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2011年05月12日
医師の目・人の目認知症 第34条知識が介護の負担軽減
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症」 パート34
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
知識が介護の負担軽減
医療や介護の現場にいて感じるのは、知識不足からもたらされる混乱が非常に多いことだ。必要不可欠な知識が適切なタイミングで得られると、介護の混乱も介護の負担も軽くなるのは間違いない。予備知識も経験もなく、介護にかかわり始めた人は、直面する症状に振り回されて右往左往するばかりで、地域包括支援センターや「認知症の人と家族の会」などに相談することも介護に関する本を読んで知識を得ることも出来なのが普通だ。
「あなたが自分の娘だと分からなくなったのは、昔の世界に戻っているからなのですよ」「『症状出現強度の法則』があって、身近な人に強い症状を出すのが特徴です。身近な介護者を信頼しているから、安心して症状を出していると理解してください」「感情が非常に敏感です。あなたがイライラしていると、本人も落ち着かなくなります。演技だと思って、良い感情を残すような対応をしましょう。その方があなたにとっても楽になりますよ」
このような知識が得られるだけでも、介護者の気持ちが変わり、負担が軽くなる例は数多い。最近は、介護用品に関するパンフレットや雑誌、ケアマネジャーから容易に得られるようになった。しかし、「必要なときに必要な物を」という観点から見ると、必ずしも満足できる状態ではない。老人性難聴が始まると、家族は大声で話さなければ通じないというもどかしさのため、心身ともに疲れ果てる。しかも本人には周囲の人の話が分からないため「ひそひそ話をしているのは、自分に対して何かたくらんでいるに違いない」という被害妄想につながることも少なくない。
補聴器を購入して使わせようとしても、必要性を感じない認知症の人にとっては、うるさく煩わしい物でしかない。使わないばかりか数十万円もする補聴器をなくしてしまうこともある。そのようなとき、100円ショップで売っているメガホンや「もしもしホン」」という伸縮自在のプラスチック製チューブを紹介すると、普通の声で話せるので、家族から感謝されること請け合いだ。
介護保険による介護サービスや訪問診療、訪問看護といった制度も、予め知っていると気持ちが楽になる。認知症相談や家族教室、家族の会のつどいにも、何とか都合をつけて、積極的に参加するのがよい。そこから得られるものは少なくないはずだ。「知は力なり」だからである。
<ホーム長のつぶやき>
いま、私も学びながら介護をしています。「知は力なり」その通りなのです。知識を得ないで介護しますと、認知症本人を理解できず、混乱させてしまいます。驚くほど認知症の方は感情が非常に豊かで敏感です。千差万別いろいろな認知症の病気があり症状も個人差があります。先生は非常にいいことを言ってくださる。介護のことをもよく解っていてくれる。100円均一のメガホン、いいかもしれない。早速1ヶ購入してみましょう。携帯電話のような「もしもしホーン」は2人3脚でも使っています。

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「知ってますか?認知症」 パート34
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
知識が介護の負担軽減
医療や介護の現場にいて感じるのは、知識不足からもたらされる混乱が非常に多いことだ。必要不可欠な知識が適切なタイミングで得られると、介護の混乱も介護の負担も軽くなるのは間違いない。予備知識も経験もなく、介護にかかわり始めた人は、直面する症状に振り回されて右往左往するばかりで、地域包括支援センターや「認知症の人と家族の会」などに相談することも介護に関する本を読んで知識を得ることも出来なのが普通だ。
「あなたが自分の娘だと分からなくなったのは、昔の世界に戻っているからなのですよ」「『症状出現強度の法則』があって、身近な人に強い症状を出すのが特徴です。身近な介護者を信頼しているから、安心して症状を出していると理解してください」「感情が非常に敏感です。あなたがイライラしていると、本人も落ち着かなくなります。演技だと思って、良い感情を残すような対応をしましょう。その方があなたにとっても楽になりますよ」
このような知識が得られるだけでも、介護者の気持ちが変わり、負担が軽くなる例は数多い。最近は、介護用品に関するパンフレットや雑誌、ケアマネジャーから容易に得られるようになった。しかし、「必要なときに必要な物を」という観点から見ると、必ずしも満足できる状態ではない。老人性難聴が始まると、家族は大声で話さなければ通じないというもどかしさのため、心身ともに疲れ果てる。しかも本人には周囲の人の話が分からないため「ひそひそ話をしているのは、自分に対して何かたくらんでいるに違いない」という被害妄想につながることも少なくない。
補聴器を購入して使わせようとしても、必要性を感じない認知症の人にとっては、うるさく煩わしい物でしかない。使わないばかりか数十万円もする補聴器をなくしてしまうこともある。そのようなとき、100円ショップで売っているメガホンや「もしもしホン」」という伸縮自在のプラスチック製チューブを紹介すると、普通の声で話せるので、家族から感謝されること請け合いだ。
介護保険による介護サービスや訪問診療、訪問看護といった制度も、予め知っていると気持ちが楽になる。認知症相談や家族教室、家族の会のつどいにも、何とか都合をつけて、積極的に参加するのがよい。そこから得られるものは少なくないはずだ。「知は力なり」だからである。
<ホーム長のつぶやき>
いま、私も学びながら介護をしています。「知は力なり」その通りなのです。知識を得ないで介護しますと、認知症本人を理解できず、混乱させてしまいます。驚くほど認知症の方は感情が非常に豊かで敏感です。千差万別いろいろな認知症の病気があり症状も個人差があります。先生は非常にいいことを言ってくださる。介護のことをもよく解っていてくれる。100円均一のメガホン、いいかもしれない。早速1ヶ購入してみましょう。携帯電話のような「もしもしホーン」は2人3脚でも使っています。

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2011年05月08日
認知症の人と家族の会発行のぽ~れぽ~れ介護体験記より
認知症の人と家族の会発行のぽ~れぽ~れ
北から南から 介護体験記
2011.3 368号
母を看取って
広島県支部 田中道子
思い起こせば20年近い介護でした。母の変化に毎日毎日戸惑い、どう対応していけばいいか分からず、母のことで頭がいっぱいの中、3人の子育てと介護の同時進行でした。
●母への対応から・・・
同じことを何度も何度も聞いてくる。特にお金のこと、お金のことだからと思い丁寧に説明し、紙に書きとめ渡すが、すぐ不安そうに聞きにくる。1時間かけて説明したのにまたかと、ため息の連続。こんな状態になってくると、隣の姉が、「おかあさんはおかしい、ボケ始めた」と認識し始め、夫も私の話を聞いてくれるようになり、私もこれがボケかと認識し始めました。思い返せば、まだらボケの時期が、一番しんどかったように思います。夫は時にはプッツンと切れてしまい、母と強い口調で言いあっていました。
<ホーム長のつぶやき>
認知症を体験した家族は誰でもこのような過程をたどります。ほんとに不安で不安で一杯になり、自分と葛藤しているのです。この時期お医者さんにかかる人もおられますが、高齢になると余りかかりません。早期発見、早期治療すれば混乱が減ります。軽度の認知症(MCI)でくい止めることができます。皆さんが認知症の知識を持つことによって本人の苦しみを取ってあげられ、また、本人が自ら自分の異変に気づき認知症をしっかり診断してくれる医者にかかることによって、進行の度合いが違ってきます。今、しっかりと病気について知識を得て、万が一自分が患ったとき混乱のないようにしたいものです。いま、地域の皆さんに向けて、認知症のお話をさせてもらっています。長寿社会となり、誰でもこの病気なる可能性が高いのです。地道に活動していこうと思います。
●不安いっぱいの母・・・
不安いっぱいの母の母の気持ちを少し方向転換しようと夫の提案で、夕食後家族全員で円陣を組み、童謡を皆で歌ったり、紙風船で風船バレーをしたり楽しい時を過ごすようにしていました。皆で笑える楽しい時間でした。これは幼い子がいたからこそ、そして介護の手伝いをしてくれたことに感謝しています。また、母の質問攻めが始まるとまず私が対応するのですが、私が疲れると次は夫にバトンタッチ。夫が疲れると子どもにバトンタッチ。「今日は誰だれがおばあちゃんと波長があったね」とゲームの勝者を讃えるような会話をして楽しんだりもしました。どんな時でも介護は人数と常々感じていました。
<ホーム長のつぶやき>
家族の中でデイサービスをしているようなほのぼのとした心温まる光景が目に浮かんできます。そう、バトンタッチいいですね。余り何度も言われるとさっきも言ったでしょう!と語尾が荒くなってしまい、かえってその声のトーンで怖くなり、注意されたその人のことが嫌な人というイメージだけが残り、会話しなくなります。楽しい思い出嫌な思い出はしっかりと頭の中に残っているのです。夕食後の団欒はおばあさんの居場所作りができていてとてもいいですね。また、子どもさんにとってもいい教育の場になり、おもいやりのある優しいお子さんに成長されたことでしょう。介護は一人で抱えこまない、これが鉄則です。
●骨折から・・・
87歳で大体骨頚部骨折をし身体機能はガタッと落ち、質問攻めや徘徊に代わって身体介護が必要になりました。それと同時に夫が積極的に介護に関わるようになり、私としてはずいぶん気分が楽になりました。90歳になると日々の生活の中で歩行・嚥下・発語などの身体機能の衰えを眼に見えて感じるようになりました。そうなると、毎日ヤレヤレと思っていた私たちが少しづつ優しくなり、母の体調の変化を気遣うようになりました。
●94歳の母との絆
94歳の秋、ひどい肺炎になりもうダメかと覚悟をしたのですが、何とか退院、しかし寝たきりの状態になりました。夫と私は専門看護師さながら毎日母の様子を伝えあい共有し、子ども達も加わり宝物のように大切に、大切に介護しました。母が家族の絆を強くしてくれたと感謝しています。一瞬一瞬、母の命を大切にしている私たちがいる。それは命の尊さ・重みを一生懸命生きることで、母が私たちに教えてくれたからです。在宅で24時間接することができたからこそ、大きな財産がもらえたんだなと思います。原爆を体験し厳しい時代を乗り越え、最後の最後まで一生懸命生き抜いた母に感謝します。ありがとうございます。おかあさん。
<ホーム長のつぶやき>
長い長い介護生活お疲れさまでした。この記事を見て本当に素晴らしい家族ですね。いずれ高齢となり介護が必要になっても田中さんのご家族なら協力しあい社会資源をたくさん使いながら支えてくれでしょうね。介護は一人ではできません。命の大切さをかみ締めながら、自分が選んだ仕事を精一杯頑張ろうと思いました。核家族が多くなった昨今、自分達の生活で精一杯、しかし介護の方法や認知症の病気、高齢者がかかる病気を学ぶことによって少しは手助けにつながるでしょうか。ふと、ひとり言いってみたくなりました。

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北から南から 介護体験記
2011.3 368号
母を看取って
広島県支部 田中道子
思い起こせば20年近い介護でした。母の変化に毎日毎日戸惑い、どう対応していけばいいか分からず、母のことで頭がいっぱいの中、3人の子育てと介護の同時進行でした。
●母への対応から・・・
同じことを何度も何度も聞いてくる。特にお金のこと、お金のことだからと思い丁寧に説明し、紙に書きとめ渡すが、すぐ不安そうに聞きにくる。1時間かけて説明したのにまたかと、ため息の連続。こんな状態になってくると、隣の姉が、「おかあさんはおかしい、ボケ始めた」と認識し始め、夫も私の話を聞いてくれるようになり、私もこれがボケかと認識し始めました。思い返せば、まだらボケの時期が、一番しんどかったように思います。夫は時にはプッツンと切れてしまい、母と強い口調で言いあっていました。
<ホーム長のつぶやき>
認知症を体験した家族は誰でもこのような過程をたどります。ほんとに不安で不安で一杯になり、自分と葛藤しているのです。この時期お医者さんにかかる人もおられますが、高齢になると余りかかりません。早期発見、早期治療すれば混乱が減ります。軽度の認知症(MCI)でくい止めることができます。皆さんが認知症の知識を持つことによって本人の苦しみを取ってあげられ、また、本人が自ら自分の異変に気づき認知症をしっかり診断してくれる医者にかかることによって、進行の度合いが違ってきます。今、しっかりと病気について知識を得て、万が一自分が患ったとき混乱のないようにしたいものです。いま、地域の皆さんに向けて、認知症のお話をさせてもらっています。長寿社会となり、誰でもこの病気なる可能性が高いのです。地道に活動していこうと思います。
●不安いっぱいの母・・・
不安いっぱいの母の母の気持ちを少し方向転換しようと夫の提案で、夕食後家族全員で円陣を組み、童謡を皆で歌ったり、紙風船で風船バレーをしたり楽しい時を過ごすようにしていました。皆で笑える楽しい時間でした。これは幼い子がいたからこそ、そして介護の手伝いをしてくれたことに感謝しています。また、母の質問攻めが始まるとまず私が対応するのですが、私が疲れると次は夫にバトンタッチ。夫が疲れると子どもにバトンタッチ。「今日は誰だれがおばあちゃんと波長があったね」とゲームの勝者を讃えるような会話をして楽しんだりもしました。どんな時でも介護は人数と常々感じていました。
<ホーム長のつぶやき>
家族の中でデイサービスをしているようなほのぼのとした心温まる光景が目に浮かんできます。そう、バトンタッチいいですね。余り何度も言われるとさっきも言ったでしょう!と語尾が荒くなってしまい、かえってその声のトーンで怖くなり、注意されたその人のことが嫌な人というイメージだけが残り、会話しなくなります。楽しい思い出嫌な思い出はしっかりと頭の中に残っているのです。夕食後の団欒はおばあさんの居場所作りができていてとてもいいですね。また、子どもさんにとってもいい教育の場になり、おもいやりのある優しいお子さんに成長されたことでしょう。介護は一人で抱えこまない、これが鉄則です。
●骨折から・・・
87歳で大体骨頚部骨折をし身体機能はガタッと落ち、質問攻めや徘徊に代わって身体介護が必要になりました。それと同時に夫が積極的に介護に関わるようになり、私としてはずいぶん気分が楽になりました。90歳になると日々の生活の中で歩行・嚥下・発語などの身体機能の衰えを眼に見えて感じるようになりました。そうなると、毎日ヤレヤレと思っていた私たちが少しづつ優しくなり、母の体調の変化を気遣うようになりました。
●94歳の母との絆
94歳の秋、ひどい肺炎になりもうダメかと覚悟をしたのですが、何とか退院、しかし寝たきりの状態になりました。夫と私は専門看護師さながら毎日母の様子を伝えあい共有し、子ども達も加わり宝物のように大切に、大切に介護しました。母が家族の絆を強くしてくれたと感謝しています。一瞬一瞬、母の命を大切にしている私たちがいる。それは命の尊さ・重みを一生懸命生きることで、母が私たちに教えてくれたからです。在宅で24時間接することができたからこそ、大きな財産がもらえたんだなと思います。原爆を体験し厳しい時代を乗り越え、最後の最後まで一生懸命生き抜いた母に感謝します。ありがとうございます。おかあさん。
<ホーム長のつぶやき>
長い長い介護生活お疲れさまでした。この記事を見て本当に素晴らしい家族ですね。いずれ高齢となり介護が必要になっても田中さんのご家族なら協力しあい社会資源をたくさん使いながら支えてくれでしょうね。介護は一人ではできません。命の大切さをかみ締めながら、自分が選んだ仕事を精一杯頑張ろうと思いました。核家族が多くなった昨今、自分達の生活で精一杯、しかし介護の方法や認知症の病気、高齢者がかかる病気を学ぶことによって少しは手助けにつながるでしょうか。ふと、ひとり言いってみたくなりました。

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2011年05月01日
医師の目・人の目認知症 第33条心理的ハードル越えて
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症」 パート33
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
心理的ハードル越えて
「母がデイサービスに行っている間、さみしがっていないかしら、家に帰りたいと言っているのではないかしらと、いつも気になって気持ちが落ち着きません」「初めてショートステイを利用したとき、親戚から『老人ホームに預けるなんて、あなたはお世話する気があるの』と激しく非難されました。それ以来、どんなに疲れていてもショートステイを利用しませんでした」
介護保険などの介護サービスが充実しても、それを利用することへのためらい、気兼ね、遠慮といった「心理的ハードル」が高ければ、せっかくの制度も利用されない。心理的ハードルの高さは、社会的理解度だけでなく、個人の性格・経験・考え方、第三者によるアドバイスの有無によっても変化する。川崎市ホームヘルプサービスが制度化されて間もない頃、ある介護者は「ヘルパーさんが来る日は朝早く起きて家の中を掃除するのでかえって大変です」と話した。
笑い話のようだが、私が実際に何例も経験したことである。当時は他人が家に入ってくる場合、玄関か居間までであって、台所や寝室に入りこむことに心理的抵抗感を感じたのだ。ところが20年後の今日、在宅介護サービスの中で訪問介護は最もよく利用されるサービスになった。介護保険制度になってからは特に、訪問介護を積極的に利用し、介護の負担を軽減して気持ちの余裕を得ようとする家族が多くなってきた。
親戚の目や世間体を気にし始めると心理的ハードルが一気に高まる。「他人は他人、自分は自分だ」「いずれ皆私たちと同じ経験をするのだ」と割り切ると楽になる。知識を豊かにすること、人々とのつながりもつこと、過去にこだわらず現在を認めることも心理的ハードル下げるのに有効だ。一度サービスを使って楽になる経験をすることは、次の利用を後押ししてくれる。同じ悩みを持つ家族の会に参加して気が楽になり、介護サービスを利用する気持ちになった人もあれば、ケアーマネジャーから紹介された介護用品を使いながら介護の負担を軽くした人もいる。
そうしたさまざまな体験を通して、介護者は心理的ハードルを乗り越えながら、上手な介護を続けていくのである。保健師や医師、サービス提供するスタッフが利用を勧めることによっても、心理的ハードルを低くできる。サービスの量と質を充実させることは大事だが、利用しやすい環境づくりに配慮しなければ、本当の援助にはならない。
<ホーム長のつぶやき>
まだまだ、介護保険サービスを利用せず在宅介護している方がおります。家族の会に入会し、つどいなどに参加すると今まで体験してきた介護家族の思いを聴くことができます。そして自然と介護の方法を学んでいきます。さらに、頑張らない介護が認知症本人にとっても良い結果が出ることが分かってきます。是非皆さん介護方法を学んで楽な介護をしましょう。また、認知症コールセンターも多いに利用しましょう。疑問に思ったら是非お電話ください。富士市フィランセにおいて面談や電話相談に2名のボランティアスタッフで対応
TEL 0545-64-9042 毎週 火・木・土(10:00~15:00)

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「知ってますか?認知症」 パート33
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
心理的ハードル越えて
「母がデイサービスに行っている間、さみしがっていないかしら、家に帰りたいと言っているのではないかしらと、いつも気になって気持ちが落ち着きません」「初めてショートステイを利用したとき、親戚から『老人ホームに預けるなんて、あなたはお世話する気があるの』と激しく非難されました。それ以来、どんなに疲れていてもショートステイを利用しませんでした」
介護保険などの介護サービスが充実しても、それを利用することへのためらい、気兼ね、遠慮といった「心理的ハードル」が高ければ、せっかくの制度も利用されない。心理的ハードルの高さは、社会的理解度だけでなく、個人の性格・経験・考え方、第三者によるアドバイスの有無によっても変化する。川崎市ホームヘルプサービスが制度化されて間もない頃、ある介護者は「ヘルパーさんが来る日は朝早く起きて家の中を掃除するのでかえって大変です」と話した。
笑い話のようだが、私が実際に何例も経験したことである。当時は他人が家に入ってくる場合、玄関か居間までであって、台所や寝室に入りこむことに心理的抵抗感を感じたのだ。ところが20年後の今日、在宅介護サービスの中で訪問介護は最もよく利用されるサービスになった。介護保険制度になってからは特に、訪問介護を積極的に利用し、介護の負担を軽減して気持ちの余裕を得ようとする家族が多くなってきた。
親戚の目や世間体を気にし始めると心理的ハードルが一気に高まる。「他人は他人、自分は自分だ」「いずれ皆私たちと同じ経験をするのだ」と割り切ると楽になる。知識を豊かにすること、人々とのつながりもつこと、過去にこだわらず現在を認めることも心理的ハードル下げるのに有効だ。一度サービスを使って楽になる経験をすることは、次の利用を後押ししてくれる。同じ悩みを持つ家族の会に参加して気が楽になり、介護サービスを利用する気持ちになった人もあれば、ケアーマネジャーから紹介された介護用品を使いながら介護の負担を軽くした人もいる。
そうしたさまざまな体験を通して、介護者は心理的ハードルを乗り越えながら、上手な介護を続けていくのである。保健師や医師、サービス提供するスタッフが利用を勧めることによっても、心理的ハードルを低くできる。サービスの量と質を充実させることは大事だが、利用しやすい環境づくりに配慮しなければ、本当の援助にはならない。
<ホーム長のつぶやき>
まだまだ、介護保険サービスを利用せず在宅介護している方がおります。家族の会に入会し、つどいなどに参加すると今まで体験してきた介護家族の思いを聴くことができます。そして自然と介護の方法を学んでいきます。さらに、頑張らない介護が認知症本人にとっても良い結果が出ることが分かってきます。是非皆さん介護方法を学んで楽な介護をしましょう。また、認知症コールセンターも多いに利用しましょう。疑問に思ったら是非お電話ください。富士市フィランセにおいて面談や電話相談に2名のボランティアスタッフで対応
TEL 0545-64-9042 毎週 火・木・土(10:00~15:00)

