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2010年05月12日

ケアからみたアルツハイマー病と脳血管性認知症

ケアからみたアルツハイマー病
と脳血管性認知症

                               (朝田隆医師より)


解剖学的に大脳は外側あるいは表面(皮質もしくは灰白質と呼ばれます)と、内側(髄質もしくは白質)との分けられます。アルツハイマー病では、皮質の神経細胞が死滅することで大脳は外側から萎縮していきます。「アルツハイマー病の進行」とは神経細胞死がより広範囲に及ぶことであり、それとともに認知症症状は悪化していきます。最終的には消しゴムで消し去ったかのように消滅してしまいます。




これに対して脳血管性認知症では、髄質に大小さまざまな梗塞や出血が見られます。この髄質には神経細胞はなく、大脳内部を交互にネットワークする神経線維が走っているため、脳血管性認知症ではこのネットワーク網が随所で断ち切られ、表面の神経細胞は残っていてもその有効利用ができなくなります。




しかし、残りの部分は正常に保たれますから、記憶障害などの認知症状は部分的なものにとどまります。こうした状態が「まだら認知症」などと呼ばれることもあります。





このような病気のメカニズムは異なりますが、二つの疾患にみられる症状は基本的にはそう違いません。もちろん徘徊のようにアルツハイマー病に、感情失禁(ふさわしくない状況でみられる泣き笑い)のように、脳血管性認知症に比較的特徴と思われる症状があり、こうした症状は、両者を区別するうえで役立ちます。






一方ケアに関しては、いずれであっても患者さんの心理状況の理解が基本になることはいうまでもありません。アルツハイマー病と脳血管性認知症の心理特性の違いについて、室伏君子先生は次のように説明されています。





アルツハイマー病には基本的な心理として強い不安や自信のなさがあります。いいかえれば一人にしておかれる孤独な状況は、苦手ですから介護側にはスキンシップ的に密着するアプローチが望まれます。また、虚構の世界に生きていて、直感や感性で判断するので、理屈や損得は通用しません。つまり、説得するよりも理屈はともかく本人に納得してもらえばいいということです。




脳血管性認知症では、自分のペースを乱されることをとても嫌がります。たとえばせかされたり、まわりに沢山の人がいるような状況です。したがって静かな環境で、ゆっくりした対応が求められます。また人見知りや人の好き嫌いがはっきりしている傾向があるので、誰とでも気楽につきあうことはできません。このことはデイケアなどに参加するときに留意すべきでしょう。





さらに、認知症があっても健常人同様に、理屈や損得の通用する現実世界で生きているので、理屈にあった筋道の通った説明をする必要があります。以上のような相違を抑えつつも、いずれのタイプの認知症であっても、以下の点が基本になると考えます。



すなわち、尊重して受け入れようという態度で接する、急激な変化は避ける、能力に応じた適切な刺激と運動メニューを作る、孤独にさせない、などです。













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2010年05月09日

高齢者・認知症の方の日常生活の基本動作

日常生活の基本動作

今回でケアのポイント 最終回で~す



■ 配膳順は 待てず イライラ ブツブツ ウロウロ組から

■ また、食べる速さの 遅い人から

■ 介助では 食べ物の熱すぎに 注意して 
   特におかゆは 気を使うこと

■ 食事どき 「わたくしの口には ごはんがある」

■ そんなにゆっくり 食べるのでは 疲れて眠たくなりますよ

■ 食べっぷりが よくない時は 要注意

■ あたえる食事の量に迷うとき 食事はひかえめに 
   水分は多めに おやつはあまり制限せず

■ 食卓の 席の位置の大切さを 充分にわかって 
   仲間作り トラブル防止の上からも

■ お互いに ”食べやすい、食べさせやすい” 姿勢を考えて

■ 食物の 喉つめ(嚥下困難) 咀嚼困難 こぼしには
   食べ物の 性状・形状 食器の工夫など きめ細やかな対応を 

■ 老人はしゃれた物より 食べなれたものを 

■ 排便処置を 迷うときには 行なう方が 
   多分正解のことが多い

■ 三日目の つづく便秘は 赤信号

■ おしめかえ 「ちょっと腹巻かえましょう」

■ 入浴日 おいはぎみたいに ならないで 
   お風呂あがりにゃ 化粧水(クリーム)でも

■ ゆでだこ防止は 浴槽内に 温度計を

■ ドライヤーや シャワーの介助は うしろから

■ 機械より 手の支えの方が 安心し

■ 着脱時は 一枚一枚 手渡しで

■ 『左 右 左 右』 のかけ声で

■ 脱衣時に 嫌がるときは 便汚染?















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2010年05月08日

認知症・高齢者のケアの留意点

(10年前老人性認知症疾患療養病棟に勤務していた頃スタッフの教育やご家族との勉強会のために作成したものです。ブログを始めた昨年の4月2日にアップしたものです。)



ケアの留意点


■ 急激な 環境変化は 避けること

■ 手は 心の絆!

■ 老人の よい点認めて よい付き合いを

■ 老人は 動いているうちが 華といえ

■ 老人は 孤独に放置しないこと 安易な寝込ませ
   衰えのもと 安心安住の生活に

■ 老人の メンタルケアは 生活の中

■ 『遠くの身内』 は他人へ

■ 『近くの他人』 は身内へ

■ 認知症老人の生きがいは なじみの人間関係にある

■ なじみの人間関係の 最短距離は 家族なり

■ なじみ関係で 前から知った 人にされ

■ 問題行動を 問題にせず あたりまえに

■ なじみになったら お客さん扱いでなく 共にいる人として

■ なじみになると 挨拶や態度も 変わってくる

■ 介助しすぎて 老人のやれる可能性とチャンスを
   奪わないで!

■ 小さなことでも 『自分が』 『自分の』 ということを
   得させるように

■ 老人が 持ち物がないと 言ったときは 
   まずタモトやフトコロを探れ

■ 老人は 家では骨折が少ないが  入院すると多いのは…

■ 認知症老人は 適応が悪いというけれど…

■ 老人を 入院・入所させると 悪くなるというが…

■ 心身のケアは 出来うる限り 継続して













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2010年05月07日

学習・教えること

(10年前老人性認知症疾患療養病棟に勤務していた頃スタッフの教育やご家族との勉強会のために作成したものです。ブログを始めた昨年の4月2日にアップしたものです。)


学習・教えること




■ はじめから だめだめと決めてかからずに 
  一応時々試みること

■ 字を書いて 示してわかる 人もいる

■ 老人には 簡単にしてパターン化し
  (変化しない決まったかたちに)繰り返し教えること

■ 老人の 可能性 残存機能 
  心身の健康に 絶えずよい刺激を!

■ 童謡 昔の流行歌 軍歌は よく憶えていたりする

■ 老人は 仕事的なものを 楽しみとするものが多い

■ お茶のみ 話 歌って これはたいてい楽しみのよう

■ ぼけても たまにはおしゃれを させてみて












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2010年05月06日

認知症・高齢者の接触・対応

(10年前老人性認知症疾患療養病棟に勤務していた頃スタッフの教育やご家族との勉強会のために作成したものです。ブログを始めた昨年の4月2日にアップしたものです。)


