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2010年07月11日

杉山ドクターの認知症をよく理解するための8大法則 1原則 

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則 
             
       
                    (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師)



第8 法則 衰弱の進行に関する法則



「認知症の廊下の速度は非常に速く、認知症のない人の約3倍のスピードで進行する」という特徴を言います。認知症高齢者グループと正常高齢者グループのそれぞれ1年後との死亡率を5年間追跡した調査結果(聖マリアンナ医科大学長谷川和夫前理事長ら調査)、認知症高齢者4年後の死亡率は83.2%で、正常高齢者グループの28.4%と比べると3倍になっていました。したがって何年何十年にわたって介護し続けなければならないのかと思い悩んでいる家族に対して、私は、次のように説明することにしています。





「同じ年齢の正常な人と比べると、認知症の人の場合、老化が3倍のスピードで進むと考えてください。例えば、2年たてば6歳年をとったと同じ状態になりますから、6割位の人は認知症が出てから6~7年以内に死亡しています。見てあげられる期間は短いのです。」





介護に関する原則




「認知症の人が形成している世界を理解し、大切にする。その世界と現実とのギャップを、感じさせないようにする」。これが「介護に関する原則」です。私は認知症の人を介護する介護者に対して、「本人の感情や言動をまず受け入れて、それに合うシナリオを考え演じられる名優になってください。それが本人にとっても、あなたにとっても一番よい方法です。そして名優は時には悪役を演じなければなりませんよ」と話すことにしています。






認知症の人の世話をすることはときに大変つらく苦労が多いものです。介護者は家族の間で、あるいは経済的にも、また、社会に対しても、いろいろな問題を背負い込むものです。そんな場合も自分自身も俳優であると発想することは、心の負担をほんの少しでも軽くすることにもなるはずです。






とにかく認知症の人が、自分は周囲から認められているのだ、ここは安心して住めるところだ、と感じられるように日ごろから対応することが、一番楽で上手な介護になるのです。「感情残像の法則」の法則のところでも述べましたように一旦抱いた感情に関しては残像のように長い間残るので、認知症の人に良い感情をもってもらうことが介護のポイントになるのです。










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2010年07月09日

医師の目・人の目「知ってますか?認知症」 パート3 

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。




第3 ぼけても心生きている


「ぼけても心は生きている」。これは「認知症の人と家族の会」が発足して依頼、社会に訴え続けてきたテーマの一つだ。「認知症になったら何も分からなくなる」「人間性も失われる」と考える人は少なくない。2002年には家族の会が行った「家族を通じてぼけの人の思いを知る調査」は、そのようなとらえ方が必ずしも正しくないことを明らかにしている。




調査の一部を紹介する。
「『母さん、3月になったら、レコードでも買(こ)うて、きれいな服も着いや』。夫はまじめな顔で、じっと私を見つめて言った。ボケても失わない夫のやさしがうれしかった」「お父さん、本当に有難う。良く世話をしてくれて有難う。本当にやさしいんだから。色々心配かけてごめんなさいね。いつまでも元気でいてね』と。前後支離滅裂な内容を言い続けていたのに、これが妻が私に言った最初で最後の正気の言葉となりました。(略)私は、この時、最後まで妻を優しく介護してやろうと決心しました。」





このように、認知症が進んでも「家族に幸せになってほしい」「家族の体を気遣う」と言う気持は持ち続けている。「支離滅裂」の状態であっても、このような人間らしい優しさに出会うことができるからこそ、家族はつらい介護を続けられるのだと思う。「『あなたの笑顔は素敵ですね』と私の友人が訪ねてきたときに話した。母の精一杯のあいさつ。相手に不快を与えないような心配りが感じられた」




記憶障害、理解力・判断力の低下などがあっても、これまでの人生で培ってきた、人との接し方や気配りなどは長く持ち続けるものである。時には認知症があるかどうかわからないほど上手に対応する。もっとも、このように、他人に対しては見事な対応をすることができりのに、介護者に対して激しい症状を出すため、そのギャップに介護者は悩むことになる。




「痛いリハビリに抗議して『イヤ、イヤといったらイヤ!しないといったらしない。人がこれほどイヤと言うものを、皆は、何の権利があって無理強いするのか。その理由を言え。人権無視じゃあ』」。リハビリや検査、処置なども、そのことが自分にとってどのような意味があるかを理解できない認知症の人には、つらいこと嫌なこと以外ではない。周りの人は認知症の人の気持や正確を理解して、介護しなければならない。














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2010年07月08日

杉山ドクターの認知症を理解するための8大法則 1原則

認知症を理解するための
8大法則 1原則
                          (認知症の人と家族の会 副代表杉山孝博医師)

第7法則 症状の了解可能性に関する法則  




老年期の知的低下の特性や、第1~第6法則でまとめたような認知症の特徴を考えれば、認知症の症状のほとんどは、認知症の人の立場に立ってみれば十分理解できるものである、という内容の法則です。





夜間不眠といって、夜間になると目を覚まして、家族、特に介護者の名前を呼んで起こすことがあります。家族にとっては大変な悩みとなります。どうしてこのようなことが起こるのか考えてみましょう。





認知症が始まると、時間や場所の見当がつかなくなる「見当識障害」が知的機能の低下の一面として出てきます。そうすると、今自分が寝ている所も分からなくなる。目を覚ますと、真っ暗でシーンとして誰もいない。認知症の人にとってみれば、自分がどこにいるのかわからなくなって、大変な恐怖感を覚えるわけです。





私たちが旅館に泊まって、夜中に目を覚ましたときのことを考えてみて下さい。自分の寝ているところがいつもの部屋と様子が違うので、誰れでも一瞬不安を感じます。ところが次の瞬間、旅館に泊まっていることを思い出して安心し、再び何事もなかったように眠るのです。もし、そのとき、いくら考えても自分がなぜここにいるのかがわからなかったらどうでしょう。「いったいなぜ、こんな知らないところにいるんだろう」「家族は自分を置き去りにして、どこかへ行ってしまったのではないか」「眠っている間に誘拐されて、ここに閉じ込められているのではないか」





さまざまな考えが次々と頭に浮かんできて、数分後にはひどい恐怖に襲われることになるでしょう。そういうときに私たちはどうするかというと、誰もいなければ一番頼りになる人の名前を呼んで、その人が来てくれるまで呼び続けるでしょう。また、歩く自由があれば、あらゆる部屋を探し回って自分の知っている人がいないか、つまり夫や妻はいないか、子供はいないかと探し回るはずです。






認知症の人も、このような状態に置かれたのと全く同じ行動を示していると考えれば、そんなにおかしくないはずです。したがって夜間の徘徊をおさえるにどうすればよいかということは、認知症の人の気持ちになってみればよく分かります。まず、ここは自分の部屋だと分かるようにしてあげて恐怖感を和らげてあげることがポイントです。







そのコツには以下のようなことがあげられます。
部屋も老化も明るくしておく、眼をさましたときに、いつも使っているタンスや衣類が分かるようにしておく、夜中でもテレビやラジオを適切な音量でつけておく、家族の声や好きな歌など録音したテープを流すなどいろいろな音が聞こえるようにしておくなど。大事なことは、認知症のひとの恐怖感をいかにおさえるかということです。







社)認知症の人と家族の会のベテラン介護者は、こういうケースで困ったときは、添い寝をしてあげ、目を覚ましたときには「大丈夫よ」と言って手を握ってあげるということをしていました。そうすると、それほどひどく騒がないで眠ってくれるし、自分もよく休めるという事でした。私たちも子どもの頃何年間も母親に添い寝をしてもらいながら眠りについたことを思い出せばよいでしょう。






ところで、認知症の人の言動を正しく了解する上では、過去の経験が現在の認知症の症状と深い関連をもっている場合も少なくないことを覚えておいて下さい。周囲の人は本人の生活歴・職業歴を詳しく知って、認知症の人の気持ちを理解するよう努めることが大切です。










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2010年07月07日

医師の目・人の目「知ってますか?認知症」パート2

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。




第2 介護者に対し強い症状


「私の言うことは一切聞かず、ひどい言葉で私を非難する義母が、よその人に対してはしっかりした対応をするのです。わざと私を困らせているに違いありません」と訴える介護者は非常に多い。






認知症の人は、よく世話をしてくれる介護者に最もひどい症状をしめし、時々会う人や目上の人にはしっかりとした言動をするのが特徴である。このことが理解されないため、介護者と周囲の人との間に認知症の理解に深刻なギャップが生じて、介護者が孤立する。






同じ家に住んでいても朝夕しか顔を合わせない息子に対してしっかりした言い方をするので、介護が大変だという妻に対して「お前の言うことは大げさだ」と言って、夫婦の亀裂を決定的なものにしたケースもある。逆に、この特徴が理解できて、夫から、「大変だな。いつも世話をしてくれて有難う」と言われて、「気持ちが軽くなった」と話す介護者も少くなくない。






医師や看護師、訪問調査員などの前では、普段の状態から、想像できないほど上手に応答するので、認知症はひどくないと判断されてしまう。介護者は、専門家でさえ本当の認知症状態が理解できないのだと思い、絶望と不信に陥ってしまう。





ところで家族だけではなく、身近な存在となったヘルパーに対しても、この特徴が当てはまる。「ヘルパーが大事なものを盗んだ」といい始めたら、この特徴を思い出してほしい。それでは、なぜ認知症の人はこのような「意地悪」ともとれる言動をするのだろうか。