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2011年04月29日
体内時計 よき眠り、よき人生
体内時計
よき眠り、よき人生
ブログを立ち上げて二年、2009年8月31日にブログアップした記事の中に認知症介護10か条 第7条 睡眠の記事の中に体内時計を入力したことを思い出しました。浜松医科大学名誉教授の高田明和医師の記事を見つけました。とっても勉強になりましたので、ブログにアップします。
脳が光を感受することで体内時計がはたらく
生き物が夜になると眠り、昼間は起きているというのは、体内に時計のようなものがあるからだという考えは、ギリシャ時代にもありました。ヘリオトローブという植物は、昼間、太陽が出ているときだけ葉を開き、夜は閉じます。1729年、フランスのド・マイランという学者は、このヘリオトローブを真っ黒な部屋において、小さな穴から葉の開閉を調べました。するとヘリオトローブは、真っ暗な中でも昼間の時間になると葉を開き、夜は閉じたのです。
これは動物でも見られます。鳥は、明るくなるとさえずり、暗くなると静かになりますが、皆既日食で真っ暗になってもさえずりだします。また、鳥の目をくり抜いても、明るくなるとさえずるのをやめません。鳥の頭蓋骨、薄くて光を通すことが知られていました。そこで頭蓋骨の上に墨を塗って、光が頭蓋骨を通り抜けないようにすると、明るくなってもさえずりません。
研究者は、脳のいろいろな部分を除去してみました。すると、脳の後ろ下にある「松果体」という部分を除去すると、たとえ目から光が入っても、鳥はさえずるのを止めます。どうも「松果体」に、光を感受して時計をセットする仕組みがありそうです。
私たちの体内には、時計遺伝子が存在する
人間を地下の部屋で生活させ、、雑誌など本人の希望する情報は与えますが、時間は分からないようにしておく実験をしました。すると時間を教えないのに、外界が夜になると本人はそれを知らないのに眠り、外界が朝になると目が覚めます。ところがこの周期は、25時間でした。つまり、夜10時に寝ると、翌日は11時、その翌日は、12時とずれてゆくのです。この“ずれ”を元に戻すのが光なのです。
たとえば、朝6時に光を浴びると、時計はその時間を基準にセットされます。興味深いのは、光の刺激がなくても、外界の情報が耳に入ると、時計がその時間にセットされるということです。これは多くのボランティアを大きなビルの部屋に入れて、外界との接触を断つ実験をして見つかりました。ビルの部屋にいる人は、ほしいものは何でも手に入るのですが、時間だけは知らされません。すると、時間は毎日1時間はずれますが、そこに、ラジオで、「朝の8時のニュースをお知らせします」という放送を流すと、しばらくして、外界が朝8時のときに本人の時計も朝8時になります。
人間では、この時計は、視床下部の「視交差上核」(しこうさじょうかく)というところにあります。ここが、目から入った光により時計を動かすのです。光は、網膜に入り、「視神経」から「視覚野」に向かうのですが、一部は視交差上核に伝わります。時差の異なるところに行くと、しばらくこの時計がセットされないので、昼間でも眠くなるのです。また、この刺激は、夜、メラントニンというホルモンを放出させ、眠気を誘います。
最近、このような時計は、、遺伝子の働きによることがわかってきました。私たちの網膜には時計遺伝子があり、昼間はタンパクの産生を活発化させ、細胞はタンパクで満たされます。夜は一転して、タンパク産生は抑制されタンパクは減少します。減りすぎると再び産生が活発化されて、昼間の活動になるのです。
光を浴びて、時差ボケ解消
最近、体のすべての細胞がこの時計遺伝子を持っているということが分かりました。視床下部の遺伝子は、他の遺伝子を支配する主要遺伝子であるマスター遺伝子で、この光でセットされても、体のすべての細胞の遺伝子は、まだ以前のままということもあります。これが“時差ぼけ”です。
時差ぼけを避けるためには、飛行機の中で睡眠薬を飲むだけではだめです。睡眠薬は脳の代謝を変えるだけで、体の細胞時計は変わっていないのです。機中で眠っていて、時差のある目的地についた時に目が覚めると、自覚的には眠いと思わないのですが、体の細胞が眠っている状態なのでだるいような変な気持ちになります。体の細胞の眠りは、脳では自覚されない眠りなのです。ですから、外国に着いたら、できるだけその土地の光を浴びて、脳の時計も体の時計もセットし直す必要があるのです。
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よき眠り、よき人生
ブログを立ち上げて二年、2009年8月31日にブログアップした記事の中に認知症介護10か条 第7条 睡眠の記事の中に体内時計を入力したことを思い出しました。浜松医科大学名誉教授の高田明和医師の記事を見つけました。とっても勉強になりましたので、ブログにアップします。
脳が光を感受することで体内時計がはたらく
生き物が夜になると眠り、昼間は起きているというのは、体内に時計のようなものがあるからだという考えは、ギリシャ時代にもありました。ヘリオトローブという植物は、昼間、太陽が出ているときだけ葉を開き、夜は閉じます。1729年、フランスのド・マイランという学者は、このヘリオトローブを真っ黒な部屋において、小さな穴から葉の開閉を調べました。するとヘリオトローブは、真っ暗な中でも昼間の時間になると葉を開き、夜は閉じたのです。
これは動物でも見られます。鳥は、明るくなるとさえずり、暗くなると静かになりますが、皆既日食で真っ暗になってもさえずりだします。また、鳥の目をくり抜いても、明るくなるとさえずるのをやめません。鳥の頭蓋骨、薄くて光を通すことが知られていました。そこで頭蓋骨の上に墨を塗って、光が頭蓋骨を通り抜けないようにすると、明るくなってもさえずりません。
研究者は、脳のいろいろな部分を除去してみました。すると、脳の後ろ下にある「松果体」という部分を除去すると、たとえ目から光が入っても、鳥はさえずるのを止めます。どうも「松果体」に、光を感受して時計をセットする仕組みがありそうです。
私たちの体内には、時計遺伝子が存在する
人間を地下の部屋で生活させ、、雑誌など本人の希望する情報は与えますが、時間は分からないようにしておく実験をしました。すると時間を教えないのに、外界が夜になると本人はそれを知らないのに眠り、外界が朝になると目が覚めます。ところがこの周期は、25時間でした。つまり、夜10時に寝ると、翌日は11時、その翌日は、12時とずれてゆくのです。この“ずれ”を元に戻すのが光なのです。
たとえば、朝6時に光を浴びると、時計はその時間を基準にセットされます。興味深いのは、光の刺激がなくても、外界の情報が耳に入ると、時計がその時間にセットされるということです。これは多くのボランティアを大きなビルの部屋に入れて、外界との接触を断つ実験をして見つかりました。ビルの部屋にいる人は、ほしいものは何でも手に入るのですが、時間だけは知らされません。すると、時間は毎日1時間はずれますが、そこに、ラジオで、「朝の8時のニュースをお知らせします」という放送を流すと、しばらくして、外界が朝8時のときに本人の時計も朝8時になります。
人間では、この時計は、視床下部の「視交差上核」(しこうさじょうかく)というところにあります。ここが、目から入った光により時計を動かすのです。光は、網膜に入り、「視神経」から「視覚野」に向かうのですが、一部は視交差上核に伝わります。時差の異なるところに行くと、しばらくこの時計がセットされないので、昼間でも眠くなるのです。また、この刺激は、夜、メラントニンというホルモンを放出させ、眠気を誘います。
最近、このような時計は、、遺伝子の働きによることがわかってきました。私たちの網膜には時計遺伝子があり、昼間はタンパクの産生を活発化させ、細胞はタンパクで満たされます。夜は一転して、タンパク産生は抑制されタンパクは減少します。減りすぎると再び産生が活発化されて、昼間の活動になるのです。
光を浴びて、時差ボケ解消
最近、体のすべての細胞がこの時計遺伝子を持っているということが分かりました。視床下部の遺伝子は、他の遺伝子を支配する主要遺伝子であるマスター遺伝子で、この光でセットされても、体のすべての細胞の遺伝子は、まだ以前のままということもあります。これが“時差ぼけ”です。
時差ぼけを避けるためには、飛行機の中で睡眠薬を飲むだけではだめです。睡眠薬は脳の代謝を変えるだけで、体の細胞時計は変わっていないのです。機中で眠っていて、時差のある目的地についた時に目が覚めると、自覚的には眠いと思わないのですが、体の細胞が眠っている状態なのでだるいような変な気持ちになります。体の細胞の眠りは、脳では自覚されない眠りなのです。ですから、外国に着いたら、できるだけその土地の光を浴びて、脳の時計も体の時計もセットし直す必要があるのです。

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2011年04月10日
医師の目・人の目認知症 第32あるがまま受け入れる
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症」 パート32
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
あるがまま受け入れる
介護者たどる四つの心理的ステップとその特徴を見ていく。最後の第4ステップは、認知症に対する理解が深まって、認知症症状を呈している認知症の人の心理を自分自身に投影できるようになり、あるがまま家族に一員として受け入れることができるようになる段階である。
この段階を「受容」と呼ぶ。介護という厳しい経験を通して、人間的に成長を遂げた状態といってよい。第1ステップ、第2ステップでは、認知症の人を見る介護者の目が異常な言動にばかり目が向いていたのが、第4ステップでは、残された能力や優しい表情などの良い点に向くようになる。
そこに至ると、「わたしが赤ちゃんの時には、夜泣きしておっぱいをせがんだり、おしっこやウンチを好きな時にした。ハイハイが始まったたときは目を離せなかったものだ。よく考えれば、今のお母さんの夜間不眠、失禁、室内徘徊(はいかい)と同じこと。お母さんは文句も言わず、私を育ててくれたのだから、今度は私がお世話してあげよう。認知症の人を二度童子(わらし)と呼ぶけれど、本当にそのとおりだ」ということに気が付く。
四つのステップの特徴を認知症の理解という観点から考えると、そらぞれのステップで、質的な変化を見ることができる。認知症の症状は、第1ステップ「戸惑い・否定」にある人にとっては「奇妙で不可解で縁遠いもの」。第2ステップ「混乱・怒り・拒絶」に進むと、「異常で困惑させられる行動の連続」と受け止めるようになる。
第3ステップ「割り切り、あるいはあきらめ」では「年をとってきたためのやむ得ない言動」ととらえるようになる。第4ステップでは「いろいろな症状を示す本人の気持ちがよく分かる。自分も認知症になるかもしれないので、そのときのことを考え、一生懸命介護してあげたい」と言えるような「人間的、人格的理解」に到達する。
つまり認知症への理解の深さが、認知症の人と介護者との関係を質的に変化させるのである。認知症の人と介護者の関係を固定的に考えたり、介護の難しさは知的機能の低下の程度と比例すると考えたりする人は少なくないと思われる。しかし、私はそれが正しいとは思えない。
認知症の理解と援助の輪という要因に影響されてたどる心理的ステップのどの段階にいるかによって、、介護者の混乱は軽くもなるし、重くもなるそう考えるのが正しいのではないだろうか。
<ホーム長のつぶやき>
介護者がたどる4つのステップについて杉山先生の考えが非常によく分かる新聞記事です。前回の記事でもつぶやきましたが、認知症をよく理解してくることによってたどるステップが短くてすみます。介護者は自分のしている介護について悩み自分を責めてしまう方が多い。このような異常な行動をとらせてしまったのは自分の介護の対応が原因ではないか、施設入所に踏み切った場合は、入所させてしまったことを責め悩みます。
しかし、私がよくお話をするのは、今まで経験した介護体験の失敗から学んだことや気づいたことを、今悩んでいる方にアドバイスして下さいと。決して今までしてきた介護体験は無駄ではないし、体験者だからこそ今悩んでいる方の心理状況が理解できるのです。是非「認知症の人と家族の会」に入会し、一人で悩んでいる方の力になっていただきたいのです。大きな輪を作って行きましょう。

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「知ってますか?認知症」 パート32
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
あるがまま受け入れる
介護者たどる四つの心理的ステップとその特徴を見ていく。最後の第4ステップは、認知症に対する理解が深まって、認知症症状を呈している認知症の人の心理を自分自身に投影できるようになり、あるがまま家族に一員として受け入れることができるようになる段階である。
この段階を「受容」と呼ぶ。介護という厳しい経験を通して、人間的に成長を遂げた状態といってよい。第1ステップ、第2ステップでは、認知症の人を見る介護者の目が異常な言動にばかり目が向いていたのが、第4ステップでは、残された能力や優しい表情などの良い点に向くようになる。
そこに至ると、「わたしが赤ちゃんの時には、夜泣きしておっぱいをせがんだり、おしっこやウンチを好きな時にした。ハイハイが始まったたときは目を離せなかったものだ。よく考えれば、今のお母さんの夜間不眠、失禁、室内徘徊(はいかい)と同じこと。お母さんは文句も言わず、私を育ててくれたのだから、今度は私がお世話してあげよう。認知症の人を二度童子(わらし)と呼ぶけれど、本当にそのとおりだ」ということに気が付く。
四つのステップの特徴を認知症の理解という観点から考えると、そらぞれのステップで、質的な変化を見ることができる。認知症の症状は、第1ステップ「戸惑い・否定」にある人にとっては「奇妙で不可解で縁遠いもの」。第2ステップ「混乱・怒り・拒絶」に進むと、「異常で困惑させられる行動の連続」と受け止めるようになる。
第3ステップ「割り切り、あるいはあきらめ」では「年をとってきたためのやむ得ない言動」ととらえるようになる。第4ステップでは「いろいろな症状を示す本人の気持ちがよく分かる。自分も認知症になるかもしれないので、そのときのことを考え、一生懸命介護してあげたい」と言えるような「人間的、人格的理解」に到達する。
つまり認知症への理解の深さが、認知症の人と介護者との関係を質的に変化させるのである。認知症の人と介護者の関係を固定的に考えたり、介護の難しさは知的機能の低下の程度と比例すると考えたりする人は少なくないと思われる。しかし、私はそれが正しいとは思えない。
認知症の理解と援助の輪という要因に影響されてたどる心理的ステップのどの段階にいるかによって、、介護者の混乱は軽くもなるし、重くもなるそう考えるのが正しいのではないだろうか。
<ホーム長のつぶやき>
介護者がたどる4つのステップについて杉山先生の考えが非常によく分かる新聞記事です。前回の記事でもつぶやきましたが、認知症をよく理解してくることによってたどるステップが短くてすみます。介護者は自分のしている介護について悩み自分を責めてしまう方が多い。このような異常な行動をとらせてしまったのは自分の介護の対応が原因ではないか、施設入所に踏み切った場合は、入所させてしまったことを責め悩みます。
しかし、私がよくお話をするのは、今まで経験した介護体験の失敗から学んだことや気づいたことを、今悩んでいる方にアドバイスして下さいと。決して今までしてきた介護体験は無駄ではないし、体験者だからこそ今悩んでいる方の心理状況が理解できるのです。是非「認知症の人と家族の会」に入会し、一人で悩んでいる方の力になっていただきたいのです。大きな輪を作って行きましょう。

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2011年03月20日
医師の目・人の目認知症 第30条 家族の心理には4段階
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症」 パート30
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
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川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
家族の心理には4段階
「母の認知症が始まってとき、一生懸命教え込んだり叱ったりしましたが、介護の混乱はひどくなる一方でした。母は私を怖がって、きつい顔をしていました」「あんなにしっかりしていた母が認知症になったと信じたくなかったし、お前の接し方が悪いのだと夫から非難されて、ただ一人で悩んでいたのです。母と一緒に死のうと思い込んだこともありました」
「家族の会に参加して同じ悩みを仲間がいることを知り、介護のコツを学んでから気持ちが変わりました。不思議ですね。症状が変わらないのに対応が楽になったのです。穏かになった私の気持ちを鏡に映したように、母の症状は落ち着きました」「それから紆余(紆余)曲折はありましたが、今では赤ちゃんか仏様のような良い表情を見せてくれる母が一日でも長生きしてくれることをん祈っています」
初めは認知症のさまざまな症状に振り回されていた介護者が、戸惑ったり介護に疲れ果てたり絶望的な気持ちに陥ったりしながら、日々の介護を続ける。そのうち4つの心理的ステップをたどってベテランの介護者となっていくことを、私は30年近い経験から知った。どの介護者も必ずたどることになる心理的ステップについて、順に説明していこう。
介護者にとっては、これまでの自分の過去を客観的に振り返り、あるいはこれからの行方を見通し、自分の今いる位置を確認する上で、きっと役立つであろうし、介護を援助する人にとっては、家族の心理的状態が把握でき、自分達の援助の意味と方向が明確となるに違いない。
まず第1ステップは「戸惑い・否定」だ。しっかりしていた人が突然変なことを言い始めたり、介護者を疑い始めたり、今までできていた簡単なことができなくなったりすると、いったい何が起こったのかと、家族は戸惑う。今までしっかりしていた肉親で、ましてや尊敬する親であると言うような心理が働くと、認知症であることを否定しようとする。
この時期には、家族は他の人たちに「父がおかしいのよどうしたらいいでしょう」という相談がなかなかできない。保健所や公益法人「認知症の人と家族の会」の相談室に行って相談したくても、万一、当人にばれてしまったら大変なことになるという思いも働く。さまざまな遠慮などから、この時期は一人悩む時期と言えよう。
<ホーム長のつぶやき>
身内が認知症になっとき、家族がたどるステップが必ずあります。皆さんそのスッテプを乗り越えて、介護されているわけですが、認知症を理解するようになり、相談相手が増えてきますと早く認知症の人本人を救うことができます。余り落胆することなくどっしり構えて介護は3割自分の時間は7割作れるようにして欲しいものです。次回より第2ステップの「混乱・怒り・拒絶」、第3ステップの「割り切り、あるいはあきらめ」、第4ステップ「受容」について載せて行きます。皆さん誰でもたどるものです。あきらめず本人に寄り沿った介護をしていきましょう!

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「知ってますか?認知症」 パート30
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
家族の心理には4段階
「母の認知症が始まってとき、一生懸命教え込んだり叱ったりしましたが、介護の混乱はひどくなる一方でした。母は私を怖がって、きつい顔をしていました」「あんなにしっかりしていた母が認知症になったと信じたくなかったし、お前の接し方が悪いのだと夫から非難されて、ただ一人で悩んでいたのです。母と一緒に死のうと思い込んだこともありました」
「家族の会に参加して同じ悩みを仲間がいることを知り、介護のコツを学んでから気持ちが変わりました。不思議ですね。症状が変わらないのに対応が楽になったのです。穏かになった私の気持ちを鏡に映したように、母の症状は落ち着きました」「それから紆余(紆余)曲折はありましたが、今では赤ちゃんか仏様のような良い表情を見せてくれる母が一日でも長生きしてくれることをん祈っています」
初めは認知症のさまざまな症状に振り回されていた介護者が、戸惑ったり介護に疲れ果てたり絶望的な気持ちに陥ったりしながら、日々の介護を続ける。そのうち4つの心理的ステップをたどってベテランの介護者となっていくことを、私は30年近い経験から知った。どの介護者も必ずたどることになる心理的ステップについて、順に説明していこう。
介護者にとっては、これまでの自分の過去を客観的に振り返り、あるいはこれからの行方を見通し、自分の今いる位置を確認する上で、きっと役立つであろうし、介護を援助する人にとっては、家族の心理的状態が把握でき、自分達の援助の意味と方向が明確となるに違いない。
まず第1ステップは「戸惑い・否定」だ。しっかりしていた人が突然変なことを言い始めたり、介護者を疑い始めたり、今までできていた簡単なことができなくなったりすると、いったい何が起こったのかと、家族は戸惑う。今までしっかりしていた肉親で、ましてや尊敬する親であると言うような心理が働くと、認知症であることを否定しようとする。
この時期には、家族は他の人たちに「父がおかしいのよどうしたらいいでしょう」という相談がなかなかできない。保健所や公益法人「認知症の人と家族の会」の相談室に行って相談したくても、万一、当人にばれてしまったら大変なことになるという思いも働く。さまざまな遠慮などから、この時期は一人悩む時期と言えよう。
<ホーム長のつぶやき>
身内が認知症になっとき、家族がたどるステップが必ずあります。皆さんそのスッテプを乗り越えて、介護されているわけですが、認知症を理解するようになり、相談相手が増えてきますと早く認知症の人本人を救うことができます。余り落胆することなくどっしり構えて介護は3割自分の時間は7割作れるようにして欲しいものです。次回より第2ステップの「混乱・怒り・拒絶」、第3ステップの「割り切り、あるいはあきらめ」、第4ステップ「受容」について載せて行きます。皆さん誰でもたどるものです。あきらめず本人に寄り沿った介護をしていきましょう!

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2011年03月05日
認知症の人と家族の会は若年期認知症の要望者を厚労省へ提出
若年期認知症要望書を提出
就労継続支援などを早急に
家族の会では平成22年12月24日、細川律夫厚生労働大臣に対して、「若年期認知症に関する要望書」を提出、さらなる支援と制度の充実を要望しました。受け取った宮島俊彦老健局長は、これらの要望をしっかりと考え、この問題にとり組む姿勢を示しました。
厚生労働大臣 細川 律夫様
2010年12月24日
公益社団法人認知症の人と家族の会 代表理事 高見国生
「若年期認知症に関する要望書」
公益法人、認知症の人と家族の会では2001年に「若年期認知症に関する要望書」を厚生労働大臣に提出しました。また、2007年には広島において若年期認知症サミットを開催し、アピールを発表して、この病気が本人のみならず家庭生活にも重大な困難をもたらすことを訴えてきました。
2008年7月に貴省は「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告」を発表し、その中に若年期認知症対策を盛り込まれ、今後の方向を示されました。また、今年9月17日にはおよそ2年ぶりにその内容のフォローアップと検証を行なうための会合が再開されたと聞き、具体的な対策が示されるものと、期待しています。
私どもの若年期認知症に関する願いをお汲み取りいただき、多くの課題に対する対策の一層の充実につながるよう以下のことを要望します。
1.早期に薬の開発、認可を進めること
●認知症を治す薬・進行を抑制する薬が早期に開発されるようにしてください。
●現在開発されている薬を早期に認可し、医療保険で利用できるようにしてください。
2.就労の継続を支援すること
●認知症になっても本人が希望すれば働き続けられるように、企業が認知症に対する理解を深め、支援を置くなどの、環境を整えるための補助金を支給してください。
●医療専門職が、認知症の人の能力に応じた仕事内容や支援を助言するための報酬を医療保険に設けてください。
●退職を余儀なくされる場合は、今後の生活設計や必要な手続きを相談できるワンストップ窓口を設けてください。」
3.経済的支援を充実すること
●若年期認知症を障害年金の支給対象に明示してください。
●生計を維持している人が認知症になった家庭の、子どもの就学を保障する奨学金制度を設けて下さい。
●若年期認知症を高度障害と認め、生命保険の支給や住宅ローンの残額を免除できるようにして下さい。
●身体障害者であれば利用できる税制優遇や公共交通機関の料金割引などを、若年期認知症でも利用できるようにして下さい。
4.若年期認知症の人が利用しやすい介護保険サービスにすること
●介護保険サービス利用者が、事務所などで作業に従事した場合には作業報酬を支払うことを認め、認知症に人の仕事づくりに取り組む事業所の普及をはかって下さい。
●介護保険サービスを利用しても、障害者自立支援法のサービスの就労支援や作業所、移送サービスの利用を制限しないようにして下さい。
●若年期認知症のサービスを、地域密着の枠を超えて、広域で利用できるようにして下さい。
●若年期認知症に適切なケが提供されるようケアマネージャーや介護スタッフの研修を進めて下さい。
5.早期に発見し、早期から適切な支援をすること
●定期健診に認知症早期発見の仕組みを取り入れ、早期診断ができるように医師の研修を進めて下さい。
●医療専門職が、認知症の人や家族の相談に応じ、適切な窓口につなぐ初期の支援を行なうための報酬を医療保険に設けて下さい。
6.若年期認知症「本人のつどい」を広げるための支援をすること
●認知症の人同士が励まし合い支えあう「本人のつどい」を全国に広げるための補助金を支給するなど、積極的な支援をして下さい。
7.若年期認知症に関する広報啓発を進めること
●若年期認知症に関する理解の普及、早期発見の重要性、雇用継続や就労の支援、障害者サービスの活用など、発症後の支援と相談窓口の周知など国民に広く広報啓発して下さい。
<ホーム長のつぶやき>
2月25日、認知症の人と家族の会・静岡県支部(すぎなの会)は初めて若年期認知症のつどいを開催しました。70名という多くの方が参加されとても嬉しく思いました。しかし、まだまだ隠れた若年性認知症の方がたくさんおられることと思います。大きな輪が手をとりあって広がっていくための一歩になればと思いました。上記の要望をかみ締めながら、少しずつ広報活動していきたいと思っています。

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就労継続支援などを早急に
家族の会では平成22年12月24日、細川律夫厚生労働大臣に対して、「若年期認知症に関する要望書」を提出、さらなる支援と制度の充実を要望しました。受け取った宮島俊彦老健局長は、これらの要望をしっかりと考え、この問題にとり組む姿勢を示しました。
厚生労働大臣 細川 律夫様
2010年12月24日
公益社団法人認知症の人と家族の会 代表理事 高見国生
「若年期認知症に関する要望書」
公益法人、認知症の人と家族の会では2001年に「若年期認知症に関する要望書」を厚生労働大臣に提出しました。また、2007年には広島において若年期認知症サミットを開催し、アピールを発表して、この病気が本人のみならず家庭生活にも重大な困難をもたらすことを訴えてきました。
2008年7月に貴省は「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告」を発表し、その中に若年期認知症対策を盛り込まれ、今後の方向を示されました。また、今年9月17日にはおよそ2年ぶりにその内容のフォローアップと検証を行なうための会合が再開されたと聞き、具体的な対策が示されるものと、期待しています。
私どもの若年期認知症に関する願いをお汲み取りいただき、多くの課題に対する対策の一層の充実につながるよう以下のことを要望します。
1.早期に薬の開発、認可を進めること
●認知症を治す薬・進行を抑制する薬が早期に開発されるようにしてください。
●現在開発されている薬を早期に認可し、医療保険で利用できるようにしてください。
2.就労の継続を支援すること
●認知症になっても本人が希望すれば働き続けられるように、企業が認知症に対する理解を深め、支援を置くなどの、環境を整えるための補助金を支給してください。
●医療専門職が、認知症の人の能力に応じた仕事内容や支援を助言するための報酬を医療保険に設けてください。
●退職を余儀なくされる場合は、今後の生活設計や必要な手続きを相談できるワンストップ窓口を設けてください。」
3.経済的支援を充実すること
●若年期認知症を障害年金の支給対象に明示してください。
●生計を維持している人が認知症になった家庭の、子どもの就学を保障する奨学金制度を設けて下さい。
●若年期認知症を高度障害と認め、生命保険の支給や住宅ローンの残額を免除できるようにして下さい。
●身体障害者であれば利用できる税制優遇や公共交通機関の料金割引などを、若年期認知症でも利用できるようにして下さい。
4.若年期認知症の人が利用しやすい介護保険サービスにすること
●介護保険サービス利用者が、事務所などで作業に従事した場合には作業報酬を支払うことを認め、認知症に人の仕事づくりに取り組む事業所の普及をはかって下さい。
●介護保険サービスを利用しても、障害者自立支援法のサービスの就労支援や作業所、移送サービスの利用を制限しないようにして下さい。
●若年期認知症のサービスを、地域密着の枠を超えて、広域で利用できるようにして下さい。
●若年期認知症に適切なケが提供されるようケアマネージャーや介護スタッフの研修を進めて下さい。
5.早期に発見し、早期から適切な支援をすること
●定期健診に認知症早期発見の仕組みを取り入れ、早期診断ができるように医師の研修を進めて下さい。
●医療専門職が、認知症の人や家族の相談に応じ、適切な窓口につなぐ初期の支援を行なうための報酬を医療保険に設けて下さい。
6.若年期認知症「本人のつどい」を広げるための支援をすること
●認知症の人同士が励まし合い支えあう「本人のつどい」を全国に広げるための補助金を支給するなど、積極的な支援をして下さい。
7.若年期認知症に関する広報啓発を進めること
●若年期認知症に関する理解の普及、早期発見の重要性、雇用継続や就労の支援、障害者サービスの活用など、発症後の支援と相談窓口の周知など国民に広く広報啓発して下さい。
<ホーム長のつぶやき>
2月25日、認知症の人と家族の会・静岡県支部(すぎなの会)は初めて若年期認知症のつどいを開催しました。70名という多くの方が参加されとても嬉しく思いました。しかし、まだまだ隠れた若年性認知症の方がたくさんおられることと思います。大きな輪が手をとりあって広がっていくための一歩になればと思いました。上記の要望をかみ締めながら、少しずつ広報活動していきたいと思っています。