認知症・高齢者の接触・対応




■ 一日の始まりは 笑顔であいさつ
 
■ 遠くで呼んでも 通じない

■ 声掛けは 肩に手をおき 顔をみて

■ お名前で 呼ぶのはよいが 例外も

■ 間違いや 勘違いなどは 受け止めて

■ うろうろと 落ち着かないので 聞いてみる
  「わたしゃ仕事で忙しい」

■ 「どうして」や「なぜ」の追求 こまります

■ 老人の 話はときどき タイムトンネル

■ とんちんかんでも 笑顔で合づち

■ 難しい 事を聞いたり 言わないで  
  答えやすいものから 話はじめてよ

■ 挨拶や 呼びかけなどを 窓口に

■ 老人には やれるものから 困らせず

■ 接して 肩触れ合って 話しかけ 老人と机をはさんで 
  対するよりも 隣に座って くっつくがよし

■ 目の高さ 腰をかがめて じっと見て

■ くり返し 同じ事言っても よく聞いて

■ 老人と 付き合い 行動を 共にして

■ いっぺんに いろんなことを 言わないで

■ 聞き上手は 話し上手

■ 「だめ」 「だめ」 の禁止の代わりに 心の転換

■ 何よりも 老人にとって 必要は 
  頼れる人と 安心の場













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2010年05月05日

介護の態度・注意

(10年前老人性認知症疾患療養病棟に勤務していた頃スタッフの教育やご家族との勉強会のために作成したものです。ブログを始めた昨年の4月2日にアップしたものです。)



介護の態度・注意 




■ 対応で よくも悪くも なる老人

■ そぶりで気付く 老人のこころ

■ もめごとの 声や音のする時と、妙に静かすぎる時
  ためらわずにのぞいてみる

■ 自覚症の 訴えできない ひと多い

■ 老人を 動かすときには 声かけて

■ 叱るより ほめ上手な 看護師さん

■ 老人の 話に合わせて 心知る

■ 老人のペースに合わせて ゆっくりと

■ 動く人は たえず視野に入れ 見守って

■ 庭、散歩 足腰きたえて 楽しみも

■ 晴れた日は ゆとりをもって せかさずに

■ おとなしく問題のない人を 忘れずに

■ 老人の 好みに合わせて いたわりを

■ 時にはお茶を のませてよ

■ 口から食べる楽しさ、入浴の気持ちよさ、衣類の好み
  歩く元気さ、人との交わり これらはすべて忘れさせずに

■ 老人をいつもあたたかく もてなして

■ 認知症老人に 向いた生活用品や 医薬品などに 工夫して

■ 老人を たかをくくって 扱わず

■ 眠らねば 理由(わけ)を探って 相手して

■ せん妄は 静かに接して 見守って
   寝かせるように 過ぎるのを待つ

■ 持ち物の 整理は老人の 目の前で

■ 認知症老人を 介護しながら時々は 意識しよう
   たてまえと本音 体裁と実質

■ くさい臭いは もとを探して すぐに断つ

■ 見つけたら 廊下の水は ふきとって

■ 老人は 季節の変わり目にこそ 冷暖房

■ コンクリートと 格子の病棟に うるおいを

■ 介護デー 家族の姿 ちらほらと













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2010年05月03日

老人の特性

(10年前老人性認知症疾患療養病棟に勤務していた頃スタッフの教育やご家族との勉強会のために作成したものです。ブログを始めた昨年の4月2日にアップしたものです。)



老人の特性


■ 認知症老人には 時間はなくても
   「とき」がある

■ 認知症老人には 自分の「なわばり」はなくても
  なじみの世界ができてくる

■ 認知症老人には 覚えた名前の人はなくても
  顔見知りの なじみの人ができ

■ 昔流の心遣いや礼儀正しさを示すので
  意義を確かめながら 受け止めてかえすこと

■ 恥じらい、遠慮、気配り、丁寧さ,優しさなどは
  見逃さずに応じて、大切にして

■ おやつ時 茶のみ茶碗を めでる人

■ 近寄ると 白衣姿を ほめたたえ
  白さに驚き さわってみたり

■ お風呂では 裸になったら 
  タオルちょうだい




2.介護の態度・注意 
3.接触・対応
4.学習・教えること
5.ケアの留意点
6・日常生活の基本動作


と順次アップしていきます。

乞う、ご期待!













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2010年04月18日

ほがらか介護 わが家流の見つけ方

わが家流でいい!
ほがらか介護
                                (介護カウンセラー羽成 幸子氏より)


わが家流の見つけ方
まずは自分で考え先手を打つ



介護には教科書はありません。人生の数だけ介護方法はあります。言い換えれば、「介護に教科書などいらない」ということです。介護の講演会や介護体験の書籍などは参考としての情報ですが、情報は多いほど自分でアレンジして、介護法のメニューを増やすことができます。



人の介護体験を聞いて、“わが家流”を考える。大事なことは人と比べないことです。人と比べられないのが介護だと言った方が適切かもしれません.私の講演を聴いてくださった方や、本を読んでくださった方の中には、「羽成さんだからできるのよ」という方がいます。実はこのときに、“私には無理”と思うか、“私ならこうする”と思うかが、“わが家流介護”を生み出す分かれ道だと思います。




あるときを境に、介護がうそのように楽になったという女性がいました。それまで頑張って、必死に介護と向き合ってきた方です。心が張り詰めて“これ以上、もう頑張れない!”と思ったとき、思わず「ま、いいか」という言葉が口から出たそうです。この「ま、いいか」こそ、重い気持ちを救ってくれた言葉でした。





彼女は口うるさい姑に仕えてきた、素晴らしいお嫁さんでした。介護が始まっても、口うるささは消えず、苦しみの毎日だったそうです。ですが、「ま、いいか」の一言が、彼女を元気にしてくれました。「もう少し早く、そう思えていれば、もっと、楽だったと思うのですが・・・・・。ま、いいか」と彼女は楽しそうに笑っていました。



言葉一つでも、」気持ちは左右されます。嫌になっちゃったと嘆くか、「ま、いいか」で、次の手を考えます。最初の一歩を考えて実践してみましょう。あの手この手を考えているうちに、自分流が確立してきます。





さらに、わが家流介護のリズムをつかめば先手を打つことができるでしょう。先手を打てると介護に余裕ができ、余りができれば、介護者自身の人生を広げられます。まずは自分で考えることから始めましょう












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2010年04月03日

ほがらか介護 互いの理解のために向き合う 

わが家流でいい!
ほがらか介護
                                (介護カウンセラー羽成 幸子氏より)

互いの理解のために向き合う


どんなにお金があって地位が高くても、どんな生き方をしてきても、人生の最後、多くの人が“下の世話”になって死を迎えます。これは、病院で2日間かもしれませんし、寝たきりで何年間かもしれません。いずれにせよ、私たちは誰かの世話にならなければ、死ねないのです。




死にたどり着くまで、必ず誰かの世話になるのです。つまり、それが介護です。「老いる」ということは、体が不自由になることです。思い通りに体が動かなくなることです。ですが、これは当り前です。そう自覚して現実を受け入れることで、人からのサポートを当たり前のように受け入れることができるようになります。



といっても、私たちはサポートしてくれる人を選べません。ヘルパーさんといっても、さまざまです。さらに相性の問題もあるでしょう。これはサポートする側にも言えることです。中には“あの利用者さんの家に行くと思っただけで、頭が痛くなるわ”と思っているヘルパーさんもいるでしょう。そこで、それらの問題を乗り越えるコツは“介護する側”と”される側”の意識を変え、人間同士として向き合うことです。




ヘルパーさんはサービスを提供するのですから、お金をもらうのは当たり前。利用者はサービスを受けるのですから、お金を払うのは当然。この当たり前を踏まえて、人間同士として向き合うのです。好き嫌いという次元ではなく、老いた体をいかに支えるかをお互いに考える。つまり、二人三脚です。お互いに理解するために向き合うことです。コミュニケーションを重ねることです。



そうすることで、介護の質は上がってきます。介護内容をよりよくするのは、介護する側と、される側の、お互いの努力しかありません。こうした点からも、老いに向かう人は、、どんな人のサポートでも笑顔で受けられる、しなやかで強い自分自身をつくっておくことをお勧めします。












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2010年03月25日

経済的支援と社会保障

経済支援と社会保障 パート4

認知症の人と家族の会
(認知症コールセンターマニュアルの一部より 立命館大学教授 津止 正敏)


3.障害者手帳(精神保健福祉手帳)


福祉事務所


精神保健福祉手帳(障害者手帳は、認知症をはじめ、精神疾患を有する人のうち、精神障害のため長期間にわたり日常生活または、社会生活への制約のある人を対象としています。