認知症の人は介護者に嫌がらせをしているのではなく、子どもが最も信頼している母親に甘えて困らせるように介護者を絶対的に信頼しているから認知症の症状を強く出すと考えるべきだと。





介護者が普段感じていることと正反対である。このことが分かっただけで、介護者の認知症の人に対する気持ちが変わってくる。よく考えれば、私たちも自分の家の中と他人の前とでは違った対応の仕方をするものだ。よその人に対しては体裁を整えて対応している。認知症の人と同じことをしているのではないか。






自分も相手も同じ立場だと理解できたときに始めて、相手にやさしくなれるのではないだろうか。この特徴を知って気持ちが一変したという経験を持つ介護者は多い。認知症の介護の第一歩は正しい知識から始まる。















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2010年07月06日

医師の目・人の目「知ってますか?認知症」 パート1

医師の目・人の目

「知ってますか?認知症」

        公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
        神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
        川崎幸(さいわい)病院  杉山孝博

共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。




第1 人ごとでない問題


「認知症(当時は『ぼけ』)は、今介護している私たちだけの問題ではないんです。これからたくさんの人たちが関わらざるを得ない大きな問題です」28年前私が社団法人「認知症の人と家族の会」に関わり始めたとき、一人の介護者が話した言葉を今でも思い出します。当時、認知症に対する社会的関心は極めて低く、デイサービス、ショートステイ、などの介護サービスはまったくなかった。




特別養護老人ホームでは認知症があると入所させてくれなかった。行政には認知症の相談窓口すらなかった。家族に認知症の人がいることを話したら、親戚から「身内の恥をさらした」といって非難された。今では認知症に関して使い勝手が悪いといわれながらも介護保険サービスが利用でき、「認知症を知り、地域をつくるキャンペーン」が全国的に展開されて、社会的関心が高まっている。




認知症高齢者は200万人に達し、要介護認定者の2人に1人、80歳以上の4人に1人が認知症になっているといわれている。認知症高齢者の一人暮らし世帯が増加し、認知症の人が認知症を介護する「認認介護」が現実として問題になるなど、認知症の問題が身近になってきたことを感じざるを得ない状態が出てきた。




自分自身が認知症になるかならないかは別としてても、家族も含めれば認知症は私たち一人一人の問題になってきているのは間違いない。それでも私たちは認知症を人ごととして見てはいないだろうか。「自分が自分でなくなる」という恐怖感、家族に大きな負担をかけるという遠慮、治療困難な進行性の病気である絶望感などが相まって、認知症を自分自身の問題として考えたくない気持を起こさせているのだろう。




認知症を正しく理解する、疑いが出てきたら早期診断・早期治療を受ける、介護負担を軽くするため介護サービスを積極的に利用する、専門職や介護体験者などと交流するなど、前向きに対応することにより、介護の混乱が軽くなり、、認知症の人との状態も落ち着くことは、私の経験からはっきり言える。




このシリーズでは、認知症の人の世界を理解することを中心として、認知症に関するさまざまな問題を幅広くとり上げていくつもりである。(川崎幸クリニック院長 杉山孝博)














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2010年07月06日

杉山ドクターの認知症をよく理解するための8大法則パート2

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則 

                         (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師)



第6 法則 こだわりの法則 パート2




これからの高齢社会では、警察官、郵便局員、銀行員、医療機関のスタッフの「業務の1つ」として、「認知症の人に上手に対応すること」を加える必要があるでしょう。認知症の人が警察等に電話をかけたり出かけたりするのを阻止することは家族に大変な負担がかかりますが、社会全体が理解して、認知症の人のこだわりに上手に対処できるようになりますと、深刻な「認知症問題」の問題性が軽くなることはあきらかです。





場面転換によりこだわりが取れることが少なくありません。話題を昔話や趣味の話にもっていったり、昔の写真等を見せると、こだわりが消えてしまう場合がよくあります。また、お茶や食事にするとうまくいく場合が多いいので試してみましょう。往診していた92歳の男性が、夜中に騒いで眠らないとき、「軽食を出して食べさせたらよく眠ってくれるようになりました」と家族は報告してきました。





いちいち対応して消耗するのが介護者ですが、見方を変えて対応しないでそのままにしておくことが介護を楽にすることになります。例えば、タンスから着物を引き出し部屋一面に広げている場合、畳んでタンスに戻してもすぐ引き出して散らかしてしまいます。「目に見えないと大切な着物がなくなったと心配しているからだ。お母さんの着物なのだし、自分の部屋だから好きなようにさせておこう」と考えてしまえば簡単です。





物に対する執着などは長く続くことがありますが、一般的には、一つのこだわりの症状はせいぜい半年から1年間しか続きません。「1年間の辛抱だ」と考えることもよいでしょう。






きれいで整った環境、規則正しい生活が誰にとっても望ましいものと考えがちですが、知的機能の低下によって社会的規範の束縛から自由になった認知症の人にとっては窮屈で不自由なもの以外の何者でありません。そのままにしておいて何が問題なのかと考える習慣をつけると、介護者にとってのこだわりが取れていくでしょう。










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2010年07月03日

杉山ドクターの認知症を理解するための8大法則1原則パート1

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則  
                    
                      (認知症の人と家族の会 副代表杉山孝博医師)



第6法則 こだわりの法則 パート1




「あるひとつのことに集中すると、そこから抜け出せない」。周囲が説明したり説得したり、否定したりすればするほど、逆にこだわり続ける」という特徴がその内容です。






ある人とある人の間に何らかのこだわりが生じた場合、普通、相手を説得したり、相手に説明したり、命令したりしてそのこだわりを解消しようとします。ところが認知症の世界ではこの方法はほとんど通用しません。





こだわりに原因がわかれば、その原因を取り去るようにする、そのままにしておいても差し支えなければそのまま認める、第3者に入ってもらいこだわりを和らげる、別の場面への展開を考える、などの方法が認知症の人のこだわりに対応する基本的なやり方です。





認知症の人の過去の生活体験がこだわりとして現れることがよくありますから、本人の生活体験を知っていると、こだわりに対して上手に対応できます。





例えば、お金や物に対する執着は醜く、他人には話せないと家族は思い、どのように対応していいか家族は戸惑ってしまいます。私の経験では、金銭に対し強く執着している認知症の人は、多くの場合、かって経済的に厳しい体験を持っています。女手ひとつで子供を育てた人、倒産や詐欺にあった経験をもっている人、長い間一人暮らしをしていた人など、どの人も、生きていくのに最も重要な手段である金銭や物に執着するのは無理もない人たちであるといえます。





また、道に落ちているものを収集している場合、家がゴミの山になることはたまらないことですが、もったいないと思って拾ってくる認知症の人のほうが、貴重な資源を平気で捨てる人よりよほどノーマルではないでしょうか。




具体的な例を見ていきましょう。私が担当している保健所の認知症相談(老人精神保健相談)に、初老期の女性が次のような相談に来られました。「私が外出から帰ると主人は私のところにやってきて、“今までどこに行っていたのだ。どこで男と逢っていたのだ”と毎回言うようになりました。先日、息子と一緒に帰宅しましたら、息子と関係しているとまで言い出しました。情けなくて・・・。どうしたらよいでしょうか」さらに話を聞きますと、1年ほど前から物忘れがひどくなり物を紛失するようになったため、印鑑や預金通帳を奥さんが保管することにして、夫が請求しても渡さないことにしたということでした。






「自分にとって大切なものをあなたがもっていってしまったと考えて、ご主人はあなたに対し猜疑心を持ったのです。請求されれば通帳や印鑑を渡しなさい。無くくなっても再発行や改印届けを出せばよいのですから」とアドバイスをしました。







翌月の認知症相談に奥さんがやって来て、「先生の言われたとおりにしましたら、浮気妄想はきれいになくなりました。荒れは本当に認知症だったのですか?」






こだわり続ける認知症の人に対して、その場しのぎの対応や虚偽の言葉で納得させることがしばしば必要となることがあります。「第2法則=症状の出現強度に関する法則」にあるように、よその人に対してしっかりした態度を示すことから、第3者がかかわると、こだわりが軽くなることが少なくありません。





認知症に人は、警察官や役所の人、郵便局や銀行の職員、医師など信頼度が高い人には、認知症が相当進んでも信頼するものです。





「私の年金を嫁が勝手に引き出している」と疑い続けている人に対して、預金通帳を見せながら、「1円も引き出されていない」と家族が説得しても聞き入れませんが、郵便局員から「○○さん、年金は間違えなく振り込まれていますよ、安心して下さい」といわれると素直に信じ安心した表情を見せてくれます。残念ながら一安心しても、記銘力低下(ひどい物忘れ)のためしばらくすると再び心配し始め郵便局へ行くことになります。そのときも郵便局員は同じように安心する言葉をさらりとかけてほしいと思います。










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2010年07月02日

杉山ドクターの認知症をよく理解するための8大法則 1原則

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則

                         (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師)


第5法則 感情現像の法則



認知症の人は、第1法則の記憶障害に関する法則が示すように、自分が話したり、聞いたり、行動したことはすぐわすれてしまいます。しかし、感情の世界はしっかり残っていて、瞬間的に目に入った光が消えた後でも残像として残るように、その人がそのときいだいた感情は相当時間続きます。このことを「感情残像の法則」といいます。出来事の事実関係は把握できないのですが、それが感情の波として残されるのです。