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2011年02月21日
医師の目人の目 認知症 第29 火の心配は「先手打つ」
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症」 パート29
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
火の心配は「先手打つ」
「火の不始末」は、自宅ばかりでなく、近隣にも大きな迷惑や損害を与えてしまう。一人暮らしの認知症の人の在宅生活が維持できなくなって、施設入所にならざるを得ない代表的な理由の一つが、近隣からの火の不始末に関する不安の声である。
訪問診療していると、畳やこたつの天板にタバコの火と思われる焼け跡が無数に見つかる家庭もある。ガスこんろに週刊誌を載せたまま火をつけたため消防車が出勤し、アパートを出て行かざるを得なくなった例を数年前に経験した。炊事をしているとき、何らかの理由で中断すると、今まで炊事をしていたことをすっかり忘れてしまう。そのため鍋を焦がすことになる。
「家事を出したら大変だから注意してね」と注意するだけでは、効果はない。どうしたらよいか考えてみよう。認知症の初期であれば、「火の用心」「マッチ1本火事の元」 など゙の標語を目につくところに貼っておくことが有効な場合がある。ただし火の点検をしたことのない人や、表示に注目したり意味を理解したりすることができなくなった人に対しては、効果はない。
次に「先手を打つ」という方法がある。例えば万が一の出火に備えて、火災報知機を付けじゅうたんやカーテンを難燃性のものに替える。石油ストーブや電気ストーブを、火事になりにくいエアコンやパネルヒーターに替える方法もある。ガス管が外れたらガスが止まる「ガスコンセント」や、熱が上昇すると自動的にガスを止めるセンサー付きのガスこんろを利用するのもいい。
家族が外出するときには、ガスの元栓を締める。燃えやすいものをできるだけ片付ける。たばこの吸殻をゴミ箱に入れてぼやを出すこともあるので、ゴミ箱に湿った雑巾を入れるか水を張っておく。認知症の人は新しいやり方を覚えるのが苦手なので、操作法が異なる電磁調理器など新しい器具に替えることによって使えなくする、という手もある。ガスの元栓の位置を変えると、元栓操作しなくなることもある。
かって東京消防庁に火事の原因を尋ねたことがある。そのときの回答では、放火、ガスこんろやストーブからの出火、タバコの火の不始末が多かった。よく考えれば、それらの大部分は、認知症でない人々が起こしているのだ。「できる限りの対策はしたので、これ以上は心配しても仕方がない」と割り切るようにすべきであろう。
<ホーム長のつぶやき>
火事の心配があるからと言って何もかも役割を奪ってしまうと認知症の精神運動興奮(BPSD)が出現することもあります。杉山先生が述べているように先手を打つことはとっても良い方法です。中々そこまで考えが及ばないのが現状です。是非先手を打ちながら本来もっている力を発揮していただきたい。家事ができなくなったら、見守ればできるようであれば、一緒に共に行動する。そして感謝の言葉を忘れずに声掛けをすると本人に自信がつき認知症の進行をくい止めることができるのです。タバコの吸殻はごみ箱に捨てがちです。ごみ箱の濡れ雑巾や水を張るアイディアはいただきですね。

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公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
火の心配は「先手打つ」
「火の不始末」は、自宅ばかりでなく、近隣にも大きな迷惑や損害を与えてしまう。一人暮らしの認知症の人の在宅生活が維持できなくなって、施設入所にならざるを得ない代表的な理由の一つが、近隣からの火の不始末に関する不安の声である。
訪問診療していると、畳やこたつの天板にタバコの火と思われる焼け跡が無数に見つかる家庭もある。ガスこんろに週刊誌を載せたまま火をつけたため消防車が出勤し、アパートを出て行かざるを得なくなった例を数年前に経験した。炊事をしているとき、何らかの理由で中断すると、今まで炊事をしていたことをすっかり忘れてしまう。そのため鍋を焦がすことになる。
「家事を出したら大変だから注意してね」と注意するだけでは、効果はない。どうしたらよいか考えてみよう。認知症の初期であれば、「火の用心」「マッチ1本火事の元」 など゙の標語を目につくところに貼っておくことが有効な場合がある。ただし火の点検をしたことのない人や、表示に注目したり意味を理解したりすることができなくなった人に対しては、効果はない。
次に「先手を打つ」という方法がある。例えば万が一の出火に備えて、火災報知機を付けじゅうたんやカーテンを難燃性のものに替える。石油ストーブや電気ストーブを、火事になりにくいエアコンやパネルヒーターに替える方法もある。ガス管が外れたらガスが止まる「ガスコンセント」や、熱が上昇すると自動的にガスを止めるセンサー付きのガスこんろを利用するのもいい。
家族が外出するときには、ガスの元栓を締める。燃えやすいものをできるだけ片付ける。たばこの吸殻をゴミ箱に入れてぼやを出すこともあるので、ゴミ箱に湿った雑巾を入れるか水を張っておく。認知症の人は新しいやり方を覚えるのが苦手なので、操作法が異なる電磁調理器など新しい器具に替えることによって使えなくする、という手もある。ガスの元栓の位置を変えると、元栓操作しなくなることもある。
かって東京消防庁に火事の原因を尋ねたことがある。そのときの回答では、放火、ガスこんろやストーブからの出火、タバコの火の不始末が多かった。よく考えれば、それらの大部分は、認知症でない人々が起こしているのだ。「できる限りの対策はしたので、これ以上は心配しても仕方がない」と割り切るようにすべきであろう。
<ホーム長のつぶやき>
火事の心配があるからと言って何もかも役割を奪ってしまうと認知症の精神運動興奮(BPSD)が出現することもあります。杉山先生が述べているように先手を打つことはとっても良い方法です。中々そこまで考えが及ばないのが現状です。是非先手を打ちながら本来もっている力を発揮していただきたい。家事ができなくなったら、見守ればできるようであれば、一緒に共に行動する。そして感謝の言葉を忘れずに声掛けをすると本人に自信がつき認知症の進行をくい止めることができるのです。タバコの吸殻はごみ箱に捨てがちです。ごみ箱の濡れ雑巾や水を張るアイディアはいただきですね。

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2011年02月20日
昨日はNHKフォーラム認知症新時代に参加
いきいきと暮らすために~医療・介護・地域の支え合い~と題して
昨日は清水テルサにおいてNHK 厚生分科事業団主催のフォーラム
認知症新時代に参加してきました。認知症の人と家族の会メンバーと参加
家族の会世話人・木下ひでよさんも参加するということで応援を兼ね行ってきました。
13時から15時45分までとっても意義あるお話が聞け・コ^ディネーターの
町村俊雄アナウンサーの進行がもとっても良かったです。
「パーソンセンタードケアーに沿った関わりを医療連携や地域連携を図り
ながら、認知症本人、家族を支えていきましょう」といったお話ででした。
この様子を3月27日15時~16時福祉ネットワークで放映されます。
とっても参考になるお話が盛り沢山」です。是非ご覧下さい!
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2011年02月02日
医師の目人の目 認知症 第28 対応難しい性的な行動
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症」 パート28
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
対応難しい性的な行動
ある認知症の男性を訪問診療したとき、介護をしている嫁から、「先日、寝たきりの義父のところに食事を届けたら、義父が私に向かって、布団の中に入って来いと誘ってきました。それ以来、食事を届けるのが嫌でたまりません」という相談を受けた。その介護者に私は「いつも戦争の話をしていますね。記憶が戦時中に戻っているとすれば、その頃本人の年齢は40~50歳ですから、当然性的な関心も高いし、あなたを妻と思い込んでいてもおかしくないでしょう。息子の嫁を誘惑したのではなく、自分の妻を誘ったと理解してください」と説明した。
その上で、愛情に飢えているわけですから、食事を届けるときに手を握るとか、同じ目線の高さでゆっくり話しかけるなどすれば落ち着くと思います。嫌な表情をして接すると、混乱がひどくなります。」と助言した。このような説明受けても介護者は簡単に割り切れるものではないが、週一回の訪問診療のとき介護者の話を聞き、慰めたところ、数ヶ月ごろには症状がなくなった。
平気で下半身を露出したり介護者に性器を触れるように要求したり、数十年触れたことがなかった配偶者の身体を突然触り始めたりすることは決してまれではない。性的異常行動は介護者にとって理解や受け入れが非常に難しい症状の一つだ。まず、「記憶の逆行性喪失の特徴」により記憶が昔に戻っていくので、本人は若い時代の気持ちで行動するという特徴を頭に入れておくこと。
判断力が低下しているので羞恥(しゅうち)心や遠慮がなくなり、息子や嫁などの見当がつかなくなっているので、誰に対しても遠慮しなくなるのだ。ベテランのヘルパーは胸を触られても慌てず騒がず、「Aさん、エッチね。私は娘のころから、おっぱいが大きかったのよ。でも今度触ったら奥さんに言いつけますよ」とソフトに言い、本人の手を取りながら「美味しいお茶を入れますから飲みましょうね」と見事な対応をしていた。
しかることは効果がない。食べ物や趣味に関心を向ける、散歩やリハビリなどで体を動かすという方法が有効である。症状が激しい場合には、薬で抑えることもある。家族にしてもヘルパーにしても介護のストレスが大きいので、相談し打ち明けられる人を持つことが必要だ。ケアマネージャーや医師、看護師、ヘルパー、知人、「認知症の人と家族の会」のメンバーなどを相談相手に持つとよい。
<ホーム長のつぶやき>
認知症の人の介護でよく「逆行性記憶の喪失」の場面に遭遇する。91歳の高齢の方、「自分は31歳」と言い張る。母も元気だし兄も元気でいます。「母のところに帰るのでお金を貸して下さい」と車椅子をこぎながら事務所まで訴えてきます。困りました。ハタとひらめき現金交換券を手渡したところ安心して自室に戻っていかれました。時々その現金交換券を持って来られます。
「逆行性記憶の喪失」→ここをクリックすると過去記事を見ることができます。
年配の婦人が相談に来られました。「性的逸脱行為に苦しんでおられる方でした。「お嫁さんのいる前では決して性的な行動はしないのだが自分がいるとき、下半身を出し触っている。注意をしてもやめない。どうしたらいいだろうか」と相談された。確か私は、その時こんな風にお答えした。「病気がさせていることです。お嫁さんには知られたくない配慮ができています。きっと淋しいのでしょう。勇気を出してそっと手を握ってあげてください。そして興味のある話をゆったりとした気持ちで話してみてください」とアドバイスした。
奥様は「気持ちが悪くてそんなことはできない」と話されました。そこで、認知症の方の心理を話しました。「普段からさり気なく手をつないだり、スキンシップをすることで変化が見られるはずです」と。「また、お嫁さんの前でも、性的逸脱行為が見られるようでしたら、医師に相談し、薬剤の調整を依頼してください」と話したことがありました。病院勤務時代には夫の性的逸脱行為がトラウマとなり恐怖感が強くなり、入院を余儀なくされた高齢の方がいました。ここまでエスカレートしてしまうと薬剤で調整し、夫婦を離さなければ夫婦崩壊となります。早い段階で手を打つことが大切だと思いました。

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「知ってますか?認知症」 パート28
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
対応難しい性的な行動
ある認知症の男性を訪問診療したとき、介護をしている嫁から、「先日、寝たきりの義父のところに食事を届けたら、義父が私に向かって、布団の中に入って来いと誘ってきました。それ以来、食事を届けるのが嫌でたまりません」という相談を受けた。その介護者に私は「いつも戦争の話をしていますね。記憶が戦時中に戻っているとすれば、その頃本人の年齢は40~50歳ですから、当然性的な関心も高いし、あなたを妻と思い込んでいてもおかしくないでしょう。息子の嫁を誘惑したのではなく、自分の妻を誘ったと理解してください」と説明した。
その上で、愛情に飢えているわけですから、食事を届けるときに手を握るとか、同じ目線の高さでゆっくり話しかけるなどすれば落ち着くと思います。嫌な表情をして接すると、混乱がひどくなります。」と助言した。このような説明受けても介護者は簡単に割り切れるものではないが、週一回の訪問診療のとき介護者の話を聞き、慰めたところ、数ヶ月ごろには症状がなくなった。
平気で下半身を露出したり介護者に性器を触れるように要求したり、数十年触れたことがなかった配偶者の身体を突然触り始めたりすることは決してまれではない。性的異常行動は介護者にとって理解や受け入れが非常に難しい症状の一つだ。まず、「記憶の逆行性喪失の特徴」により記憶が昔に戻っていくので、本人は若い時代の気持ちで行動するという特徴を頭に入れておくこと。
判断力が低下しているので羞恥(しゅうち)心や遠慮がなくなり、息子や嫁などの見当がつかなくなっているので、誰に対しても遠慮しなくなるのだ。ベテランのヘルパーは胸を触られても慌てず騒がず、「Aさん、エッチね。私は娘のころから、おっぱいが大きかったのよ。でも今度触ったら奥さんに言いつけますよ」とソフトに言い、本人の手を取りながら「美味しいお茶を入れますから飲みましょうね」と見事な対応をしていた。
しかることは効果がない。食べ物や趣味に関心を向ける、散歩やリハビリなどで体を動かすという方法が有効である。症状が激しい場合には、薬で抑えることもある。家族にしてもヘルパーにしても介護のストレスが大きいので、相談し打ち明けられる人を持つことが必要だ。ケアマネージャーや医師、看護師、ヘルパー、知人、「認知症の人と家族の会」のメンバーなどを相談相手に持つとよい。
<ホーム長のつぶやき>
認知症の人の介護でよく「逆行性記憶の喪失」の場面に遭遇する。91歳の高齢の方、「自分は31歳」と言い張る。母も元気だし兄も元気でいます。「母のところに帰るのでお金を貸して下さい」と車椅子をこぎながら事務所まで訴えてきます。困りました。ハタとひらめき現金交換券を手渡したところ安心して自室に戻っていかれました。時々その現金交換券を持って来られます。
「逆行性記憶の喪失」→ここをクリックすると過去記事を見ることができます。
年配の婦人が相談に来られました。「性的逸脱行為に苦しんでおられる方でした。「お嫁さんのいる前では決して性的な行動はしないのだが自分がいるとき、下半身を出し触っている。注意をしてもやめない。どうしたらいいだろうか」と相談された。確か私は、その時こんな風にお答えした。「病気がさせていることです。お嫁さんには知られたくない配慮ができています。きっと淋しいのでしょう。勇気を出してそっと手を握ってあげてください。そして興味のある話をゆったりとした気持ちで話してみてください」とアドバイスした。
奥様は「気持ちが悪くてそんなことはできない」と話されました。そこで、認知症の方の心理を話しました。「普段からさり気なく手をつないだり、スキンシップをすることで変化が見られるはずです」と。「また、お嫁さんの前でも、性的逸脱行為が見られるようでしたら、医師に相談し、薬剤の調整を依頼してください」と話したことがありました。病院勤務時代には夫の性的逸脱行為がトラウマとなり恐怖感が強くなり、入院を余儀なくされた高齢の方がいました。ここまでエスカレートしてしまうと薬剤で調整し、夫婦を離さなければ夫婦崩壊となります。早い段階で手を打つことが大切だと思いました。

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2011年01月24日
医師の目人の目 認知症 第27 夜間不眠は恐怖から
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症」 パート27
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
夜間不眠は恐怖から
認知症の症状の中で「夜間不眠」「性的異常行動」「火の不始末」など゙は比較的よく見られる症状で、しかも対応が難しい。それぞれの症状をどのように理解し対応したら良いか考えてみたい。
まずは「夜間不眠」。夜になると落ち着かなくなって、大声を出したり、家族、特に介護者の名前を呼んだりするため、家族は眠れないばかりか、近所への迷惑を考えるとたまらなくなる。どうして、このようなことが起こるのだろうか。
認知症には時間や場所の見当がつかなくなる「見当識障害」がある。目を覚ますと、真っ暗で、シーンとして誰もいない、自分の部屋にいることも夜であることも分からない。このような状況に置かれれば恐怖感に襲われるのは当然だ。認知症の人は恐怖のあまり、最も頼りとする介護者の名前を呼び続け、家の中を探し回るのではないだろうか。介護者が来てくれれば安心して眠るが、眠りが浅いから目を覚ます。先ほど安心したことを忘れて恐怖感に襲われ、再び騒ぐことを繰り返しているのだ。
ではどうしたらよいのだろうか。ここは安心していられる場所だと本人が感じられるようにすることである。部屋も廊下も明るくしておいて、、目を覚ましたとき、いつも使っているタンスや衣類がすぐ分かるようにしておく。夜中でもラジオやテレビを適切な音量でつけておく。家族の声や好きな歌を録音したテープを流すなど、色々な音が聞こえるようにしておく。人のいる居間で過ごすようにする。食べ物を食べさせる。時には添い寝をする。
「認知症の人と家族の会」のベテラン介護者は、添い寝をし、目を覚ましたときには、「大丈夫よ」と言って手を握るということをしていた。そうすると、それはひどく騒がずに眠ってくれ、介護者もよく休めたという。私たちも子どもの頃、何年間も母親に、添い寝をしてもらいながら、眠りについたことを思い出せばよい。
夜眠らないのに昼間によく眠るのは、生活雑音が聞こえ、周りが見えるので安心して眠れるのだと考えるのが正しい。不安感や、興奮が強く、どうしても眠らない場合もある。このような時、睡眠剤や、強力トランキライザー、鎮静作用を持つ漢方薬などを使って眠らせることも少なくない。ふらつき、食欲低下、手足口のふるえ、異常言動などの副作用に注意し、疑わしい症状が出たら主治医に報告することが必要だ。
<ホーム長のつぶやき>
昼夜逆転で介護者を悩ますことが多々あります。2人3脚でも昼夜逆転になられる方がおります。なるべく昼間は起きていただけれる様に工夫します。天気の良い日はウッドデッキで朝の陽ざしを浴びたり、ラジオ体操をします。しかし2日間ぐっすり眠れたときは次の日は眠りが浅いパターンを繰り返します。スタッフは皆そのことを承知しています。また、夜間せん妄が活発のときはそっと過ぎ去るのを待ち、落ち着いたら寄り添います。
上記の杉山先生のお話のように本人の気持ちに如何により添えるか、考えて見ましょう。本人が落ち着けば介護が楽になります。また、軽い睡眠導入剤を服用している方もおられます。私も抗不安薬を少量使っています。気持ちが高ぶっているときはどんな強い薬を飲んでも効果がありません。人間の心理状態や精神状態は、微妙に生体リズムに関連があることが分かります。

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「知ってますか?認知症」 パート27
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
夜間不眠は恐怖から
認知症の症状の中で「夜間不眠」「性的異常行動」「火の不始末」など゙は比較的よく見られる症状で、しかも対応が難しい。それぞれの症状をどのように理解し対応したら良いか考えてみたい。
まずは「夜間不眠」。夜になると落ち着かなくなって、大声を出したり、家族、特に介護者の名前を呼んだりするため、家族は眠れないばかりか、近所への迷惑を考えるとたまらなくなる。どうして、このようなことが起こるのだろうか。
認知症には時間や場所の見当がつかなくなる「見当識障害」がある。目を覚ますと、真っ暗で、シーンとして誰もいない、自分の部屋にいることも夜であることも分からない。このような状況に置かれれば恐怖感に襲われるのは当然だ。認知症の人は恐怖のあまり、最も頼りとする介護者の名前を呼び続け、家の中を探し回るのではないだろうか。介護者が来てくれれば安心して眠るが、眠りが浅いから目を覚ます。先ほど安心したことを忘れて恐怖感に襲われ、再び騒ぐことを繰り返しているのだ。
ではどうしたらよいのだろうか。ここは安心していられる場所だと本人が感じられるようにすることである。部屋も廊下も明るくしておいて、、目を覚ましたとき、いつも使っているタンスや衣類がすぐ分かるようにしておく。夜中でもラジオやテレビを適切な音量でつけておく。家族の声や好きな歌を録音したテープを流すなど、色々な音が聞こえるようにしておく。人のいる居間で過ごすようにする。食べ物を食べさせる。時には添い寝をする。
「認知症の人と家族の会」のベテラン介護者は、添い寝をし、目を覚ましたときには、「大丈夫よ」と言って手を握るということをしていた。そうすると、それはひどく騒がずに眠ってくれ、介護者もよく休めたという。私たちも子どもの頃、何年間も母親に、添い寝をしてもらいながら、眠りについたことを思い出せばよい。
夜眠らないのに昼間によく眠るのは、生活雑音が聞こえ、周りが見えるので安心して眠れるのだと考えるのが正しい。不安感や、興奮が強く、どうしても眠らない場合もある。このような時、睡眠剤や、強力トランキライザー、鎮静作用を持つ漢方薬などを使って眠らせることも少なくない。ふらつき、食欲低下、手足口のふるえ、異常言動などの副作用に注意し、疑わしい症状が出たら主治医に報告することが必要だ。
<ホーム長のつぶやき>
昼夜逆転で介護者を悩ますことが多々あります。2人3脚でも昼夜逆転になられる方がおります。なるべく昼間は起きていただけれる様に工夫します。天気の良い日はウッドデッキで朝の陽ざしを浴びたり、ラジオ体操をします。しかし2日間ぐっすり眠れたときは次の日は眠りが浅いパターンを繰り返します。スタッフは皆そのことを承知しています。また、夜間せん妄が活発のときはそっと過ぎ去るのを待ち、落ち着いたら寄り添います。
上記の杉山先生のお話のように本人の気持ちに如何により添えるか、考えて見ましょう。本人が落ち着けば介護が楽になります。また、軽い睡眠導入剤を服用している方もおられます。私も抗不安薬を少量使っています。気持ちが高ぶっているときはどんな強い薬を飲んでも効果がありません。人間の心理状態や精神状態は、微妙に生体リズムに関連があることが分かります。

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2011年01月11日
介助時中腰の姿勢を見直しましょう。体を痛めない工夫を
体を痛めない武術介護
理学療法士・介護福祉士 岡田慎一郎氏の生活ワイドより
体の使い方の工夫
介護する中で、最も負担が掛かりやすい姿勢といえば、ほとんどの方が中腰の姿勢を挙げるでしょう。おむつ交換、体の向きを変える、車椅子やベッドの移乗、トイレ・入浴の介助など、介助の主な場面で中腰の姿勢が必要です。日々の介護で腰痛を起こす方もたくさんいます。
通常なら、腹筋や背筋を鍛えることが、腰痛の予防策となりますが、ここでは介護者の姿勢を見直し、筋力に頼らない予防をしたいと思います。腰を痛めやすい方の姿勢をよく見ると、腰から上体を前傾しています。なぜかといえば、腰から体を曲げると前傾しやすく、つい、そうする癖がついているからです。
しかし、腹から体を曲げると腰に負担が集中し、たとえば、クレーンで物を吊り上げるような態勢になっています。では、中腰でも腰を痛めにくくするには、どのようにすれば良いのでしょうか。それは、腹から曲げるのではなく股関節から前傾をすることです。ポイントは、足元の使い方。腹から曲げる場合、足元が固定されているため、どうしても股関節が動きにくくなり、動きやすい腹から前傾することになってしまいます。
そこで、足元を固定せず、両足のつま先を広げていくと、股関節も広がって動きやすくなります。すると、股関節からの前傾がしやすくなります。また、腹から前傾するのと、股関節から前傾するのとでは、圧倒的に股関節からの方が動きやすいことに気がつくと思います。
股関節から前傾すると腰は曲がらず、骨盤と腰骨まっすぐになっています。つまり、前傾の中腰の場合でも、腰を曲げた構造的に、もろい姿勢ではなく、、骨盤と腰骨がまっすぐな、構造的に強い姿勢を保つことが大事なのです。ただし股関節が動きにくい方が無理をして中腰になると、かえって腰を痛めかねません。そういう方は、ベッドでの介助であれば、片膝をベッドにつくなどすればよいでしょう。
腰が曲がりにくくなり、骨盤と腰骨がまっすぐな姿勢を楽に保てるはずです。ところが、中には、膝をついても腰が曲がっている方もいます。やはり、基本的な体の使い方をしっかり踏まえて、中腰の姿勢を見直してみてください。
<ホーム長つぶやき>
看護学生の頃(43歳で入学)、「ボディーメカニクス」について勉強しました。それをちょっとご紹介しましょう。簡単に言うと、介護者・要介護者ともに安楽に行える介護の基本です。この基本を知っていっると知らないとでは天と地の差があるかも・・・・。
人間の姿勢や動作時の姿勢、骨格・筋肉などの力学的関係から考えられた効率に良い体の使い方です。上記の古武術介護に似ています。
1.基底面積を広く取りましょう→足を閉じたままでなく、左右の足を前後に出して、肩幅に開くと面積が広くなりますよね。両足に囲まれたこの面積を基底面積といいこの面積が狭いと腰や体に負担が大きくかかります。
2.重心を低くしましょう→膝を軽く曲げ重心を低くすることで、介護者の体のバランスが安定します。また、体の重心移動をによる介助を楽に行うためにも、重心を低くしましょう。
3.体を密着させてみましょう→思い荷物を移動させるとき体を荷物に近づけませんか。当たり前のことですが、いざ人間となると忘れがち。対象者に近づき、フォークダンスするように同じ方向にに動くようにします。同一方向に動くことで無理なく動くことができます。
4.対象者を小さくまとめるようにしましょう→対象者を移動させるときは腕を胸の上に乗せる、足を曲げる等、小さくまとめるようにすると、体とベッドなどの接地面積(摩擦)が減り、移動が楽にできますよ。
5.大きな筋群を使いましょう→重いものを持ち上げるとき、膝を伸ばしたまま持ち上げると腰に負担がかかります。膝を曲げて持ち上げましょう。それと同じで、筋肉や関節への負担を分散させるために膝を軽く曲げ、膝の屈伸を使ったり腕の筋力だけに頼らず背筋を使ってみましょう。
6.てこの原理を使いましょう→支点(支えとなる分)・力点(力を加える部分)・作用点(加えた力が働く部分)小学生の理科で習いましたよね。これらの関係を頭に入れておくと少ない力で大きな効果が得られますよ。
対象者を移動する時は持ち上げないで下さいね。持ち上げることが一番腰に負担がかかります。持ち上げないで、自分(介護者)の方に引くように、また、向きを変えるとき等は、転がすようなつもりで。
対象者の残存能力を活用しましょう。行動する前に必ず声をかけましょう。意識してもらうだけでずいぶん違うものです。
―以上ご参考まで―