統合失調症、そううつ病(気分<感情>障害)、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、その他の精神疾患のすべてが対象ですが、知的障害者は含まれません。身体障害者を対象とした、身体障害者手帳や、知的障害者を対象とした、療育手帳も障害者手帳です。手帳を提示することによって、所得税や、住民税など各種税の減免あるいは免除、各種公共交通機関の割引、博物館、美術館などの各種公共施設の利用料、の減免、あるいは免除、電話料金、携帯電話料金など、通信費の減免などが利用できます。




4.世帯分離


介護保険の費用負担は世帯収入によって設定されます。本人収入が低額であっても同居家族の収入によっては、減免なしの上限額の費用負担になってしまいます。これらが負担となって、せっかくの制度利用が抑制されたとすれば残念です。特別養護老人ホーム入所の場合は住民票を移せば、世帯分離がされますが、その他世帯の分離が可能な場合も、世帯収入とは切り離され、本人収入のみが、算定基礎となって、随分と費用負担の軽減できる場合があります。















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2010年03月21日

ほがから介護 感情を恐れない

わが家流でいい!
ほがらか介護
                                (介護カウンセラー羽成 幸子氏より)

感情を恐れない

介護ほど自分の気持ちをさらけ出してしまう場はありません。今まで気付かなかった自分の意地悪さや、ずるさ、“私って、こんなひどい人間だったのかしら”と驚き、嘆く人もいるのではないでしょうか。人が他人に優しくできるためには、一定の条件が必要です。ある程度自分らしくいられるだけの余裕があれば人に優しくしてあげられるでしょう。



例えば自分の空いた時間をボランティアとして提供する場合です。人の役に立つ場を得て、感謝されるのですから優しい自分でいられます。ところが介護はそうはいきません。相手に合わせて寄り添い、世話をするのです。自分の意思とは関係なく、相手の体と心に寄り添うのですから楽ではありません。



憎しみや悲しみも感情と知る

汚物を垂れ流されたり、部屋中汚されたりしては、憎しみがわくのも当然です。意思の通じない認知症の人に対して、上手なうそをついて、なだめることも必要です。。憎しみ、怒り、悲しみ、うそ・・・。自分からわき出る感情や偽りの心に戸惑うのも無理はありません。ですがその感情を恐れる必要はありません。そう思うほど、また、そうしなくてはならないほど介護者は向き合っているのです。



ある人が海外の高齢者のボランティアに行ったところ、受け入れた施設の責任者が、「あなたは、こんな遠くまで来なくても、すぐそばに親御さんがいるでしょう、親御さんの世話をするほうが、ボランティアより立派な行為です。」と語ったそうです。この言葉に私はとても感動しました。目の前の、自分のすぐ近くにある現実と向き合うことの重要性を、とかく人は忘れがちです。



他人の世話と同じように、自分自身の親の世話も大事です。優しくできない自分と向き合い、それを乗り越える。人間同士として向き合えたとき、人は本当の意味で成長します。私自身、かっては歯ぎしりしながら、わがままな父と向き合っていた自分を、今では懐かしく思い出しています。












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2010年03月13日

経済的支援と社会保障

経済支援と社会保障 パート3

認知症の人と家族の会
(認知症コールセンターマニュアルの一部より 立命館大学教授 津止 正敏)


「支出」にかかわる制度

介護は収入を閉ざしもすれば支出も増やしもします。税や保険料や家族の状態によって税負担力には違いがあるからです。こうした制度を活用して支出を抑えることも必要です。



1.税控除

税務署


被介護者の年齢や障害程度、要介護によって、以下のような所得税等の控除対象となっています。障害者手帳を持っていなくても、被介護者の要介護度によって障害者控除の対象になります。


●両眼の視力を全く永久に失ったもの
●言語または咀嚼の機能を全く永久に失ったもの
●中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
●両上肢とも手関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
●両下肢とも足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
●一上肢を手関節以上で失い、かつ、一下肢を足関節・以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
●一上肢の用を全く永久に失い、かつ、一下肢を足関節以上で失ったもの




2.医療費控除

税務署

医療費控除は1月から12月までの1年間に支払った医療費が10万円を超えた額を所得から控除する制度です。医療費控除の詳細を知らずに利用していない人も多くいます。家族の医療費はもちろん、薬局の薬代、病院への電車・バス代なども認められます。



介護に関する費用では、老人の保健施設の食費・居室料など、特別養護老人ホームの介護費用など半額が原則、訪問看護などと合わせて利用する訪問介護などの費用、大人のオムツ代も医師の証明書があれば控除できます。














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2010年03月07日

経済保証と社会支援 パート2

認知症に関する基礎知識

経済支援と社会保障 パート2

認知症の人と家族の会
(認知症コールセンターマニュアルの一部より 立命館大学教授 津止 正敏)



3.生活保護制度

福祉事務所

生活保護は、日本国憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の理念に基づき制定された生活保護法により、国民の生存権を保証する国の制度です。病気や育児、その他色々な事情で生活が苦しくなり、最大限の努力をしてもどうにもならないときがあります。



そのようなときに世帯の生活を援助し再び自立できるように支援するのが、生活保護制度です。詳細は居住地の福祉事務所で相談して下さい。厚生労働省の広報によれば、生活保護制度は、以下のような内容で運用されていますが、相談者の経済状況を勘案しながら、相談に耳を傾けましょう。



対象者



資産、能力などすべて活用した上でも、生活に困窮するものを対象としています。各種の社会保障施策による支援、不動産などの資産、稼動能力などの活用が、保護実施の前提になります。また、扶養義務者による扶養などは、保護に優先されます。困窮に至った理由は問いません。



保護の内容


保護は生活扶助(衣食などの日常の暮らしに必要な費用)、教育扶助((義務教育に必要な学用品代、給食費など)、住宅扶助(家賃・地代、家屋の補修などの費用)、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助(仕事をするために必要な資金や技能の習得費など)及び葬祭扶助から構成されています。



医療扶助及び介護扶助は、医療機関などに委託して行なう現物給付を原則とし、それ以外は金銭給付が原則です。各扶助により健康で文化的な生活水準を維持することができる最低限度の生活を保障しています。厚生労働大臣が設定するとされている扶助の基準(平成20年度)は以下の通りです。



  
モデル世帯           東京都区部等         地方郡部等
標準3人世帯          167,170円           130,680円
(33歳、29歳、4歳)
高齢者単身世帯(68歳)    80,820円           62,640円
高齢者夫婦世帯        12,1940円          94500円
(68歳、65歳)
母子世帯            166、160円          132、880円
(30歳、4歳、2歳)

















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2010年03月07日

「聞きっぱなし」に救われる

我が家流でいい!ほがらか介護
「聞きっぱなし」に救われる                  
                          (介護カウンセラー 羽成 幸子氏より)


介護の悩みを人に聞いてもらって、救われている人は多いと思います。うなずいて、真剣に聞いてもらえると心は軽くなり、“また頑張ろう!”という気持ちになれますが、それは一時で、いざ現実に戻ると思い心に引きずられ、もんもんとしながら介護を続けているのではないでしょうか。



“この心の重みがすっきり取れたら、どんなに楽になるだろう”と思いながら、毎日の介護と向きあっているのだと思います。私もかって“この人ならば”という人に、介護の現実を話したことがありました。確かに真剣に聞いてくれましたが、話しながら気持ちの上で距離感を感じました。



“私がどんなに具体的に話しても、分かってもらえないことがある。でも、それは当り前、聞いてくれる人は、私ではないのだから”と思ったのです。このことから他人の心に寄り添って気持ちを分かろうとすることは、容易ではないことに気づきました。自分の心さえわからないことが多いのです。





結果的にこの経験は、私に強さをくれました。それは、分かってもらおうと思うのではなく、自分をさらけ出すことでした。この考え方をもったことで私は講演などで、不特定多数の人を前にしても、自分の考え方を話すことで怖さを感じなくなりました。