認知症の人の症状に気づき、医師からも認知症と診断されると、家族は認知症を少しでも軽くしたいと思い、いろいろ教えたり、詳しい説明をしたり、注意したり、叱ったりします。しかし、このような努力はほとんどの場合、効を奏しないばかりか、認知症の症状をかえって悪化させてしまうのです。






まわり(とくに一生懸命介護している人)からどんな説明を受けても、その内容はすぐに忘れてしまい、単に相手をうるさい人、いやなことを言う人、怖い人と捕らえてしまいます。つまり、自分のことをいろいろ気遣ってくれる身近な人と思わないのです。これをどう理解したらいいでしょうか。







認知症の人は、記憶などの知的能力の低下によって、一般常識が通用する理性の世界から出てしまって、感情を支配する世界に住んでいる、と考えたらいいでしょう。







動物の世界に似た一面があります。弱肉強食の世界に住む動物たちは、相手が敵か味方か、安心して気を許せる対象か、否かを速やかに判断し、感情として表現します。認知症の人も実は同じような存在なのです。安全で友好的な世界から抜け出してしまった認知症の人は、感情を研ぎすまして生きざるをえない世界の中に置かれているのです。







周囲のものはそのような本人が穏かな気持になれるよう、心から同情の気持で接することが必要となります。つまり認知症の人を介護するときは、「説得よりも同情」です。感情が残るといっても、悪い感情ばかりが残るのではないので、よい感情が本人に残るように接することが大切です。






自分を認めてくれ優しくしてくれる相手には、本人も穏かな接触をもてるようになるものです。最初のうちは難しいかもしれませんが、「どうもありがとう。助かるわ」「そう、それは大変だね」「それはよかったね」などの言葉が言えるようになれば、その介護者は上手な介護ができているといえます。






例えば認知症の人が濡れた洗濯物を取りこんでいるのを見つけたとき「まだ乾いてないのにお母さん、どうしてわからないの、余計なことをしてくれて」というのと「ああ、お母さん手伝ってくださってありがとう。後は私がやりますからそちらで休んでいてください」というのとでは介護のしやすさが大きく違ってくるものです。











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2010年06月30日

認知症をよく理解するための8大法則 1原則  

認知症をよく理解するための  
8大法則 1原則  
 
                      (認知症の人と家族の会副代表 杉山孝博医師) 




第4 法則 まだら症状の法則
      



認知症の人は、認知症が始まると常に異常な行動ばかりするわけではありません正常な部分と認知症として理解すべき部分とが混じり合って存在しているというのが、「まだら症状の法則」です。





非常にしっかりした面もありますから、本人が認知症であるとはなかなかとらえられません。家族はついつい、「何故こんなことができないの」と言ってしかったり、教えこもうとしたりします。本人の言動を認知症の症状であるのか、そうでないのかをどう見分けたらよいでしょうか。






介護者のもっとも大きな混乱の原因の一つは、上手く見分けられなくて振り回されることにあります。初めから認知症の症状だとわかっていれば、そして、対応の仕方を上手くすれば、認知症による混乱はほとんどなくなります。






常識的な人なら行わないような言動をお年寄りがしていて周囲に混乱が起こっている場合、“認知症問題”が発生しているので、その原因になった言動は、“認知症の症状”である」と割り切ることがコツです。



             



「私の大事なお金を盗んだだろう。ドロボー」という「物盗られ妄想」も、寝たきりの人が言うのと、見かけは正常に近い人が言うのとでは介護者の混乱はまったく違います。しかし、家族に向かって「ドロボー!」呼ばわりすることは異常ですから、いずれも同じ「認知症の症状」なのです。 






ところで、認知症のない普通の人でもまだら症状はあるものです。「あの人がどうしてあんなバカなことを・・・」といいたくなる場面は少なくありませんし、会社では有能で素晴らしい判断力や企画力を発揮する人が、家に帰ると「粗大ごみ」扱いされるのですから。





このように認知症の人だけが異常な「まだら症状」を示すのではなく、私たち一人ひとりが日常的にしていることなのだと理解できれば、広い気持で認知症の人と接することができるようになるのではないでしょうか。











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2010年06月28日

杉山ドクターの認知症を理解するための8大法則1原則

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則

                         (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師)

第3法則 自己有利の法則




「自分にとって不利なことは絶対認めない」というものです。「大事なものがない」と大騒ぎするので、家族も一緒になって探したところ、認知症の人が使っている引き出しの中から見つかった場合、家族から「そらごらんなさい。ここにしまっておいたのに忘れたのでしょう。おじいちゃんしかここにしまう人はいないんだから」と言われても、「いや自分はそんなところへしまった覚えはない。誰がそこへしまったんだ」と必ず言い返します。





言い返しがあまりにも素早く、しかも難しいことわざなどを交えてするので、周囲のものは本人が認知症になっているとはとても思えません。しかし、言い訳の内容には明らかな誤りや、矛盾が含まれているため、「都合の良いことばかりいう自分勝手な人」「嘘つきだ」など、本人を低い人格だと考えて、そのことで介護意欲を低下させてしまう家族も少なくないようです。





こうした認知症の人の言動には、自己保存のメカニズムが本能的に働いているに違いありません。つまり人は誰でも、自分の能力低下や生存に必要な喪失を認めようとしない傾向を持っており、認知症の人も同様なのです





社会生活に適応するということは、本能の直接的な現われを推理力判断力などの知的機能によって抑制することにほかなりませんが、認知症の人は知的機能が低下するため、本能的な行動が表面に現れやすくなっているのです。






「自己有利の法則」を知っていると、無意味なやりとりや、かえって有害な押し問答を繰り返さずに混乱を早めに収拾することができるようになります。日々の介護で混乱されている家族は「自分たちはこの法則で説明できる症状に振り回されているのではないか」と考えてみてください。










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2010年06月26日

認知症をよく理解するための8大法則・1原則

認知症をよく理解するための
8大法則 1原則

                          (認知症の人と家族の会 副代表 杉山孝博医師)



第2法則 症状の出現強度に関する法則



認知症の症状が、より身近なものに対して、強く出るというのがこの法則のな内容です。




介護者に対してひどい認知症の症状に示して困らせるのに、よその人には応対がしっかりできるんで、介護者と周囲の人たちの間に認知症の症状の理解に大きな差が出ます。





「一生懸命介護してあげているのに感謝しないばかりか“私のものを盗んだ”とか“お前は何もしてくれない”などとひどい言い方をする」と、介護者一人が嘆き辛い思いをして、他の家族は「大げさすぎる」と言って介護者の苦労を感謝しないばかりか、むしろ非難すると言った「認知症問題」が、これまで数多くの家庭に発生しました。





診察室や認知症相談の場や、訪問調査員の訪問の際、認知症の人は普段の動きからは想像できないほど、しっかりと対応できるため、認知症がひどくないと判断されがちです。家族は、専門家でさえ現実の状態が理解できないのだと思い、絶望と不振に陥るのです。





認知症の人は何故こうした「いじわる」ともとれる行動をとるのでしょうか。私は次のように解釈しています。
幼児はいつも世話をしてくれる母親に対して甘えたり、わがままを言って困らせますが、父親やよその人に対しては、もっとしっかりした態度をとるものです。母親を絶対的に信頼しているから、わがままが出るのです。







認知症の人も介護者をもっとも頼りにしているから認知症の症状を強く出すと言うのは類推のしすぎでしょうか。そして又、私たち自身も、自分の家の中と他人の前とでは違った対応の仕方をするものです。よその人に対しては体裁を整えます。ですから、認知症の人が他人の前でしっかりした対応をするのを異常だと思う方が、異常だと思いませんか。自分も相手も同じ立場だと
理解できたときに初めて、相手にやさしくなれるのではないでしょうか。











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2010年06月24日

杉山ドクターの認知症を理解するための8大法則1原則

認知症をよく理解するための8大法則1原則
                         (認知用の人と家族の会 副代表杉山孝博)



(b)全体記憶の障害




これは、「出来事の全体をごっそり忘れてしまう」ことを言います。私達の記憶力ははかないもので、細かいことはほとんど忘れてしまいますが、大きな出来事、重要と感じたことは記憶にとどめます。ところが、認知症が始まると自身が体験したできごと全体を忘れるようになります。





デイサービスから帰ってきた認知症の人に、家族が、「今日どこへ行って何をしてきたの」と尋ねても、「どこも行かないで一日中家にいた」とまじめな顔をして答えるのが普通です。デイサービスに参加したこと全体をきれいさっぱり忘れているからです。






また、食べた直後に「まだ食べていないから、早くごはんを用意して」「食事をさせないで殺すつもりか」という場合に、この法則が適用できます。認知症の人はある時期、異常な食欲を示すときがあります。一人分食べても空腹感が残っていて、しかも食べたことを忘れる(細かい献立の内容を忘れるだけではない)ため、前述の要求が出てくるわけです。「今食べたばかりでしょう。これ以上食べるとおなかをこわすからダメよ」という言い方はダメで、「いま、準備しているから少し待っていてね」「おなかがすいたのね。おにぎりがあるからこれを食べていてね」のように対応した方がうまくいきます。