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理学療法士・介護福祉士 岡田慎一郎氏の生活ワイドより
体の使い方の工夫
介護する中で、最も負担が掛かりやすい姿勢といえば、ほとんどの方が中腰の姿勢を挙げるでしょう。おむつ交換、体の向きを変える、車椅子やベッドの移乗、トイレ・入浴の介助など、介助の主な場面で中腰の姿勢が必要です。日々の介護で腰痛を起こす方もたくさんいます。
通常なら、腹筋や背筋を鍛えることが、腰痛の予防策となりますが、ここでは介護者の姿勢を見直し、筋力に頼らない予防をしたいと思います。腰を痛めやすい方の姿勢をよく見ると、腰から上体を前傾しています。なぜかといえば、腰から体を曲げると前傾しやすく、つい、そうする癖がついているからです。
しかし、腹から体を曲げると腰に負担が集中し、たとえば、クレーンで物を吊り上げるような態勢になっています。では、中腰でも腰を痛めにくくするには、どのようにすれば良いのでしょうか。それは、腹から曲げるのではなく股関節から前傾をすることです。ポイントは、足元の使い方。腹から曲げる場合、足元が固定されているため、どうしても股関節が動きにくくなり、動きやすい腹から前傾することになってしまいます。
そこで、足元を固定せず、両足のつま先を広げていくと、股関節も広がって動きやすくなります。すると、股関節からの前傾がしやすくなります。また、腹から前傾するのと、股関節から前傾するのとでは、圧倒的に股関節からの方が動きやすいことに気がつくと思います。
股関節から前傾すると腰は曲がらず、骨盤と腰骨まっすぐになっています。つまり、前傾の中腰の場合でも、腰を曲げた構造的に、もろい姿勢ではなく、、骨盤と腰骨がまっすぐな、構造的に強い姿勢を保つことが大事なのです。ただし股関節が動きにくい方が無理をして中腰になると、かえって腰を痛めかねません。そういう方は、ベッドでの介助であれば、片膝をベッドにつくなどすればよいでしょう。
腰が曲がりにくくなり、骨盤と腰骨がまっすぐな姿勢を楽に保てるはずです。ところが、中には、膝をついても腰が曲がっている方もいます。やはり、基本的な体の使い方をしっかり踏まえて、中腰の姿勢を見直してみてください。
<ホーム長つぶやき>
看護学生の頃(43歳で入学)、「ボディーメカニクス」について勉強しました。それをちょっとご紹介しましょう。簡単に言うと、介護者・要介護者ともに安楽に行える介護の基本です。この基本を知っていっると知らないとでは天と地の差があるかも・・・・。
人間の姿勢や動作時の姿勢、骨格・筋肉などの力学的関係から考えられた効率に良い体の使い方です。上記の古武術介護に似ています。
1.基底面積を広く取りましょう→足を閉じたままでなく、左右の足を前後に出して、肩幅に開くと面積が広くなりますよね。両足に囲まれたこの面積を基底面積といいこの面積が狭いと腰や体に負担が大きくかかります。
2.重心を低くしましょう→膝を軽く曲げ重心を低くすることで、介護者の体のバランスが安定します。また、体の重心移動をによる介助を楽に行うためにも、重心を低くしましょう。
3.体を密着させてみましょう→思い荷物を移動させるとき体を荷物に近づけませんか。当たり前のことですが、いざ人間となると忘れがち。対象者に近づき、フォークダンスするように同じ方向にに動くようにします。同一方向に動くことで無理なく動くことができます。
4.対象者を小さくまとめるようにしましょう→対象者を移動させるときは腕を胸の上に乗せる、足を曲げる等、小さくまとめるようにすると、体とベッドなどの接地面積(摩擦)が減り、移動が楽にできますよ。
5.大きな筋群を使いましょう→重いものを持ち上げるとき、膝を伸ばしたまま持ち上げると腰に負担がかかります。膝を曲げて持ち上げましょう。それと同じで、筋肉や関節への負担を分散させるために膝を軽く曲げ、膝の屈伸を使ったり腕の筋力だけに頼らず背筋を使ってみましょう。
6.てこの原理を使いましょう→支点(支えとなる分)・力点(力を加える部分)・作用点(加えた力が働く部分)小学生の理科で習いましたよね。これらの関係を頭に入れておくと少ない力で大きな効果が得られますよ。
対象者を移動する時は持ち上げないで下さいね。持ち上げることが一番腰に負担がかかります。持ち上げないで、自分(介護者)の方に引くように、また、向きを変えるとき等は、転がすようなつもりで。
対象者の残存能力を活用しましょう。行動する前に必ず声をかけましょう。意識してもらうだけでずいぶん違うものです。
―以上ご参考まで―

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2011年01月10日
医師の目人の目・認知症 第26スムーズな受診へ工夫
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート26
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
スムーズな受診へ工夫
認知症相談、予防教室、マスコミなどどこでも、早期診断・早期治療の必要が強調されている。しかし必要は理解できていても「自分は病気ではない」と思っている認知症の人を医療機関に受診させるのは大変だ。本人が自発的に受診するか、本人に説明して納得が得られた上で受診することになれば一番望ましい。だが納得しない場合圧倒的に多いのが現実だ。
認知症の特徴を理解した上で、色々な工夫が必要になる。私の経験から、スムーズな受診のためのコツをまとめると次のようになる。まず「精神神経科」に強い拒絶反応が見られるので、「物忘れ外来」「老年科」「心療内科」などで一般的な診断を受けてから、その延長として認知症専門の診療に移行する。介護者が「私の健康診断に付き合ってください」とお願いする手もある。
診察室に一緒に入り、医師がまず介護者の診察をしてから、さりげなく「せっかくですから血圧を測りましょうか」と本人に話をすると、医師の言うことは拒否しない。この場合、予め医療機関と連絡をとっておく必要がある。私の経験では、この方法が一番うまくいっている。
病院は嫌だと言う場合には「保健所に健康診断に行きましょう」と誘うのがいい。認知症相談をしているか確認した上で、保健所に行くように誘う。「保健所は地域の健康・保健センター」というイメージがあるので受け入れやすい。ただし保健所ではコンピューター診断撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)による脳の検査はできず、診断の確定は難しいことは心得ておいてほしい。
<ホーム長のつぶやき>
ある程度認知症が進行してくるとさらに受診は大変になってきます。上記のような先生のアドバイスは参考になりますね。かかりつけ医と密接に連携を図っていると、けっこう医者の言うことはきいてくれます。高齢によるボケと認知症との区別を皆さんが理解してくれますと、早期に発見ができ本人も混乱せず、治療や、デイサービス、サロンなどに通うことができます。また、認知症の進行を予防することにつながります。いま、メディアでも認知症を取り上げてくれる様になり、認知症に関心を持っていただけることは嬉しいことです。しかし、まだまだです。かかりつけ医の医師も5分診療では認知症の早期発見は難しいかも知れません。気づいたことをメモに取る習慣を身につけ、医師や介護保険の介護調査時に役立ててほしいものです。

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「知ってますか?認知症 」パート26
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スムーズな受診へ工夫
認知症相談、予防教室、マスコミなどどこでも、早期診断・早期治療の必要が強調されている。しかし必要は理解できていても「自分は病気ではない」と思っている認知症の人を医療機関に受診させるのは大変だ。本人が自発的に受診するか、本人に説明して納得が得られた上で受診することになれば一番望ましい。だが納得しない場合圧倒的に多いのが現実だ。
認知症の特徴を理解した上で、色々な工夫が必要になる。私の経験から、スムーズな受診のためのコツをまとめると次のようになる。まず「精神神経科」に強い拒絶反応が見られるので、「物忘れ外来」「老年科」「心療内科」などで一般的な診断を受けてから、その延長として認知症専門の診療に移行する。介護者が「私の健康診断に付き合ってください」とお願いする手もある。
診察室に一緒に入り、医師がまず介護者の診察をしてから、さりげなく「せっかくですから血圧を測りましょうか」と本人に話をすると、医師の言うことは拒否しない。この場合、予め医療機関と連絡をとっておく必要がある。私の経験では、この方法が一番うまくいっている。
病院は嫌だと言う場合には「保健所に健康診断に行きましょう」と誘うのがいい。認知症相談をしているか確認した上で、保健所に行くように誘う。「保健所は地域の健康・保健センター」というイメージがあるので受け入れやすい。ただし保健所ではコンピューター診断撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)による脳の検査はできず、診断の確定は難しいことは心得ておいてほしい。
<ホーム長のつぶやき>
ある程度認知症が進行してくるとさらに受診は大変になってきます。上記のような先生のアドバイスは参考になりますね。かかりつけ医と密接に連携を図っていると、けっこう医者の言うことはきいてくれます。高齢によるボケと認知症との区別を皆さんが理解してくれますと、早期に発見ができ本人も混乱せず、治療や、デイサービス、サロンなどに通うことができます。また、認知症の進行を予防することにつながります。いま、メディアでも認知症を取り上げてくれる様になり、認知症に関心を持っていただけることは嬉しいことです。しかし、まだまだです。かかりつけ医の医師も5分診療では認知症の早期発見は難しいかも知れません。気づいたことをメモに取る習慣を身につけ、医師や介護保険の介護調査時に役立ててほしいものです。

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2010年12月06日
医師の目・人の目 認知症 第25増えている「認認介護」
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート25
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神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
増えている「認認介護」
平均寿命が女性86.05歳、男性79.20歳(2008年)と、著ジュ社会になった今の日本では、80歳代の介護は決して少なくない。精神や身体に特に障害がなく、元気に活動できる高齢者が増加しているのが長寿社会の特徴であるので、私が80歳代の高齢者が介護に携われないとは思っていない。
訪問診療や外来で診療している患者を介護している80歳代の高齢者は少なくない。家族の援助や訪問介護、訪問看護、入浴サービスを利用氏ながら、たんの吸引をはじめ、褥創(じょくそう)などの処置、経管栄養管理まで見事にこなす介護者もいる。
80歳前後の夫婦は、共に認知症である確立は、約8%と考えられる。そうすると11組の夫婦の1組は、、認知症の人が認知症の人を介護する、いわゆる「認認介護」となる。認知症とは知的機能の低下によって引き起こされる生活障害であるので、認知症になると、生活全般への見守り・援助が必要になる。
夫婦共に認知症になれば介護どころか生活が成り立たなくなると考えられる。しかし症状が二人とも同程度ではなく一人が重くもう一人が軽い場合が普通だ。介護もある程度はできる。一人が亡くなり残った人が激しい症状を出すようになって家族が非常に驚いたという話を聞いたことが何度もある。配偶者の死という環境の変化によって認知症の症状がひどくなったことも確かだろうが、家族に認知症だと気付かれることなく介護あるいは生活が維持できていたこともまた事実だ。
ただし服薬管理、シィくじ、何かあったときの判断などの問題がある。薬を朝昼晩に分けて間違いなく服薬できるようにする。介護の手順を分かりやすく書いて観やすいところに張っておく。訪問看護師や訪問薬剤師が必要に応じて電話や訪問をする。もちろん介護保険のサービスを十分利用する。草することによって、私はこれまで何組の夫婦の在宅ケアを支えてきた。
寝たきりの妻と、食道がんはあるものの身体的には元気な夫が、共に認知症である夫婦の訪問診療を行い、昨年、妻を自宅で看取ることができた。妻は終末期になって食事が取れなくなり、心不全症状を起こした。自宅で点滴を受けながら妻の妹の献身的な介護のかいあって、自宅での穏かな最期を迎えたのであった。
<ホーム長のつぶやき>
高齢化社会となって「老老介護」や「認認介護が」が増えてきている。つい先日「薬事サポート」関係の方が2人3脚に相談に見えられた。介護保険では医師の指示書があれば訪問薬剤師が服薬の指導や管理などについて在宅に訪問してくれます。このサービスは、まだ知られていません。しかし、高齢者は病気のデパートの人が多く、色々な薬をたくさん飲んでいる。医師との連携を薬剤師が図っていければ、もっと在宅介護が楽になることはたしかだろう。この仕事が軌道にのっていってほしいと願っている。
小規模多機能型居宅介護も在宅介護を支える手段の一つです。住み慣れた自宅で最期を迎えた家族がおりました。「F様の看取りに立ち会えて感動」をブログに載せさせて頂いたことがある。その終末の記事を見て、2人3脚で看取りを選択した家族がいた。その人らしくどう最期を迎えるかは元気な内から本人に確認しておくことも必要だ。

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「知ってますか?認知症 」パート25
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
増えている「認認介護」
平均寿命が女性86.05歳、男性79.20歳(2008年)と、著ジュ社会になった今の日本では、80歳代の介護は決して少なくない。精神や身体に特に障害がなく、元気に活動できる高齢者が増加しているのが長寿社会の特徴であるので、私が80歳代の高齢者が介護に携われないとは思っていない。
訪問診療や外来で診療している患者を介護している80歳代の高齢者は少なくない。家族の援助や訪問介護、訪問看護、入浴サービスを利用氏ながら、たんの吸引をはじめ、褥創(じょくそう)などの処置、経管栄養管理まで見事にこなす介護者もいる。
80歳前後の夫婦は、共に認知症である確立は、約8%と考えられる。そうすると11組の夫婦の1組は、、認知症の人が認知症の人を介護する、いわゆる「認認介護」となる。認知症とは知的機能の低下によって引き起こされる生活障害であるので、認知症になると、生活全般への見守り・援助が必要になる。
夫婦共に認知症になれば介護どころか生活が成り立たなくなると考えられる。しかし症状が二人とも同程度ではなく一人が重くもう一人が軽い場合が普通だ。介護もある程度はできる。一人が亡くなり残った人が激しい症状を出すようになって家族が非常に驚いたという話を聞いたことが何度もある。配偶者の死という環境の変化によって認知症の症状がひどくなったことも確かだろうが、家族に認知症だと気付かれることなく介護あるいは生活が維持できていたこともまた事実だ。
ただし服薬管理、シィくじ、何かあったときの判断などの問題がある。薬を朝昼晩に分けて間違いなく服薬できるようにする。介護の手順を分かりやすく書いて観やすいところに張っておく。訪問看護師や訪問薬剤師が必要に応じて電話や訪問をする。もちろん介護保険のサービスを十分利用する。草することによって、私はこれまで何組の夫婦の在宅ケアを支えてきた。
寝たきりの妻と、食道がんはあるものの身体的には元気な夫が、共に認知症である夫婦の訪問診療を行い、昨年、妻を自宅で看取ることができた。妻は終末期になって食事が取れなくなり、心不全症状を起こした。自宅で点滴を受けながら妻の妹の献身的な介護のかいあって、自宅での穏かな最期を迎えたのであった。
<ホーム長のつぶやき>
高齢化社会となって「老老介護」や「認認介護が」が増えてきている。つい先日「薬事サポート」関係の方が2人3脚に相談に見えられた。介護保険では医師の指示書があれば訪問薬剤師が服薬の指導や管理などについて在宅に訪問してくれます。このサービスは、まだ知られていません。しかし、高齢者は病気のデパートの人が多く、色々な薬をたくさん飲んでいる。医師との連携を薬剤師が図っていければ、もっと在宅介護が楽になることはたしかだろう。この仕事が軌道にのっていってほしいと願っている。
小規模多機能型居宅介護も在宅介護を支える手段の一つです。住み慣れた自宅で最期を迎えた家族がおりました。「F様の看取りに立ち会えて感動」をブログに載せさせて頂いたことがある。その終末の記事を見て、2人3脚で看取りを選択した家族がいた。その人らしくどう最期を迎えるかは元気な内から本人に確認しておくことも必要だ。

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2010年11月24日
医師の目・人の目 認知症 第24単身には地域家ア必要
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート24
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
単身には地域ケア必要
厚生労働省の統計よると、単身の高齢者世帯は約373万世帯と推測されている。65歳以上の認知症の出現率は約9%なので、単純に計算すると、一人暮らしの認知症の人は全国で43万人いることになる。もちろん認知症になると一人暮らしが難しくなり、家族と同居したり施設に入所したりするので、この数字のままでないだろうが、かなりの数に上回るのは間違いない。
ところで一人で暮らす認知症の介護には次のような特徴がある。まずは24時間の見守りや、生活全体を支える援助が必要だ。生活障害を起こしている自らの状態を認めないため、医療や介護サービスを受けるのを拒否する傾向がある。近隣の人とのかかわりが不可欠であるのに、そういう人たちとあつれきが生じやすい。
一人暮らしの認知症高齢者は一般的に金銭や物に対する執着が強く、身近な人に強い認知症の症状を示す特徴がある。そのためよく世話をしてくれる民生委員や知人、親戚に「物取られ妄想」などを示し、そういう人たちがかかわれきれなくなることが少なくない。一方時々にしか会わない家族に対してはしっかりした言動をするので、認知症の程度が家族に理解されにくい。
いわゆる「遠距離介護」のため、家族の介護の負担が大きく、栄養摂取不良や不慮の事故が発生しても発見されにくい、といった問題がある。ごみ出しや騒音など、社会生活上のルールが守れないために、トラブルが絶えなくなり、火の不始末で火事を出すのではないかと近所から強い懸念が出され、自宅に住めなくなる場合が非常に多い。
家の中がひどく汚れていても、食事の支度ができなくても「毎日掃除しています」「栄養を考えて毎日自分で料理しています」と言い張るので、周囲がそれ以上踏み込めなくなるケースも少なくない。危篤に近い状態になって初めて訪問診療を依頼されることもある。こうした問題を解決するには普段から地域でなじみの人間関係をつくることが必要だ。
誰もが一人暮らしの認知症高齢者の問題を理解し、解決のために助け合う地域づくりが、今後重要な課題になることは間違いない。その意味で2006年4月の介護保険改定で、地域密着型サービスとして、制度化された「小規模多機能型居宅介護」は一人暮らしの認知症の人の地域ケアという課題の解決を目指す第一歩といえる。
<ホーム長のつぶやき>
今年の夏の暑さは記録的な猛暑となった。多くの方が熱中症になったり脱水を起こし、亡くなられた方も多くいた。特に一人暮らしの方が目立った。また、100歳以上の高齢者が亡くなっているにもかかわらず、不正に年金を受け取り逮捕者がでた。これらは氷山の一角に過ぎないと思う。今後、地域のきずなが大きく左右されるだろう。
杉山孝博先生が「小規模多機能型居宅介護」は一人暮らしの認知症の方を地域で支えていく第一歩と提唱されていることは嬉しい。昨日のテレビで、一人暮らしの方が自宅で暮らしたいと願っている方が94%もいたことは、住み慣れた地域で、住み慣れた自宅で介護を受けたいと願っている。その手助けができるのが小規模多機能型居宅介護、24時間365日、通い、泊り、訪問介護で支えていくシステムだ。まだまだ知らない人が多く小規模多機能型居宅介護の良さを知ってほしい!利用者本人や介護家族のことを考え、大きな力となる介護保険サービスである。

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「知ってますか?認知症 」パート24
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
単身には地域ケア必要
厚生労働省の統計よると、単身の高齢者世帯は約373万世帯と推測されている。65歳以上の認知症の出現率は約9%なので、単純に計算すると、一人暮らしの認知症の人は全国で43万人いることになる。もちろん認知症になると一人暮らしが難しくなり、家族と同居したり施設に入所したりするので、この数字のままでないだろうが、かなりの数に上回るのは間違いない。
ところで一人で暮らす認知症の介護には次のような特徴がある。まずは24時間の見守りや、生活全体を支える援助が必要だ。生活障害を起こしている自らの状態を認めないため、医療や介護サービスを受けるのを拒否する傾向がある。近隣の人とのかかわりが不可欠であるのに、そういう人たちとあつれきが生じやすい。
一人暮らしの認知症高齢者は一般的に金銭や物に対する執着が強く、身近な人に強い認知症の症状を示す特徴がある。そのためよく世話をしてくれる民生委員や知人、親戚に「物取られ妄想」などを示し、そういう人たちがかかわれきれなくなることが少なくない。一方時々にしか会わない家族に対してはしっかりした言動をするので、認知症の程度が家族に理解されにくい。
いわゆる「遠距離介護」のため、家族の介護の負担が大きく、栄養摂取不良や不慮の事故が発生しても発見されにくい、といった問題がある。ごみ出しや騒音など、社会生活上のルールが守れないために、トラブルが絶えなくなり、火の不始末で火事を出すのではないかと近所から強い懸念が出され、自宅に住めなくなる場合が非常に多い。
家の中がひどく汚れていても、食事の支度ができなくても「毎日掃除しています」「栄養を考えて毎日自分で料理しています」と言い張るので、周囲がそれ以上踏み込めなくなるケースも少なくない。危篤に近い状態になって初めて訪問診療を依頼されることもある。こうした問題を解決するには普段から地域でなじみの人間関係をつくることが必要だ。
誰もが一人暮らしの認知症高齢者の問題を理解し、解決のために助け合う地域づくりが、今後重要な課題になることは間違いない。その意味で2006年4月の介護保険改定で、地域密着型サービスとして、制度化された「小規模多機能型居宅介護」は一人暮らしの認知症の人の地域ケアという課題の解決を目指す第一歩といえる。
<ホーム長のつぶやき>
今年の夏の暑さは記録的な猛暑となった。多くの方が熱中症になったり脱水を起こし、亡くなられた方も多くいた。特に一人暮らしの方が目立った。また、100歳以上の高齢者が亡くなっているにもかかわらず、不正に年金を受け取り逮捕者がでた。これらは氷山の一角に過ぎないと思う。今後、地域のきずなが大きく左右されるだろう。
杉山孝博先生が「小規模多機能型居宅介護」は一人暮らしの認知症の方を地域で支えていく第一歩と提唱されていることは嬉しい。昨日のテレビで、一人暮らしの方が自宅で暮らしたいと願っている方が94%もいたことは、住み慣れた地域で、住み慣れた自宅で介護を受けたいと願っている。その手助けができるのが小規模多機能型居宅介護、24時間365日、通い、泊り、訪問介護で支えていくシステムだ。まだまだ知らない人が多く小規模多機能型居宅介護の良さを知ってほしい!利用者本人や介護家族のことを考え、大きな力となる介護保険サービスである。

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2010年11月07日
医師の目・人の目 認知症 第23対策急務な若年期発症
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート23
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
認知症の介護で、これから大きな問題となるテーマが4つある。「若年期認知症」「一人暮らしの認知症の地域ケア」「認知症の人が認知症の人を介護する『認知症介護』」「初期から末期までの継続的なケア」である。今回は若年期認知症を取り上げてみる。まずは認知症の人と家族の会の調査に寄せられた声を聞いてほしい。
「何といっても『徘徊(はいかい)全盛期?』は大変でした。将来の不安と世間の目を気にしながら、雨の日も、朝、昼、夜もかまわず歩きたい夫について歩いていた頃、よからぬことを考えたのもそのころでした」(55歳で発病した夫を11年間介護している妻)「何よりも経済的なことが心配です。年金生活の中から、入院費、看護費、付添費などをどう捻出したらよいのか途方にくれてしまいます」(59歳で発病した夫を1年間介護している妻)
若年期認知症とは、65歳未満に起こる認知症であって、厚生労働省研究班の調査によれば、全国に3万8千人の患者がいると推定されている。若年期認知症の人も介護保険のサービスを利用できるようになった。しかし①活動性が高いため受け入れてくれる施設がすくない②若年期認知症に合ったプログラムが用意されていない③手間がかかる割りに要介護度が低く認定されるため、サービス量が限られる―など介護負担の十分な軽減になっていないのが実情だ。
認知症の人と家族の会が実施した、「若年期痴呆介護の実態調査」(2002年)によると、発症年齢は、50代後半が41.0%、50代前半が31.1%と50代が最も多く40代も10%を超えていた。発症時には62.1%の人が仕事についていたが、認知症が進行し仕事を辞めさせられた人が、18%、自ら辞めた(多分やむを得ず辞めた)人が75.4%と、実に9割の人が仕事を続けられなくなったと回答した。
妻が夫を看るケースが44.7%、夫が妻を看るケースが37.4%と、配偶者同士の介護が80%を超えていた。自分の認知症や配偶者介護のため、、退職したり責任の軽い職場に配置転換されたりして、経済的に厳しい状況がうかがえる。認知症が重度障害と認められないために、ローンを払い続けなければならない人もいる。
若年期認知症をめぐっては、医療や介護の領域のみならず、就労、経済的問題、子どもの養育・結婚、介護サービスの質的・量的不足といった問題が山積みしている。総合的な対策が早急に望まれるのである。
<ホーム長のつぶやき>
認知症の人と家族の会静岡県支部(すぎなの会)には若年期認知症のつどいの場がありませんでしたが、12月17日のつどいにおいて若年期認知症のつどいも同時に開催して行くための話し合いを行なう予定です。静岡県支部ではどのくらいの方が若年期認知症に罹患し、苦しんでいるのか把握できておりません。上記の問題が深刻する中、静岡県支部でも真剣に取り組んで行くため動きだそうとしています。

