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2010年07月02日

杉山ドクターの認知症をよく理解するための8大法則 1原則

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則

                         (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師)


第5法則 感情現像の法則



認知症の人は、第1法則の記憶障害に関する法則が示すように、自分が話したり、聞いたり、行動したことはすぐわすれてしまいます。しかし、感情の世界はしっかり残っていて、瞬間的に目に入った光が消えた後でも残像として残るように、その人がそのときいだいた感情は相当時間続きます。このことを「感情残像の法則」といいます。出来事の事実関係は把握できないのですが、それが感情の波として残されるのです。






認知症の人の症状に気づき、医師からも認知症と診断されると、家族は認知症を少しでも軽くしたいと思い、いろいろ教えたり、詳しい説明をしたり、注意したり、叱ったりします。しかし、このような努力はほとんどの場合、効を奏しないばかりか、認知症の症状をかえって悪化させてしまうのです。






まわり(とくに一生懸命介護している人)からどんな説明を受けても、その内容はすぐに忘れてしまい、単に相手をうるさい人、いやなことを言う人、怖い人と捕らえてしまいます。つまり、自分のことをいろいろ気遣ってくれる身近な人と思わないのです。これをどう理解したらいいでしょうか。







認知症の人は、記憶などの知的能力の低下によって、一般常識が通用する理性の世界から出てしまって、感情を支配する世界に住んでいる、と考えたらいいでしょう。







動物の世界に似た一面があります。弱肉強食の世界に住む動物たちは、相手が敵か味方か、安心して気を許せる対象か、否かを速やかに判断し、感情として表現します。認知症の人も実は同じような存在なのです。安全で友好的な世界から抜け出してしまった認知症の人は、感情を研ぎすまして生きざるをえない世界の中に置かれているのです。







周囲のものはそのような本人が穏かな気持になれるよう、心から同情の気持で接することが必要となります。つまり認知症の人を介護するときは、「説得よりも同情」です。感情が残るといっても、悪い感情ばかりが残るのではないので、よい感情が本人に残るように接することが大切です。






自分を認めてくれ優しくしてくれる相手には、本人も穏かな接触をもてるようになるものです。最初のうちは難しいかもしれませんが、「どうもありがとう。助かるわ」「そう、それは大変だね」「それはよかったね」などの言葉が言えるようになれば、その介護者は上手な介護ができているといえます。






例えば認知症の人が濡れた洗濯物を取りこんでいるのを見つけたとき「まだ乾いてないのにお母さん、どうしてわからないの、余計なことをしてくれて」というのと「ああ、お母さん手伝ってくださってありがとう。後は私がやりますからそちらで休んでいてください」というのとでは介護のしやすさが大きく違ってくるものです。






杉山ドクターの認知症をよく理解するための8大法則 1原則




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この記事へのコメント
私の母も認知症が大分進んできてます。

感情現像の法則・・・母を見てて、確かに なるほど・・・と思います。

有り難うございます。92歳になります。月2ぐらい 妹とホームに

顔 "^_^" 見に行ってます。
Posted by いちご at 2010年07月02日 08:48
以前『心は活きている。叱られた事は忘れない』という記事を見て、「じゃあ介

護する人の立場はどうなるの!」とがっかりしましたが、そうですか、好い感じ

も心に残っているのですか。それを信じて、穏やかに話しかけるよう心掛けま

しょう。
Posted by 久保田 稔 79歳 at 2010年07月02日 10:07
いちご様

コメントありがとうございます。

2人3脚でも 感情現象の法則はよく体験します。

スタッフは心得て応対していますが、ついつい怒ら
 
せてしまうこともあり、体験から学んでいるようです。
Posted by 2人3脚2人3脚 at 2010年07月03日 00:58
窪田稔様

コメントありがとうございます。

介護体験を経験することで皆さん学ぶ事が多々あるようです。

今日は、東京出張で母のいる八王子に来ています。

86歳ですが元気です。耳はほとんど聞こえません。
Posted by 2人3脚2人3脚 at 2010年07月03日 01:06
 
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    コメント(4)