(C)記憶の逆行性喪失



「記憶の逆行性喪失」とは蓄積されたこれまでの記憶が、現在から過去にさかのぼって失われていく現象をいいます。「その人にとって現在」は、最後に残った記憶の時点になります。この特徴を知っていると、認知症のおかれている世界を把握することができ、どのように対応すればよいかもわかってきます。





家族の顔すらわからなくなると、家族は戸惑ったり、嘆いたりしたあげく記憶を呼び戻そうと努力して、混乱に陥ります。しかし、認知症の人にとって妻は30歳代の若い女性であり、子供は小学生であるので、目の前の老婦人や成人した息子を家族と認めようとしません。





次のように考えるとよいでしょう。タイムマシンで数十年後の世界に送られた私たちの前に成長した子供がやってきて、あなたの子供ですよといわれても信じないように、認知症の人は現在の世界を認めようとしないのです。あくまで説得しようと試みる人間を、自分をペテンにかけようとする敵とみなす場合もあるのだということを・・・。






夕方になるとそわそわ落ち着かなくなり、荷物をまとめて家族に向かって「どうもお世話になりました。家に帰らせてもらいます」といって、丁寧に挨拶して出かけようとすることは認知症の人にしばしば見られます。夕暮れ時に決まっておきますから、“夕暮れ症候群”と呼ばれています。





30~40年前の世界に戻った本人にとって、昔の家と雰囲気が違う、現在住んでいる家は他人の家であり、夕方になれば自分の家に帰らなければならないという気持になるのだと考えれば、了解できるのではないでしょうか。そういう人に向かって「ここはあなたの家ですよ」と説得しても通じません。玄関にカギをかけて出さないようにしたりすると、「よその家に閉じ込められた」というとらえ方をして、大暴れをするのも無理もないことです。




大事なのはその状態の本人の気持を一旦受け入れて、「お茶を入れましたから飲んでいってください」「夕食をせっかく用意したので食べていってください」とか、「それでは途中までお送りしましょう」など、いろいろな対応の仕方を工夫できるでしょう。






また、精神科で幻覚、妄想、と呼ばれている症状も、認知症の人の体験や思考の、ある断面の世界であると考えれば、異常な世界でなくなります。性的異常行動もこの法則を理解しておくと、さほど異常とは思えなくなります。80~90歳の老人の行動ではなく、40~50歳の壮年の性的行動ととらえなおしてみたらどうでしょうか。





以上のように、「記憶の逆行性喪失」は、応用範囲が広く、認知症の人の気持や置かれている世界を理解するのに不可欠の特徴であるといえるでしょう。










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2010年06月23日

認知症を理解するための8大法則

認知症をよく理解するための8大法則 1原則
                           ( 認知症の人と家族の会 副代表 医師 杉山孝博)




2人3脚を立ち上げる際スタッフは杉山先生の講演会に参加し学ばせていただきました。もう一度学んだことを思い出し振り返ってみようと思います。






物忘れがひどくなって同じことを何度も繰り返したり、家族の顔や自分の家が分からなくなるようなことが身内に起こったとき、どの家族も、そのことをどう理解し、どう対応してよいか分からず大混乱に陥ります。奇妙に見える認知症の症状も、記憶力・理解力・判断力・推理力などの知的機能の低下した人にとっては、十分には理解できる言動ではないかと思えるようになりました。誰にも理解しやすいように、『認知症を理解するための8大法則 1原則』をまとめてみました。





第1法則
記憶障害に関する法則




記憶障害は認知症の最も基本的な症状で、「記名力低下」「全体記憶の障害」「聞くの逆行性喪失」という、3つの特徴があります。この特徴を頭に入れておけば、認知症の症状の大部分はすっきり理解できるようになります。ところで最初に私たちが心得ておかなけれ場ならないことは「記憶になければその人にとって事実ではない」ことです。周りのものにとっては真実であっても、当人には記憶障害のために真実でないのが、認知症の世界では日常的であることも知っておくことは大切です。





(a)記銘力低下(ひどい物忘れ)




見たり、聞いたり、行ったりしたこと、つまり体験したことをすぐに思い出す力を記銘力といいますが、認知症が始まると、まず記銘力が低下します。ひどい物忘れが起こるわけです。認知症の人は同じ事を何十回、何百回と繰り返しますが、これはその度に忘れてしまい、初めてのつもりで相手に対して働きかけているのです。丁寧に教えた後、本人が「ああ、わかったよ」と返事をしても安心できません。また、同じ事を繰り返します。返事した瞬間に教えられたことを忘れてしまうからです。繰り返し教えても効果がないばかりか「この人はくどい人だ、うるさい人だ」と受け取られるだけですから、むしろしない方がよいのです。





ところで、物忘れのために同じことを繰り返すのは、認知症の人ばかりでしょうか?外出しようとして玄関まで来たとき、「ガスの元栓を締めたかしら」とか、「アイロンのコンセントを抜いてきたかしら」と心配になれば必ず確認に行くはずです。このように、気になることを忘れた場合に繰り返すのは人間の本性ですから、認知症の人だけが異常であると考えないことです。




次回は(b)全体記憶の障害について載せいきます。









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2010年06月22日

“我が家流”の見つけ方

“我が家流”の見つけ方

介護は自ら考えて生み出す「自立の学校」
                          (カウンセラー・エッセイイスト羽成幸子氏より)


“老い”を意識


介護に教科書はありません。人生の数だけ介護法はあります。大事なことはその中で自分だけの“我が家流”を見つけることです。他人と比べ、他人の真似ばかりしていると、次第に苦しくなっていきます。どうか、自分の介護に自信を持って下さい。介護は人それぞれ苦しみが異なります。鼻水を拭くだけで辛いという人もいれば、下の世話でも大丈夫という人もいます。その苦しみになれるためには、何度も向き合い、繰り返すしかありません。そして早い時期から心の準備をしておくことです。




よく、「介護はいつから始まるのか?」と聞かれます。私は、「自分や親の老いを意識したときが介護の始まり」といっています。老いと死は、必ず同居しています。親御さんが寝たきりになった時が、介護の始まりではありません。親が少し弱ってきたなと感じたら、頻繁に様子をみに行くことです。実家で季節の服を出したり、重いものを持ったり、庭の枝を切ってあげたりする。こうしたことも立派な介護です。



親御さんも無理をせず、子どもに頼みごとを用意しておくなど、上手に頼りにしましょう。お互いに意識した分だけ、介護の先取りは出来るものです。





答えを求めない


介護は常に大変です楽な介護などありません。私は、人生の一番厳しい修行が介護だと思っています。介護する上では、親子の人間観ジェイは、家庭の歴史もあり、そこに葛藤も生まれます。老いた親と向き合いながらも、実は自分自身と向き合うことになる。結局、介護とは自分自身との戦いなのです。




人に「優しくしよう」「親孝行しよう」と言うことは簡単ですが、実際に排泄物を処理する中では、優しさなど吹っ飛んでしまいます。それえも相手の人生や考え方、においばどを受け入れ、孤独な介護と向き合い続けて人は、自分自身との戦いに勝った人です。介護と言う美恣意現実と葛藤する中で、介護者は次第に“哲学者”になって行きます。




なぜなら介護とは、悩みながらも自分で考え、答えを生み出していく「自立の学校」だからです。介護の苦しみをいかに軽減し、楽しみを見出すかは、介護者自信の知恵であり、考え方と言えるでしょう。介護は判断の連続ですが、最近は多くの人が、すぐに答え尾求めたがります。しかし、介護の答えは1つではありません。





大事なことは自分で考えて答えを出すことです。もし駄目でも、また別の方法を考えれば良いのです。思考錯誤を繰り返す中で、出した答えは、「すべて最善を選んでいる」と考えましょう。その上で、「介護が終わったら、すべて100点」だと思ってください。





人生の一部分
 「最善を選んでいる」と確信を


では介護の楽しむ為為のポイントは何でしょう。その一つは、「介護を人生の目的にしないこと」ことです。私たちは介護する為に生まれてきたのではありません。より良く生きる為に生まれてきたのです。ですから、介護者自信が自分の人生をあきらめずに夢を持ってください。私にとって介護は、人生の語句一部しかありません。30年に及ぶ介護生活の中で、私は62種類の習いごとに通いました。




自分の興味を広げ、夢を実現する為に挑戦も続けました。姑が昼ねしている時間を使って映画間に言ったり、わずかな時間を割いて、映画や芝居を見に行ったりしたこともあります。それらが人生を行き抜く「しなやかさ」になっていったのです。しなやかさとは自分自身への闘志です。様々な人と触れ合い、語りあう中で、「こんな考え方もあるんだ」という「気付き」や「発見」がある。それらが自身の人生の豊かにし、介護の現場での、様々なアイディアとし生きました。




例えば、下の世話をしているときでも、薔薇の臭いを想像してみる。下の世話をしたら、自分に何か、語法日を上げる・・・。こうした少しのアイディアとユーモアが、介護現場日潤いをもたらします。そのためにも、介護の現場から一歩引いた目で、自分の人生を見つめることを心掛けたいものです。