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「知ってますか?認知症 」パート23
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
認知症の介護で、これから大きな問題となるテーマが4つある。「若年期認知症」「一人暮らしの認知症の地域ケア」「認知症の人が認知症の人を介護する『認知症介護』」「初期から末期までの継続的なケア」である。今回は若年期認知症を取り上げてみる。まずは認知症の人と家族の会の調査に寄せられた声を聞いてほしい。
「何といっても『徘徊(はいかい)全盛期?』は大変でした。将来の不安と世間の目を気にしながら、雨の日も、朝、昼、夜もかまわず歩きたい夫について歩いていた頃、よからぬことを考えたのもそのころでした」(55歳で発病した夫を11年間介護している妻)「何よりも経済的なことが心配です。年金生活の中から、入院費、看護費、付添費などをどう捻出したらよいのか途方にくれてしまいます」(59歳で発病した夫を1年間介護している妻)
若年期認知症とは、65歳未満に起こる認知症であって、厚生労働省研究班の調査によれば、全国に3万8千人の患者がいると推定されている。若年期認知症の人も介護保険のサービスを利用できるようになった。しかし①活動性が高いため受け入れてくれる施設がすくない②若年期認知症に合ったプログラムが用意されていない③手間がかかる割りに要介護度が低く認定されるため、サービス量が限られる―など介護負担の十分な軽減になっていないのが実情だ。
認知症の人と家族の会が実施した、「若年期痴呆介護の実態調査」(2002年)によると、発症年齢は、50代後半が41.0%、50代前半が31.1%と50代が最も多く40代も10%を超えていた。発症時には62.1%の人が仕事についていたが、認知症が進行し仕事を辞めさせられた人が、18%、自ら辞めた(多分やむを得ず辞めた)人が75.4%と、実に9割の人が仕事を続けられなくなったと回答した。
妻が夫を看るケースが44.7%、夫が妻を看るケースが37.4%と、配偶者同士の介護が80%を超えていた。自分の認知症や配偶者介護のため、、退職したり責任の軽い職場に配置転換されたりして、経済的に厳しい状況がうかがえる。認知症が重度障害と認められないために、ローンを払い続けなければならない人もいる。
若年期認知症をめぐっては、医療や介護の領域のみならず、就労、経済的問題、子どもの養育・結婚、介護サービスの質的・量的不足といった問題が山積みしている。総合的な対策が早急に望まれるのである。
<ホーム長のつぶやき>
認知症の人と家族の会静岡県支部(すぎなの会)には若年期認知症のつどいの場がありませんでしたが、12月17日のつどいにおいて若年期認知症のつどいも同時に開催して行くための話し合いを行なう予定です。静岡県支部ではどのくらいの方が若年期認知症に罹患し、苦しんでいるのか把握できておりません。上記の問題が深刻する中、静岡県支部でも真剣に取り組んで行くため動きだそうとしています。

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2010年11月06日
医師の目・人の目認知症 第25 増えている「認認介護」
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート25
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
増えている「認認介護」
平気寿命が女性86.05歳、男性79.29歳(2008年)と、長寿社会になったいまの日本では、80歳代の介護者はけっして少なくない。精神や身体に特に障害がなく、元気に活動できる高齢者が増加しているのが長寿社会の特徴であるので、私は80歳代の高齢者が介護に携われないとは思っていない。
訪問介護や外来で診療している患者を介護している80歳代の高齢者は少なくない。家族の援助や訪問介護、訪問看護、入浴サービスを利用しながら、痰の吸引をはじめ、褥創(じょくそう)などの処置、経管栄養の管理まで、見事にこなす介護者もいる。80歳前後の夫婦が、共に認知症である確立は、約8%と考えられる。そうすると、11組の夫婦の1組は、認知症の人が認知症を介護するいわゆる「認認介護」となる。
認知症とは知的機能の低下よって、引き起こされる生活障害で、認知症になると、生活全般への見守り・援助が必要になる。夫婦共に認知症なれば、介護どころか生活が成り立たなくなると考えられる。しかし、症状が二人とも同程度ではなく、一人が重く、もう一人が軽い場合が普通だ。介護もある程度できる。一人が亡くなり、残った人が激しい症状を出すようになって家族が非常に驚いたという話を聞いたことが何度もある。
配偶者の死という環境の変化によって認知症の症状がひどくなったことも確かだろうが、家族に認知症だと気付かれることなく介護あるいは生活が維持できていたこともまた事実だ。ただし、服薬管理、食事、何かあったときの判断などの問題がある。薬を朝昼晩に分けて間違いなく服薬できるようにする。介護の手順を箇条書きに分かりやすく書いて見やすいところに貼っておく。訪問介護士や訪問薬剤師が必要に応じて電話や訪問をする。もちろん介護保険のサービスを十分利用する。そうすることによって、私はこれまで何組もの夫婦の在宅ケアを支えてきた。
寝たきりの妻と、食道がんはあるものの身体的には元気な夫が、共に認知症である夫婦の訪問診察を行い、昨年、妻を自宅で看取ることができた。妻は終末期になって食事が取れなくなり、心不全症状を起こした。自宅で点滴を受けながら、妻の妹の献身的な介護のかいあって、自宅での穏かな最期を迎えたのであった。

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「知ってますか?認知症 」パート25
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
増えている「認認介護」
平気寿命が女性86.05歳、男性79.29歳(2008年)と、長寿社会になったいまの日本では、80歳代の介護者はけっして少なくない。精神や身体に特に障害がなく、元気に活動できる高齢者が増加しているのが長寿社会の特徴であるので、私は80歳代の高齢者が介護に携われないとは思っていない。
訪問介護や外来で診療している患者を介護している80歳代の高齢者は少なくない。家族の援助や訪問介護、訪問看護、入浴サービスを利用しながら、痰の吸引をはじめ、褥創(じょくそう)などの処置、経管栄養の管理まで、見事にこなす介護者もいる。80歳前後の夫婦が、共に認知症である確立は、約8%と考えられる。そうすると、11組の夫婦の1組は、認知症の人が認知症を介護するいわゆる「認認介護」となる。
認知症とは知的機能の低下よって、引き起こされる生活障害で、認知症になると、生活全般への見守り・援助が必要になる。夫婦共に認知症なれば、介護どころか生活が成り立たなくなると考えられる。しかし、症状が二人とも同程度ではなく、一人が重く、もう一人が軽い場合が普通だ。介護もある程度できる。一人が亡くなり、残った人が激しい症状を出すようになって家族が非常に驚いたという話を聞いたことが何度もある。
配偶者の死という環境の変化によって認知症の症状がひどくなったことも確かだろうが、家族に認知症だと気付かれることなく介護あるいは生活が維持できていたこともまた事実だ。ただし、服薬管理、食事、何かあったときの判断などの問題がある。薬を朝昼晩に分けて間違いなく服薬できるようにする。介護の手順を箇条書きに分かりやすく書いて見やすいところに貼っておく。訪問介護士や訪問薬剤師が必要に応じて電話や訪問をする。もちろん介護保険のサービスを十分利用する。そうすることによって、私はこれまで何組もの夫婦の在宅ケアを支えてきた。
寝たきりの妻と、食道がんはあるものの身体的には元気な夫が、共に認知症である夫婦の訪問診察を行い、昨年、妻を自宅で看取ることができた。妻は終末期になって食事が取れなくなり、心不全症状を起こした。自宅で点滴を受けながら、妻の妹の献身的な介護のかいあって、自宅での穏かな最期を迎えたのであった。

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2010年10月30日
医師の目・人の目 認知症 第22「症状」と「問題」は違う
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート22
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
「症状」と「問題」は違う
認知症の症状によって引き起こされる問題や混乱は、認知症に対する理解の深さ、、介護者との関係、介護関係、利用できるサービス、社会的理解度によって大きく変化するものである。
夜眠らないで一晩中騒ぐ「夜間不眠」を取り上げてみよう。数日間眠れないだけでも、介護者の疲労は甚だしいが、これに、隣近所に迷惑が掛かるという思いが加わったときには、その疲労はさらに激しくなる。「それほどうるさくないし、お互い様ですから気にしないで下さい。介護が大変ですね」と隣の人が慰めてくれると介護の気持ちはすっと楽になる。
音が筒抜けになる集合住宅に住んでいる場合と、隣と十分はなれて一軒やに住んでいる場合とでは、気兼ねという点ではまったく違う。「私を困らすために騒いでいるのではないか」と考えるのと、「恐怖感に襲われて眠れないのだから、部屋を明るくしたり、テレビをつけたり食べ物を出したりして、安心して眠れるように工夫しよう」と考えて対応する場合とでは介護の混乱は違っているはずだ。
「散歩に出てなかなか戻ってこず、生きた心地がしなかった。道に迷っていたら、付けていた迷子札を見て電話してくれ助かりました。」とは、徘徊を初めて経験した介護者の言葉である。28年前、家族の集いの場で、ある介護者は泣きながら、次のように話した。「義父は数十回徘徊しています。近所を探し回り、遠くでも迎えに行くことは慣れましたので、大変だと思いません。今一番つらいのは、迎えに行くと、お巡りさんなどから、『家に帰れない年寄りを家族はどうして放置しておくんだ』と言われることです。出て行くのを止めようがないことや、家族の気持ちを理解してほしいんです」
最近は認知症高齢者者徘徊ネットワークが自治体ごとにつくられ、役所や警察に届けでれば手配してもらえるようになった。衛星利用測位システム(GPS)による徘徊探知機をつけていれば、居場所も正確に分かる。徘徊をはじめて経験した家族は、「生きた心地がしない」という思いをするが、以前ほど深刻で大変なものではなくなってきているといえよう。
もちろんネットワークも地域の理解もまだ不十分で、「徘徊しても安心」という状況には程遠いが。これまで述べてきたように、認知症の症状をなくすことは難しい。しかし、問題性を軽くすることはできるし、それこそが認知症の地域ケアの目標だと思っている。
<ホーム長のつぶやき>
徘徊という言葉を辞書で調べてみると「あてもなく歩き回ること、うろつくこと」と書いてある。徘徊という言葉は好きではないが一般に周知されるようになってきている。2人3脚でも、出掛けて行こうとする人は目的をしっかりもっている。「誰々に会いに行く、自宅に帰えらなければならない」と真剣に訴えてきます。
徘徊の症状は午後から夕方にかけて訴えてきます。そんな時よくドライブをします。車中で会話をしている内に目的を忘れてしまいます。また、小規模多機能型居宅介護の方の送迎時に一緒に車に乗り込み、送迎を共に行ないます。ニコニコしながら、「ただいま帰りました」と元気のいい声が聞こえてきます。
衣類に住所や氏名、電話番号、2人3脚利用と記入し縫い付けていただいたこともありました。しかし、そんな生活が何年も長くは続きません。その日、その日を大切に本人の気持ちや思いを大切にしていきたいと思います。コールセンターなどの電話当番をしているといろいろな相談が寄せられます。徘徊探知機を持たせても外してしまったり、壊してしまったりする方もおり、役に立たなかった方もいました。これからは地域の方が認知症を理解していただき、「おたがいさま」の精神で助けあっていけたらいいですね。

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「知ってますか?認知症 」パート22
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
「症状」と「問題」は違う
認知症の症状によって引き起こされる問題や混乱は、認知症に対する理解の深さ、、介護者との関係、介護関係、利用できるサービス、社会的理解度によって大きく変化するものである。
夜眠らないで一晩中騒ぐ「夜間不眠」を取り上げてみよう。数日間眠れないだけでも、介護者の疲労は甚だしいが、これに、隣近所に迷惑が掛かるという思いが加わったときには、その疲労はさらに激しくなる。「それほどうるさくないし、お互い様ですから気にしないで下さい。介護が大変ですね」と隣の人が慰めてくれると介護の気持ちはすっと楽になる。
音が筒抜けになる集合住宅に住んでいる場合と、隣と十分はなれて一軒やに住んでいる場合とでは、気兼ねという点ではまったく違う。「私を困らすために騒いでいるのではないか」と考えるのと、「恐怖感に襲われて眠れないのだから、部屋を明るくしたり、テレビをつけたり食べ物を出したりして、安心して眠れるように工夫しよう」と考えて対応する場合とでは介護の混乱は違っているはずだ。
「散歩に出てなかなか戻ってこず、生きた心地がしなかった。道に迷っていたら、付けていた迷子札を見て電話してくれ助かりました。」とは、徘徊を初めて経験した介護者の言葉である。28年前、家族の集いの場で、ある介護者は泣きながら、次のように話した。「義父は数十回徘徊しています。近所を探し回り、遠くでも迎えに行くことは慣れましたので、大変だと思いません。今一番つらいのは、迎えに行くと、お巡りさんなどから、『家に帰れない年寄りを家族はどうして放置しておくんだ』と言われることです。出て行くのを止めようがないことや、家族の気持ちを理解してほしいんです」
最近は認知症高齢者者徘徊ネットワークが自治体ごとにつくられ、役所や警察に届けでれば手配してもらえるようになった。衛星利用測位システム(GPS)による徘徊探知機をつけていれば、居場所も正確に分かる。徘徊をはじめて経験した家族は、「生きた心地がしない」という思いをするが、以前ほど深刻で大変なものではなくなってきているといえよう。
もちろんネットワークも地域の理解もまだ不十分で、「徘徊しても安心」という状況には程遠いが。これまで述べてきたように、認知症の症状をなくすことは難しい。しかし、問題性を軽くすることはできるし、それこそが認知症の地域ケアの目標だと思っている。
<ホーム長のつぶやき>
徘徊という言葉を辞書で調べてみると「あてもなく歩き回ること、うろつくこと」と書いてある。徘徊という言葉は好きではないが一般に周知されるようになってきている。2人3脚でも、出掛けて行こうとする人は目的をしっかりもっている。「誰々に会いに行く、自宅に帰えらなければならない」と真剣に訴えてきます。
徘徊の症状は午後から夕方にかけて訴えてきます。そんな時よくドライブをします。車中で会話をしている内に目的を忘れてしまいます。また、小規模多機能型居宅介護の方の送迎時に一緒に車に乗り込み、送迎を共に行ないます。ニコニコしながら、「ただいま帰りました」と元気のいい声が聞こえてきます。
衣類に住所や氏名、電話番号、2人3脚利用と記入し縫い付けていただいたこともありました。しかし、そんな生活が何年も長くは続きません。その日、その日を大切に本人の気持ちや思いを大切にしていきたいと思います。コールセンターなどの電話当番をしているといろいろな相談が寄せられます。徘徊探知機を持たせても外してしまったり、壊してしまったりする方もおり、役に立たなかった方もいました。これからは地域の方が認知症を理解していただき、「おたがいさま」の精神で助けあっていけたらいいですね。

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2010年10月22日
医師の目・人の目 認知症 第21衰弱のスピードが速い
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート21
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
衰弱のスピードが速い
「毎日6~7時間歩いても疲れた様子もないのです。食欲も私よりもあります。とても80歳とは思えない元気さです。事故が起こっては、と思って一緒に歩いているのですが、私の体が持ちません。この状態がどの位続くのでしょうか」「食事の取り方が悪くなったら、衰弱が急激に進行して、2週間目に亡くなってしまいました。以前、先生から『認知症の人の衰弱の進行は速い』といわれていましたが、こんなに早く衰弱が進むとは正直、思っていませんでした。
「義母の介護を始めてから17年目になります。話しかけてもうなずくだけで穏かな状態です。昔は憎らしかったしゅうとめが、いとおしくなりました」「認知症の人と家族の会」が開いている、家族の会の集いでは、このような会話が日常的に交わされている。「認知症の人の老化は非常に強く、認知症のない人の2~3倍のスピードで進行する」という特徴がある。私はこの特徴を「衰弱の進行に関する法則」と名付けている。 ↑ ここをクリックすると「衰弱の進行に関する法則」を見ることができます。
認知症介護研究・研修東京センター長谷川和夫前センター長らが高齢者を追跡調査した結果によれば、認知症高齢者の4年後の死亡率は、83.2%で、正常な高齢者の28.4%と比べると約2.5倍になっていた。さらに認知症グループホームなどの利用者の変化を見ると、はじめは元気で行動的だった人が、数年経過すると動きが悪くなって、通所できなくなる例や、買い物、配膳、などの共同生活できていた人が室内に閉じこもるようになり、寝たきりになる例は決して少なくない。
したがって何年、何十年にもわたって、介護し続けなければならないのかと思い悩んでいる家族に対して、私は次のように説明している。「同じ年齢の正常な人に比べると、認知症の人の場合、老化が約2~3倍のスピードで進むと考えてください。例えば二年経てば、4~5歳歳を取ったのと同じ状態になりますから、みてあげられる期間はそれほど長くないのです」
ただし、認知症の原因の多くを占めるアルツハイマー病では、非常に早く進行する例もあれば、20年間にわたっておだやかに進行する例もある。疾患そのものの性質によって変わってくるし、落ち着いた環境での適切な介護によって、経過がゆっくりすることもあるので、この特徴はすべての認知症に当てはまるわけではない。
<ホーム長のつぶやき>
若年認知症の方は高齢者に比べて進行の速度が今までの経験から速いように感じている。しかし、早期に発見でき早期に治療が開始されると進行の速度が遅いようだ。平成元年より認知症高齢者に関わって感じたことをつぶやいてみた。
とても体格のよいSさん(身長190㎝)地域のために一生懸命ボランティア活動していたそうです。特にスポーツ万能で、子ども会では野球やサッカーなどを教えていました。富士山の登山は100回以上。そんなSさんに病魔が襲ってきたのは60代前半のことでした。若年性認知症の症状で一番困ったことは車の運転をやめさせることでした。車を処分しました。その代わりの足が自転車です。どこでも自転車であてもなく徘徊します。止めると暴力が出るようになりました。
早期に認知症を発見し自分自身で病気と認識すればもっと認知症の進行が抑えられたに違いない。早期発見早期治療の必要性を初めて平成10年頃現場で実感しました。Sさんは急性期の病棟から老人性認知症疾患療養病棟に転棟してきました。しかし、まもなく自分の放尿で自室で転倒し骨折をしてしまいます。車椅子の生活となり、やがて自力での自己摂取が困難となりました。家族は毎週1~2回面会に子ども(男の子二人)や妻が訪れます。愛情を一杯注いでいました。
骨折をすると認知症の男性は4倍のスピードで死が早まります。(女性は1.5倍程度)時々外泊をしていました。できるだけ自宅でSさんと一緒に過ごせる時間を大切にしていた家族でした。嚥下ができなくなり清水市の病院に転院しまもなく永眠されたそうです。認知症が発症して精神運動興奮が激しくなり2年間の入院生活でした。認知症を抱える家族の方の苦悩を実感した事例でした。

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「知ってますか?認知症 」パート21
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
衰弱のスピードが速い
「毎日6~7時間歩いても疲れた様子もないのです。食欲も私よりもあります。とても80歳とは思えない元気さです。事故が起こっては、と思って一緒に歩いているのですが、私の体が持ちません。この状態がどの位続くのでしょうか」「食事の取り方が悪くなったら、衰弱が急激に進行して、2週間目に亡くなってしまいました。以前、先生から『認知症の人の衰弱の進行は速い』といわれていましたが、こんなに早く衰弱が進むとは正直、思っていませんでした。
「義母の介護を始めてから17年目になります。話しかけてもうなずくだけで穏かな状態です。昔は憎らしかったしゅうとめが、いとおしくなりました」「認知症の人と家族の会」が開いている、家族の会の集いでは、このような会話が日常的に交わされている。「認知症の人の老化は非常に強く、認知症のない人の2~3倍のスピードで進行する」という特徴がある。私はこの特徴を「衰弱の進行に関する法則」と名付けている。 ↑ ここをクリックすると「衰弱の進行に関する法則」を見ることができます。
認知症介護研究・研修東京センター長谷川和夫前センター長らが高齢者を追跡調査した結果によれば、認知症高齢者の4年後の死亡率は、83.2%で、正常な高齢者の28.4%と比べると約2.5倍になっていた。さらに認知症グループホームなどの利用者の変化を見ると、はじめは元気で行動的だった人が、数年経過すると動きが悪くなって、通所できなくなる例や、買い物、配膳、などの共同生活できていた人が室内に閉じこもるようになり、寝たきりになる例は決して少なくない。
したがって何年、何十年にもわたって、介護し続けなければならないのかと思い悩んでいる家族に対して、私は次のように説明している。「同じ年齢の正常な人に比べると、認知症の人の場合、老化が約2~3倍のスピードで進むと考えてください。例えば二年経てば、4~5歳歳を取ったのと同じ状態になりますから、みてあげられる期間はそれほど長くないのです」
ただし、認知症の原因の多くを占めるアルツハイマー病では、非常に早く進行する例もあれば、20年間にわたっておだやかに進行する例もある。疾患そのものの性質によって変わってくるし、落ち着いた環境での適切な介護によって、経過がゆっくりすることもあるので、この特徴はすべての認知症に当てはまるわけではない。
<ホーム長のつぶやき>
若年認知症の方は高齢者に比べて進行の速度が今までの経験から速いように感じている。しかし、早期に発見でき早期に治療が開始されると進行の速度が遅いようだ。平成元年より認知症高齢者に関わって感じたことをつぶやいてみた。
とても体格のよいSさん(身長190㎝)地域のために一生懸命ボランティア活動していたそうです。特にスポーツ万能で、子ども会では野球やサッカーなどを教えていました。富士山の登山は100回以上。そんなSさんに病魔が襲ってきたのは60代前半のことでした。若年性認知症の症状で一番困ったことは車の運転をやめさせることでした。車を処分しました。その代わりの足が自転車です。どこでも自転車であてもなく徘徊します。止めると暴力が出るようになりました。
早期に認知症を発見し自分自身で病気と認識すればもっと認知症の進行が抑えられたに違いない。早期発見早期治療の必要性を初めて平成10年頃現場で実感しました。Sさんは急性期の病棟から老人性認知症疾患療養病棟に転棟してきました。しかし、まもなく自分の放尿で自室で転倒し骨折をしてしまいます。車椅子の生活となり、やがて自力での自己摂取が困難となりました。家族は毎週1~2回面会に子ども(男の子二人)や妻が訪れます。愛情を一杯注いでいました。
骨折をすると認知症の男性は4倍のスピードで死が早まります。(女性は1.5倍程度)時々外泊をしていました。できるだけ自宅でSさんと一緒に過ごせる時間を大切にしていた家族でした。嚥下ができなくなり清水市の病院に転院しまもなく永眠されたそうです。認知症が発症して精神運動興奮が激しくなり2年間の入院生活でした。認知症を抱える家族の方の苦悩を実感した事例でした。

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2010年10月17日
医師の目・人の目認知症 第20.かつての体験が背景に
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート20
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
かつての体験が背景に
こだわり」への対応には「本人の過去を知り、こだわりの思いを理解する」という手もある。認知症の人の強いこだわりには、かつての体験が背景にある場合が少なくないからだ。ある特別養護老人ホームに施設内徘徊(はいかい)が止まらない二人の認知症の女性がいた。疲労を考えて職員が努力したが、徘徊が止まらなかったという。
家族に本人達の過去の体験を尋ねたところ、一人は昔ハイキングに行って子どもを山中に見失って必死に探しまわった経験があり、もう一人は終戦時、満州にいてかろうじて最後の引き揚げ列車に乗って内地に帰った体験を持っていた。つまり二人の女性の脳裏には「子どもを失なってしまう」「外地に取り残されてしまう」という思いが染みついていて、歩き続けないと気持ちが治まらないという状況をひきおこしているものと考えられた。
施設のスタッフがどのように対応したかは知らないが、お茶などを勧めながら当時の話をじっくり聞いて「心配でしたね。でも子どもさんが見つかってよかったですね」「着の身着のままだったのですか。大変でしたね。でも引き揚げ列車に乗れてよかったですね」と繰り返し話しかけることによって、徘徊が収まる場合がある。
「記憶を過去にさかのぼって失っていき、残った記憶の世界が本人にとって現在の世界である」という「記憶の逆行性喪失の特徴」を理解していれば、本人がこだわる理由や執着の度合いが分かるようになる。こだわりの理由を介護者が理解できれば、症状を受け入れやすくなるものである。
さて「症状は長期間続かないと割り切る」という対応法もある。金銭や物に対する執着のように「生存に直結する症状」は何年も続くことがある。しかし、一般的には、一つの症状は長く続かず、半年から1年ほどで、別の症状に変わっていくという特徴がある。けれども介護職や家族の中には「積極的な働き掛けけをしなくても症状が軽くなる」ということを信じられない人が多い。
そのような人たちに私が「1~2年前に困っていた症状は何ですか」と尋ねると、多くは現在困っている症状とは違った症状を答える。それを確認した上で、「1~2年前に困っていた症状は、今はないでしょう。同じように、現在の症状も、半年から一年ほどで、消えると思います。何年も続くと決めつけないで、、気楽に考えませんか」と話すと、安心した表情になる。
<ホーム長のつぶやき>
記憶の逆行性喪失体験は2人3脚でもよく見られます。今の歳は91歳ですが、彼にとっての歳は今31歳なのです。そのときの様子をリアルに表現され、我々スタッフもその時代にタイムスリップし彼の時代に合わせて対応しています。電車ではなく列車です。「大阪に帰らなければならないのでお金を貸してください。駅まで送ってほしい。お母さんに会いに行く」とスタッフを困らせます。
時々大阪の親戚にうその電話を掛けたりご家族(長男)に電話して電話口まで出てもらいます。「そうか、今日は無理か。仕方がない、明日帰ることにしよう。すみません今晩だけ泊めてもらえませんか」と大阪弁で聞いてきます。母は強し。いくつになってもお母さんに会いたいようです。「お父さん」という言葉を聞いたことがありません。母親から生まれたからでしょうか。

