、ストレスなどによって病気に罹りやすいことを意味します。



乳幼児期、青年期、壮年期、それぞれに罹る病気の特徴があるように、老年期にも他の時期に見られない次の特徴があります



①.症状が現れにくく、また典型的でない

子供の場合、軽い風邪を引いても高い熱やせきなどの症状がはっきり出ますが、高齢者の場合肺炎に罹っても高い熱も出ないしせきが出なかったり、狭心症や心筋梗塞になっても、強い胸痛を感じないことが少なくありません。したがって命に関わるような病気が見過ごされたり、発見が遅れたりしやすいのです。



②.複数の病気に罹っている場合が多い

糖尿病は脳梗塞、心筋梗塞を引き起こしやすい、というように、生活習慣病は合併症を招きやすいので、、複数の病気を持っている場合が少なくありません。骨、間接疾患など老化に伴う病気は当然、高齢者に多くみられます。




③.自覚症状の訴え方がはっきりしない


体調が変化してもうまく表現できなかったり、我慢して訴えなかったりします。基礎疾患を持っていることが多いので、新たな病気の症状が基礎疾患の症状に隠されてしまいがちです。例えば、胃がんによる背部の痛みが加わっても、変形性脊椎症よによるいつもの痛みと考えて発見が遅れるケースがあります。



④.急性期の病気の治療が長引き、慢性化しやすい

脳卒中で同じ病気があっても若い人よりマヒの回復は遅く、後遺症として残りやすくなります。



⑤.体の予備力が低下しているため、急激な変化が起こりやすい


肺機能や心機能が低下しているため、肺炎を起こしやすくなります。また、脱水をおこしやすいため、食欲が低下したときや、下痢をしているときなどには、注意が必要です。




⑥.病気そのものだけでなく家庭的、社会的条件が予後に大きく影響する

療養環境が高齢者の病気の経過を決めるといってよいほど、家庭や地域社会の対応の仕方で、高齢者の意欲も病状も変わります。気がねなく療養生活を送ることができ、なおかつ介護の負担が特定の家族にかからないような援助システムの整備が必要です。



⑦.薬剤の副作用が起こりやすい


老化による腎機能低下や肝機能の低下のために、薬物代謝が遅れるなどして、薬物の排泄などが障害されます。したがって副作用が現れやすくなります。




以上高齢者の体と疾病について主な特徴を記しました。こうしてみると、年をとることはマイナスの側面ばかりのように映りますが、必ずしもそうではありません。精神的機能のうち、新しいことを覚えこむ力(記銘力)は20歳前後をピークとして低下していきますが、多くの経験や知識を用いてなされる総合的判断や理解は老年期のほうが深まります。マイナスとプラスの側面を理解して介護にあたりましょう。










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Posted by 2人3脚 at 10:28Comments(0)医学講座