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2010年06月20日

認知症の人と接するときの心構え

認知症の人と接するときの心構え  



「認知症本人に自覚がない」
は大きなまちがい



認知症になったっとき、最初に気づくのは本人です。物忘れによる失敗や、今までできた仕事や火事がうまくいかないなどのできごとが次第に多くなり、誰よりも早く本人が「おかしい」と感じ始めます。認知症の人は何もわからない」のではなく、一番心配で、心細く、苦しんでいるのは他でもない本人です。






「私は忘れていない!」に隠された悲しみ



認知症の人はときに「私は忘れてなんかいない」と言い張り、家族を困らせます。「私が認知症のわけがない」「私は物忘れなんかしない」という態度や言動には、やり場のない怒りや不安が隠れた悲しみの表現であることを知っておくことが大切です。まずは、認知症を正しく理解したうえで、認知症の人や家族を温かく見守ることがスタートです。声かけしたほうがいいと思っても、自分では恥ずかしいと感じても勇気を持って声を掛けてください。小さな助け合いの積み重ねが、大きな手助けとなるのです。






こころのバリアフリーを



足の不自由な人は杖や車椅子等の道具を使って自力で動こうとします。そして手助けが必要なときは援助を頼むことができます。しかし認知症の人は自分の障害を補う「杖」の使い方を覚えることができません。杖のつもりでメモを書いても、書いてあるメモを見ても何のことかわからなくなります。認知症の人への援助には障害を理解し、さりげなく援助できる「人間杖」が必要です。交通機関やお店など、町のあらゆるところに、温かく見守り適切な手助けをしてくれる人がいれば、認知症の人も外出することができ自分でやれることもずいぶんと増えます。こころのバリアーフリー社会をつくることが大切です。






かかわる人の心がまえ




健康な人の心情が様々なように、認知症の人の心情も様々です。「認知症の人」だからと決めつけずに、さりげなく、自然に手助けするのが一番です。










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2010年06月13日

コミュニケーションを深める

コミュニケーションを深める
“読顔力”


認知症ケアの対応をするのにまさにこの読顔力はとっても大切です。
良い記事が載っていてのでアップいたします。


                 (精神科医・筑波心理科学研究所顧問)より)



非言語情報を敏感にキャッチ


人とのコミュニケーションを取るとき、どのようなことをしているでしょうか。交わす言葉の意味、声に込められたニュアンス、表情や態度・・・。さまざまな情報を元に、相手の感情を読み取っているはずです。




以前の日本には、その場の雰囲気や相手の表情など「非言語情報」によって意味を察することができ、「はっきりものを言わなくても通じる」土壌がありました。近年、日本でも、豊かな表情をする人が減って来ているように感じます。感情を表情に表せる人が減ってきているということは、表情を読み取る能力「読顔力」も弱くなってきているのではないでしょうか。




「表情を読む」ということは、相手に興味を持つということです。面と向かって会話をすると、言葉以外にもさまざまな情報が得られます。この“アナログ”の情報を受け取り、言葉で表現されていない部分を理解する。そこにこそ、本来のコミュニケーションがあるように思います。




多分化が共存する欧米では、相手の表情からだけでは意思の疎通ができないため、非言語情報を含めたすべてを言語化して伝える必要がありました。そのため「イエス」「ノー」をはっきりというようになったのかもしれません。アメリカのある州では「表情の学習」をしているところが出て来ています。この表情は怒っている、こんな表情であれば悲しんでいる・・・。円滑なコミュニケーションのために非言語情報を共有する取り組みが行なわれています。




相手に興味を持つ
営業マンの注目する「驚き」



クラブの売れっ子ママは、客が何も言わなくても表情や態度で気持ちを察してくれ、それにあわせて接し方を変えてくれます。そのため客も親しみを感じ嬉しくなって通いつめるようになります。コミュニケーションの上手な一例といえるでしょう。また、優秀な営業マンは、「驚き」の表情に敏感で、あまり感情の良くない営業マンは「怒り」の表情に敏感に反応することがわかっています。




「驚き」は興味を引くことです。そこから購入へとつなげることができます。優秀な営業マンは、相手が「驚き」の表情を見せることが、興味を持っている反応だということを知っているのです。しかし、成績下位の営業マンは「驚き」の表情に敏感ではありません。話に興味を持ってもらえるどころか、相手を怒らせた経験が反映されたのか、「怒り」の表情を話を切り上げるきっかけにしているのかも知れません。




円滑なコミュニケーションのためには、表情を読めるにこしたことはありません。コミュニケーションは一方通行では成立しません。お互いに気持ちが通じることが大切なのです。相手が悲しんでいれば悲しいんだと感じ取る。それが共感を得ることにつながるからです。




まねすることで感情を再現



「不気味に思っている」と聞いてどのような表情を思い浮かべるでしょうか。相手の気持ちが分かりにくい場合、表情を真似てみると、相手の心情を理解できることがあります。表情をつくることで、自分の中に相手の感情を再現してみるのです。




人は自分でつくれる表情しか読み取ることができません。自分がつらい思いをしているとき、相手の「幸せ」というボジティブな表情を読み取れなくても「悲しみ」のネガティブな表情を微妙なところまで読み取ることができます。逆に自分が「ハッピー」な状態であれば、「悲しみ」の表情を読み取りにくくなります。




この仕組みを応用したのが、能面を使った「NOH感情評価システム」(川村学園女子大学・簑下成子教授と共同開発)です。一般に、無表情であることを「能面のような顔」といいます。しかし優れた面は、一見すると表情に乏しいように見えますが、実に様々な表情を見せてくれます。見る角度や光の当たり具合によって、その表情を変えます。すこし上向きに傾ければ、「明るい表情」に、下向きに傾けると「暗い表情」に変わります。あらゆる角度に向けて能面の表情を分析したところ、人の45にも及ぶ感情が表現されていました。




「NOH感情評価システム」では、、画像の表情が感情にあっているかどうかを「はい」「いいえ」 で回答します。回答内容と時間から、その人の現在の心理状態を数値化しようというもの。無意識に答えた結果が、その人の心理状態をグラフにしてくれます。




このテストだけで、精神的問題を明らかにすることはできません。ただ、心理状態を数値化できるため、内科医にとっての血圧計のように、心理状態の変化を察知するための道具として期待されます。










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2010年06月11日

認知症患者さんの体験世界

認知症患者さんの体験世界
                          (アルツハイマー病ケアの要点 Eisai・Pfizerより)


体験世界 1

「何?どこ?いつ?なんで?」不可解なことの連続、現実の世界がわからなくなり見知らぬ世界へ迷い込んだよう、不安と緊張の連続

記憶や判断、見当識の力が薄れつつあるために現実の世界を適切に把握できなくなり、周囲の環境や出来事が不可解でなりません。まるで見知らぬ「ワンダーランド」に迷い込んだような体験をしています。わくわく楽しい「ワンダーランド」ならいいのですが、現実は不可解と恐怖感で「誰か助けて!」と叫んでしまいたくなるような身も凍るような体験といいます。当然、不安も強く緊張しながら過ごしています。その為何もしていなくても消耗して疲れやすい特徴が見られます。





体験世界 2

「世界が飛ぶようで追いつけない、世界をつかめない、世界がぐらぐらする」現実の世界の動きについていけない、あせり、混乱、心身の動揺

情報処理や見当識の力が落ちてくると、現実の世界のスピードについていけなくなります。ごく自然な日常生活の出来事やケアする人のスピードによって本人は焦らされ混乱させられています。周囲と上手く伝え合ったり関わったりできないもどかしさ、憤り、孤独も強く体験しています。周囲のスピードに常に悩まされ、体がぐらぐら揺れてしまうような体験もします。私たちがビデオの3倍速をずっと見続けたり、ジェットコースターに乗り続けているような体験なのかもしれません。





体験世界 3

「回りの世界から不可解な何かが次々と攻撃してくる」周囲の些細な攻撃が自分を脅かす



認知症の患者さんはストレスに耐える力が低下しています。ケアする人や周囲の人の声、生活雑音、光や陰、色や模様、空間の広がり、空気の流れ・・・そんなありふれた生活の刺激がまるで自分に降り注ぐ矢のように感じられ、怯えたり怒っています。それから何とか逃れよう、振り払おうともがいたり、懸命に戦う体験もしています。周囲の脅威を避けるために自分の世界に引きこもる体験もみられます。





体験世界 4

「自分の体が自分を脅かす」身体の不快が侵襲となる


痛み、痒み、便がたまった感覚、空腹やのどの渇き眠気やだるさ・・・そんな身体の不快に自分ではうまく対処できなくなり、不快が引き金となって、混乱、嫌悪、怒りを体験しています。





体験世界 5

「自分自身が壊れていく、おぼろになっていく」


見当識の弱まりに加え、前述のような体験の積み重ねの中で、不安や混乱、動揺が絶えず起こり、自分が粉々になったり、ぼんやりおぼろになるような体験をしています。





体験世界 6

「大切な出来事や大切な人が、今までここに存在する」逆行性の体験



新しいことは記憶になく、過去に刷り込んだ記憶、特に本人にとって意味ある記憶を転々とつなぎ合わせて自分の世界を保とうとします。










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2010年06月10日

認知症を電車にたとえれば

認知症を電車にたとえれば
                               (長谷川和夫医師より)



私たちが毎日の暮らしを普通に続けるためには、認知機能が不可欠です。記憶、言語(言葉のやり取り)見当識(時間や場所について正しく認識すること)、計算、思考、注意力などを適正に働かせ、それに基づいて正しい判断をするのが認知機能です。