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「知ってますか?認知症 」パート20
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
かつての体験が背景に
こだわり」への対応には「本人の過去を知り、こだわりの思いを理解する」という手もある。認知症の人の強いこだわりには、かつての体験が背景にある場合が少なくないからだ。ある特別養護老人ホームに施設内徘徊(はいかい)が止まらない二人の認知症の女性がいた。疲労を考えて職員が努力したが、徘徊が止まらなかったという。
家族に本人達の過去の体験を尋ねたところ、一人は昔ハイキングに行って子どもを山中に見失って必死に探しまわった経験があり、もう一人は終戦時、満州にいてかろうじて最後の引き揚げ列車に乗って内地に帰った体験を持っていた。つまり二人の女性の脳裏には「子どもを失なってしまう」「外地に取り残されてしまう」という思いが染みついていて、歩き続けないと気持ちが治まらないという状況をひきおこしているものと考えられた。
施設のスタッフがどのように対応したかは知らないが、お茶などを勧めながら当時の話をじっくり聞いて「心配でしたね。でも子どもさんが見つかってよかったですね」「着の身着のままだったのですか。大変でしたね。でも引き揚げ列車に乗れてよかったですね」と繰り返し話しかけることによって、徘徊が収まる場合がある。
「記憶を過去にさかのぼって失っていき、残った記憶の世界が本人にとって現在の世界である」という「記憶の逆行性喪失の特徴」を理解していれば、本人がこだわる理由や執着の度合いが分かるようになる。こだわりの理由を介護者が理解できれば、症状を受け入れやすくなるものである。
さて「症状は長期間続かないと割り切る」という対応法もある。金銭や物に対する執着のように「生存に直結する症状」は何年も続くことがある。しかし、一般的には、一つの症状は長く続かず、半年から1年ほどで、別の症状に変わっていくという特徴がある。けれども介護職や家族の中には「積極的な働き掛けけをしなくても症状が軽くなる」ということを信じられない人が多い。
そのような人たちに私が「1~2年前に困っていた症状は何ですか」と尋ねると、多くは現在困っている症状とは違った症状を答える。それを確認した上で、「1~2年前に困っていた症状は、今はないでしょう。同じように、現在の症状も、半年から一年ほどで、消えると思います。何年も続くと決めつけないで、、気楽に考えませんか」と話すと、安心した表情になる。
<ホーム長のつぶやき>
記憶の逆行性喪失体験は2人3脚でもよく見られます。今の歳は91歳ですが、彼にとっての歳は今31歳なのです。そのときの様子をリアルに表現され、我々スタッフもその時代にタイムスリップし彼の時代に合わせて対応しています。電車ではなく列車です。「大阪に帰らなければならないのでお金を貸してください。駅まで送ってほしい。お母さんに会いに行く」とスタッフを困らせます。
時々大阪の親戚にうその電話を掛けたりご家族(長男)に電話して電話口まで出てもらいます。「そうか、今日は無理か。仕方がない、明日帰ることにしよう。すみません今晩だけ泊めてもらえませんか」と大阪弁で聞いてきます。母は強し。いくつになってもお母さんに会いたいようです。「お父さん」という言葉を聞いたことがありません。母親から生まれたからでしょうか。

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2010年10月09日
医師の目・人の目認知症 第19.介護負担軽減へ“先手”
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート19
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
介護負担軽減へ“先手”
激しい症状でも数回で終わるなら、介護する人の混乱は少なくて済む。対応しても効果がなく、しかもいつまで続くか分からない場合には混乱と悩みが深くなる。認知症の人の「こだわりの法則」が重要になる。
カテゴリーの目次欄の認知症ケアのポイントに、この法則を載せてあります。
ここをクリックすると「こだわりの法則」を見ることができます。
↓
「こだわりの法則パート1」
「こだわりの法則パート2」
対応の仕方には「一手だけ先手を打つ」という方法もある。具体的には、症状を抑えることができなくても、症状からくる介護負担を軽くするため「手を打つ」ことだ。例えば失禁するようになると、介護の手間が飛躍的に高まる。畳の上で大便をされたら、後始末に非常に手間がかかるだけでなく、再び失敗されたらたまらないという精神的ストレスが高まる。
私は介護者に「タイミングを合わせてトイレに誘導することは介護の視点では良いことことですが、24時間一人で実行することは大変です。それでも失敗が起こることもあります。畳の上に水を通さない敷物を敷いたらどうでしょう。始末が楽になり、イライラが軽くなりますよ」と話している。
失禁という症状を押さえ込むことができなくても、後始末が簡単だと思えるだけで精神的ストレスが軽くなるものだ。認知症の人は、手についた大便をトイレの壁やタオルに塗りつけて汚すことがある。これはわざわざもてあそんでいるのでない。べっとりしたものが手に付くと、誰でも思わず手をぬぐってしまう。手に付いた便を、便だと理解できないまま、ぬぐっただけのことだ。
介護者にいじわるをするためにしているのでは決してない。しかっても効果はないし、「そんなことをした覚えがない」と否定されると、介護者の怒りが増すだけだ。トイレの壁に紙を貼っておき、汚されたらとりかえる、汚されてもよい布やペパータオルをかけておき、家族が使うタオルはべつに置いておくようにしたほうがよい。紙を張り替えたりする手間はかかるが、汚れた壁を雑巾で拭き取るよりも断然楽である。
郵便物をしまいこむという症状がある場合、大事な郵便物をなくされると大変だ。郵便が届く時間を見計らって大事な郵便物だけは取り出しておくとか、郵便受けを別の場所に設置して、そこに入れてもらうといった対策をとるのがよい。
先手を打つ方法は、症状を直接治すわけではないので、歯がゆく感じるかもしれない。ただ、一つの症状がいつまでも続くことはないので、最も現実的な対策の一つといえよう。
<ホーム長のつぶやき>
「こだわり」について
認知症の方は時々トイレの場所が分からなくなり居室の中で放尿や放便をすることがあります。2人3脚では気配り配慮をしてその人の排尿パターンを把握し誘導します。しかし手薄な夜間帯に自室のゴミ箱に放尿することがあります。当初、ゴミ箱がなければそこには排尿しないだろうと、一時片付けたことがありました。衛生面にも配慮してそうしたのですが、今ゴミ箱は居室に設置しています。
おしっこをゴミ箱に上手にはみ出すこともなく排尿します。どうやって排泄しているのか不思議です。ゴミ箱にビニールの袋を予め入れておき溜まったおしっこはそのままトイレに流し、後は袋を捨て、洗い、消毒しておけばいいわけです。ゴミ箱を片付けてしまったことで、床に放尿されたり濡れた衣類をタンスの中に隠されるよりは、尿意があったとき、気持ちよくゴミ箱に排泄してくれた方が本人にとって良いことだと思ったのです。本人の「こだわり」を最大限に容認しフォローする体制が必要だと思います。日中はスタッフの見守りによってトイレにお連れしています。それにしても器用にゴミ箱にされるのには驚きます。
排泄時に拭いたペーパーを流さず、わざわざゴミ箱に捨てる方がいます。注意してもそこには「こだわり」があるのですぐに忘れてしまい、また、同じ行動をします。そのようなときは、トイレに入った後ゴミ箱を覗けばいいわけです。そしてさり気なく片付け消毒します。「こだわり」をどのように受け止めコミュニケーションを図るか、そして利用者とスタッフの固いきずなをどのように気付いていくか、考えさせられます。

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「知ってますか?認知症 」パート19
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
介護負担軽減へ“先手”
激しい症状でも数回で終わるなら、介護する人の混乱は少なくて済む。対応しても効果がなく、しかもいつまで続くか分からない場合には混乱と悩みが深くなる。認知症の人の「こだわりの法則」が重要になる。
カテゴリーの目次欄の認知症ケアのポイントに、この法則を載せてあります。
ここをクリックすると「こだわりの法則」を見ることができます。
↓
「こだわりの法則パート1」
「こだわりの法則パート2」
対応の仕方には「一手だけ先手を打つ」という方法もある。具体的には、症状を抑えることができなくても、症状からくる介護負担を軽くするため「手を打つ」ことだ。例えば失禁するようになると、介護の手間が飛躍的に高まる。畳の上で大便をされたら、後始末に非常に手間がかかるだけでなく、再び失敗されたらたまらないという精神的ストレスが高まる。
私は介護者に「タイミングを合わせてトイレに誘導することは介護の視点では良いことことですが、24時間一人で実行することは大変です。それでも失敗が起こることもあります。畳の上に水を通さない敷物を敷いたらどうでしょう。始末が楽になり、イライラが軽くなりますよ」と話している。
失禁という症状を押さえ込むことができなくても、後始末が簡単だと思えるだけで精神的ストレスが軽くなるものだ。認知症の人は、手についた大便をトイレの壁やタオルに塗りつけて汚すことがある。これはわざわざもてあそんでいるのでない。べっとりしたものが手に付くと、誰でも思わず手をぬぐってしまう。手に付いた便を、便だと理解できないまま、ぬぐっただけのことだ。
介護者にいじわるをするためにしているのでは決してない。しかっても効果はないし、「そんなことをした覚えがない」と否定されると、介護者の怒りが増すだけだ。トイレの壁に紙を貼っておき、汚されたらとりかえる、汚されてもよい布やペパータオルをかけておき、家族が使うタオルはべつに置いておくようにしたほうがよい。紙を張り替えたりする手間はかかるが、汚れた壁を雑巾で拭き取るよりも断然楽である。
郵便物をしまいこむという症状がある場合、大事な郵便物をなくされると大変だ。郵便が届く時間を見計らって大事な郵便物だけは取り出しておくとか、郵便受けを別の場所に設置して、そこに入れてもらうといった対策をとるのがよい。
先手を打つ方法は、症状を直接治すわけではないので、歯がゆく感じるかもしれない。ただ、一つの症状がいつまでも続くことはないので、最も現実的な対策の一つといえよう。
<ホーム長のつぶやき>
「こだわり」について
認知症の方は時々トイレの場所が分からなくなり居室の中で放尿や放便をすることがあります。2人3脚では気配り配慮をしてその人の排尿パターンを把握し誘導します。しかし手薄な夜間帯に自室のゴミ箱に放尿することがあります。当初、ゴミ箱がなければそこには排尿しないだろうと、一時片付けたことがありました。衛生面にも配慮してそうしたのですが、今ゴミ箱は居室に設置しています。
おしっこをゴミ箱に上手にはみ出すこともなく排尿します。どうやって排泄しているのか不思議です。ゴミ箱にビニールの袋を予め入れておき溜まったおしっこはそのままトイレに流し、後は袋を捨て、洗い、消毒しておけばいいわけです。ゴミ箱を片付けてしまったことで、床に放尿されたり濡れた衣類をタンスの中に隠されるよりは、尿意があったとき、気持ちよくゴミ箱に排泄してくれた方が本人にとって良いことだと思ったのです。本人の「こだわり」を最大限に容認しフォローする体制が必要だと思います。日中はスタッフの見守りによってトイレにお連れしています。それにしても器用にゴミ箱にされるのには驚きます。
排泄時に拭いたペーパーを流さず、わざわざゴミ箱に捨てる方がいます。注意してもそこには「こだわり」があるのですぐに忘れてしまい、また、同じ行動をします。そのようなときは、トイレに入った後ゴミ箱を覗けばいいわけです。そしてさり気なく片付け消毒します。「こだわり」をどのように受け止めコミュニケーションを図るか、そして利用者とスタッフの固いきずなをどのように気付いていくか、考えさせられます。

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2010年10月04日
医師の目・人の目認知症 第18.普段の付き合いが大切
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート18
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
普段の付き合いが大切
認知症の人との「こだわり」に対処するには「地域の協力と理解を得る」というコツもある。夜間の騒音、ゴミだし、徘徊(はいかい)、隣人への被害妄想など、近所への気遣いという重荷を背負うことになる。「女で1つで私を育ててくれた母ですから。、被害妄想のため母が私をののしったときも、夜間騒いで眠れなかったときも、介護がつらいと思ったことはありませんでした。しかし、あることがきっかけで隣の家に毎日怒鳴りこむようになって、隣の人から町を出て行ってほしいと講義を受けたとき、母に死んでほしいと思いました」ある介護者が泣きながら語った言葉を今でもはっきり思い出す。
近所への迷惑を考え、カギをかけて外出できないようにする、薬で興奮を静める、言い聞かせるなどの対応をしてもうまくいかず、混乱を深めることになりかねない。逆に地域の理解があれば、深刻な症状が軽くなる。
「義父が近所の薬局で石けんを万引きしていることに気付いたとき、目の前が真っ暗になりました。先生のお勧めによって石けんをもってお店の方に事情を話しました。『あんなに元気だった方が認知症になったとは知りませんでした。大変ですね、私たちも注意しますが、石けんが見つかったら返していただければ結構です』と言っていただいて、ほっとしました」
これが私が訪問診療をしていた介護者の体験である。ちなみにその家では雑貨などをいつもその薬局から買っていたので顔なじみだった。地域でどのような人間関係を築いているかによって、認知症問題の深刻さが違ってくるものである。「散歩に出て帰って来ると思っていて、徘徊ということが頭になくショックでした。心当りを捜し警察にお願いした後の連絡待ちの長かったこと」(社団法人認知症の人と家族の会千葉県支部アンケートより)
そんな徘徊も「一人で歩いているのを見かけたので、声を掛けて連れてきました」といった近所の人の目と協力があれば、さらに地域社会の協力で、「徘徊SOS ネットワーク 」がしっかりできていれば、深刻なものでなくなるかもしれない。「明日はわが身」「お互いさま」という理解が地域に根付いていれば、「認知症になっても安心して暮らせる地域づくり」が可能になると確信している。
<ホーム長のつぶやき>
杉山先生は素晴らしいと思いました。高齢化社会の今日、認知症の方々がさらに増えることは確かです。家族は益々疲弊していきます。本当に「明日はわが身」だと思います。家族だけでは、医師の力だけでは認知症の方を支えていけません。馴染んでいる地域で暮らすことができれば、どんなに力強いことか。
「自分ががわからなくなっても、地域の皆さん、私を知っているのですね。私がわからなくなっても私を助けてくれるのですね」そんな地域になれるように皆さん頑張りましょう。それには皆さんが認知症という病気を理解して対応の仕方を学び、本人の気持ちを知る努力をしていただければいいのです。「明日はわが身」「お互いさま」の精神こそが地域の底力の見せ所。社会貢献を目指して少しでもお役に立てればと思っています。

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「知ってますか?認知症 」パート18
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
普段の付き合いが大切
認知症の人との「こだわり」に対処するには「地域の協力と理解を得る」というコツもある。夜間の騒音、ゴミだし、徘徊(はいかい)、隣人への被害妄想など、近所への気遣いという重荷を背負うことになる。「女で1つで私を育ててくれた母ですから。、被害妄想のため母が私をののしったときも、夜間騒いで眠れなかったときも、介護がつらいと思ったことはありませんでした。しかし、あることがきっかけで隣の家に毎日怒鳴りこむようになって、隣の人から町を出て行ってほしいと講義を受けたとき、母に死んでほしいと思いました」ある介護者が泣きながら語った言葉を今でもはっきり思い出す。
近所への迷惑を考え、カギをかけて外出できないようにする、薬で興奮を静める、言い聞かせるなどの対応をしてもうまくいかず、混乱を深めることになりかねない。逆に地域の理解があれば、深刻な症状が軽くなる。
「義父が近所の薬局で石けんを万引きしていることに気付いたとき、目の前が真っ暗になりました。先生のお勧めによって石けんをもってお店の方に事情を話しました。『あんなに元気だった方が認知症になったとは知りませんでした。大変ですね、私たちも注意しますが、石けんが見つかったら返していただければ結構です』と言っていただいて、ほっとしました」
これが私が訪問診療をしていた介護者の体験である。ちなみにその家では雑貨などをいつもその薬局から買っていたので顔なじみだった。地域でどのような人間関係を築いているかによって、認知症問題の深刻さが違ってくるものである。「散歩に出て帰って来ると思っていて、徘徊ということが頭になくショックでした。心当りを捜し警察にお願いした後の連絡待ちの長かったこと」(社団法人認知症の人と家族の会千葉県支部アンケートより)
そんな徘徊も「一人で歩いているのを見かけたので、声を掛けて連れてきました」といった近所の人の目と協力があれば、さらに地域社会の協力で、「徘徊SOS ネットワーク 」がしっかりできていれば、深刻なものでなくなるかもしれない。「明日はわが身」「お互いさま」という理解が地域に根付いていれば、「認知症になっても安心して暮らせる地域づくり」が可能になると確信している。
<ホーム長のつぶやき>
杉山先生は素晴らしいと思いました。高齢化社会の今日、認知症の方々がさらに増えることは確かです。家族は益々疲弊していきます。本当に「明日はわが身」だと思います。家族だけでは、医師の力だけでは認知症の方を支えていけません。馴染んでいる地域で暮らすことができれば、どんなに力強いことか。
「自分ががわからなくなっても、地域の皆さん、私を知っているのですね。私がわからなくなっても私を助けてくれるのですね」そんな地域になれるように皆さん頑張りましょう。それには皆さんが認知症という病気を理解して対応の仕方を学び、本人の気持ちを知る努力をしていただければいいのです。「明日はわが身」「お互いさま」の精神こそが地域の底力の見せ所。社会貢献を目指して少しでもお役に立てればと思っています。

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2010年09月28日
アルツハイマー病者からみた世界・クリスティーンの本より
資料 2
アルツハイマー病者からみた世界
私は誰になっていくの
(クリスティーン・ボーデン著書より)
アルツハイマー病が患者よりその介護者にとって、さらにもっともつらいものであることを訴えた人であり、認知症本人の言葉から認知症の方に対する見方や捉え方が変わってきました。そして今色々な地域で本人の言葉で認知症のつらさ、思いが講演会などで語られています。私はこの本を読み大きな衝撃を受けました。今まで自分が取り組んでいる看護・介護はなんだったのか。ここから認知症の方に対する看護感が変わってきました。認知症本人の気持を理解しようと努めるるようになりました。
●私は患者の傍らにいてくださる方たちにも、私たちが上手くやっていけるように助けていただき、そして穏かで前向きの生活を送られるよう励ましたいのです。私たちが痴呆(認知症)であっても、たとえそのために理解しがたい行動をとったとしても、どうか価値ある人としての敬意をもって私たちに接してください。痴呆症(認知症)は他の病気と同じように一つの病気であることを私は知っている。痴呆症(認知症)も敬意を払われ、尊厳を保たれる価値ある人なのです。
●アルツハイマー病は、私たちの社会にある不治の病の中でも、最も理解されていないものの一つである。
●この病気は、その人がその人らしくあるものから多くを奪っていくが、もっと病気についてよく知ることによって、より早期に診断がなされ、患者やその家族たちが、この病気を理解し、うまく対処していけるように手助けできたらと望んでいる。
●患者の家族たちは、その奇妙で「変てこな」親族のことを恥ずかしく思いながちであり、この愚かしい行動をなぜ止められないのか理解できないでいる。
●なぜ、脳細胞の身体的故障を、体の他の部分の身体的故障以上に恥じるのか。私たちは正気を失っているのではなく、病気なのである。どうか私たちが尊厳を保てるように扱い、私たちのことを笑いものにしたり、恥じたりしないでほしいと思う。
●初期段階では、行動と生活のやり方を微妙に変化させるのだ。すべてのものにストレスを感じやすくなり、そのストレスそのものが病気を悪化させる。会話やおしゃべり、子どもの手遊び、流れている音楽、こういったものすべてがアルツハイマー病患者には、やっかいなものとなるが、それは脳が周囲の競合する音と光景を意味をなすように整理することが難しくなるせいだ。
●家族や親しい友人は、私たちの変な行動を恥ずかしく思ったり、異常な点に悩んだり、反社会的な傾向にいらだったりするようになるのだ。最初は患者の「大騒ぎ」にイライラすることは確かだろう。癌や心臓発作でも恥ずかしいと思わないのに、なぜ脳の中というだけで、ただ身体的におかされる病気をそんなに恥じるのだろうか。
●私たちのようなアルツハイマー病患者は、自分ではどうすることもできない。自分は何か悪い状態にあることは気づいているが、自分は誰であるかさえ分からず、あらゆる感情や自分を表現する能力を失っているように思える。私たちは得られる限りの援助や手助けを必要としている。どうか私たちを隠すのではなく、私たちを仲間に入れ、もう少しの間生きる喜びを味わわせてください。
●心の中はまるで爪を立てて絶壁に張り付いているように感じている。
●耳栓はにぎやかなショッピングセンターやその他、背景に雑音がある場所へ行くことになっている時とても役に立つ。
●今、私に何が必要かと聞かれるならば、病気のこの段階においてタウリンと頭の体操だと答えたい。それは私を機能させ続けているものであり、私の脳が機能するように立ち向かわせ続け、願わくば、病気の進行を遅らせるものである。そして、私を絶壁に張り付かせ続けている。
●私が逆上モードにならないように、もう一つ必要なことは猫である。猫達は私を落ち着かせ、多くのことを一度にしようとして走りまわらないようにしてくれるので、今では、私の重要な生活の一部になってきた。静かにただ座って猫達をなでながら何もしないでいることが、私に「脳の休憩時間」が与えられるのだ。
●アルツハイマー病患者がぼんやり見つめる理由は余り大きな刺激にさらされるために、かえって大事なポイントが分からなくなるせいかもしれない。視覚的であれ聴覚的であれ刺激が多すぎると、喜ばせようとしても全く逆効果になるのかもしれない。

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アルツハイマー病者からみた世界
私は誰になっていくの
(クリスティーン・ボーデン著書より)
アルツハイマー病が患者よりその介護者にとって、さらにもっともつらいものであることを訴えた人であり、認知症本人の言葉から認知症の方に対する見方や捉え方が変わってきました。そして今色々な地域で本人の言葉で認知症のつらさ、思いが講演会などで語られています。私はこの本を読み大きな衝撃を受けました。今まで自分が取り組んでいる看護・介護はなんだったのか。ここから認知症の方に対する看護感が変わってきました。認知症本人の気持を理解しようと努めるるようになりました。
●私は患者の傍らにいてくださる方たちにも、私たちが上手くやっていけるように助けていただき、そして穏かで前向きの生活を送られるよう励ましたいのです。私たちが痴呆(認知症)であっても、たとえそのために理解しがたい行動をとったとしても、どうか価値ある人としての敬意をもって私たちに接してください。痴呆症(認知症)は他の病気と同じように一つの病気であることを私は知っている。痴呆症(認知症)も敬意を払われ、尊厳を保たれる価値ある人なのです。
●アルツハイマー病は、私たちの社会にある不治の病の中でも、最も理解されていないものの一つである。
●この病気は、その人がその人らしくあるものから多くを奪っていくが、もっと病気についてよく知ることによって、より早期に診断がなされ、患者やその家族たちが、この病気を理解し、うまく対処していけるように手助けできたらと望んでいる。
●患者の家族たちは、その奇妙で「変てこな」親族のことを恥ずかしく思いながちであり、この愚かしい行動をなぜ止められないのか理解できないでいる。
●なぜ、脳細胞の身体的故障を、体の他の部分の身体的故障以上に恥じるのか。私たちは正気を失っているのではなく、病気なのである。どうか私たちが尊厳を保てるように扱い、私たちのことを笑いものにしたり、恥じたりしないでほしいと思う。
●初期段階では、行動と生活のやり方を微妙に変化させるのだ。すべてのものにストレスを感じやすくなり、そのストレスそのものが病気を悪化させる。会話やおしゃべり、子どもの手遊び、流れている音楽、こういったものすべてがアルツハイマー病患者には、やっかいなものとなるが、それは脳が周囲の競合する音と光景を意味をなすように整理することが難しくなるせいだ。
●家族や親しい友人は、私たちの変な行動を恥ずかしく思ったり、異常な点に悩んだり、反社会的な傾向にいらだったりするようになるのだ。最初は患者の「大騒ぎ」にイライラすることは確かだろう。癌や心臓発作でも恥ずかしいと思わないのに、なぜ脳の中というだけで、ただ身体的におかされる病気をそんなに恥じるのだろうか。
●私たちのようなアルツハイマー病患者は、自分ではどうすることもできない。自分は何か悪い状態にあることは気づいているが、自分は誰であるかさえ分からず、あらゆる感情や自分を表現する能力を失っているように思える。私たちは得られる限りの援助や手助けを必要としている。どうか私たちを隠すのではなく、私たちを仲間に入れ、もう少しの間生きる喜びを味わわせてください。
●心の中はまるで爪を立てて絶壁に張り付いているように感じている。
●耳栓はにぎやかなショッピングセンターやその他、背景に雑音がある場所へ行くことになっている時とても役に立つ。
●今、私に何が必要かと聞かれるならば、病気のこの段階においてタウリンと頭の体操だと答えたい。それは私を機能させ続けているものであり、私の脳が機能するように立ち向かわせ続け、願わくば、病気の進行を遅らせるものである。そして、私を絶壁に張り付かせ続けている。
●私が逆上モードにならないように、もう一つ必要なことは猫である。猫達は私を落ち着かせ、多くのことを一度にしようとして走りまわらないようにしてくれるので、今では、私の重要な生活の一部になってきた。静かにただ座って猫達をなでながら何もしないでいることが、私に「脳の休憩時間」が与えられるのだ。
●アルツハイマー病患者がぼんやり見つめる理由は余り大きな刺激にさらされるために、かえって大事なポイントが分からなくなるせいかもしれない。視覚的であれ聴覚的であれ刺激が多すぎると、喜ばせようとしても全く逆効果になるのかもしれない。