自分の気持ちを分かってほしいと思って人に話すと、相手から何気ない一言に傷つくことがあります。しかし、分かってもらおうと思わないで話せば、話したことで心が軽くなります。逆の立場で考えるならば、私たちが介護者の話を聞く際は、聞き役に徹して「聞きっぱなし」でいることが鉄則です。そのためには、重い心を吸い取ってくれる、確かな信頼関係が必要です。





後になってから「あの時の話しどうなったの?」などと尋ねる必要はありません。介護者は話しを聞いてもらったことで、気持ちが軽くなっています。「聞きっぱなし」で悩みを聞いてくれる人は、介護者にとって有難い存在なのです。





私が活動している認知症の人と家族の会のつどいや、電話相談はまさに、この介護家族の人に「はき出し」てもらい、聞き役に徹しています。4月からは、コールセンターとして週1回→3回に増えていきます。どうぞご利用ください。



【すぎなの会】

認知症の人と家族の会 静岡県支部 代表 佐野三四子  富士市松岡912-2
TEL 0545-63-3130  FAX 0545-62-9390
電話相談 (毎週土曜日 10時~15時) 
 0545-64-9042(フィランセ内










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2010年03月06日

経済支援と社会保障 パート1

認知症に関する基礎知識

経済支援と社会保障 パート1

認知症の人と家族の会
(認知症コールセンターマニュアルの一部より 立命館大学教授 津止 正敏)


はじめに

介護に伴う経済的問題は、主に介護者と被介護者双方の収入と支出に関わって発生します。介護のために離職を余儀なくされ収入の道を立たれる介護者が増えています。介護の時間をとられるために正規職員からパートやアルバイトへ転職する人もいます。また、介護サービス利用の費用負担が家計を圧迫します。年金暮らしの老老介護の世帯単位で、設定されるために同居家族の負担は、実際の介護だけでなく経済面でも大きくなります。収入は閉ざされ支出は増える、という構図です。



1.離職・転職


介護休業制度、ハローワーク


介護を契機に離職や転職の相談も増えています。その際、これからの生活設計経済的問題に悩んでいる方も少なくありません。目の前の介護のことだけでなく、家計や仕事のことなど今後想定される問題を一緒に考えていく場面の一つがコールセンターでの電話相談です。すべての労働者に保証されている介護休業制度(介護休業給付金)や失業手当、転職のための就業訓練や、ハローワークなどの活用も念頭に置きながら、適切なアドバイスが求められます。



2.年金

社会保険事務所


まずは年金制度ですが、高齢になった時の老齢年金と、身体や精神の病気や怪我をした時の障害年金という2つの年金制度に留意しなければなりません。



老齢年金

定年や高齢のために働けなくなった高齢者に対して、加入していた年金保険から、年金を支給して老後の生活(所得)保証を行なうものです。年金制度は複雑で多岐にわたります。そのために、詳細は最寄の社会保険事務所で相談することが第1です。年金受給にあたっては、①一定期間以上の加入期間(資格期間)と、②一定年齢に達している(支給開始年齢)こと、が条件となるので、要注意です。それぞれに、様々な特例が設けられていますので、「資格期間に達していない」とすぐにあきらめないで救済方法がないか、十分に検討することが必要です。



またこの老齢年金は、受給資格ができても、役所からは通知されません。年金は自ら請求しないと支給されません。自給資格ができてから、5年を過ぎると時効となって、遡って支給されるのは5年前までに限られます。また、請求漏れがないかどうかを確かめることも大事です。介護者も被介護者も受給資格ができたらすぐ請求するようアドバイスしましょう。



障害年金


病気や怪我で障害を負った生活(所得)保障として支給されるのが障害年金です。障害年金は、国民年金加入者には障害基礎年金が厚生年金加入者や共済組合加入者には、それぞれ障害基礎年金と障害厚生年金、障害退職年金が支給されます。



この障害基礎年金を受けるには、、①初診日に被保険者であるか、国民年金をやめた後60歳以上65歳未満であること、③加入期間と保険納付条件を満たしていること、が条件となります。なお、厚生年金や退職共済では独自で2級より軽い障害者に対して、3級には障害厚生年金、障害退職共済年金が、それ以外にも障害手当金が支給されることになっています。この受給要件にも様々に特例措置があるので要注意です。















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2010年02月21日

朗らか介護 頼み事ははっきりと具体的に

近所の助けを得るために
頼み事はハッキリと具体的に

                                   (介護カウンセラー羽成幸子氏より)

最近、「地域の力」や「ご近所の力」という言葉がマスコミなどに登場しています。確かに、人は一人では生きていけません。「遠くの親戚より、近くの他人」といわれるように、周囲の協力は大きな力になります。ですが、介護に関しては、助ける方も、助けられる方にも配慮が必要です。“頼めること”と“頼めないこと”があるという認識が必要なのです。



私が寝たきりの義母を介護していたときのことです。昼間いつもより長い時間、家を空ける用事ができました。当時、義母としっかりコミュニケーションが取れていたので、、義母に子供が帰ってくるまでの留守番を頼みました。ですが、やはり気がかりです。そこで同じように介護している近所の方に、義母の様子を見てほしいと頼みました。




私は安否確認だけを頼み、留守中の水分補給までは頼みませんでした。介護者同士とはいえ、日ごろの義母の状態を熟知しているわけではありません。「水を飲ませてほしいと」と頼んでも、もし、むせるようなことがあれば、頼んだ人に思いもよらない迷惑をかけることになるからです。



そこで水分補給は、学校から帰ってきた子供に頼みました。近所の方に声を掛けないでそっと様子を見てほしいと頼んだのは、義母に留守番という役割を任せたからです。遠くから見守りだけを頼んだことで、我が家の家事リズムも崩れずにすみました。頼みごとをする際には、内容をはっきり伝えることがコツです。また、頼まれた側も頼まれたこと意外はしないという配慮が必要です。







介護で周囲のサポートは不可欠ですが、優しさの裏には怖さも隠れています。せっかくの好意が結果的に「余計なお世話」にならないためにも、具体的なことをハッキリり頼みましょう。曖昧さは、時に事態を悪化させ、良好な関係を険悪にすることもあるのです。











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2010年02月08日

レビー小体型認知症の最新治療 パート2

第3の認知症として今世界中で注目されています。

レビー小体型認知症の最新治療                      
                        (横浜ほうゆう病院院長 小坂憲司先生の取材記事より)


「レビー小体型認知症のチェックリスト」

□もの忘れがある     
□動作が緩慢になった
□頭がはっきりしているときと
 そうでないときの差が激しい
□筋肉がこわばる           
□妄想が見られる
□小またで歩く     
□実際はないものが見える          
□うつ的である        
□転倒や失神をくり返す
□睡眠時に大声を上げたり
 異常な行動をとる


*5個以上当てはまる項目があれば、レビー小体型認知症の可能性がある。



患者の3分の2が別の病気だと誤診されていた

そういった症状からは、家族や周囲の人は認知症とは見なさず、ほかの病気を疑ってしまいそうですね


まさにそこがやっかいな点なのです。レビー小体型認知症は近年、、医療関係者の間では、、大変注目されていますが、、一般の人や福祉関係者の人には、まだあまり知られていないのが現状です。ことに幻視などは、一般の人にはなじみのない症状ですから、どう対応していいのか分からないことがほとんどでしょう。



医師にとっても診断が難しく、誤診されるケースが珍しくありません。これまでに私たちのところへ来院して、レビー小体型認知症とわかった患者さんの3分の2は、以前は別の病気だと診断されていました。うつ症状や幻覚・妄想があることから、うつ病や統合失調症などと診断されたり、筋肉のこわばりなどから、単にパーキンソン病だと誤診されたりすることが多いのです。アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と診断されることもよくあります。




誤った診断のもとで治療や介護を行なうと症状が改善しないばかりか、悪化してしまう可能性が高くなります。ですからこの病気について皆さんに正しい知識を持っていただくことが最も重要だと考えます。早期に発見・治療することができれば症状がかなり改善し、本人も介護する側もQOL(生活の質)を良くすることが期待できます。



もしご家族にこの病気の疑いがあるようでしたら、チェックリストでいくつ該当する項目があるか、チェックしてみてください。5個以上該当する項目があればレビー小体型認知症の可能性があります。




治療はどのように行なわれるのですか?