認知症を電車にたとえてみます。電車が正常に働くためには、第1に電車に備えられているコンピュータが正しく働くことです。要するに、人間では脳の神経細胞がその役目を果たしていることになります。





第2に、架線からポール(あるいはパンタグラフ)を通して送られてくるエネルギー、すなわち電気を必要とします。この部分が切れたり壊れたりすれば、停電となり電車は動きません。イラストの前輪は鬱病のないことを表現しています。 鬱病になると意欲と活力が低下します。そうすると注意力が足りなくなって、情報がしっかり入力されずに記憶力が低下し認知症状態に近くなります。





後輪は意識鮮明であることを表しています。意識がはっきりしていない状態、例えば、寝ぼけているときや深酒をしたときは判断力が損なわれます。高齢者では重要な身体病、、感染症、薬物などの影響により、軽度から中等度の意識障害が起こることがあります。これはせん妄といわれます。せん妄は認知症と間違うことがあります。





認知機能という電車が故障を起こして動かなくなった状態が認知症です。認知症には必ず疾病が原因にあります。その筆頭がアルツハイマー病です。(アルツハイマー型認知症とも言います)そのほかに、レビー小体病や前頭側頭型認知症(ピック病)、硬膜下血腫、脳腫瘍なども原因になります。






また、架線からポールを通して電気が来ない状態というのは、血液によって運ばれてくる酸素や栄養が途絶えてしまうと言うことです。これは脳血管障害による認知症です。




その他認知機能の電車が走っていくためには、常に整備され、関連したサービスが整っていることも大切です。例えば、レールが適切に管理され、ATS(自動列車停止装置)のようなものが作動し、駅員や整備士がきちんと電車を整備してくれるということが条件になります。その意味で、電車を正常な状態で動かすために周りの環境が重要であるのと同じように、認知症の人を介護する場合にも、生活している環境を整えることが大切になります。










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2010年06月06日

小坂憲司先生が語る認知症の対応

認知症への対応

              (ぼけ予防協会・新時代より 小坂先生はレビー小体病の発見者です)




わが国の認知症患者は全国で220万人アルツハイマー型認知症(発症頻度50%)、レビー小体型認知症(同20%)、脳血管性認知症(同15%)が3大認知症です。最近では早期発見・早期診断が重要視されるようになってきています。




その理由は早期に発見・診断し、早期の介入することで患者や介護者のQOL(生活の質)を高めることができるからです。さらに一歩進み、予防ができればもっとベターなわけです。




最も高頻度なアルツハイマー型認知症は、海馬を中心として脳が着実に萎縮、ベータータンパクからなる老人斑とタウタンパクからなる神経原腺維変化が脳にたくさん出現し、神経細胞が脱落することが特徴です。発症メカニズムが解明されつつあり、治療法も開発されています。




レビー小体型認知症は、私の研究グループの一連の研究で1976年以降、国際的に知られるようになった比較的新しい疾患です。特有な幻視などの精神症状や認知の変動、パーキンソン症状と自律神経症状などが起こり介護の上で最も大変な認知症ともいえます。大脳皮質と呼ばれる部分にレビー小体が多数出現することが大きな特徴です。





最近は診断技術の向上で認知症の早期発見・早期診断が可能になっています。中核症状である認知機能障害への対応は重要ですが、医療や介護の現場では周辺症状といわれるBPSD(行動心理学的症候)への対応に苦慮し、それらが患者や介護者のQOLを障害していることが多い。




早期に発見・診断・介入することで認知機能の低下をできるだけ遅くし、BPSDを予防、解消することで患者と介護にかかわる方々のQOLを向上させることができます。将来、認知症そのものへの本質的治療が可能になればますます早期介入が重要になります。





認知症、特にアルツハイマー型認知症の初期に見られる「物忘れ」と加齢は古くから注目されてきました。加齢による生理的なそれとの鑑別は、古くから注目されてきましたが、最近は軽度認知障害(MCI)が注目されています。




アルツハイマー型認知症がの根治療法となる可能性をもつ新療法は早期であるほど効果があり、早期なら予防も可能であるという期待があります。そこでアルツハイマー型認知症の早期発見・診断・治療が重視されるようになってきたのです。





予防に関し、一番大切なことは危険因子の対応です。脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症では最近、生活習慣病やメタボリックシンドロームが重要な危険因子として指摘されています。











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2010年06月05日

認知症の人と家族がたどる心理


認知症の人と家族がたどる
一般的な心理の変化です 


                           杉山孝博Drの「認知症の理解と援助」より



〈STEP 1〉

まさかそんなはずはない、どうしよう

①驚愕・戸惑い:おかしい行動に少しずつ気付き始め驚き戸惑う。

②否 定:周囲にはなかなか理解してもらえない。家族自信も病気だということを納得できないでいる




〈STEP 2〉


ゆとりがなく、追い詰められる

(必要に迫られ、認知症や介護保険サービスに関する情報を手当たりしだい、捜し求め始める)


混 乱:認知症の人を拒絶しようとする。そんな自分が嫌になる。認知症の症状に振り回され、精神的、肉体的に疲労困ぱいする。やってもやっても介護が空回りする。

②怒り・拒絶・抑うつ:「自分だけが何故……」「こんなに頑張ってるのに……」と、苦労しても理解してもらないことを腹立たしく思う




〈STEP 3〉


なるようにしかならない

①あきらめ:怒ったりイライラしても仕方ないと気付く(介護保険サービスを使うなどして、生活を立て直し始める)

②開き直り:なるようにしかならないと開き直る。自らをよくやっていると」と認められるようになる。

③適応 :認知症の人をありのままに受け入れた対応ができるようになる。介護に前向きになる。




〈STEP 4〉  

  認知症の世界を認めることができる 

理解:認知症症状を問題ととらえなくなり、認知症の人に対する愛しさが増してくる。





〈STEP 5〉


受容:介護の経験を自分の人生において、意味あるものとして位置












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2010年06月02日

認知症を疑う8の症状・認知症を疑う10の症状

認知症を疑う8の症状
          アメリカ・ワシントン大学アルツハイマー病研究センターより




1.判断がむずかしくなる 

例:不適切な決定をして、問題が生じることがある

2.趣味や活動に興味を失う

3.同じことを繰り返す

4.電化製品、道具、小物などの使い方
  覚えにくくなる

5.現在の年月日を覚えられない

6.家計など金銭面で複雑なことが出来にくくなる

7.約束したことを思い出しにくくなる

8.日常生活に必要なことを考えたり
  覚えたりすることが出来にくくなる

例:買い物、食事の用意などを忘れたり
  間違いが多くなる





認知症を疑う10の症状
                         アメリカ・アルツハイマー病協会より




1.仕事に影響する物忘れがある
例:家庭や職場で物忘れが頻繁に起こり、日常生活や
  仕事に支障が生じている 


2.なれた仕事が出来にくくなる
例:以前は簡単にできていた買い物、調理、配膳、後片付け
  などが出来にくくなる


3.言葉の問題がある
例:簡単な単語を忘れたり、ふさわしく
  ない言葉を言ったりする


4.時間や場所がわかりにくくなる 
例:自宅の近くで道に迷ったり、どこにいるのかわからなくなる
  家に帰れなくなる


5.判断力が低下する
例:前後逆に着るなど服の着方を間違える
  寒い日に薄着をしたり、暑い日に厚着をしたりする


6.抽象的な思考が苦手になる
例:通帳の数字の意味がわからなかったり
  簡単な計算ができにくくなる


7.置き場所を間違える
例:財布を冷蔵庫などにしまううえ、みつけることが難しい


8.気分や行動が変化する
例:わけもなく気分が変化して、急におこりっぽく
  なることが増える


9.性格が変わる
例:もともと大ざっぱな性格の人が、疑い深くなったり
  些細なことを怖がったりする


10.自発性がなくなる
例:楽しみにしていたことに興味を失い
  関心を示さなくなる





















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2010年05月23日

わが家流でいい!ほがらか介護

わが家流でいい!
ほがらか介護
                                (介護カウンセラー羽成 幸子氏より)


介護の先取り
夫婦で今の生活を見直そう



最近男性の介護者が急増しています。仕事を辞め、親の介護をしている男性も多いと聞きます。それまで家のことは妻任せ、親任せの男性が、介護にかかわる場合もあるでしょう。自分の世話に、介護がプラスされるわけですから、大変です。苦しさも不安も、相当なものだと思います。とはいえ、日々の生活から逃げるわけにはいかないのです。




私の父は亭主関白型、母は良妻賢母型でした。私はその組み合わせの夫婦を間近に見て育ちました。父は自分の手足のように母を使いました。母もそれが当たり前のように動いていました。結果自分のことすらできない父と自立できない母という夫婦になったのです。私はわがままな父と闘いました。同時に母のような生き方はしたくないと思いました。




子どもから見て、母にはもっと輝いてほしいと思ったのです。しかし、父と母の時代には、それが当り前だったのかもしれません。家事を何もしない男性は、何もできないまま老いていきます。ですが、それは女性にも責任があるような気がします。