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2010年09月28日
松本一生先生が提唱する心理教育は家族の会が実践
資料 1
「認知症の人と家族の会」常任理事・松本一生先生が提唱する心理教育(心理教育的家族療法)は3つの効果が期待でき、今家族の会は実践しています。
①.介護の伝達で本人や家族の不安を軽減する効果
介護家族が認知症を病気であると理解せず、ただ熱心に介護しようとしていても上手くいきません。認知症の症状についての知識を得ることなく介護しようとしても、家族は不安にさらされることになります。家族が安心して介護することが、結局は本人の症状を安定させるのです。また本人にとっても、認知症が軽度で判断力が残っている場合には、病気を隠すのではなく適切な情報を提供するほうが治療成績の向上につながることがわかってきているのです。まさにこのことは介護職員に置き換えて考えることもできます。介護職の方は置き換えながら考えてみてください。
②.同じ立場の介護家族がお互いの心境を語り合うことによる癒しの効果
自分の体験を通して介護のつらさを語り合い、自分だけが苦しい状況にいるのではないと感じることが大きな力となります。介護家族の孤立感は決して専門家の説明を聞くだけで解消されることはありません。同じ立場にいるものとの自由な交流を通して共感を得ることで、日々の介護の困難な点を分かち合い、明日に希望をつなぐことが大事なのです。
③.介護技能の向上
自分だけで介護と向き合わず、周りからの助言や体験談を通して介護技術を向上させていく効果は、介護を容易にして余裕をもたらします。最初から介護技能の向上を目的にすると、真面目な介護家族は目標を高く揚げすぎて、達成に苦しむことが多々ありますが、心理教育による共感の中での情報は、知らず知らずのうちに介護者の介護技能を向上させていきます。後になって気がつけば、介護の技術や方法が上達しており、いつの間にか介護家族が楽になっているというさりげない変化ですが、日々続けられる介護の負担をかなり軽くすることができます。
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「認知症の人と家族の会」常任理事・松本一生先生が提唱する心理教育(心理教育的家族療法)は3つの効果が期待でき、今家族の会は実践しています。
①.介護の伝達で本人や家族の不安を軽減する効果
介護家族が認知症を病気であると理解せず、ただ熱心に介護しようとしていても上手くいきません。認知症の症状についての知識を得ることなく介護しようとしても、家族は不安にさらされることになります。家族が安心して介護することが、結局は本人の症状を安定させるのです。また本人にとっても、認知症が軽度で判断力が残っている場合には、病気を隠すのではなく適切な情報を提供するほうが治療成績の向上につながることがわかってきているのです。まさにこのことは介護職員に置き換えて考えることもできます。介護職の方は置き換えながら考えてみてください。
②.同じ立場の介護家族がお互いの心境を語り合うことによる癒しの効果
自分の体験を通して介護のつらさを語り合い、自分だけが苦しい状況にいるのではないと感じることが大きな力となります。介護家族の孤立感は決して専門家の説明を聞くだけで解消されることはありません。同じ立場にいるものとの自由な交流を通して共感を得ることで、日々の介護の困難な点を分かち合い、明日に希望をつなぐことが大事なのです。
③.介護技能の向上
自分だけで介護と向き合わず、周りからの助言や体験談を通して介護技術を向上させていく効果は、介護を容易にして余裕をもたらします。最初から介護技能の向上を目的にすると、真面目な介護家族は目標を高く揚げすぎて、達成に苦しむことが多々ありますが、心理教育による共感の中での情報は、知らず知らずのうちに介護者の介護技能を向上させていきます。後になって気がつけば、介護の技術や方法が上達しており、いつの間にか介護家族が楽になっているというさりげない変化ですが、日々続けられる介護の負担をかなり軽くすることができます。

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2010年09月22日
医師の目・人の目 認知症 第17.こだわりに説得は禁物
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート17
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
こだわりに説得は禁物
認知症の人には「一つのことにこだわり続け、説得されたり否定されたりすることは、こだわりを強めるだけである」という特徴があって、介護者は苦労している。そんなときの対応のコツは「場面を転換」。別のことに関心を向けさせて、認知症の症状を軽くする方法である。
夜中に寝ないで大きな声を出す人に対して、「真夜中だし、近所に迷惑になるから静かにしてください」と説得しても寝てくれない。それよりも「お父さんの大好きなおまんじゅうをあるので食べませんか。隣のおばさんが、今日お土産に持ってきてくれたの。美味しいうちに食べましょうよ」と上手に勧めて食べさせる。
その後で、「美味しいものを食べると眠くなるわね。私は休みますから、お父さんも寝てくださいね」というふうに話を持っていくと寝てくれることもある。「夜中に食べさせるなんて」と心配し遠慮することはない。目を覚ましているときは、本人にとっては昼間なのだから。
趣味や特技のない人に対して、食べ物は最終的な切り札でもある。本人の好きな食べ物を用意しておいたほうがよい時期がある。昔の思い出も場面の切り替えに有効だ。いなかの生活、会社での仕事、子育て、戦争体験のある人なら戦時中のこと。本人がいつも話していることがあれば、その話題を持ち出すのがよい。
ただし話始めると止まらなくなる場合もあることを覚悟する必要がある。趣味や本人が関心を持つことに対しては、場面転換しやすい。「お母さんの好きな歌を聞かせてください」「洗濯物をたたむのを手伝っていただけませんか。お願いします」というように話をもっていくと、「興奮やこだわりが一瞬消え、好きな歌を楽しそうに歌い、洗濯物をせっせとたたみ始めることもある。
普通の人であれば、関心を別に向けようとしても、「ごまかさないでよ」一蹴(いっしゅう)されてしまうだろうが、認知症の人はコロっと変わりやすいのでやりやすい。特別養護老人ホームに入所していた認知症の女性が、他の利用者のベッドにもぐりこんだり、職員にまつわりついて、落ち着かなかった。強い鎮静剤を処方したが、眠らず、よだれやふらつきなどの副作用が出てきた。
その女性がお絞りを上手にたたんでいるのを見かけたので、介護スタッフに、夜もその仕事をするよう依頼したらどうか勧めてみた。そのようにしたら問題が全くなくなった。

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公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
こだわりに説得は禁物
認知症の人には「一つのことにこだわり続け、説得されたり否定されたりすることは、こだわりを強めるだけである」という特徴があって、介護者は苦労している。そんなときの対応のコツは「場面を転換」。別のことに関心を向けさせて、認知症の症状を軽くする方法である。
夜中に寝ないで大きな声を出す人に対して、「真夜中だし、近所に迷惑になるから静かにしてください」と説得しても寝てくれない。それよりも「お父さんの大好きなおまんじゅうをあるので食べませんか。隣のおばさんが、今日お土産に持ってきてくれたの。美味しいうちに食べましょうよ」と上手に勧めて食べさせる。
その後で、「美味しいものを食べると眠くなるわね。私は休みますから、お父さんも寝てくださいね」というふうに話を持っていくと寝てくれることもある。「夜中に食べさせるなんて」と心配し遠慮することはない。目を覚ましているときは、本人にとっては昼間なのだから。
趣味や特技のない人に対して、食べ物は最終的な切り札でもある。本人の好きな食べ物を用意しておいたほうがよい時期がある。昔の思い出も場面の切り替えに有効だ。いなかの生活、会社での仕事、子育て、戦争体験のある人なら戦時中のこと。本人がいつも話していることがあれば、その話題を持ち出すのがよい。
ただし話始めると止まらなくなる場合もあることを覚悟する必要がある。趣味や本人が関心を持つことに対しては、場面転換しやすい。「お母さんの好きな歌を聞かせてください」「洗濯物をたたむのを手伝っていただけませんか。お願いします」というように話をもっていくと、「興奮やこだわりが一瞬消え、好きな歌を楽しそうに歌い、洗濯物をせっせとたたみ始めることもある。
普通の人であれば、関心を別に向けようとしても、「ごまかさないでよ」一蹴(いっしゅう)されてしまうだろうが、認知症の人はコロっと変わりやすいのでやりやすい。特別養護老人ホームに入所していた認知症の女性が、他の利用者のベッドにもぐりこんだり、職員にまつわりついて、落ち着かなかった。強い鎮静剤を処方したが、眠らず、よだれやふらつきなどの副作用が出てきた。
その女性がお絞りを上手にたたんでいるのを見かけたので、介護スタッフに、夜もその仕事をするよう依頼したらどうか勧めてみた。そのようにしたら問題が全くなくなった。

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2010年09月19日
長谷川嘉哉ドクターの認知症介護・介護力についてパート2
認知症の本
長谷川嘉哉(はせがわよしや)
1990年、名古屋市立大学医学部卒業。2000年認知症専門外来及び在宅医療のjっ船の為、岐阜県土岐市開業。祖母が認知症であった経験から、患者さんの個家族の立場に立った専門医療を提供している。来院される患者さんの中には、大学病院や地域の基幹病院へ受診されている方も多い。現在半径100km県内から患者さんが集まる。、不思議な診療所である。自宅医療では開業以来10,000件以上の訪問診療、200人以上の在宅見取りを実践している。現在医療法人ブレイングループ理事長として、在宅生活を医療介護福祉のあらゆる分野で支えるサービスを展開している。
認知症介護 パート2
1.介護力とは
■家族の問題
第1条件として患者さんの配偶者が健在かということが大事なポイントです。いくらお子さんがいるといっても、介護の場面においては、配偶者の存在はかなり重要な位置を占めることは間違いありません。配偶者が別の病気を患っている場合は、現実的にかなり難しいものがあるといわざるを得ません。
次にそのお子さんや配偶者の状況です。最近は、介護休暇が認められる企業も増えましたから、それを含めて考えておく必要があります。また、孫が生まれたばかりであるとか、受験を控えているなどの状況も考え入れておく必要があるでしょう。
■お金の問題
この世は経済社会ですから、気持ちがあっても金銭的に無理が生じる場合があります。仮に世帯主(例えば患者さんの息子さん)が介護休暇を申請する場合、、毎月いくらいくらの収入が保証されるのか、また、世帯主(例えば息子さんの奥さん)がパートをやめなければいけない場合、それに伴う収入の減少はどのくらいかなどについても、把握しておく必要があるでしょう。それに加えて、介護認定を受けて介護サービスを受けるための費用なども、ある程度知っておく必要があると思います。
ちなみに、2006年頃までは、比較的お金持ちの家庭が、在宅診療を選択する傾向がありました。それが2009年になると、金銭的に施設を利用できない家庭が、半ば仕方なく家で看ているような傾向が顕著になってきています。これも不景気の影響ということでしょうか・・・。いや、それだけでは片付けられない問題の根深さを感じずにはいられません。
■場所の問題
自宅で介護するにはそれなりのスペースが必要です。都会暮らしの方に比べて、地方都市では広い家に住んでおられる方も多いですが、広い日本家屋が介護に向いているかというと、これが意外にそうでもないのです。まず、要介護状態になった方、布団に寝かせると寝起きが大変なので、なるべくベッドを使うことになりますが、日本家屋には洋間がありませんから、畳の上にベッドを置くことになります。
それはいいとしても、旧式の日本家屋は寒い。窓が二重サッシにでもなっていればまだしも、木造建築に隙間風はつき物です。この風通しのよさが家屋が長持ちする秘訣でもあったわけですが・・・。おまけに日本間には欄間があったりしますよね。あそこからまた風が入るんです。家主のこだわりと匠の技も、介護という観点から判断すると、ただのやっかいものということになってしまいます。
以上大まかな判断基準をあげてきましたが、実際問題として、あなたのご家庭の「介護力」どのくらいおありでしょうか、是非一度冷静に判断してみてください。いくらご両親を大切にしたい、もしくはご自分自身も最期は自宅で迎えたいと望んでも、「介護力」がなければ、それは決して可能になれません。
もちろん医師や介護サービスを含めた「社会の力」もどんどん活用すべきであり、社会的な整備も少しずつ整ってきています。しかし、日本はすでに2007年に超高齢社会にと突入しており、今後私たちの日本が真剣に向き合い、力を合わせて超えていかなければならない大きな壁であることは間違いないのです。
次回は介護力のチェックリストを載せていきます
<ホーム長のつぶやき>
長谷川先生のおっしゃるように早くから計画を立てておく必要があります。もし、自分が要介護状態になったとき自宅で過ごすためには、何が欠け何を補えば在宅介護ができるか、ということを考えなければなりません。例えば、家を新築する場合、これからの介護を視野に入れて設計するとよいでしょう。高台にあり何段も階段を昇らなければ玄関にたどりつけない場合、移動用のリフトの取り付けなど、介護保険の住宅改修を考慮に入れなければなりません。
次回は介護力のチェックリスト取り上げますが、2人3脚の例題をあげ考えてみましょう。小規模多機能型居宅介護をご利用されているN 様。中等度のアルツハイマー病のお方です。あるときよく転ぶようになったのです。自宅の玄関前をホウキで掃いているとき転倒して起き上がれず、うずくまっていたり、コタツから出るときつまづいたり、トイレのから出るときつまづき、ベンキの横にはまり動けなくなったりするようになってきました。「まず、整形外科に行って診てもらいます」とご家族はおっしゃったのですが、まずは近医で風邪などの症状がないか診てもらってください、とお願いしました。
その結果、軽度の風邪と診断され風邪薬を服用していましたがいっこうに良くなりません。熱発もするようになりサチュレーション(酸素を吸う力)も低下気味、2人3脚にお泊り時、医療連携をしていただいている高木先生に往診を依頼すると肺炎に罹っていました。かかりりつけの病院に入院して治療をするか、医師のほうから家族に伝えられましたが、24時間付き添う介護は難しいとの返事。そのとき先生は、2人3脚で治療しましょう!と、おっしゃられ、全面的に高木先生がフォローすることになったのです。
長期の泊まりで在宅酸素療法を取り入れ、抗生剤の点滴で改善されました。しかしすぐに家に帰っても自宅は隙間風が多く無理とのことで3週間ほど2人3脚で過ごされ改善され、自宅に戻られました。いつものパターンで2泊3日の泊まりを利用しながら在宅介護をされています。また、今年の6月に大幅なリフォームが行なわれました。混乱するといけないのでと、1ヶ月の長期の泊まりを入れリホームが終了しました。過ごしやすい家屋となり最初は混乱しましたが今では、安全に家族の愛情に支えられ生活しています。
ポイント
●高齢者は(現在91歳)肺炎の症状が現れにくい。微熱は要注意。軽い風邪でもレントゲン検査は必要
●普段おこさない転倒は病気のシグナルであるととらえること
●認知症の方が入院治療をするときは身体拘束を余儀なくされること(点滴抜去予防のため)
●入院するとADL(日常生活動作)が低下してしまう。1週間寝たきりになると筋力が元に戻るのに一カ月はかかる
●自覚症状を訴えることができません!
よって小規模多機能で過ごされたことで認知症であっても混乱なく肺炎の治療ができたこと。また、顔なじみの利用者やスタッフに見守られ家族に替わって愛情を注ぐことができたことでした。いつまでもお元気でM様らしく生活できていることを嬉しく思っています。寄り添える介護を目指して今後もご支援させていただきます。

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長谷川嘉哉(はせがわよしや)
1990年、名古屋市立大学医学部卒業。2000年認知症専門外来及び在宅医療のjっ船の為、岐阜県土岐市開業。祖母が認知症であった経験から、患者さんの個家族の立場に立った専門医療を提供している。来院される患者さんの中には、大学病院や地域の基幹病院へ受診されている方も多い。現在半径100km県内から患者さんが集まる。、不思議な診療所である。自宅医療では開業以来10,000件以上の訪問診療、200人以上の在宅見取りを実践している。現在医療法人ブレイングループ理事長として、在宅生活を医療介護福祉のあらゆる分野で支えるサービスを展開している。
認知症介護 パート2
1.介護力とは
■家族の問題
第1条件として患者さんの配偶者が健在かということが大事なポイントです。いくらお子さんがいるといっても、介護の場面においては、配偶者の存在はかなり重要な位置を占めることは間違いありません。配偶者が別の病気を患っている場合は、現実的にかなり難しいものがあるといわざるを得ません。
次にそのお子さんや配偶者の状況です。最近は、介護休暇が認められる企業も増えましたから、それを含めて考えておく必要があります。また、孫が生まれたばかりであるとか、受験を控えているなどの状況も考え入れておく必要があるでしょう。
■お金の問題
この世は経済社会ですから、気持ちがあっても金銭的に無理が生じる場合があります。仮に世帯主(例えば患者さんの息子さん)が介護休暇を申請する場合、、毎月いくらいくらの収入が保証されるのか、また、世帯主(例えば息子さんの奥さん)がパートをやめなければいけない場合、それに伴う収入の減少はどのくらいかなどについても、把握しておく必要があるでしょう。それに加えて、介護認定を受けて介護サービスを受けるための費用なども、ある程度知っておく必要があると思います。
ちなみに、2006年頃までは、比較的お金持ちの家庭が、在宅診療を選択する傾向がありました。それが2009年になると、金銭的に施設を利用できない家庭が、半ば仕方なく家で看ているような傾向が顕著になってきています。これも不景気の影響ということでしょうか・・・。いや、それだけでは片付けられない問題の根深さを感じずにはいられません。
■場所の問題
自宅で介護するにはそれなりのスペースが必要です。都会暮らしの方に比べて、地方都市では広い家に住んでおられる方も多いですが、広い日本家屋が介護に向いているかというと、これが意外にそうでもないのです。まず、要介護状態になった方、布団に寝かせると寝起きが大変なので、なるべくベッドを使うことになりますが、日本家屋には洋間がありませんから、畳の上にベッドを置くことになります。
それはいいとしても、旧式の日本家屋は寒い。窓が二重サッシにでもなっていればまだしも、木造建築に隙間風はつき物です。この風通しのよさが家屋が長持ちする秘訣でもあったわけですが・・・。おまけに日本間には欄間があったりしますよね。あそこからまた風が入るんです。家主のこだわりと匠の技も、介護という観点から判断すると、ただのやっかいものということになってしまいます。
以上大まかな判断基準をあげてきましたが、実際問題として、あなたのご家庭の「介護力」どのくらいおありでしょうか、是非一度冷静に判断してみてください。いくらご両親を大切にしたい、もしくはご自分自身も最期は自宅で迎えたいと望んでも、「介護力」がなければ、それは決して可能になれません。
もちろん医師や介護サービスを含めた「社会の力」もどんどん活用すべきであり、社会的な整備も少しずつ整ってきています。しかし、日本はすでに2007年に超高齢社会にと突入しており、今後私たちの日本が真剣に向き合い、力を合わせて超えていかなければならない大きな壁であることは間違いないのです。
次回は介護力のチェックリストを載せていきます
<ホーム長のつぶやき>
長谷川先生のおっしゃるように早くから計画を立てておく必要があります。もし、自分が要介護状態になったとき自宅で過ごすためには、何が欠け何を補えば在宅介護ができるか、ということを考えなければなりません。例えば、家を新築する場合、これからの介護を視野に入れて設計するとよいでしょう。高台にあり何段も階段を昇らなければ玄関にたどりつけない場合、移動用のリフトの取り付けなど、介護保険の住宅改修を考慮に入れなければなりません。
次回は介護力のチェックリスト取り上げますが、2人3脚の例題をあげ考えてみましょう。小規模多機能型居宅介護をご利用されているN 様。中等度のアルツハイマー病のお方です。あるときよく転ぶようになったのです。自宅の玄関前をホウキで掃いているとき転倒して起き上がれず、うずくまっていたり、コタツから出るときつまづいたり、トイレのから出るときつまづき、ベンキの横にはまり動けなくなったりするようになってきました。「まず、整形外科に行って診てもらいます」とご家族はおっしゃったのですが、まずは近医で風邪などの症状がないか診てもらってください、とお願いしました。
その結果、軽度の風邪と診断され風邪薬を服用していましたがいっこうに良くなりません。熱発もするようになりサチュレーション(酸素を吸う力)も低下気味、2人3脚にお泊り時、医療連携をしていただいている高木先生に往診を依頼すると肺炎に罹っていました。かかりりつけの病院に入院して治療をするか、医師のほうから家族に伝えられましたが、24時間付き添う介護は難しいとの返事。そのとき先生は、2人3脚で治療しましょう!と、おっしゃられ、全面的に高木先生がフォローすることになったのです。
長期の泊まりで在宅酸素療法を取り入れ、抗生剤の点滴で改善されました。しかしすぐに家に帰っても自宅は隙間風が多く無理とのことで3週間ほど2人3脚で過ごされ改善され、自宅に戻られました。いつものパターンで2泊3日の泊まりを利用しながら在宅介護をされています。また、今年の6月に大幅なリフォームが行なわれました。混乱するといけないのでと、1ヶ月の長期の泊まりを入れリホームが終了しました。過ごしやすい家屋となり最初は混乱しましたが今では、安全に家族の愛情に支えられ生活しています。
ポイント
●高齢者は(現在91歳)肺炎の症状が現れにくい。微熱は要注意。軽い風邪でもレントゲン検査は必要
●普段おこさない転倒は病気のシグナルであるととらえること
●認知症の方が入院治療をするときは身体拘束を余儀なくされること(点滴抜去予防のため)
●入院するとADL(日常生活動作)が低下してしまう。1週間寝たきりになると筋力が元に戻るのに一カ月はかかる
●自覚症状を訴えることができません!
よって小規模多機能で過ごされたことで認知症であっても混乱なく肺炎の治療ができたこと。また、顔なじみの利用者やスタッフに見守られ家族に替わって愛情を注ぐことができたことでした。いつまでもお元気でM様らしく生活できていることを嬉しく思っています。寄り添える介護を目指して今後もご支援させていただきます。

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2010年09月17日
長谷川嘉哉ドクターの認知症介護・介護力についてパート1
認知症の本
長谷川嘉哉(はせがわよしや)
1990年、名古屋市立大学医学部卒業。2000年認知症専門外来及び在宅医療のjっ船の為、岐阜県土岐市開業。祖母が認知症であった経験から、患者さんの個家族の立場に立った専門医療を提供している。来院される患者さんの中には、大学病院や地域の基幹病院へ受診されている方も多い。現在半径100km県内から患者さんが集まる。、不思議な診療所である。自宅医療では開業以来10,000件以上の訪問診療、200人以上の在宅見取りを実践している。現在医療法人ブレイングループ理事長として、在宅生活を医療介護福祉のあらゆる分野で支えるサービスを展開している。
認知症介護 パート1
1.介護力とは
認知症介護の問題にふれたいと思います。本書のサブテーマでもある「幸せの介護」を考える上で、外せない問題です。幸せな介護を真剣に考えていくと、どうしても「最後は自宅で愛する家族に看取られながら・・・」というふうに思えてくるものです。
現在、在宅で亡くなる人は、認知症の方ばかりでなく、50歳代の悪性腫瘍の方から、90歳代の大往生の方まで多岐にわたります。老衰は別としても、病気の種類や病状は人それぞれですが、ご自宅に戻ると入院時より、状態が改善されるのは、皆さんに共通した現象です。それをみるにつけ在宅の力を痛感します。
しかし在宅医療、そして在宅死を実現することは、医師の力だけではとても不可能です。訪問看護師、介護支援専門員を中心とする在宅サービスの連携は勿論ですが、受け入れ側のご家族の覚悟と協力なしには、決して行えるものではありません。もし、ご自分(もしくは配偶者)のご両親が要介護状態になられたとき、あなたはご自宅で介護できるでしょうか。?このご自宅で介護できる能力を「介護力」と名付けたいと思います。
そしてご両親の人生を最良のものにするためにも、是非そうならないうちから、この家族全員がこの介護力についてよく理解し、準備を進めて欲しいと思っています。では、介護力とはいかなるものかを定義していきたいと思いますが、その判断基準は以下の3つということになります。
①.家族の問題 ②.お金の問題 ③.場所の問題
次回この続きをブログアップしていきます。
<ホーム長のつぶやき>
病院での看護師時代は病院で看取ることがあたりまえと思っていました。しかし、介護の仕事を立ち上げて多くの方を看取ってきました。病院ではなく、グループホームや在宅、小規模多機能型居宅介護のお部屋で看取りに立会い、その人らしく尊厳を保ちながら、最後を迎える事ができていることが最高の幸せであります。ご家族が望まれる看取りが、病院ではなく地域密着型の施設や自宅に移行しつつあります。それにはご家族の理解や医療連携が図られていないと実現はできません。選択肢は自由です。「最後の終の棲家が2人3脚」と選択していただける様にスタッフ一同「寄り添える介護」をめざしています。
F様の看取りに立ち会えてよかった
↑
ここをクリックするとブログ記事を見ることができます(2009.11.19永眠)

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長谷川嘉哉(はせがわよしや)
1990年、名古屋市立大学医学部卒業。2000年認知症専門外来及び在宅医療のjっ船の為、岐阜県土岐市開業。祖母が認知症であった経験から、患者さんの個家族の立場に立った専門医療を提供している。来院される患者さんの中には、大学病院や地域の基幹病院へ受診されている方も多い。現在半径100km県内から患者さんが集まる。、不思議な診療所である。自宅医療では開業以来10,000件以上の訪問診療、200人以上の在宅見取りを実践している。現在医療法人ブレイングループ理事長として、在宅生活を医療介護福祉のあらゆる分野で支えるサービスを展開している。
認知症介護 パート1
1.介護力とは
認知症介護の問題にふれたいと思います。本書のサブテーマでもある「幸せの介護」を考える上で、外せない問題です。幸せな介護を真剣に考えていくと、どうしても「最後は自宅で愛する家族に看取られながら・・・」というふうに思えてくるものです。
現在、在宅で亡くなる人は、認知症の方ばかりでなく、50歳代の悪性腫瘍の方から、90歳代の大往生の方まで多岐にわたります。老衰は別としても、病気の種類や病状は人それぞれですが、ご自宅に戻ると入院時より、状態が改善されるのは、皆さんに共通した現象です。それをみるにつけ在宅の力を痛感します。
しかし在宅医療、そして在宅死を実現することは、医師の力だけではとても不可能です。訪問看護師、介護支援専門員を中心とする在宅サービスの連携は勿論ですが、受け入れ側のご家族の覚悟と協力なしには、決して行えるものではありません。もし、ご自分(もしくは配偶者)のご両親が要介護状態になられたとき、あなたはご自宅で介護できるでしょうか。?このご自宅で介護できる能力を「介護力」と名付けたいと思います。
そしてご両親の人生を最良のものにするためにも、是非そうならないうちから、この家族全員がこの介護力についてよく理解し、準備を進めて欲しいと思っています。では、介護力とはいかなるものかを定義していきたいと思いますが、その判断基準は以下の3つということになります。
①.家族の問題 ②.お金の問題 ③.場所の問題
次回この続きをブログアップしていきます。
<ホーム長のつぶやき>
病院での看護師時代は病院で看取ることがあたりまえと思っていました。しかし、介護の仕事を立ち上げて多くの方を看取ってきました。病院ではなく、グループホームや在宅、小規模多機能型居宅介護のお部屋で看取りに立会い、その人らしく尊厳を保ちながら、最後を迎える事ができていることが最高の幸せであります。ご家族が望まれる看取りが、病院ではなく地域密着型の施設や自宅に移行しつつあります。それにはご家族の理解や医療連携が図られていないと実現はできません。選択肢は自由です。「最後の終の棲家が2人3脚」と選択していただける様にスタッフ一同「寄り添える介護」をめざしています。
F様の看取りに立ち会えてよかった
↑
ここをクリックするとブログ記事を見ることができます(2009.11.19永眠)