根本的な治療法はまだ見つかっていませんが、薬物治療や適切なケアを行なうことによって、症状を改善することは可能です。アルツハイマー型認知症の治療に用いられルアリセプトという薬は認知障害や、異常行動、精神症状の改善に効果的です。また、幻覚や妄想などの精神症状に対して、抑肝散(よくかんさん)という漢方薬は副作用が少なく、効果的であることが知られています。



パーキンソン症状に対しては、レボドバなどの抗パーキンソン病薬を用いるのが効果的です。そのほかにも抑うつ症状や睡眠時の異常行動などに対して、しばしば抗精神病薬が用いられますが、診断を誤って薬を使うと、副作用が起こったり、症状が悪化したりすることがあります。









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2010年02月07日

レビー小体型認知症の最新治療 パート1

第3の認知症として今世界中で注目されています。

レビー小体型認知症の最新治療                      
                        (横浜ほうゆう病院院長 小坂憲司先生の取材記事より)



「できることなら、なりたくない」と誰もが考える病気の代表格、認知症。しかし、高齢化の進む日本では、認知症の人がますます増加傾向にあることは周知の事実です。現在では、「65歳以上の10人に1人、85歳以上の4人に1人が認知症になる」と推計されています。


従来、認知症といえば、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症(脳梗塞などの脳血管性障害によって起こる)が主なものとして知られていました。しかし、近年、これらとは異なるタイプの【第三者の認知症】として世界的に知られるようになって来たのが、レビー小体型認知症です。実は日本人の認知症の約2割がこのタイプなのだそうです。




レビー小体型認知症を発見し、研究してきた第1人者である横浜ほうゆう病院の院長である小坂憲司先生にお話を伺いました。



40~50歳で発病するケースもある

レビー小体型認知症は、どんな病気なのでしょうか?

異常蛋白質からなる「レビー小体」という特殊な物質が脳の大脳皮質に広がり神経細胞の働きを阻害して起こる病気です。1976年、私はこの病気の最初の症例を外国誌に発表しました。以降、私が行なってきた一連の研究報告によって国際的に知られるようになり、1996年には、「レビー小体型認知症」と名づけられ、診断基準も発表されました。



現在では、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症と合わせて3大認知症と呼ばれています。欧米の研究では、アルツハイマー型認知症についで、2番目に多いという報告があります。日本では、高齢者の認知症の約2割を占めると考えられ、患者数は約50万人とし推計されています。レビー小体型認知症は65歳以上の高齢者に多くみられますが、パーキンソン症状があるケーでは、40~50歳代でのケースも少なくありません。




他の認知症との違いなど、どのような特徴があるのですか?



ご存知のように認知症の代表的な症状は、もの忘れがひどくなる、日時や場所、・人などがわからなくなる、物事を認識し判断する力が低下する、といったものです。アルツハイマー型認知症ではこうした症状が最初から起こってくることが多いのですが、レビー小体型認知症では、初期にはそれとは異なる症状が目立つことが多いのです。



特徴的なのが、現実には存在しない幻が見える「幻視」という症状です。例えば、「ねずみが壁をはい回っている」とか「知らない人が家の中にいる」「子供がベッドの上で遊んでいる」などの幻が、本人にはありありと見えます。見える対象は、小動物や人物であることが多いのです。幻視が起こる原因は、後頭葉(脳の後ろ側)の視覚野(視覚をつかさどる部位)に障害をきたすためと考えられたています。



また、睡眠中に突然、奇声を発したり「このやろう!」などと怒りだしたり、暴れたりするといった異常な行動をとることがあります。レム睡眠(体は休息しているが、脳は活動している状態にある睡眠のこと)の最中に現れるため、これをれ【レム睡眠行動異常】とも言います。



さらに、パーキンソン病と同様の身体的症状が起こることも、大きな特徴です。パーキンソン病は、脳の奥にある脳幹を中心にレビー小体ができるために起こる病気で、筋肉がこわばる、手足が震える、動作が緩慢になるなどの症状が現れます。レビー小体型認知症の場合も、このような症状がよく見受けられます。また、パーキンソン病の患者さんに認知症が併発することも少なくありません。



いずれも脳にレビー小体が存在することから、パーキンソン病とレビー小体型認知症とは、本質的には同じ病気だと考えられています。そのほか、抑うつ症状(気分の落ち込み)なども見られます。









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2010年01月20日

認知症の人の心理を理解しましょう

認知症を理解しましょう
                            (認知症の人家族の会顧問 三宅貴夫医師より)

認知症は治らないことが多いので、認知症の人の介護をするためには、認知症の人の心理を理解することが重要です。その心理の特徴は4つあります。

・もの忘れ

もの忘れは、認知症の人の基本的な症状です。もの忘れのない認知症はありません。もの忘れとは、新しくて大切なことを覚えにくく、忘れてしまうことです。認知症のない健康な高齢者は、新しいことが覚えにくくても、新しくて大切なことはことは覚えることができます。また、覚えにくいと自覚してメモをとるなど、自分のもの忘れを補うことができます。



健康な高齢者は、夕食をすませた後、何を食べたか食事の内容をすべて覚えていなかったとしても、食べたこと自体忘れることはありません。しかし、認知症の人は夕食を食べたこと自体、すっかり忘れてしまうのです。



こうしたもの忘れのある認知症の人は、数分前にみたこと、聞いたたこと、言ったこと、したことまで忘れてしまっているので、「さっきいったでしょう?」とか「同じことを何度聞くの?」と言っても困惑するだけです。



・判断力の低下


もの忘れと共に判断力が低下します。その1つとして、時間の流れの中での判断力(時系列的判断)の低下が見られます。例えば認知症の人は、「今朝は掃除をしたので、昼は買い物に行き、夜はテレビを見よう」といった判断ができにくくなります。時間の概念に頼らずに、その時々で対応する必要があります。



抽象的な判断力も低下します。なぜここにいるのか。世話をいつまでしてくれるのかなど、抽象的なことがよく分からなくなります。交差点の信号を見て、赤青黄色の3色を言うことはできても、その色が何を意味するかまでは理解できにくくなり、赤でも道を渡ってしまうかも知れません。



さらに、物事を総合的に判断することができにくくなります。たとえば、尿意をもよおしたとき、どの程度我慢できるか、トイレはどこか、どのくらいの時間にたどりつけるかなどを、総合的に判断して行動することができにくくなります。



・過去に生きる


認知症の人が退職して、かなりの年月が経っているにも関わらず、朝になると「会社に行く」と言い張って出掛けようとして、家族を困惑させることがあります。また子供たちが独立して夫婦二人だけの生活している認知症の女性が、夕方になると「子供が帰ってくる。夕食の用意をしなければ」と落ち着かなくなることがあります。




こうした言動は、認知症、特にアルツハイマー病の人に特徴的な「過去に生きる状態と考えられます。アルツハイマー病を発病すると、発病後の記憶を保持できません。また、病気の進行と共に発病前にさかのぼって記憶が曖昧になり、失われるようになります。




「過去に生きる」という認知症の心理を知ることで、言動をより理解できるかも知れません。また、「過去に生きる」認知症の人を現実に引き戻すことが良いとばかりは言えません。むしろ「過去に生きる」状態を受け入れたほうが良いこともあります。





たとえば、認知症の夫にとって、歳をとった現在の妻は妻ではなく、「世話をしてくれる親しい女性」となることがあります。それは寂しいことですが、頭から否定したり訂正するのではなく、妻はそのふりをして対応するほうが、認知症の人の精神状態が安定することもあるのです。