私の夫も今でこそ家事にかかわってくれますが、以前は自分が使った食器を台所に運ぶことさえ、「どうして俺がこんなことをしなくてはならないんだよ」と不満顔を見せていました。私はあきらめずに「助かるわ」と声を掛け、根気よく向き合いました。食器運びから食器洗いへと少しずつ進歩。水がシンクの外に飛び跳ね、床が水浸しになっても、見てみぬふりで「助かるわ」 の一声を掛け続けました。やがて、夫は私にお茶を入れてくれるようになりました。




皆さんはこの話を聞いてどう思うでしょう。受け止め方は人それぞれでしょうが、私は、やがて必ずかかわる介護を意識し、「今の生活の見直し」をお勧めします。家族やお互いの幸せのために、介護の先取りは、きょうから、今から始められます。少しずつ先手を打っていきましょう。












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2010年05月21日

地域が手を差し伸べて 認知症長寿社会パート8

認知症長寿社会パート8
                                 (信濃毎日新聞より)


地域が手を差し伸べて

認知症の人と家族の会代表理事
高見 国生さん(66) 京都市



認知症の人の心情について、程度の差こそあれ7割の人が「理解できている」と回答している。本人や家族を応援する認知症サポーターの養成が各地で広がるなど、「認知症も心が失われない」との理解が進んでいるようだ。




近所の人に知らせるいる人が7割余りに上るのも意外に高い。ひと昔前は隠す風潮が強かった。「迷惑だ」と言われた人も少なく、それだけでも家族は有難い。ただ、支援を受けていない人が5割以上あり、地域が積極的に手をさし伸べるまでには至っていない。




民主党政権になってから介護保険や認知症対策が議論の俎上に載っていない。介護保険の次期制度改正予定は2012年度、今から本格的な論議を始めないと、本人や家族を本当に救う制度はできない。




家族にも寄り添って

県宅老所・グループホーム連絡会理事長
田中 正広さん(60)長野市



施設の利用や入所を断られた経験があると4人に1人が答えている。徘徊や暴言といった認知症の問題行動が施設の手に負えないことが断る理由なのだろうが、認知症の人に何らかの問題行動があるのは当たり前だ。問題行動があるから家族は施設で介護サービスを受けたいと思うのだから、本来はそれに答えられなければならない。




施設に求められているのは、、家族の介護生活の不安を軽減し、安心感を持ってもらうこと。特別養護老人ホームやショートステイを増やしただけでは安心感は高まらないだろう。施設側が「一緒に頑張りましょう」という気持ちを示し、認知症の人だけではなく、家族の気持ちにも寄り添うことが大切だ。












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2010年05月20日

要介護認定 8割が是正 認知症長寿社会パート7

認知症長寿社会パート7
                                 (信濃毎日新聞より)


要介護認定・8割「軽度化が是正」


要介護認定判定基準で医師ら


介護保険の要介護認定基準が実際より軽い判断をもたらしているとして、昨年10月に修正されたことを受け、医師ら専門家の80%が「軽く判定される傾向が是正された」と感じていることが4日、淑徳大の結城康博准教授の調査で分かった。




厚生労働省は昨年4月、どの程度の介護サービスが必要かを判断するよう介護認定の基準について、「判定にばらつきが出ている」などとして見直したが、全国で判定が軽くなる傾向が判明。調査項目を見直した調査基準を10月から導入した。調査は昨年11月から12月にかけて東京、千葉、京都、大分などの4都府県で、コンピューターによる一時判定を受けて、結論を出す医師や、介護福祉士ら310人に、一時判定の印象などをアンケートした。




10月に修正された新基準について「当面の大幅な見直しは不要」とするのは59.4%で、「早急に抜本的な改正が必要だ」とする25.5%を大きく上回った。ただ、63.9%は「それでも昨年4月以前と比べると判定が軽くなる」と回答。10月の修正が不十分と受け止められている実態がうかがえる。




結城康博准教授は「判定が軽くなる傾向は是正されたと見られるが、2012年の制度改正に合わせて、抜本的な議論を進める必要がある」と指摘している。




要介護認定



介護保険サービスの利用を希望する人にどの程度介護が必要か市区町村が行なう評価。調査員による訪問調査の結果を基にコンピューターが一時判定。医師らの認定調査会が主治医の意見書も合わせて二次判定し、結果を通知する。要介護度は軽い順から要支援1、2と要介護1~5の7段階。要介護度が重くなるほど受けられるサービスも多くなる。












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2010年05月19日

介護・・・孤立する家族 認知症長寿社会パート6

認知症長寿社会パート6 
                                 (信濃毎日新聞より)


介護・・・孤立する家族

「いっそ死にたい」「2人で泣くしかない」


悲劇防ぐ手立て急務


全国アンケート

認知症介護の実態について尋ねた本誌の1000人規模「全国家族アンケート」がまとまった。調査表に「いっそ死んでしまいたいと思った」などと書き込んでくる人も多く、先の見えない介護に追い詰められている様子が浮かびあがっている。認知症の本人と家族が書かれた困難な状況を直視し、どう支えるか。超高齢化社会の到来を前に、強力な社会資源が急がれる。




認知症は徘徊や妄想、暴言などを伴うことが多く、介護者の精神的な負担も大きい。本人と十分意思疎通し合うことで介護者が救われる、という場面も限られる。




▼意思疎通に悩み


アンケートでも、本人の心情について「あまり理解できていない」「ほとんど理解できていない」と答えた人が計25.3%いた。自殺や心中を考えた状況については「上手くコミュニケーションがとれなくなった時、心中を考えた」「先の見えない介護についていっそ死んで終止符を打ちたいと思った」「毎日(本人の)虚言の中にいると自分が自分でいられなくなる」「老後の夢も希望も消え、体力に限界を感じた」などと記している。




神奈川県60代男性は、介護している妻の命を絶とうとしたと打ち明けた。「何故そうなったのかなんて、まったく覚えていない」。でも妻の首を手でー。妻は抵抗せず、目に涙を一杯ためて、『私悪いことなんにもしていないよ』って。2人で泣くしかなかった。

「(本人を)殺したいと思う気持に疲れ果て、自分が死んだほうが楽になると思った」と書いた新潟県の40代女性もいる。多くは本人の生きる意思に気づいたり、残される家族のことを考え、何とか踏みとどまっていた。

一方で、アンケートの書類を見て、とてもうれしく感じた」「一晩かかって書いた。とつづる回答者も少なくなかった。胸のうちを明かせる人や場所が多くないことをうかがわせている。





▼どう寄り添うか


孤立しがちな家族の支援に行政も動きだしてはいる。国は08年に発表した「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」報告書の柱に「適切なケアの普及及び本人・家族支援」を盛り、コールセンター(電話相談)設置などを揚げた。自治体などでは市民が講習を受けて認知症を理解し、本人や家族を応援する「認知症サポーター」と、講習で講師を務める「キャラバンメイト」の養成に取り組んでおり、この5年で全国で計120万人{県内は2万人)に達した。ただ、家族や福祉関係者からは実効性を疑問視する指摘も出ている。




県は昨年8月コールセンターを開設、11月末までに述べ250件の相談を受けたが、ある相談員は「顔が見えないまま家族会などを紹介している。どこまで支援になっているか心配だ」と話す。サポーター養成講座を開いていない市町村も多い県内でサポーターやメイトがいるのは43市町村にとどまる(09年9月末現在、全国キャラバン・メイト連絡協議会調べ)。他のボランティア養成事業で支援を進める自治体もあるが、東信地方の担当者は「講座について知っているが、実施を検討したことがない」と明かす。本人や家族を具体的に支援しているサポーターもまだ多くはない。




警察庁によると、08年は全国で273人が介護・看病疲れで自殺した(県内は4人)。和歌山県では3日認知症の妻(73歳)の首を絞めて殺害したとして80歳の夫が逮捕された。悲劇を防ぐため、認知症の本人とともに家族にも寄り添う支援の広がりが欠かせない。












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2010年05月18日

介護者の心のケア必要・認知症長寿社会パート5

認知症長寿社会パー5
                                 (信濃毎日新聞より)


臨床心理士・上智大教授 黒田由紀子さんに聞く


介護者の心のケア必要



認知症を介護している家族が自殺や心中を考えてしまうことは介護関係者の間でよく指摘されているが、アンケートでは6人に1人が考えたことがあるとしており、その多さを改めて感じた。認知症の人に接するとき、多くの専門家は笑顔で寄り添うことを求める。でも、家族がそうるのは簡単ではない。




認知症になる前、それぞれの家族に怒ったり喜びあったりの日常を送ってきた歴史がある。その上に介護の日々が積み重なっている。大切な家族が記憶障害を伴って急速に衰えていく。それはとてもつらい喪失体験で、精神的なダメージは計り知れない。




アンケートには多くの介護者が切実な訴えを生々しく伝えてきた。兄弟など身近な人の理解が得られずに孤立感を強めたり、、福祉関係者や地域からさげすまれたと感じたりする家族の姿が読み取れた。「アンケートをしてくれてありがとう」と書いた人もいるという。厳しい状況に置かれた介護者が、気持ちを伝える場がまだ限られていることがうかがえる。




こうした現状からみて、介護者の心をケアする仕組みを整える必要がある。家族会の組織は各地にあるが、臨床心理士らとマンツーマンで4回、5回と継続的に話すことができる場も必要だ。介護上の問題に限らず、介護によって抑圧された家族介護者自身の生き方、生活、人生について、その思いを受け止める場もあるべきだ