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2010年09月16日
「家族の会」認知症新時代を招き寄せた軌跡と希望・パート6
認知症新時代を招きよせた
軌跡と希望
(認知症の人と家族の会代表理事 高見国生氏)
周りの人たちから見た「家族の会」
5回にわたり現在の「家族の会」を作り上げた30年間を見てきましたが、いささか我田引水的なところもあったかもしれません。そこで、最終回の今回は、6月の30周年記念式典に寄せられた100名を超える皆さんのメッセージから、周りの人たちが「家族の会」のこれまでの活動や存在意義をどのように見てくれているのかを紹介しましょう。いわば外部から見た客観的な「家族の会」です。
●先進的な活動に心強さ
30年間の活動について、多くの方から称賛の言葉を頂きました。(以下敬称略)。
《「家族の会」の深まりや広がりがまさに一灯照隅の如く日本の社会に与えた多くの教示に今更ながら感謝致します》(宮城県いずみの杜診療所、山崎英樹)
《貴会の先見的な活動が日本の政策を確実に変えてくださることに心強さを憶えます》(山梨県・元県相談センター、水口利美)
《認知症の診療やケアの世界において「家族の会」が果たしてこられた役割や業績は目を見張るものがあり・・・》(滋賀県・成人病センター、松田実)
11月の全国研修会で基調講演を行っていただく、浅野弘毅東北福祉大学教授は、《長い道のりでしたが、、皆様のご努力に敬意を表します》と。「過分なお言葉を・・・」と思いながらも、私たちのこれまでの努力が果たしてきた社会的役割に、改めて自信を持つことができます。
●「家族の会」の提言に励まされ・・・
ご自身のことと結ぶ付けてのメッセージを寄せていただいた方もありました。
《NPOの介護事業者として「家族の会」の提言に励まされ、背筋を伸ばされています》(埼玉県暮らしネットえん・小島美里)
《30年長い間、よく、この会を存続させ、盛り上げてくださいましたことを感謝致します。私も、10年近くは家族介護者としての参加もさせていただきました》(大阪府・平成福祉会、小林敏子)
《他界しました雨宮がおりましたら、さぞかし喜びは大きかったことと存じます。この30年間でやっと「認知症の人と家族の会」が社会の中で生活できつつある基盤ができてきました。「家族の会」の大きな力を感じます》(大分県・総合ケアセンター泰生の里、雨宮洋子)
家族と専門職と事業所は決して対立するものでないことを思い知ります。「他界した雨宮さんとは、大分県支部結成時から、協力を頂いていた雨宮勝彦意医師です。2004年の国際会議開催の組織委員として準備にあたっていただいている中に急逝されました。その遺志は妻洋子さんが引き継いでおられます。
●「家族の会」と出会い、家族は成長する
「家族の会」の存在意義を述べていただいたメッセージもありました。
《介護している家族の安心感は、「家族の会」の存在そのものです。「家族の会」との出会いで介護者は人として成長されています》(埼玉県・NPO生活介護ネットワーク、西村美千代)
《高齢者ばかりでなく若年者にもご配慮いただき、、まことに貴重な御活動です》(三重県・三重大学病院、成田有吾)
認知症の方々とそこに関わる方々の頼れる柱であり、、胸の中を語り合う優しい居場所でもありました》(京都府・グループホームつね、中村都子)
本人と家族の励ましあい助けあいは、結成以来の「家族の会」の原点の活動です。そのことを皆さんがしっかり見ていただいていることをうれしく思います。どんなに社会的な対策が充実したとしても、「家族の会」の必要性はなくなることはありません。
●さらなる努力が必要です
「家族の会」の更なる発展と活動に期待するメッセージもありました。
≪患者、家族の皆様の願いが一日も早く叶うことを願っております≫(青森県・弘前大学教授、東海林幹夫)
≪かなりの成果がありましたが、更なる努力が必要です。40周年に向け更なる全身をしましょう≫(京都府・医師、村井淳志)
≪今後ますます貴会の買う津堂が重要になってきます。私ども医療者も認知症のの人のよきパートナーとなるよう努めたいと思います≫(奈良県・秋津鴻池病院、飛来基陽)
30周年式典に100名を越す来賓が出席していただいたのに加え、青森から鹿児島まで100通を越すメッセージを頂きました。これだけ多くの方々とつながっていることこそ、30年の財産でしょう。そしてそれは、全国の支部がそらぞれの地域で「家族の会の理念」を上げ、ひたすら認知症の人と家族の幸せだけを求めて歩んできたからこそ、得られた財産です。
つどいも会報も相談も、アルツハイマデーの行動も、国際交流も、要望や提言を出すこともすべての「家族の会」の活動の目的は認知症の人と家族の幸せです。そしてそのことはすべての国民にもつながります。村井先生に、「40周年に向け更なる全身を」と発破を掛けられました。仲間とともに、そして多くの協力者とともに、認知症新時代をさらに進めるために、これからも歩み続けましょう。 (おわり)
<ホーム長のつぶやき>
「家族の会」に入ったのは正看護師になるため看護学校を卒業してまもなくの頃です。病棟の看護主任になった頃です。家族の思いを知らなければ良い看護・介護はできないと思い「家族の会」に入りました。その後も看護師の視点でアドバイスをさせて頂いています。そして色々な方々との出会いで私自身も大きく変わってきました。介護施設を立ち上げようと思ったのも家族の会の仲間が大きな支えとなりました。
「家族の会」の活動は私に勇気と希望を与えてくれました。いま、微力ながらも静岡県支部の世話人としてお手伝いをさせていただいています。いま、私の目標は社会貢献です。いま、書いているブログもそうです。多くの方に家族の会の活動を知っていただきたい。多くの方が福祉に興味を持っていただき、国の政策を変えて頂きたい。そんな思いで始めたブログです。ちょうど1年半が経ちました。私ができることをコツコツと私なりに書き続けていこうと思います。家族の会に入って本当に良かった!

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軌跡と希望
(認知症の人と家族の会代表理事 高見国生氏)
周りの人たちから見た「家族の会」
5回にわたり現在の「家族の会」を作り上げた30年間を見てきましたが、いささか我田引水的なところもあったかもしれません。そこで、最終回の今回は、6月の30周年記念式典に寄せられた100名を超える皆さんのメッセージから、周りの人たちが「家族の会」のこれまでの活動や存在意義をどのように見てくれているのかを紹介しましょう。いわば外部から見た客観的な「家族の会」です。
●先進的な活動に心強さ
30年間の活動について、多くの方から称賛の言葉を頂きました。(以下敬称略)。
《「家族の会」の深まりや広がりがまさに一灯照隅の如く日本の社会に与えた多くの教示に今更ながら感謝致します》(宮城県いずみの杜診療所、山崎英樹)
《貴会の先見的な活動が日本の政策を確実に変えてくださることに心強さを憶えます》(山梨県・元県相談センター、水口利美)
《認知症の診療やケアの世界において「家族の会」が果たしてこられた役割や業績は目を見張るものがあり・・・》(滋賀県・成人病センター、松田実)
11月の全国研修会で基調講演を行っていただく、浅野弘毅東北福祉大学教授は、《長い道のりでしたが、、皆様のご努力に敬意を表します》と。「過分なお言葉を・・・」と思いながらも、私たちのこれまでの努力が果たしてきた社会的役割に、改めて自信を持つことができます。
●「家族の会」の提言に励まされ・・・
ご自身のことと結ぶ付けてのメッセージを寄せていただいた方もありました。
《NPOの介護事業者として「家族の会」の提言に励まされ、背筋を伸ばされています》(埼玉県暮らしネットえん・小島美里)
《30年長い間、よく、この会を存続させ、盛り上げてくださいましたことを感謝致します。私も、10年近くは家族介護者としての参加もさせていただきました》(大阪府・平成福祉会、小林敏子)
《他界しました雨宮がおりましたら、さぞかし喜びは大きかったことと存じます。この30年間でやっと「認知症の人と家族の会」が社会の中で生活できつつある基盤ができてきました。「家族の会」の大きな力を感じます》(大分県・総合ケアセンター泰生の里、雨宮洋子)
家族と専門職と事業所は決して対立するものでないことを思い知ります。「他界した雨宮さんとは、大分県支部結成時から、協力を頂いていた雨宮勝彦意医師です。2004年の国際会議開催の組織委員として準備にあたっていただいている中に急逝されました。その遺志は妻洋子さんが引き継いでおられます。
●「家族の会」と出会い、家族は成長する
「家族の会」の存在意義を述べていただいたメッセージもありました。
《介護している家族の安心感は、「家族の会」の存在そのものです。「家族の会」との出会いで介護者は人として成長されています》(埼玉県・NPO生活介護ネットワーク、西村美千代)
《高齢者ばかりでなく若年者にもご配慮いただき、、まことに貴重な御活動です》(三重県・三重大学病院、成田有吾)
認知症の方々とそこに関わる方々の頼れる柱であり、、胸の中を語り合う優しい居場所でもありました》(京都府・グループホームつね、中村都子)
本人と家族の励ましあい助けあいは、結成以来の「家族の会」の原点の活動です。そのことを皆さんがしっかり見ていただいていることをうれしく思います。どんなに社会的な対策が充実したとしても、「家族の会」の必要性はなくなることはありません。
●さらなる努力が必要です
「家族の会」の更なる発展と活動に期待するメッセージもありました。
≪患者、家族の皆様の願いが一日も早く叶うことを願っております≫(青森県・弘前大学教授、東海林幹夫)
≪かなりの成果がありましたが、更なる努力が必要です。40周年に向け更なる全身をしましょう≫(京都府・医師、村井淳志)
≪今後ますます貴会の買う津堂が重要になってきます。私ども医療者も認知症のの人のよきパートナーとなるよう努めたいと思います≫(奈良県・秋津鴻池病院、飛来基陽)
30周年式典に100名を越す来賓が出席していただいたのに加え、青森から鹿児島まで100通を越すメッセージを頂きました。これだけ多くの方々とつながっていることこそ、30年の財産でしょう。そしてそれは、全国の支部がそらぞれの地域で「家族の会の理念」を上げ、ひたすら認知症の人と家族の幸せだけを求めて歩んできたからこそ、得られた財産です。
つどいも会報も相談も、アルツハイマデーの行動も、国際交流も、要望や提言を出すこともすべての「家族の会」の活動の目的は認知症の人と家族の幸せです。そしてそのことはすべての国民にもつながります。村井先生に、「40周年に向け更なる全身を」と発破を掛けられました。仲間とともに、そして多くの協力者とともに、認知症新時代をさらに進めるために、これからも歩み続けましょう。 (おわり)
<ホーム長のつぶやき>
「家族の会」に入ったのは正看護師になるため看護学校を卒業してまもなくの頃です。病棟の看護主任になった頃です。家族の思いを知らなければ良い看護・介護はできないと思い「家族の会」に入りました。その後も看護師の視点でアドバイスをさせて頂いています。そして色々な方々との出会いで私自身も大きく変わってきました。介護施設を立ち上げようと思ったのも家族の会の仲間が大きな支えとなりました。
「家族の会」の活動は私に勇気と希望を与えてくれました。いま、微力ながらも静岡県支部の世話人としてお手伝いをさせていただいています。いま、私の目標は社会貢献です。いま、書いているブログもそうです。多くの方に家族の会の活動を知っていただきたい。多くの方が福祉に興味を持っていただき、国の政策を変えて頂きたい。そんな思いで始めたブログです。ちょうど1年半が経ちました。私ができることをコツコツと私なりに書き続けていこうと思います。家族の会に入って本当に良かった!

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2010年09月11日
医師の目・人の目認知症 第16・第三者関与で無事解決
医師の目・人の目
「知ってますか?認知症 」パート13
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
第三者関与で無事解決
「洗面、洗髪、入浴を嫌がり、家族がどんなに説得しても聞き入れないのです」「大事な年金を使いこんでいるといって一日中私を非難します」など、認知症の人のこだわりに、家族では対応できない場合がある。このような場合には「第三者に登場してもらう」のがよい。「身近な人に激しい症状を示し、他人にはしっかりした言動をする」という認知症の特徴を応用するのだ。
家に閉じこもっていて、数ヶ月間入浴や洗髪をしない女性がいた。家族が「お風呂に入らないと病気になるよ」と勧めても入ろうとしないし、無理に入れようとすると大暴れする。家族から相談を受けて私が訪問診療することにした。しばらくすると私の訪問を心待ちするようになった。すると訪問診療の前日には、入浴して清潔な下着に着替え、さらに美容院にも行くようになった。
薬を処方したわけではないのに、見違えるような変化に家族は驚いた。高齢者律義な人が多い。身奇麗にして診察を受けなければならないと思っている。認知症になってもこの気持ちが働いて、診察の前に身奇麗にするという行動に結びついたのだろう。
認知症相談に28年間携わってきた。当初は入浴拒否の相談が多かったが、最近はずいぶん少なくなってきた。デイサービスや入浴サービスで、スタッフが関わることで、入浴する人が多くなったためであって、認知症の人が全員風呂好きになったのではないと思っている。
着物がひどく汚れているので、お嫁さんが新しい着物を買ってきて勧めても絶対に着替えようとしない人がいた。そこで実家に尋ねてきた娘に「お母さんに似合う着物を買ってきたので着てみてね、と勧めてもらったら、同じ着物を抵抗なく着て、以後も着続けたのだという。
「年金が無断で使われている」と思い込んでいる、認知症の人に対して、当事者である家族が通帳を見せながら「1円も引かれてないでしょう」と説明しても通じない。しかし、郵便局員や銀行員が「大丈夫ですよ」というと安心する。いわゆる社会的権威者や目上の人などの話は受け入れ安いので、そのような人物が登場する場面をつくることで、こだわりが軽くなるものだ。
認知症の人が今後激増するのは間違いないので、郵便局員も銀行員もおまわりさんや病院の先生も「認知症の人と上手に付き合うことも義務の一つ」と理解してほしい。

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「知ってますか?認知症 」パート13
公益法人認知症の人と家族の会・公益法人認知症の人と家族の会副代表
神奈川県支部代表・公益法人認知症グループホーム協会顧問
川崎幸(さいわい)病院 杉山孝博
共同通信社の配信で、下記の地方紙に平成21年4月以降1年間にわたって毎週連載されました。杉山先生の許可を得まして連載52回シリーズをお届けいたします。(高知、中国、埼玉、上毛、徳島、千葉、下野、佐賀、岐阜、新潟日報、山陰中央新報、山梨日日、宮崎日日、熊本日日中部経済、日本海、秋田魁新報、山形、愛媛、琉球などの新聞社から配信されました。
第三者関与で無事解決
「洗面、洗髪、入浴を嫌がり、家族がどんなに説得しても聞き入れないのです」「大事な年金を使いこんでいるといって一日中私を非難します」など、認知症の人のこだわりに、家族では対応できない場合がある。このような場合には「第三者に登場してもらう」のがよい。「身近な人に激しい症状を示し、他人にはしっかりした言動をする」という認知症の特徴を応用するのだ。
家に閉じこもっていて、数ヶ月間入浴や洗髪をしない女性がいた。家族が「お風呂に入らないと病気になるよ」と勧めても入ろうとしないし、無理に入れようとすると大暴れする。家族から相談を受けて私が訪問診療することにした。しばらくすると私の訪問を心待ちするようになった。すると訪問診療の前日には、入浴して清潔な下着に着替え、さらに美容院にも行くようになった。
薬を処方したわけではないのに、見違えるような変化に家族は驚いた。高齢者律義な人が多い。身奇麗にして診察を受けなければならないと思っている。認知症になってもこの気持ちが働いて、診察の前に身奇麗にするという行動に結びついたのだろう。
認知症相談に28年間携わってきた。当初は入浴拒否の相談が多かったが、最近はずいぶん少なくなってきた。デイサービスや入浴サービスで、スタッフが関わることで、入浴する人が多くなったためであって、認知症の人が全員風呂好きになったのではないと思っている。
着物がひどく汚れているので、お嫁さんが新しい着物を買ってきて勧めても絶対に着替えようとしない人がいた。そこで実家に尋ねてきた娘に「お母さんに似合う着物を買ってきたので着てみてね、と勧めてもらったら、同じ着物を抵抗なく着て、以後も着続けたのだという。
「年金が無断で使われている」と思い込んでいる、認知症の人に対して、当事者である家族が通帳を見せながら「1円も引かれてないでしょう」と説明しても通じない。しかし、郵便局員や銀行員が「大丈夫ですよ」というと安心する。いわゆる社会的権威者や目上の人などの話は受け入れ安いので、そのような人物が登場する場面をつくることで、こだわりが軽くなるものだ。
認知症の人が今後激増するのは間違いないので、郵便局員も銀行員もおまわりさんや病院の先生も「認知症の人と上手に付き合うことも義務の一つ」と理解してほしい。

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2010年09月09日
認知症介護・家族の接し方10か条第6条孤独にしない
家族の接し方 10か条
(ぼけ予防協会より) 第6条 孤独にしない
寝たきりや 孤独にしない 気づかいを
認知症老人の介護は老人のペースに合わせてできることを続けてもらうことが大切です。老人は人と接することが減少すると、刺激が減り、残存機能への働きかけが少なくなり、今まで出来たことも出来なくなることもあります。さらにすべてのことに関心が薄れ、意欲もなくなり衰えが進みます。
在宅介護中、問題行動に振り回されている時、認知症老人が危険がなく、静かに落ち着いていると、家族は安心して老人を一人にすることがあります。たまっている家事や雑事を片付けたり、一息ついたり介護者にとっても貴重な時間です。この時間が長く続くことを願ったり、嫁と義父母の間柄では、遠慮して声を掛けないことがあります。
しかしこのような時間帯が長く続くと居眠りする老人がいます。認知症老人にとって、昼は周囲の明るさや生活音が安心感となり、まどろむことが多くなります。それが昼夜逆転つながり介護者も悩ませることになります。中にはすべてがおっくうになり寝ていることが多く、心身ともに衰える人もいます。可能なら昼は散歩や買い物に誘ったり、介護保険の通所サービスを勧めます。外出できない老人のためには、簡単な家事の洗濯物畳、野菜のさやの筋取りなど、遊びの歌、昔話、アルバム、大きめのジグソーパズルなど、一緒に行動する工夫をしましょう。
しかし、熱心さの余り、認知症老人のできなくなったことを無理強いすることはストレスになります。逆に今までできていた身の回りのことなど、時間がかかるからと、介護者がすべてしてあげることが親切とは言えません。内容にもよりますが時間がかかっても、本人にしてもらうよう見守りが必要です。
認知症老人の生活暦、性格、ものの考え方などを知っている家族は、老人に合った働きかけもできると思います。すべてに不安のついてまわる認知症老人にとって家族の温かい気遣いが心の支えです。
<ホーム長のつぶやき>
●骨折などの入院で孤独になると
骨折などでベッド臥床を強いられると認知症が発症しやすくなります。その理由は脳への刺激がなくなるからです。私が看護学生時代(43歳で若い学生さんと一緒に勉強)自分が受け持った患者さんが病棟内で転倒し大腿骨頚部骨折で入院した。しばらくベッド臥床で足を滑車で牽引してから手術をします。家族は24時間付き添っているわけにもいかず、孤独の日々が続きました。
高齢でしたがとてもしっかりしていて、品格のある方でしたが認知症を発症。とってもショックだったことを思い出しました。「アーアー何も刺激がないとこんなにも早く認知症という病気になるのだー」とその時、初めて認知症という病気について実感したものでした。
また、もう一人の患者さんは大腿骨の手術は成功したのですが、入院中、術後まもなく足の血流障害から血液の塊が脳へ飛び脳梗塞を発症、片麻痺で私が勤めていた病院に戻ってきました。弾性ソックスをはいたり、弾性包帯を術後足に巻くのは梗塞の予防のためです。
●ある尼さんのお話から
高齢者がたくさんの刺激を受けることによって脳が萎縮していても認知症の症状が出ないことを証明した一例です。数学を修道女で教えていた先生は100歳で亡くなられました。解剖してみると脳が半分位まで萎縮していました。なぜ教べんを高齢になっても振るうことができたのか不思議です。多くの学者が興味を持ち研究を始めました。萎縮した小さくなった脳でも認知症の症状が出ず数学を教えられたのは死滅した脳細胞に替わって、違う場所で神経細胞同士が活発に働き、脳の機能を代行していたためだと思われます。
この例のように何か興味のあることを見つけて脳を刺激することが重要なポイントだと、うすうす理解できたのではないでしょうか。高齢者が自宅で役割もなくごろごろしていると一気にボケてしまいます。あえて興味を持ってもらえる役割りをつくって毎日実行することが大切です。そして孤独にさせないことが重要です。
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(ぼけ予防協会より) 第6条 孤独にしない
寝たきりや 孤独にしない 気づかいを
認知症老人の介護は老人のペースに合わせてできることを続けてもらうことが大切です。老人は人と接することが減少すると、刺激が減り、残存機能への働きかけが少なくなり、今まで出来たことも出来なくなることもあります。さらにすべてのことに関心が薄れ、意欲もなくなり衰えが進みます。
在宅介護中、問題行動に振り回されている時、認知症老人が危険がなく、静かに落ち着いていると、家族は安心して老人を一人にすることがあります。たまっている家事や雑事を片付けたり、一息ついたり介護者にとっても貴重な時間です。この時間が長く続くことを願ったり、嫁と義父母の間柄では、遠慮して声を掛けないことがあります。
しかしこのような時間帯が長く続くと居眠りする老人がいます。認知症老人にとって、昼は周囲の明るさや生活音が安心感となり、まどろむことが多くなります。それが昼夜逆転つながり介護者も悩ませることになります。中にはすべてがおっくうになり寝ていることが多く、心身ともに衰える人もいます。可能なら昼は散歩や買い物に誘ったり、介護保険の通所サービスを勧めます。外出できない老人のためには、簡単な家事の洗濯物畳、野菜のさやの筋取りなど、遊びの歌、昔話、アルバム、大きめのジグソーパズルなど、一緒に行動する工夫をしましょう。
しかし、熱心さの余り、認知症老人のできなくなったことを無理強いすることはストレスになります。逆に今までできていた身の回りのことなど、時間がかかるからと、介護者がすべてしてあげることが親切とは言えません。内容にもよりますが時間がかかっても、本人にしてもらうよう見守りが必要です。
認知症老人の生活暦、性格、ものの考え方などを知っている家族は、老人に合った働きかけもできると思います。すべてに不安のついてまわる認知症老人にとって家族の温かい気遣いが心の支えです。
<ホーム長のつぶやき>
●骨折などの入院で孤独になると
骨折などでベッド臥床を強いられると認知症が発症しやすくなります。その理由は脳への刺激がなくなるからです。私が看護学生時代(43歳で若い学生さんと一緒に勉強)自分が受け持った患者さんが病棟内で転倒し大腿骨頚部骨折で入院した。しばらくベッド臥床で足を滑車で牽引してから手術をします。家族は24時間付き添っているわけにもいかず、孤独の日々が続きました。
高齢でしたがとてもしっかりしていて、品格のある方でしたが認知症を発症。とってもショックだったことを思い出しました。「アーアー何も刺激がないとこんなにも早く認知症という病気になるのだー」とその時、初めて認知症という病気について実感したものでした。
また、もう一人の患者さんは大腿骨の手術は成功したのですが、入院中、術後まもなく足の血流障害から血液の塊が脳へ飛び脳梗塞を発症、片麻痺で私が勤めていた病院に戻ってきました。弾性ソックスをはいたり、弾性包帯を術後足に巻くのは梗塞の予防のためです。
●ある尼さんのお話から
高齢者がたくさんの刺激を受けることによって脳が萎縮していても認知症の症状が出ないことを証明した一例です。数学を修道女で教えていた先生は100歳で亡くなられました。解剖してみると脳が半分位まで萎縮していました。なぜ教べんを高齢になっても振るうことができたのか不思議です。多くの学者が興味を持ち研究を始めました。萎縮した小さくなった脳でも認知症の症状が出ず数学を教えられたのは死滅した脳細胞に替わって、違う場所で神経細胞同士が活発に働き、脳の機能を代行していたためだと思われます。
この例のように何か興味のあることを見つけて脳を刺激することが重要なポイントだと、うすうす理解できたのではないでしょうか。高齢者が自宅で役割もなくごろごろしていると一気にボケてしまいます。あえて興味を持ってもらえる役割りをつくって毎日実行することが大切です。そして孤独にさせないことが重要です。

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