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2010年09月04日

家族の接し方10か条・第5条意欲の活性化について

家族の接し方10か条
                                 (ボケ予防協会より)

第5条 意欲の活性化
本人を 生きいきさせる よい刺激





人は誰でも快い環境や雰囲気、ほどよい刺激を受けると、気分がよくなり、気持ちが晴れやかになります。認知症老人も同じです。認知症だから何も感じないのではありません。新しいことを記憶することは困難ですが、気持ちは豊かです。






特に、昔の歌や踊り、長い間行なってきた料理や仕事などは“手続き記憶”といって、認知症になってもかなりの部分が残っています。理屈ではなく体で覚えているのです。






昔の場面が好きな人は、グループ活動している場面へ参加し、興味のある場面で自然に溶け込んで楽しむ機会になります。参加することで他者との交流も広がり、他者との関係ができたり関係の中で快い刺激も出てきます。例えばいろんなグループ活動をしている場面に接していくうちに、今まで経験したことがなくても、絵などを描いたことがなくても偶然描いた作品から褒められたりすると、そのことがきっかけで味のある作品が生まれてくる場合があります。





認知症になっても、“隠れた能力を発揮”することができるのです。それらの機会を上手に作ることが大切です。また、一人が好きな人は昔習った楽器や好きな音楽を聴くのもよいでしょう。縫い物が好きなようであれば簡単な小物などを作り日常生活の中で使用し役に立っていることを伝え、感謝の気持ちを表すことも一つの方法です





失敗感を持たせないように配慮し完成した作品から可能性をみいだせる様にするとともに他者が評価することで、自信も取り戻せ、新しいことへ挑戦できる糸口にします。





安全で穏やかな生活の中に、心が動くような楽しい生活環境をつくることなのです。感覚は健康な人と同じです。精神的な部分に触れるような働きかけが意欲を引き出し、生きいきするのです。よい刺激を絶えず与える工夫をしましょう。








<ホーム長のつぶやき>


生きる意欲、食べる意欲
歩きたいという意欲から
関わりを通して変っていったB様



2人3脚に入居したB様は開所して1ヶ月が過ぎた頃でした。入院している病棟で初めてお目にかかりました。ほとんど喋らずうつむきかげんでヨチヨチと歩いていました。グループホーム入居前に尿路感染症に罹り一気に歩行困難、その後尿路感染症は改善したものの、自らの足で歩こうとしませんでした。車椅子でグループホームへ入居してきました。ほとんど日中も寝たきりの状態で、腰にも寝だこ(褥創)ができかけていました。歩けるのに歩けない。何とか歩けるようにしよう!





●外に目を向けていったことによって変わってきた


まず、自室に閉じこもっている時間をできるだけなくしていこうとケアプランを立案しました。生きる意欲がなく声を掛けても拒否的な言葉ばかりで、精神症状の方が強く一日中ベッドの生活です。ある時、地域の生涯福祉推進委員のお誘いで、保育園児と過ごす老人会に招待され、B様をお連れしました。園児達と接しているうち笑顔も見られました。その頃から明るい兆しが見えてきたのです。





●外にお誘いするプランを多く取り入れて


次は小学校・地域との合同運動会、地域の文化祭や福祉展にお誘いしていくうちにベッド上で過ごす生活から徐々に車椅子でディールームで過ごす時間が増えてきました。しかし、歩く意思は全くありません。整形外科に受診しましたが異常なし。次の目標は自分の足で歩くこととしました。





●歩けるようになったきっかけ


食事は3食とても早く、ほとんど噛まずに口の中に詰め込みながら食べてしまうため、職員はそばに寄り添い少しずつ小分けにしながら食べていただきました。しばらくすると危険な食べ方がなくなり落ち着いて食べられるようになったため、見守りで食べられるまでになりました。食事に対する意欲がとても強かったので食事前、車椅子を徐々にテーブルから遠ざけ椅子まで歩く練習を始めました。何ヶ月か繰り返ししているうちに車椅子を使用しなくてもつたい歩きで歩けるようになりました。





●意欲につながったきっかけは行動範囲が広がってきたこと



生活リハビリをコミュニケーションによって積極的に関わっていただけるように気を配りしました。自分の食べた茶碗を片付ける、洗う、洗濯を干す。お絞りをたたむ、セットする。役割をつくっていったところ長い時間立っていることができるようになってきました。自分の趣味活動の編み物にもチャレンジ。2人3脚のすべての椅子カバーを編んでいただきました。「私の終の棲家は2人3脚です」嬉しい言葉が聞かれました。






意欲を出すことによって自分自身の体(精神面・肉体面)のバランスも正常化し、こんなにも変わってきたことを実証された例です。あきらめずにあせらずにコツコツとチャレンジしてみましょう!





家族の接し方10か条・第5条意欲の活性化について








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この記事へのコメント
表題の『本人を生き生きさせる良い刺激 意欲の活性化』は認知症患者への対応だけでなく、全ての人の生き方、レベルアップに繋がります。

私も現役の時、マニュアル通りに仕事を無難にこなすのを不満とし「流石は」と言われるようにするには何処をどう工夫すればよいかを考え、相応の成果を挙げてきました。認知症の人も感覚は健康な人と同じだと思います。

駄目人間は出来なかった時の言い訳を先ず考え、『やっぱり出来なかった』と逃げ道を用意してその方向に向っているものです。

ケア付きマンションに入って2年余、ケアマネージャーと綿密に打ち合わせて意欲の活性化を図っていますが、今のところグループ活動が参加者の質・量不足から所期の効果を得られないので、私がボランティアとして仲間に入って器楽演奏などで改善策を模索しております。(今の所成果は不十分です)

幸い入居者の方々から温かい励ましの言葉などを戴いており、昨年文化祭の作品展示に出品した手編みの袋などは欲しいと言ってくださる方が居て随分喜んだものでした。

ホーム長のつぶやきを参考に、家内には今何が出来るか・どうすれば出来るようになるか・マンション内や地域との交流は望めるか等々模索し、行動範囲を広げて症状の改善を図って見ます。(Try and error の繰り返しも良し)
Posted by 久保田 稔 79歳 at 2010年09月05日 11:33
久保田稔様

貴重なコメントいつも有難うございます。

私にとって久保田様のコメットは活力源となっています。

毎日こコツコツ入れているブログをこんなにも感動している方が

いることは本当に感慨無量です。   実は・・・

私あまり頭はよくないんです。しかし、あつ~い思いだけは人一倍

持っていると思っています。こらが私の持ち味かなって・・・。^^

手編みの小物是非拝見したいです。これからも宜しくお願いいたします。

久保田様のコメントでまだまだ、世の中捨てたもんじゃない

頑張ろうと思っている方がきっといます。

奥様の介護、あきらめないでコツコツと

本人の気持ちになって寄り添って!
Posted by 2人3脚 at 2010年09月05日 21:41
 
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    コメント(2)