・感情は残る


認知症で認知機能の低下は起こりますが、それ以外の心の活動である「感情」「思い」「期待」「プライド」「正確」は残っていることが多くあります。好きなものを食べたことは忘れても、食べていることの満足感はありますし、花見に行ったことは忘れても、桜うを見てきれいだと思う感情は残っています。



この残っている感情に十分配慮することが、認知症の介護にはとても重要です。一方で感情からむことで、認知症の介護はより難しくなるとも言えます。



感情が残っている認知症の人にとっては、話の内容よりも、話の仕方や、言葉づかいが大切です。また、和める雰囲気づくりも心がけましょう。なお、性格については、認知症の状態によって、変化しないこともありますが、より鈍くなる、より穏やかになるなど、さまざな変化があります。











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2010年01月07日

今も悲惨な事件が パート4

悲惨な事件が後を絶ちません


死なないで!殺さないで!生きよう!メッセージ集より時々家族の思いを載せています。最近、和歌山県で80歳の夫が認知症である73歳の奥様を殺してしまいました。施設から4日前に正月外泊をした矢先の悲惨の事件でした。しかし、言えない人がまだまだいる!相談できない人がまだまだいる!。是非そんな人々に皆様の愛の手を!愛の言葉をかけて下さい!



自宅でお世話するには
                        (長谷川和夫Drの認知症知りたいことガイドブックより)

2.これが介護のポイント

認知症の人を介護していく上でいくつかポイントをあげてみます。



今を大切に

元気だった頃の過去の姿を思いだすとつらい気持ちになるでしょう。「しっかりしてよ」などと言いたくなると思います。それまでもっていた知的資産・能力などを失って行く姿を見るのはやりきれないでしょうが、今できることや残されている働きを大事にしましょう。




完全主義はやめる

介護する自分が燃え尽きてしまわないように100%の完璧な介護はやめ、力をゆるめてみましょう。常に全力投球しないこと。十分な睡眠と休息をとることを心がけてください。そのためにも一人で抱えこまないことです。公的なサービスを利用したり「家族の会」などの支援期間に相談したりしましょう。




明るい気持ちで笑う
血行も良くなり、血液によく酸素が供給されます。笑うと身体の緊張もほぐれます。また、笑えばその日のストレスも軽くなるものです。鏡を見て笑ってみることです。


家の中を徘徊している認知症の夫に、「ご苦労様ですね。疲れたでしょう。お茶にしましょうか」と妻が声をかける。「ハッハハッハ。そうだな」と笑う夫。福岡県在住のOさん夫妻からこんな介護体験を聞いて、私は心が洗われる思いでした。










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2010年01月06日

今も悲惨な事件が パート3

悲惨な事件が後を絶ちません


死なないで!殺さないで!生きよう!メッセージ集より時々家族の思いを載せています。最近、和歌山県で80歳の夫が認知症である73歳の奥様を殺してしまいました。施設から4日前に正月外泊をした矢先の悲惨の事件でした。しかし、言えない人がまだまだいる!相談できない人がまだまだいる!。是非そんな人々に皆様の愛の手を!愛の言葉をかけて下さい!



自宅でお世話するには
                        (長谷川和夫Drの認知症知りたいことガイドブックより)

2.これが介護のポイント

認知症の人を介護していく上でのポイントをいくつかあげて見ます。


してあげる介護よりもできることを支える

できないことや思い出せないことがなどが良く見られるようになると、周りの人はもう何もできなくなったとか、すべて分からなくなったなどと思い込んでしまいがちです。しかし、体で覚えた記憶は保たれていることが多いのです。家事や育児、仕事、楽しみごとなど、できる能力はたくさんあります。




したがって、さりげなく本人の出番を作ったり、仕事や動作のお膳立て、あるいは簡単な役割を用意したりしてみてください。時間がかかるかも知れませんが、お年よりは「自分が役くに立っている」と感じて、生きいきとしてくることでしょう。



寝たきりを予防する


寝たきりの生活は認知症の悪化につながるばかりか、手足の拘縮(関節が固まったり変形してしまう状態)や床ずれ、肺炎などを引き起こす原因にもなります。



お年寄りが寝たきりになるきっかけとしては、骨折や脳卒中、風邪やその他の身体疾患があげられます。また、認知症の進行によって、「起きる」という動作が分からなくなったり、意欲低下のために(介護者が起こさない限り)終日床についていたりということもあります。




寝たきりにさせないためには、その原因を作らないことが第1ですが、高齢になれば、骨折や身体疾患を避けるのは難しくなります。もしそうした状況になった場合は、医師の指示に基づいて早期離床やリハビリを行なうようにしましょう。



以前のように自由に歩行できなくなったときでも、可能な限り寝たきりにさせない配慮が必要です。例えば、環境が許せば、車椅子の利用をお勧めします。



不安感を和らげる


認知症になると、もの忘れをしたり周りの状況が分からなくなったりして不安になります。介護する人も不安でしょうが、認知症の人の不安はもっと根源的です。「大丈夫よ、私がついているから」という穏やかな語りかけや、優しいまなざし、態度が第1です。












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2010年01月05日

今も悲惨な事件が  パート2

悲惨な事件が後を絶ちません


死なないで!殺さないで!生きよう!メッセージ集より時々家族の思いを載せています。一昨日和歌山県で80歳の夫が認知症である73歳の奥様を殺してしまいました。施設から4日前に正月外泊をした矢先の悲惨の事件でした。しかし、言えない人がまだまだいる!相談できない人がまだまだいる!。是非そんな人々に皆様の愛の手を!愛の言葉をかけて下さい!



自宅でお世話するには
                        (長谷川和夫Drの認知症知りたいことガイドブックより)

2.これが介護のポイント

認知症の人を介護していく上でのポイントをいくつかあげて見ます。


生活上の基本的な欲求を満たす

認知症のお年よりは、これまで習慣的に行なってきた日常生活の行動が次第にできなくなります。また、一見できているようでも、不完全な場合が多くなるものです。介護者はそのお年寄りに適した方法で、食事、排泄、睡眠、清潔など生活していくための基本的なことを満たしてあげるよう心がけましょう。




なじみの環境づくりを

認知症になると、場所や時間、そして周りの人との関係がはっきりしなくなり、不安になることが多くなります。そのためホット安心感が得られるなじみの場所が用意されているといいと思います。慣れ親しんできた場所や家具、道具の配置を工夫してみましょう。なじみのない環境では、本人の不安と混乱が一挙に高まります。転居や入院などしなければならない場合は、なじみのあるものや、普段から使用しているもの、思い出の物品などを手近においておくのが良いと思われます。




自分らしさを大切に


私たち一人ひとりは、この広い世界の中で、誰も代わることのできないユニークな存在です。その人らしさ、あるいは自分らしさといっても良いでしょう。




認知症の人もまったく同じです。認知症が進んでも心は生きています。知的な力に頼れない分、感性はむしろ研ぎすまされています。喜怒哀楽や悩み、希望、豊かなものを求める気持ち、年配者としての誇り、他者や子供を慈しむ気持ちを、うまく表現できないにしても、あふれるほどに秘めています。その意味でその人の尊厳を支える介護、これがとても大切です。










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2010年01月04日

昨日も悲惨な事件が

悲惨な事件が後を絶ちません


死なないで!殺さないで!生きよう!メッセージ集より時々家族の思いを載せています。昨日和歌山県で80歳の夫が認知症である73歳の奥様を殺してしまいました。施設から4日前に正月外泊をした矢先の悲惨の事件でした。しかし、言えない人がまだまだいる!相談できない人がまだまだいる!。是非そんな人々に皆様の愛の手を!愛の言葉をかけて下さい!



