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2009年12月06日
杉山ドクターのやさしい医学講座
第1章 高齢者の疾病と主な症状
(社団法人認知症の人と家族の会 副代表杉山孝博Dr)
1.高齢者の疾病
高齢者と接しお世話をする場合、高齢者の病気の特徴をよく知っておくことが大切です。一般的に人間の成長は、25歳頃に完了し、40歳代までに体の働きが最も保たれています。やがて40代後半からすばやい動きができなくなるなど、老化減少が見られるようになります。
女性は生理が不規則となり、ついには停止してしまいます。(閉経)心臓や肺など生命を維持するために欠くことのできない生理機能にも、老化による機能低下が目立つようになります。こうした現象は予備能力や調節力が減少して、バランスが乱れたり、ストレスなどによって病気に罹りやすいことを意味します。
乳幼児期、青年期、壮年期、それぞれに罹る病気の特徴があるように、老年期にも他の時期に見られない次の特徴があります
①.症状が現れにくく、また典型的でない
子供の場合、軽い風邪を引いても高い熱やせきなどの症状がはっきり出ますが、高齢者の場合肺炎に罹っても高い熱も出ないしせきが出なかったり、狭心症や心筋梗塞になっても、強い胸痛を感じないことが少なくありません。したがって命に関わるような病気が見過ごされたり、発見が遅れたりしやすいのです。
②.複数の病気に罹っている場合が多い
糖尿病は脳梗塞、心筋梗塞を引き起こしやすい、というように、生活習慣病は合併症を招きやすいので、、複数の病気を持っている場合が少なくありません。骨、間接疾患など老化に伴う病気は当然、高齢者に多くみられます。
③.自覚症状の訴え方がはっきりしない
体調が変化してもうまく表現できなかったり、我慢して訴えなかったりします。基礎疾患を持っていることが多いので、新たな病気の症状が基礎疾患の症状に隠されてしまいがちです。例えば、胃がんによる背部の痛みが加わっても、変形性脊椎症よによるいつもの痛みと考えて発見が遅れるケースがあります。
④.急性期の病気の治療が長引き、慢性化しやすい
脳卒中で同じ病気があっても若い人よりマヒの回復は遅く、後遺症として残りやすくなります。
⑤.体の予備力が低下しているため、急激な変化が起こりやすい
肺機能や心機能が低下しているため、肺炎を起こしやすくなります。また、脱水をおこしやすいため、食欲が低下したときや、下痢をしているときなどには、注意が必要です。
⑥.病気そのものだけでなく家庭的、社会的条件が予後に大きく影響する
療養環境が高齢者の病気の経過を決めるといってよいほど、家庭や地域社会の対応の仕方で、高齢者の意欲も病状も変わります。気がねなく療養生活を送ることができ、なおかつ介護の負担が特定の家族にかからないような援助システムの整備が必要です。
⑦.薬剤の副作用が起こりやすい
老化による腎機能低下や肝機能の低下のために、薬物代謝が遅れるなどして、薬物の排泄などが障害されます。したがって副作用が現れやすくなります。
以上高齢者の体と疾病について主な特徴を記しました。こうしてみると、年をとることはマイナスの側面ばかりのように映りますが、必ずしもそうではありません。精神的機能のうち、新しいことを覚えこむ力(記銘力)は20歳前後をピークとして低下していきますが、多くの経験や知識を用いてなされる総合的判断や理解は老年期のほうが深まります。マイナスとプラスの側面を理解して介護にあたりましょう。

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(社団法人認知症の人と家族の会 副代表杉山孝博Dr)
1.高齢者の疾病
高齢者と接しお世話をする場合、高齢者の病気の特徴をよく知っておくことが大切です。一般的に人間の成長は、25歳頃に完了し、40歳代までに体の働きが最も保たれています。やがて40代後半からすばやい動きができなくなるなど、老化減少が見られるようになります。
女性は生理が不規則となり、ついには停止してしまいます。(閉経)心臓や肺など生命を維持するために欠くことのできない生理機能にも、老化による機能低下が目立つようになります。こうした現象は予備能力や調節力が減少して、バランスが乱れたり、ストレスなどによって病気に罹りやすいことを意味します。
乳幼児期、青年期、壮年期、それぞれに罹る病気の特徴があるように、老年期にも他の時期に見られない次の特徴があります
①.症状が現れにくく、また典型的でない
子供の場合、軽い風邪を引いても高い熱やせきなどの症状がはっきり出ますが、高齢者の場合肺炎に罹っても高い熱も出ないしせきが出なかったり、狭心症や心筋梗塞になっても、強い胸痛を感じないことが少なくありません。したがって命に関わるような病気が見過ごされたり、発見が遅れたりしやすいのです。
②.複数の病気に罹っている場合が多い
糖尿病は脳梗塞、心筋梗塞を引き起こしやすい、というように、生活習慣病は合併症を招きやすいので、、複数の病気を持っている場合が少なくありません。骨、間接疾患など老化に伴う病気は当然、高齢者に多くみられます。
③.自覚症状の訴え方がはっきりしない
体調が変化してもうまく表現できなかったり、我慢して訴えなかったりします。基礎疾患を持っていることが多いので、新たな病気の症状が基礎疾患の症状に隠されてしまいがちです。例えば、胃がんによる背部の痛みが加わっても、変形性脊椎症よによるいつもの痛みと考えて発見が遅れるケースがあります。
④.急性期の病気の治療が長引き、慢性化しやすい
脳卒中で同じ病気があっても若い人よりマヒの回復は遅く、後遺症として残りやすくなります。
⑤.体の予備力が低下しているため、急激な変化が起こりやすい
肺機能や心機能が低下しているため、肺炎を起こしやすくなります。また、脱水をおこしやすいため、食欲が低下したときや、下痢をしているときなどには、注意が必要です。
⑥.病気そのものだけでなく家庭的、社会的条件が予後に大きく影響する
療養環境が高齢者の病気の経過を決めるといってよいほど、家庭や地域社会の対応の仕方で、高齢者の意欲も病状も変わります。気がねなく療養生活を送ることができ、なおかつ介護の負担が特定の家族にかからないような援助システムの整備が必要です。
⑦.薬剤の副作用が起こりやすい
老化による腎機能低下や肝機能の低下のために、薬物代謝が遅れるなどして、薬物の排泄などが障害されます。したがって副作用が現れやすくなります。
以上高齢者の体と疾病について主な特徴を記しました。こうしてみると、年をとることはマイナスの側面ばかりのように映りますが、必ずしもそうではありません。精神的機能のうち、新しいことを覚えこむ力(記銘力)は20歳前後をピークとして低下していきますが、多くの経験や知識を用いてなされる総合的判断や理解は老年期のほうが深まります。マイナスとプラスの側面を理解して介護にあたりましょう。

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