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2011年07月01日

異常行動を伴うレム睡眠行動障害(RBD)・夢の内容に反応

異常行動を伴う
レム睡眠行動障害(RBD)

                          7/1付・生活ワイド・聖教新聞より
 睡眠障害専門外来小鳥居諫早(ことりいいさはや)病院・小鳥居湛(ことりいたたゆ)院長


夢の内容に反応する


レム睡眠行動障害の特徴的な症状は、「夢の内容に反応して行動する」ことです。男性に圧倒的に多く、また多くが中高年以降に発症します。ヒトは眠っている間、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返します。夢を見るのは眠りの浅いレム睡眠の時ですが、この時は筋肉の活動が停止し、体が動き出すことはありません。





しかし、何らかの原因で、レム睡眠で筋肉の活動停止が起きず、夢に反応した異常行動が出現する睡眠障害がRBDなのです。車にたとえると、レム睡眠時は通常はギアがニュウトラルに入っている状態です。ハンドルを回してもアクセルを踏んでも、車は動きません。RBDは、そのギアが何らかの理由によってドライブやバッグに入って動き出してしまい、行動が現れるということです。






寝言に始まり暴力に至るこっとも


この病気は激しい口調の寝言で始まることが多く、徐々にけんかや争うような夢を見ながら、「この野郎!」等と叫んだり、殴る、蹴るなどの暴力を振るったりベッドから飛び降りるといった行動も見られます。隣で寝ている配偶者などのベッドパートナーは、殴られてけがをさせられたり、首を絞められたりすることがあります。けがにいたらないまでも恐怖を感じて眠れないことも多くあります。逆に、本人が家具に激突する、窓ガラスを割るなどしてけがをし、骨折や縫合を伴うけがに至るるケースもあります。本人はこうした行動に気付かず、多くの方は、家族等の勧めで病院を訪れます。





早めの受診と対応を



症状が出現する頻度は個人差が大きいため、、たまにしか起こらないときには、なかなか病院を訪れないことが多くあります。しかし、故意に殴ったと誤解されて夫婦や家族の関係がギクシャクすることもあります。夜中の行動が恥ずかしいので、社員旅行など行かないという不便さを抱えた人もいました。家族・周囲の病気に対する理解と、早めの受診が重要といえます。加えて、RBD患者の約3割が、将来パーキンソン病や老年期に多いレビー小体型認知症などの神経変性疾患になるとの報告もあり、早めの受診と対応の重要性が増しています。





RBDの原因は、ほとんどの場合はっきりとせず不明ですが、アルコール、睡眠不足、ストレスなどが行動の発現に関係していることがあります。頭部外傷、脳炎、髄膜炎、など頭部の炎症性疾患、中には脳の梗塞や腫瘍から起こることもあるので、脳外科や神経科で脳の磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影(CT)の検査を受ける必要があります。







本人と周囲の安全を確保


クロナゼパムで症状が改善されない、ふらつきなどの副作用が問題となる場合などは、メラトニンを投与することもあります。これは不眠治療に使われることもあります。これは不眠治療に使われることがある脳のホルモン剤です。日本では、まだ市販されておらず医薬品として使われていません。また、パロキセチンなど、新しいタイプの抗うつ薬が有効なことが少なくありません。薬物治療と共に、周囲の環境を整えることも重要です。症状が収まるまでは、他の人は同じベッドや布団で寝ないなど、安全を確保しましょう。ベッドで寝ていた場合は、畳の上にマットや布団を敷いて寝るようにする、周りに物を置かないなど、行動が起きたときに患者本人がけがをしない工夫も必要です。






誘因の除去と薬物治療


異常行動の起きた時に患者の目を覚ますと、たいていの場合、本人は夢の内容を覚えています。しかし、行動については記憶がないため、受診に当たっては、家族など周囲が行動の様子を医師に詳しく話すことが求められます。RBDが疑われる場合、病院に泊まって睡眠ポリグラフィー検査を受けます。





この検査では睡眠時の行動を観察するとともに、脳波、眼球運動、あごの筋電図、さらには呼吸状態や足の動きなどを測定します。レム睡眠時に筋肉の活動が増加していれば、RBDと診断されます。治療には、薬物治療がもっとも有効ですが、飲酒や睡眠不足、ストレスなど、ある程度誘因が特定される時は、まずその誘因を除去する努力をします。薬物治療では、クロナゼパムという抗てんかん薬が使われます。服用開始してから1週間ほどで、約8割の人に行動障害の改善、または頻度の減少が見られます。完治することは難しく、薬は飲み続けることになります。ただし潜在的に睡眠時無呼吸症がある場合、無呼吸を悪化させることがあるので、医師の指示に従ってください。この薬は筋弛緩作用が強いため、夜間や翌日のふらつき・転倒などに注意が必要です。









<ホーム長のつぶやき>


いま、レビー小体型認知症についてブログアップ中ですので興味のある記事でした。睡眠中に異常な行動が現れた場合は家族は症状が落ち着くまでは一緒に寝ない方がいいでしょう。また周りに危険な物を置かない配慮も必要です。本人が怪我をしないための工夫が大切です。行動障害中にかえってとめたりすると殴られたり蹴られたりし、大けがの原因にもなります。記事の中でレム睡眠時間を車に例えての説明は良くわかりますね。以下にレビー小体型認知症のレム睡眠行動障害についての過去記事もご覧ください。


●レビー小体型認知症に多いレム睡眠行動障害 パート18

●レム睡眠行動障害 パート19

●悪夢で大きな寝ごと パート20

●レム睡眠行動障害が現れた場合 パート21







異常行動を伴うレム睡眠行動障害(RBD)・夢の内容に反応







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Posted by 2人3脚 at 13:28│Comments(1)医学講座
この記事へのコメント
年に一度か二度程度発作がおこります。症状からレム睡眠行動障害と考えられますが、薬物治療が必要か迷っています。
Posted by 平野宏太 at 2012年08月25日 20:27
 
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異常行動を伴うレム睡眠行動障害(RBD)・夢の内容に反応
    コメント(1)