自宅でお世話するには
                      (長谷川和夫Drの認知症知りたいことガイドブックより)

1.悩まず、抱え込まず

認知症の介護は、周りの人が病気に気づいてから、平均して約8年近く続きます。症状は、原因疾患の種類や進行の程度によってさまざまですが、本人にも家族にも生活のうえで困ったことがたくさん起こってきます。家族にとっては、大変な時期がいつまで続くのか、これからどんなことが起こるのか、先が見えにくいのが認知症の経過です。



症状が軽いうちは対応を延ばしがちですが、障害が少ない初期にこそ大切です。それに認知症は本人の心身がしっかりしているときほど大変なこともあります。些細なことにも遠慮しないで、早く介護のプロ(専門職)に相談してみましょう。



長丁場の介護を一緒に乗り越えてくれるプロの仲間を探しましょう。地域には必ず相談も窓口があります。地域包括支援センターや保健所、市町村の高齢者 相談窓口がありますし「家族の会」もあります。一人で抱え込まないこと、一人で悩まずに、「ちょっと、お願いします。助けて」と声をあげましょう。



日常の過ごし方や金銭管理、事故・危険の回避方法など、本人が自分で決められないことやコントロールできないことを、誰がどのようにして決めるのが良いのか、認知症の介護は迷うことの連続です。本人と家族、そして専門職のチームが共に考え、苦労を分かち合って、日々満足のいく暮らしをしていきたいものです。











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2009年12月03日

上手ににコミュニケーションしましょう

上手にコミュニケーションしましょう パート1                    
                           (長谷川和夫医師の知りたいことガイドブックより)


難しいのは接し方です。どのような受け答えをするのがよいのでしょうか。どうしても感情的になってしまうのを避けるために、まず接し方(コミュニケーションのとり方)を考えてみましょう。



これまで自分を育ててくれた父母、あるいは頼りにしていた年長者(義理の親や配偶者)が認知症になり、介護が必要な状態になると、、自分達が介護し、逆に頼りにされるという役割を担うことになります。つまり、立場に逆転が起こるということになります。それは当惑感や迷惑感を引き起こします。



また、本人の症状も日によって異なったり、体調によって変動したりします。昨日はうまくコミュニケーションが取れたのに、同じような言い方が今日はまったくだめだという状態に悩むこともあるでしょう。



なお、中には間違った行動が見られるのに行動能力はとてもしっかりしている人がいます。そのような場合、ちょっと言葉を交わしたぐらいでは、著しい障害はないように見えることもあります。
さて、具体的に、認知症の人とのコミュニケーションにおいて、注意しておく点をあげて見ます




1. 近くでゆっくり話す



お年寄りと会話をする場合は、少なくとも1メートル以内に近寄って話しかけるようにします。テーブルやベッドなどで隔てて話したり、お年寄りが他のことに心を奪われているときに話しかけたりしても効果的ではありません。認知症の程度や理解力、視覚、聴覚、、言語など、お年寄りのコミュニケーション能力(障害)を正しく評価して、最も効果的に話しかえるようにします。




注意したいのは後ろから呼びかけることです。振り向いてバランスを崩し、転倒する危険性があるからです。また、会話だけでなく、介護を行なう場面でも介護者がお年寄りのペースに合わせていくことが大切です。



認知症の人は、口頭で話してもすぐ忘れてしまいます。そんなときには、紙に書いて情報を伝えるのもよい方法です。水道の蛇口の閉め忘れに対して、「使った後は閉めてください」と書いても効果はなかったのに、「節水」と書いて蛇口にぶら下げたところ、うまくいったという例があります。くどくどとした説明文より簡潔な表現が分かりやすかったのでしょう。





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2009年12月02日

認知症介護 家族の接し方10か条 第10条事故の防止

家族の接し方10か条

第10条 事故の防止を
事故防ぐ細かな工夫 気配りを



老年者、一般に通じることですが、特にぼけた人はちょっとしたことで事故を起こしやすいことから、これに対する十分な留意が必要です。最も避けたいことは転倒です。転倒により、頭部外傷や大腿骨骨折などが起こりやすいものです。大腿骨骨折は臥床から寝たきりとなり、じょく創出現(寝だこ)、尿路感染、肺炎などを併発し寿命を縮めます。現在手術が行なわれますが、術後安静などに協力が得られにくいことから、予後を悪くします。



正常な老年者でも大腿骨骨折をきっかけに認知症の始まることが稀でありません。頭部外傷で出現しやすいのは、脳を包んでいる一番外側の硬膜と脳との間に出血する硬膜下出血です。
これが脳を圧迫して多様な症状を示しますが、症状の出現が事故後2ヶ月であることから、転倒との関係に気づかないことがあります。また、必ずしも、重篤な頭部外傷でなくとも出現することがあり注意が必要です。



硬膜下出血は現在CT(コンピューター断層撮影)かMRI(磁気共鳴画像化装置)で容易に診断がつきます。(慢性)硬膜下出血の症状は多様ですが、ぼけた人では、せん妄状態(意識障害があり、また場所、時、人などについての見当識が傷害されているため、不安や興奮の混じった状態)と歩行障害が認知症のない老年者の硬膜下出血に比べて多くみられます。




従って、これらの症状、、あるいは従来の症状が比較的急に変化した場合は、受診して検査を受ける必要があります。手術により血腫を除去すれば通常の老年者では治癒するのですが、ぼけた人の場合には術後の問題もあり、、必ずしも手術を行なわなくても、徐々に改善する例も少なくありません。


転倒などを防ぐためには低めのベッド、また、屋内の段差をなくする、少なくする(特に風呂場、便所など)、場所によっては手すりをつけること、廊下などは照明を十分にすること、その他敷物に気をつけることが大切です。徘徊癖のある場合には、住所、名前、電話番号などを書いた名札をつけておくことです。また、近くの交番に話しておくことも望ましいです。その他、ガスの元栓を止めておく、刃物やマッチを遠ざけておくなどは勿論です。







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2009年11月27日

認知症介護 家族の接し方10か条 第9条急激な変化を

家族の接し方10か条
                             (認知症予防協会より)

第9条 急激な変化を避ける
環境の 急変避けて 安住感



ぼけた人は知的機能低下が明確で、症例によっては極めて高度です。しかし、この知的機能低下を補うためと思われるのですが、感情面では、非常にシャープなところがあり、理屈が分からないだけに身を守ろうとする動物的な本能に関する反応が大きいといえます。また、自分の配偶者や子供を認識できないのによく人を見ているところがあります。例えば、外来で医師の前に来ると、同居し、介護している娘が驚くほどシャキットすることが認められます。




「老化とは環境の変化に順応する能力の衰微の過程である」という名言があります、認知症は究極のものの一つであり、環境の変化に極めて敏感に反応します。これは、ハード(居室、家屋など)、ソフト(同居する人、介護する人など)を問いません。したがって、これらの環境の変化を出来る限り避ける必要があります。そして、もし必要な場合は徐々に変えていくことが望まれます。



例を挙げてみましょう。ある大学病院の精神科で年末年始に入院患者の外泊を許可しました。正月に帰院したとき、多くの精神患者はより良い状態であったそうです。自宅で家族との生活が心を穏かにしたものと考えられます。しかし、認知症患者はほぼ例外なくより悪い状態で帰院したのです。自宅で家族との生活ですが、環境が変わったため落ちつくのに時間がかかったのです。つまり、環境の変化を避ける必要性を示しています。環境を変える必要のある場合は次のような注意が必要です。



まず、居室等を変える場合はちょこちょこそこへ連れて行き、馴染みの場所としてから移すようにするのです。次に同居する人、介護する人のかわる時はさらに慎重さが必要です。



病気その他の都合で、同居あるいは介護していた嫁が、実の娘と交代するとき、急に交代する実の娘でも環境の変化ととらえ、落ち着くのに時間がかかります。。ましてや他の人の場合は大きな動揺を示します。従って、ちょこちょこ顔を出し、患者と馴染みの人となってから、交代するようにします。