東京都世田谷区などにそうした動きがあるが、全国的にはまだまだ足りない。「『認知症になりたくない』と簡単には言ってほしくない」と書いた人がいた。私もこれまで認知症の人と出会って多くのことを教わった。失われる能力がある一方、残っている力にその人の奥深い機微や歴史を感じてきた。





老いの姿は、その人が歴史を重ねてきたことを表すと同時に、未来の私たちの姿も示している。お年よりは人生のフロンティア(最前線)を歩む存在といえる。それは認知症になっても変わらない。認知症の人にまずできることは、そうした意識を持ちながら認知症の人と家族を温かく見守っていくこと、気軽に普通に、そして自然に声を掛けていくことではないだろうか。













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2010年05月18日

7割「近所に知らせる」・認知症長寿社会パート4 

認知症長寿社会パート4
                                 (信濃毎日新聞より)


7割「近所に知らせる」

地域

家族の認知症について近所に「知らせている」とした人は73.4%。「徘徊して迷惑かけるるから」「隠して誤解されるより理解してほしいから」「気が楽になるから」などとしている。ただ、地域の手助け・支援を受けたことが「ない」とした人は52.0%に上った。近所づき合いの薄さのほか、家庭の内側にどこまで踏み込むべきか、周囲の戸惑いも想像できる。13.9%は近所から「迷惑だ」と言われた経験があった。




認知症への差別や偏見、社会の理解不足を感じたことが「ある」とした人は40.8%。県内では29.6%と全国に比べて低い。具体的には「話の中で笑いの対象とにされてしまう」(飯田市・60代女性)、人間として『廃人』になったような接し方、言われ方をされた。家族まで差別された思いをした」(長野市、50代男性)、「親族から家の恥をペラペラしゃべるなと言われた」(磐田市70代女性)など。本人への侮辱的な態度に傷つき、自分達が理解されていないと受け止めている家族の内面が読み取れる。












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2010年05月17日

認知症介護1000人規模アンケート・認知症長寿社会パート3

認知症長寿社会パート3
                                 (信濃毎日新聞より)



認知症介護1000人規模アンケート



信濃毎日新聞が社がまとめた認知症介護の1000人規模「全国家族アンケート」は、本人と家族が置かれている厳しい環境を物語っている県内外の966人から寄せられた回答を分分析するとともに、臨床心理士として認知症の人や家族と向き合ってきた上智大の黒川由紀子教授らに話を聞いた。




長期化する介護 負担に


アンケートに回答した人は60代が最多で35.7%、60歳以上は6割近くに上った。介護されている人は80歳以上が約7割、70歳以上で9割近くを占めており、お年寄りがお年寄りをみる「老老介護」の実態が浮かびあがる。一方で、回答者は50代が3割、40代以下も1割近くいる働き盛りで介護をしている人も少なくない。、




介護期間は5年以上が55.6%。約2割の人は10年以上の介護を続けている。家族の高齢か、介護の長期化を背景に、介護に疲れを「かなり感じている」「感じている」と答えた人は79.1%に上がった。将来について「かなり不安がある」「不安がある」とした人は合計で8割強。「自分の体力の限界が訪れるか」「施設入所になったとき費用が負担しきれるか」との声が多かった。




介護費用が月額5万円以上が60.4%を占めた。10万円以上は30.8%。年金世代から「本人の年金だけで介護できるようにしてほしい」との訴えが目立った。家族の負担が大きい認知症の症状(複数回答)60.8%が「記憶障害」を挙げ、「時間や場所などの意識障害」(43.0%)、「徘徊」(26.7%)、「妄想」(24.7%)。「暴力的な言動」(20.4%)。便をいじる「ろう便」(16.5%)と続く。




本人の心情を「理解できている」とした人は「かなり」「ある程度」を合わせて(70.7%)。「笑顔に出会うとき、気持ちが通じたと思う」(上田市50代女性)。「ありがとうの言葉が出るとき、(介護者の対応が)あっ良かったんだと感じる」(安曇野市、60歳男性)などの記入があった。




一方、「余り」「ほとんど」理解できていない、とした人は合わせて25.3%。上田市の60代女性は「義母との良い思い出が薄れ素直に見ることができない」と打ち明けている。9割が悩みを相談する相手が「いる」と回答。相談相手(複数回答)は60.9%が介護関係者、59.1%が親族を挙げた。同じ悩みを持つ友人・知人は44.1%だった。












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2010年05月16日

家族先見えぬ不安・認知症長寿社会パート2

認知症長寿社会パート2


家族先見えぬ不安
切実な願い

                                (信濃毎日新聞より)


介護サービス
利用断られる例も



「今後拡充してほしいサービス」(二つまで選択)を尋ねたところ、32.3%の人が特別養護老人ホームを挙げた。ついでショートステイ、補助金などによる家計支援、デイサービスなどの時間延長、グループホームと続く。




精神的な負担が重い認知症の介護では、施設入所や預かりサービス充実を求める傾向が強い。だが、24.7%の人は施設入所や利用を断られていた。「認知症の人は入れないと言われた」(松本市、60代男性)、「大声を出す、歩きまわる、夜中に他人の部屋に入って迷惑をかけると言って、ショートステイの利用を断られた」(徳島県60代女性)などと、認知症の症状を理由に拒まれている。




在宅介護を限界まで、続けた末にすがったデイサービスを「付きっきりの世話が必要だから」と断わられ、グループホームへも入所できなかったと言う広島県60代男性は「頼みの綱に断られ、途方にくれた」とつづっている。利用している施設、ヘルパーなどのサービス提供者に問題と思う点が「ある」とした人は、ともに2割弱。スタッフが多忙で、本人が放置されている点を問題視する人が多い。




松本市の40代女性は、「常に尊厳をもった人間として接して欲しい」とも訴えている。一方、「とてもよくしてもらっている」と感謝の言葉を綴ったり、介護職員の増員、待遇改善を求めたりする人も数多くいた。65歳未満で発症した若年性認知症の場合、老人向け施設の利用を本人が納得しないことが多く、専門施設を望む声が寄せられている。




要介護度の認定について問題だと思う点が「ある」とした人は、26.8%。「介護の手間や切なさが反映されない」「認知症調査の時は本人がしっかりしていて、要介護度が低くなる。わずかな調査時間では、実態が分からない」といった不満が出ている。




介護と連携不足との声・医療


医療機関で認知症と診断されて告知を受けた際、気になった点が「あった」としたのは、16.9%。本人を無視して説明するような配慮に欠けた対応や、心の準備がないままに告知された苦しさなどを訴えている。医師や看護師の対応に問題が「ある」とした人は22,2%。「認知症について理解不足の人が多い」との指摘のほか、、「本人に幼稚な言葉を使い、尊重していない態度は不快」上田市50代女性)、「(医師が)本人の顔を見ず、家族の話も聞こうとせず、パソコンで薬と次の予約を打ち込んでいた」木曽郡、60代女性)といった声が寄せられた。




医療機関から介護やケアについて説明・紹介が「なかった」とした人は半数を超え、介護と医療の連携不足も浮き彫りになった。「自分でケアマネージャーや施設を見つけるのに走りまわった。」という人もいた。「介護認定の勧めもなかったので、まだ受けていない。手続きすらわからない」という人もいた。アルツハイマー型などは、今のところ根治法がなく、主な治療は進行を遅らせる薬の服用だ。専門医もまだ少ない。家族から新しい治療薬やワクチンの早期開発、専門医の養成を望む声が相次いだ。













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2010年05月16日

認知症ケア報酬拡充・認知症長寿社会パート1

認知症長寿社会 パート1


認知症ケア報酬拡充
12年度改定で検討
                               (信濃毎日新聞より)



長浜博行厚生労働副大臣は3月3日、厚労省で信濃毎日新聞の取材に応じ、2012年度に予定される次期介護保険制度改正で、認知症ケアに関わる介護報酬の拡充を検討する考えを明らかにした。さらに、12年度は医療の診療報酬改定も重なるーとして、制度のあり方について、介護と医療の役割分担を含めて、「今までより広い論議ができる」との見方を示した。




職員の専門教育が必要


認知症ケアの介護報酬は09年度改定で、専門的研修を受けた人材を配置する施設への「認知症専門加算」などが設けられた。認知症の人が増加する中、認知症介護の環境整備が求められており、、12年度改定で、更なる報酬の充実が焦点となりそうだ。




長浜副大臣は、認知症介護の現状について、「介護保険導入から10年たっても、まだ社会全体で受け止める状況にはなっていない部分がある」との認識を示し、課題として、介護者が心身ともに追い詰められないような在宅サービスの拡充を挙げた。また、暴力や徘徊などの症状を理由に、認知症の人が施設から入所や利用を断られている状況に対し、「適切なケアができないのに(症状の激しい人を)受け入れると利用者、施設職員双方が悲劇的な状況になる」と指摘。受け入れ態勢を整えるためには、介護施設の専門教育が必要だとした。




一方民主党が昨年8月の衆院選で掲げた「介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる」との政権公約が実現していない点については、「実現に向けて法律の枠組みなどを検討している」と説明した。全国で40万人を超える待機者がいる特別養護老人ホームなどの整備に関しては「自宅か特養かではなく、様々な場所で、暮らせるよう、グループホームや高齢者専用の賃貸住宅の整備を進める」と述べた。












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