顔なじみは大変重要なものであることを理解しておく必要があります。





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2009年11月25日

認知症介護 家族の接し方10か条 第8条過去の体験は

家族の接し方10か条
                          (認知症予防協会より)

第8条 過去の体験は心のよりどころ
本人の 過去の体験 大切に



毎日の生活は、過去からの連続です。一人ひとりの過去は違いますが、現在はその線上にいます。目の前のことや、今自分のしていること、いまどこにいるかは理解できませんが、遠い過去のことは覚えています。また瞬間、瞬間は覚えているが線でつながった理解は出来ません。点での理解なので、次にすることがわからないため、チグハグな行動になってしまいます。



介護する側から見るとその行動がどうして起こるのか予測できないため、問題行動と捉えてしまいがちです。しかし、本人は今ではなく、過去の生活体験から行動していることが多く、行動を責められると戸惑いが大きくなり、なお一層適切な行動からかけ離れてしまいます。




このような場合、その人の過去の生活体験が分かっていれば、言葉の端々や何気ない表情は、残された記憶の断片から生じていることが理解でき、本人於意思が伝わることで心の安定が図れます。





また、誰もが社会の一構成員であり社会的な存在として生活しています。それぞれには家族があり、夫や妻、親としての役割、仕事、生活等があります。生活は多様であり、個別性の高いもので、生活の歩みはその人の人生そのもので、現在の祖人らしさを形成しています。歩みの中からその人の生き方を知り、その体験にあわせていくと生きいきして来ることが多いものです。




このことはその人の過去の生活を把握することからあわせることが出来ます。その人の過去を知ることにより適切な対応が出来るのです。それぞれの生活は様々ですが、どのような生活であっても本人には掛け替えのない体験です。過去の体験を大切にすることが認知症老人を穏かにする第一歩です。







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2009年11月24日

認知症介護 家族の接し方10か条 第7条人格の尊重

家族の接し方10か条 
                                   (認知症予防協会より)

第7条 人格の尊重
プライドや プライバシーの 尊重を


一般老人と同じように認知症老人に対してもプライバシーを尊重することは言うまでもないことです。認知症老人の介護に当たっては、ごく身近な問題に介護者が関わることが多いので特に注意しなければなりません。私物、お金の管理から、着衣の着替え、排尿・排便の介助、おむつの交換、入浴の介助まで介護者が行うことがしばしばです。時には問題行動への対応もしなければなりません。



そんな中には他人に知られたくない出来事を目にしたり、耳にすることが多々あります。それらのことを興味本位に扱ったり、みだりに第三者に漏らすことはプライバシーに触れることなので慎まなければなりません。また、排尿・排便は入浴の介助などでは、老人に恥ずかしさを感じさせないようにさりげなく行う細心な気配りも必要でしょう。



また、認知症老人は物忘れが多くなり、間違いや失敗をすることは少なくありません。ときには見当違いな行動をしたりします。しかし、認知症が進んでも相手の態度を理解する能力は残っているのが普通です。相手がどんな態度で自分に接してくれているかを、好意を持てる人かどうかをいつの間にか感じ取ります。




そして相手の人の言葉遣いや対応の仕方によっては、ひどくプライドが傷つきます。




例えばちょっとした間違いや失敗を馬鹿にして笑ったり、注意したり、叱ったりするとひどく傷つきます。短気な老人では、不機嫌となったり、怒り出す人もいます。認知症老人と言えども、社会や家庭の中でこれまでの人生を立派に生き抜き、現在も心のハンディキャップを背負いながらも一生懸命努力して生きている人たちであることを理解し、相手を見下したり、馬鹿にしたりするようなことはしてはいけません。



あくまでも老人の自尊心(プライド)を尊重し、礼儀正しい態度で接することが大切です。そのことによって認知症老人の自尊心を高め、ひいてはQOL(生活の質)の維持に役立ちます。







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2009年11月23日

認知症ケアの今 10の基本ケアに感銘

認知症ケアの今
                        社会福祉法人あすなら苑 苑長 大國康夫より)

その人らしさの追及
普通の暮らしを取り戻すための10の基本ケア




■普通の暮らしができるよう介護の質を高めたい

なぜ、私が「10の基本ケア」にこだわったのかといいますと、お年寄りが病院から自宅に帰ってくるのが少ないのは、私たち介護職がプロとして、家族やケア真似に認められるような力量が備わっていないことが原因であり、自信を持ってこんなケアをしますから、自宅に帰ってこられても、安心して生活できますと提案できるようになることが私達の過大だと思ったからです。また、施設に入居しても普通の生活が再建できるようにすることが課題だとかんがえています。



お年寄りが住みなれた街で最後を迎えたいというささやかな望みを叶えることさえ、私たち介護職十分に出来ていないのが現状です。しかし、せめてこの奈良に住むお年寄りだけでも、その望みがかなえられるようにしたいと思い、介護の質を高め、介護さーびすの量を増やすことにチャレンジしています。



■「10の基本ケア」とは

私たちは在宅や施設でのケアの実践の中での失敗を教訓に「10の基本ケア」をつくってきました。当会もスタッフが250人を超えるようになりましたが「10の基本ケア」を続ける中で、お年寄りが普通の暮らしを取り戻すことが出来てきました。また、最尾を看取るとき「あなたと知り合えてよかった」といわれるようなスタッフも育てています。安心して頼りにされる仕事であることに、しっかりと磨きを掛けて生きたいと思います。



「普通の暮らしを取り戻すための10の基本ケア」とは、お年寄りが病気になっても障害や認知症になっても普通の暮らしを取り戻せるよう、ケア(支援)体制を作ることです。


1.換気をする(衛星管理)

2.床に足をつけて座る(座位保持、移乗方法)

3.トイレにすわる(排泄ケア)

4.あたたかい食事をする(食事ケア)

5.家庭浴に入る(入浴ケア)

6.座って会話をする(認知症ケア)

7.町内に出かける(ノーマライぜーション、社会性を取り戻す)

8.夢中になれることをする(個別機能訓練)

9.ケア会議をする(トータルチームケアで生活意欲をつくる)

10.ターミナルケアをする(最後まで関わる)









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2009年11月19日

認知症介護 家族の接し方10か条 弟5条意欲の活性化

家族の接し方10か条

第5条 意欲の活性化
本人を 生きいきさせる よい刺激


人は誰でも快い環境や雰囲気、ほどよい刺激を受けると、気分がよくなり、気持ちが晴れやかになります。認知症老人も同じです。認知症だから何も感じないのではありません。新しいことを記憶することは困難ですが、気持ちは豊かです。



特に、昔の歌や踊り、長い間行なってきた料理屋仕事などは“手続き記憶”といって、認知症になってもかなりの部分が残っています。理屈ではなく体で覚えているのです。



昔の場が好きな被地は、グループ活動している場へ参加し、興味のある場面で自然に溶け込んで楽しむ機械になります。参加することで他者との交流も広がり、他者との関係ができたり関係の中で快い刺激も出てきます。例えばいろんなグループ活動をしている場面に接していくうちに、今まで経験したことがなくても、絵などを描いたことがなくても偶然描いた作品から褒められたりすると、そのことがきっかけで味のある作品が生まれてくる場合があります。



認知症になっても、“隠れた能力を発揮”することができるのです。それらの機会を上手に作ることが大切です。また、一人が好きな人は昔習った楽器や好きな音楽を聴くのもよいでしょう。無為物が好きなようであれば簡単な小物などを作り日常で威喝の中で使用し役に立っていることを伝え、感謝の気持ちを表すことも一つの方法です。



失敗感を持たせないように配慮し完成した作品から可能性をみいだせる様にするとともに他者が評価することで、自身を撮りも出せ、新しいことへ挑戦できる糸口にします。



完全で穏やかな生活の中に、心が動くようにな楽しい生活環境をつくることなのです。感覚は健康な人と同じです。精神的な部分に触れるような働きかけが意欲を引き出し、生きいきするのです。よい刺激を絶えず与える工夫をしましょう。







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